銀行融資とは?種類や借入の流れ、必要書類をわかりやすく解説

更新日:2025年02月26日

銀行融資とは

銀行融資とは、銀行がビジネスに使用する資金を貸し出す制度のことです。この記事では、銀行融資の概要および銀行融資の種類と形態を解説します。あわせて、融資に必要な書類や融資の流れ、融資を受ける際のポイントも紹介します。事業に必要な資金を調達したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

銀行融資とは?他の資金調達方法との違い

銀行融資とは、事業に使用する資金を調達する方法の1つです。資金調達には、銀行融資以外にもさまざまな方法があります。

銀行融資と他の資金調達方法の違いを、以下で確認しましょう。

項目 銀行融資 ノンバンク系ビジネスローン 政府系金融機関 地方自治体の融資制度
金利 低め 高め 低い 低い
審査の厳しさ 厳しめ ゆるめ 厳しめ 比較的ゆるい
借入限度額 大きい 小さい 大きい 大きめ
借入までの期間 長い 短い 長い 長い

銀行融資は、審査が厳しめで借入までに日数がかかる一方で、比較的低い金利で大きな金額の借入を目指せます。

ノンバンク系ビジネスローンは、審査がゆるくスピーディーな借入が可能ですが、金利は高めで多額の借入はできません。

政府系金融機関と地方自治体の制度融資も、借入に際し厳しい審査が実施されます。ただし、制度によっては実績よりも今後の成長性などが審査されるため、創立から間もない企業でも借りやすいといえます。一方で事業計画や成長性を見極めるため、提出を求められる書類が多くなる点や、審査期間が長い傾向があることは覚えておきましょう。

銀行融資の6つの種類

銀行融資には、主に以下の6つの種類があります。

  1. ビジネスローン
  2. カードローン
  3. プロパー融資
  4. 信用保証協会の保証付き融資
  5. 売掛金債権担保融資
  6. 不動産担保ローン

どの種類を選ぶかにより、金利の大きさや借入限度額などが変わります。それぞれの特徴を確認し、自社に合った調達方法を見つけましょう。

1.ビジネスローン

ビジネスローンは、事業資金専用のローン商品です。新規事業の立ち上げ資金や設備投資資金、取引先への支払い資金といった事業資金を調達する際に利用します。

ビジネスローンは、一般的に無担保無保証で借入が可能です。また、借入までの期間が短いため、緊急で現金が必要な場合に助かる資金調達方法といえるでしょう。

他の融資と比較し、借入限度額は少なめで金利は高く設定されています。利用の際は、返済計画などを十分に考えたうえで借り入れることが重要です。

参考)ビジネスローンおすすめ

2.カードローン

カードローンは、一般的に無担保・無保証で融資を受けられるローン商品です。資金使途は決められていないものがほとんどですが、事業資金としては利用できないケースもあるため、必ず事前に確認しましょう。

カードローンには、最短即日など申込からすぐに借入ができる商品もあります。一方で、借入限度額は少なく金利は高めに設定される傾向があることは、覚えておきましょう。

3.プロパー融資

プロパー融資とは、銀行の責任で資金を貸し出す融資のことです。

後述する信用保証協会の保証を利用しないため、銀行は資金を回収できなくなるリスクを負います。この、貸し倒れリスクを小さくするために、プロパー融資では非常に厳しい審査が実施されます。

そのため、事業実績や信用力の積み上げが難しいベンチャー企業や個人事業主などは、プロパー融資の借入は難しいことは覚えておきましょう。

なお、プロパー融資に融資限度額はないものの、返済期間は短く設定されることも少なくありません。プロパー融資を利用する際は、返済プランを十分に考えたうえで借り入れることが重要です。

4.信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資とは、信用保証協会の保証を受けて借り入れるローンのことです。

万が一返済不能になったときには信用協会が代位弁済をするため、銀行は貸し倒れのリスクを負いません。そのため、一般的にプロパー融資よりも審査は通りやすいとされます。なお、代位弁済後は、借主は信用保証協会に返済をします。

信用保証協会の保証付き融資の金利は低めですが、保証料が必要です。また、資金調達までに時間がかかることも注意しましょう。

5.売掛金債権担保融資

売掛金債権担保融資とは、売掛債権(売掛金)を担保に資金調達をする融資のことです。売掛債権を担保とするため、信用力や実績が少ない会社や不動産などの資産を持っていない会社でも、資金の調達が可能になります。

