ファクタリングの乗り換えは他社利用中でも可能?検討のタイミングや注意点を解説
更新日:2025年12月04日

ファクタリングの乗り換えとは、現在利用しているファクタリング会社から、別の会社に契約を切り替えることです。この記事では、ファクタリング会社の乗り換えができるケースとできないケースを解説します。また、乗り換えを考えるべき5つのタイミングと注意点、ファクタリング会社を見極めるポイントも紹介します。
目次
ファクタリング乗り換えの重要ポイント
まずは、本記事がどういった方のお役に立てるかと、ファクタリング乗り換えで押さえるべき注意点について解説します。
この記事の想定読者
すでにファクタリングを利用中の中小企業経営者の方で、契約条件面などで不満があり、別のファクタリング会社への乗り換えを検討している方を想定しています。
ファクタリングの乗り換えで押さえるべきポイント
ファクタリングの乗り換えは、法律上も契約上も可能ではあります。ただし、同一の売掛金を複数のファクタリング会社へ二重譲渡するのは、ファクタリング会社との契約違反になりえます。また、二重譲渡それ自体は違法になりませんが、悪質であれば詐欺罪や横領罪に問われるリスクがあるため、乗り換え先のファクタリング会社では、これまで誰にも譲渡したことがない売掛金だけを買い取ってもらうようにしましょう。
ファクタリングの乗り換えは他社利用中でも可能?
すでにファクタリング会社を利用している場合でも、他のファクタリング会社を利用する「乗り換え」は可能です。ただし、乗り換えをするにはいくつかの条件があり、満たしていない場合には訴訟を起こされるおそれもあります。
ここではまず、乗り換えができるケースとできないケースを解説します。それぞれをしっかりと確認し、トラブルのないスムーズな乗り換えを目指しましょう。
乗り換えができるケース
ファクタリング会社を乗り換えられるのは、現在の契約で使用していない売掛債権を新たに用意できる場合です。
なぜなら、一度別のファクタリング会社の契約に使用した売掛債権を、他の契約に使用することはできないからです。
未使用の売掛債権を保有しており、利用するファクタリング会社の見直しをしたいと考えているときには、乗り換えを検討してもよいでしょう。
乗り換えができないケース
ファクタリング会社の乗り換えができないのは、未使用の売掛債権を用意できない場合です。
ファクタリング会社との契約に使用した売掛債権を、他の契約に使用することは「二重譲渡」に当たります。二重譲渡とは、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡してしまうことです。
二重譲渡が発生すると、複数の会社が売掛金に対する権利を持つことになります。しかし、実際に売掛金を受け取れるのは1社のみです。それ以外のファクタリング会社は売掛金を回収できず、大きな損失を被ることになります。
ファクタリングに使用していない売掛債権を保有していないときには、乗り換えは諦めるしかないでしょう。
ファクタリング会社を乗り換えるメリットとデメリット
ファクタリング会社の乗り換えには、主に以下のメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット |
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ファクタリング会社の乗り換えを迷っている方は、それぞれをしっかりと確認し、納得したうえで判断しましょう。
メリット
ファクタリング会社を乗り換える主なメリットは、以下の2つです。
- より良い条件で契約できる可能性がある
- 買取上限額を増額できる可能性がある
手数料や現金化までの日数といった契約条件は、ファクタリング会社によって異なります。そのため、乗り換えることで、より良い条件でファクタリングを利用できる可能性があるでしょう。
また、売掛債権の買取上限額も、ファクタリング会社によって異なります。例えば、事業拡大などにより取り扱う売掛債権の金額が増加した場合は、買取上限額を高く設定しているファクタリング会社に乗り換えることで、売却できる債権の幅を広げられるでしょう。
デメリット
ファクタリング会社を乗り換える主なデメリットには、以下の2つがあります。
- 書類の提出が必要になる
- 審査に時間がかかるケースがある
初めて利用するファクタリング会社との取引は、信頼関係がない状態からスタートします。そのため、乗り換え後の初回利用時には、商業登記簿謄本や決算書、代表者の身分証明書など、さまざまな書類の提出を求められます。書類によっては取得に申請が必要なものもあるため、計画的に準備を進める必要があるでしょう。