売掛金債権担保融資では、売掛金等の状況を定期的に銀行に報告する必要があります。金利や融資限度額等は担保となる債権によって変わるため、利用を検討するのであればまずは銀行に相談しましょう。

6.不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、不動産を担保として借入をする融資のことです。万が一返済不能に陥ったときは、担保に設定された不動産の売却金が返済に充てられます。

不動産担保ローンは無担保ローンと比較して金利が低く、借入期間が長い傾向があります。比較的に良い条件で借入ができる融資の1つではあるものの、返済が滞ったときに担保に設定した不動産を失う可能性がある点には、十分な注意が必要です。

銀行融資の4つの形態

銀行融資には、以下の4つの形態があります。

  1. 証書貸付
  2. 当座貸越
  3. 手形貸付
  4. 手形割引

どの形態を選ぶかによって、メリットやデメリットが異なります。詳細を確認し、納得がいく借り入れを目指しましょう。

1.証書貸付

証書貸付とは、金銭消費貸借契約証書(借用書)により契約を結び、融資を受ける方法のことです。融資手続きとして一般的な形態の1つで、主に1年以上の長期融資で多く利用されます。

証書貸付のメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 手続きがスムーズ
  • 一度にまとまった資金を低金利で調達できる
  • 借入までに時間がかかる
  • 印紙代がかかる

証書貸付は多くの融資で利用されるため、手続きに慣れているスタッフが多く、借り入れ手続きをスムーズに進められます。また、証書に契約日や借入金額、金利、返済期間、遅延損害金、返済方法といった重要事項を明記することから、一度にまとまった資金を低金利で調達しやすい形態といえるでしょう。

一方で、他の借入形態よりも借入までに時間がかかるといわれます。また、証書を作成するため印紙代がかかります。

2.当座貸越

当座貸越とは、あらかじめ限度額や期間を設定し、その範囲内であれば自由に借入と返済ができる形態のことです。定期的な返済が不要で、資金状況に合わせた返済が可能なため、利便性が高いといえます。

当座貸越のメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 借入ごとの審査が不要
  • 必要なときに即時借入が可能
  • 審査が厳しい
  • 担保や連帯保証人を求められることもある
  • 更新がある

当座貸越は、借入ごとの審査が不要です。必要なときに即時借入が可能なため、緊急で現金が必要なときにも対応できます。

当座貸越の契約は、一般的に1年更新です。契約時の審査は厳しく、不動産または預金担保設定や代表者個人の連帯保証を求められることもあります。

3.手形貸付

手形貸付とは、金融機関に約束手形を振り出してお金を借りる形態のことです。利用するには原則として、当座預金を開設していなければなりません。

手形貸付は1年未満の短期融資で利用されることが多く、売掛金入金による一括返済が一般的です。手形貸付のメリットおよびデメリットを、以下で確認しましょう。

メリット デメリット
  • 期日までは返済が不要なため、資金計画が立てやすい
  • 証書貸付よりも印紙代が安い

売掛先からの入金が遅れた場合、返済ができない可能性がある

手形貸付は売掛金を一括で返済に充てるため、定期的な返済が不要で資金計画が立てやすい特徴があります。ただし、売掛先からの入金が遅れた場合は銀行への返済が滞り、信用が低下するおそれがあることは覚えておきましょう。

4.手形割引

手形割引とは、約束手形を銀行に売却し現金化する形態のことです。約束手形は通常、期日まで現金化ができませんが、銀行に買い取ってもらうことで期日より早く現金を手元に用意できます。

約束手形のメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 手形の期日よりも早く現金を受け取れる
  • 他の形態と比較し利息負担が抑えられる
  • 融資には手形を発行した企業の審査が実施される

手形割引の利息(割引料)は、手形割引を実施した日から手形の期日までで日割り計算されるため、他の形態と比較し負担が抑えられます。

手形割引を利用するにあたっては、手形を発行した企業に対する審査が実施されます。これは、銀行が買い取った手形が不渡りになることを防ぐためです。審査結果によっては、手形割引ができない可能性もあります。

銀行融資は個人事業主でも受けられる?