また、初めての利用の際は、書類の確認やヒアリング、面談などに時間がかかるケースがあります。その場合、現金化にも時間を要する可能性があることは覚えておきましょう。
ファクタリング会社の乗り換えを検討する5つのタイミング
ファクタリング会社の乗り換えを検討するタイミングには、主に以下の5つがあります。
- 手数料が割高と感じたとき
- 入金までの日数を早めたいとき
- 買取可能額が自社の持つ売掛債権と合わなくなったとき
- 担当者の対応に不満を感じたとき
- 債権譲渡登記が必要になったとき
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1.手数料が割高と感じたとき
乗り換えを検討するタイミングの1つが、手数料が割高と感じたときです。
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社によって異なります。そのため、ファクタリング会社を乗り換えることで、手数料が低くなる可能性があります。資金調達のコストを下げたいのであれば、乗り換えは有力な選択肢となるでしょう。
ファクタリング会社によっては、手数料の目安をホームページ上で公開している場合もあります。例えば、主要ファクタリング会社数社(ククモ、PMG、ビートレーディング、ベストファクターの4社)の公開情報を比較すると、手数料の範囲は概ね1.0%〜20.0%収まっています。ただし、実際に適用される手数料は、審査によって決定します。利用を希望するファクタリング会社が決まったら、一度相談してみるとよいでしょう。
2.入金までの日数を早めたいとき
入金までの日数を早めたいときも、ファクタリング会社の乗り換えを検討するタイミングです。
入金までの日数は、ファクタリング会社によって差があります。よりスピーディーな現金化を希望するのであれば、別のファクタリング会社の利用も選択肢となります。
ファクタリング会社の多くは、現金化までの最短日数をホームページに明記しているため、会社を選ぶ際はぜひ参考にしましょう。ただし、初めて利用するファクタリング会社では、審査や手続きに時間がかかり、入金に時間を要する可能性もあります。
入金までの具体的な日数を知りたいときは、ファクタリング会社に相談すると安心です。
3.買取可能額が自社の持つ売掛債権と合わなくなったとき
買取可能額が自社の持つ売掛債権の金額と合わなくなったときも、ファクタリング会社の乗り換えを検討しましょう。
買取可能な債権額は、ファクタリング会社によって異なります。そのため、業績の拡大や縮小により取り扱う売掛債権の額が変化すると、利用中のファクタリング会社では買取が難しくなることがあります。
その場合、自社が保有する売掛債権額に合ったファクタリング会社への乗り換えが必要になるでしょう。
買取可能額を開示しているかは、ファクタリング会社によって異なります。例えば、「50万円~2,000万円の売掛債権」など下限額と上限額が決まっていることもあれば、「買取可能額は要相談」としている場合もあります。
ファクタリング会社を選ぶ際は、今後の事業展開や売上予測も考慮したうえで、長く対応してもらえそうな会社を選ぶことが肝心です。
4.担当者の対応に不満を感じたとき
担当者の対応に不満を感じたときも、ファクタリング会社の乗り換えを検討するタイミングです。
ファクタリング会社によっては、オンラインで契約が完結するケースもありますが、審査や手続きの際に担当者とやり取りをする必要があります。
担当者のレスポンスが遅いと、スムーズな資金調達ができない可能性があるでしょう。また、態度が悪い、資金繰りに関する知識が足りないといった場合は、安心して利用できない可能性があります。
担当者の対応に不満や不安を感じたときには、他のファクタリング会社への乗り換えも選択肢となるでしょう。
5.債権譲渡登記が必要になったとき
債権譲渡登記が必要になった場合も、ファクタリング会社の乗り換えを考えるタイミングの1つです。
債権譲渡登記とは、債権を譲渡したことを証明するために行う登記です。取引をするファクタリング会社によっては、二重譲渡を防ぐために、契約時に債権譲渡登記を求められるケースがあります。
債権譲渡登記をする際のおもな注意点は、以下のとおりです。
- コストがかかる
- 個人事業主は利用できない
- 売掛先に知られる可能性がある
債権譲渡登記を実施するには、債権個数が5,000個以下の場合は1件につき7,500円、債権個数が5,000個を超える場合は1件につき1万5,000円の登録免許税が必要です。手続きを司法書士に依頼する場合、数万円の報酬も発生します。できるだけコストを抑えた資金調達を希望するのであれば、債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選んだほうがよいでしょう。