銀行融資は、個人事業主でも借入可能です。ただし、借入には開業届の提出や確定申告の実績が求められます。

融資を受けるには、審査に通過しなければなりません。審査の厳しさは、銀行によって異なります。一般的にメガバンクは大規模融資が中心のため、個人事業主の借入は難しそうです。個人事業主が銀行融資を受けるには、地方銀行やネット銀行、信用金庫を検討しましょう。

銀行融資に必要な書類一覧

融資に必要な書類は銀行によって異なりますが、一般的に必要とされるのは以下の書類です。

  • 決算書3期分(損益計算書貸借対照表など)
  • 試算表
  • 資金使途明細
  • 受注明細
  • 事業計画書
  • 資金繰り表
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 本人確認書類(個人事業主の場合)
  • 印鑑証明書
  • 納税証明書
  • 銀行取引明細書
  • 確定申告書
  • 許認可証の写し(許可が必要な事業の場合)

銀行融資における審査は、これらの書類をもとに実施されます。書類に不備があると、審査が滞り借入までの期間が延びる可能性があります。

スムーズな借り入れを目指すには、不備がないよう計画的に書類を準備することが重要です。

銀行融資を利用する流れ

必要書類と併せて銀行融資を利用する流れをあらかじめ押さえておくことで、さらにスムーズな借入を目指せます。銀行融資に必要な手順は、以下の6つです。

  1. 相談
  2. 必要書類の提出
  3. 面談
  4. 審査
  5. 契約
  6. 融資の実行

相談から実行までにかかる期間は、ローンの種類や金額などによって異なります。契約によっては、相談から申込までに数ヵ月かかることもあります。

資金が必要な日にちが決まっているのであれば、借入が間に合うよう計画的に手続きを進めることが肝心です。

銀行融資を利用する際のポイント

最後に、銀行融資を利用する際のポイントを4つ解説します。銀行融資を利用できるかは、審査結果によります。

希望の融資を受けるには、審査に向けてしっかりと準備を進めましょう。

具体性がある事業計画書の作成

ポイントの1つめは、具体性がある事業計画書の作成です。事業計画書には、事業の内容や今後の戦略、収入の見通しなどを記載します。充実した事業計画書を作成すれば、銀行に対して返済能力を示す材料となるでしょう。

自分での作成が難しい場合は、税理士や中小企業診断士、商工会議所、経営コンサルタントなど、専門家に相談するのも1つの方法です。

面談に向けた事前準備をする

ポイントの2つ目は、審査で実施される面談に向けた事前準備です。

実際の審査でスムーズに回答できるよう、想定問答を作成し、シミュレーションすると良いでしょう。併せて、銀行に提出した決算書や事業計画書の内容を十分に理解し、明確に答えられるようにしておくことも大切です。

また、すでに取引がある銀行であれば、日ごろから信頼関係を構築しておくことも審査にプラスとなるでしょう。

信用情報の積み上げ

ポイントの3つ目は、信用情報の積み上げです。信用情報とは、ローンの契約や返済状況などの記録のことです。信用情報は信用情報機関に登録され、新たなローンの契約などに際し、ローン残高やローンの踏み倒しがないかなどの確認に利用されます。

会社を経営するにあたっては、借入がないほうが良いと考える方もいるかもしれません。しかし、借り入れを行い期限内に返済したという信用情報を積み上げると、信頼がおける会社であるとの評価を得られます。

そのため、返済余力があるときには、信用力の獲得の1つとして借り入れを活用することも重要です。

財務状況の改善

ポイントの4つ目には、財務状況の改善があげられます。財務状況が悪いと返済能力に疑問を持たれ、審査に落ちるおそれがあります。財務状況が悪化している場合は、増収増益などを実現し財務状況を改善してください。

なお、中には節税を目的として、あえて赤字を出している会社もあるでしょう。財務の赤字化は税金を抑える効果はあるものの、ローンの借入においてはマイナスの評価につながります。

借入を考えているのであれば、マイナス評価につながらないよう財務状況を見直しておくと安心です。

銀行融資まとめ

銀行融資とは、銀行が個人事業主や法人に事業資金を融資する制度です。

銀行融資には、プロパー融資や信用保証協会の保証付き融資、カードローンやビジネスローン、売掛金債権担保融資、不動産担保ローンなどがあります。選ぶ種類によって、金利や借入限度額、審査の厳しさなどに差があるため、自社に合ったものを選びましょう。

銀行融資を受けるには、審査に通らなければなりません。スムーズな借り入れを目指すのであれば、必要書類や手順をあらかじめ確認しておくことが重要です。併せて、審査に向けてしっかりと準備することで、希望する借り入れの実現を目指しましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
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