また、債権譲渡登記は法人が対象のため、個人事業主は利用できません。そのため、契約時に債権譲渡登記が必要と言われた場合、個人事業主の方は他のファクタリング会社に乗り換えるしかないでしょう。
債権譲渡登記は、誰でも閲覧できます。そのため、売掛先が登記を確認した場合、ファクタリングの利用を知られる可能性があります。売掛先にファクタリングの利用を知られたくないと考えているのであれば、債権譲渡登記が不要なファクタリング会社に乗り換えると安心です。
ファクタリング会社を乗り換える際の注意点
ファクタリング会社の乗り換えをスムーズに行うには、以下の注意点に気を付ける必要があります。
- 二重譲渡が発生しないようにする
- 複数のファクタリング会社で同時に審査を受けない
- 信頼できるファクタリング会社を選ぶ
それぞれを詳しく解説します。
二重譲渡が発生しないようにする
ファクタリングにおける二重譲渡それ自体は、法律では禁止されていせん。ただし、結果的に横領罪や詐欺罪に問われる可能性があります。そのため、乗り換え時には二重譲渡が発生しないよう、十分に気を付ける必要があるでしょう。
仮に二重譲渡をした場合の主なリスクは、以下のとおりです。
- 損害賠償を請求される
- 刑事罰を科される
二重譲渡によりファクタリング会社が売掛金を回収できなくなった場合、損失を被ることになります。そのため、期日を超過しても売掛金を支払わずにいると、損害賠償を請求される可能性があることは覚えておきましょう。
二重譲渡それ自体は違法ではないものの、不正な目的があった場合などは詐欺罪や横領罪に問われる可能性があります。罪に問われると会社の信頼が大きく損なわれるだけでなく、詐欺罪は10年以下の懲役、横領罪は5年以下の懲役が科されます。
ファクタリング会社の乗り換えをする際は、二重譲渡が発生しないよう売掛債権をしっかりと管理し、手続きを進めることが重要です。
複数のファクタリング会社で同時に審査を受けない
複数のファクタリング会社で同時に審査を受けないことも、乗り換え時の注意点の1つです。
乗り換えを検討している場合、できるだけ好条件の会社を選ぶために、いくつもの会社で見積もりを取りたいと考える方もいるでしょう。しかし、乗り換えにあたり複数のファクタリング会社で同時に審査を受けたことが明らかになった場合、信用力が低いとみなされ、審査に不利に働く可能性があります。
ファクタリング会社を乗り換える際には、まずは公式ホームページなどの情報を十分に確認し、取引をしたいと考えるファクタリング会社を選んだうえで審査を受けることが重要です。
信頼できるファクタリング会社を選ぶ
乗り換えをする際は、信頼できるファクタリング会社を選ぶことも重要です。
ファクタリング会社を名乗る会社の中には、悪徳業者も存在します。より良い条件での乗り換えを目指しすぎると、好条件を掲げる悪徳業者との契約につながることは覚えておきましょう。
悪徳業者と契約すると、法外な手数料を請求されたり、強引な取り立てをされたりするおそれがあります。場合によっては、大きな損失を被るかもしれません。
安心して乗り換えを行うには、信頼できるファクタリング会社であるかを事前に十分確認しましょう。
信頼できるファクタリング会社を見極めるポイント
信頼できるファクタリング会社を見極めるポイントは、以下のとおりです。
- 運営会社の基本情報が公開されているか
- 契約内容が明示されているか
- 手数料が相場の範囲内か
- 償還請求権が付加されていないか
それぞれを詳しく確認し、トラブルのない安全な乗り換えを実現しましょう。
運営会社の基本情報が公開されているか
ファクタリング会社を見極めるには、運営会社の基本情報の有無を確認しましょう。優良なファクタリング会社の多くは、運営会社の基本情報を公式ホームページ上で公開しています。
基本情報のうち、特に以下の項目は会社の根幹に関わる部分のため、十分に確認する必要があります。
- 会社名
- 代表者名
- 住所
- 電話番号
- 設立年月日
- 資本金
- 取引先
- 事業内容
これらの情報が不明な場合は、信頼性が低いファクタリング会社のおそれがあるため、注意しましょう。
契約内容が明示されているか
契約内容が明示されているかも、優良なファクタリング会社を見極めるポイントです。
悪徳業者は、利用者にとって不利な契約内容を隠そうとします。そのために、契約内容や重要事項がわかりにくい契約書になっているケースが多くあります。
契約書の内容に不明点がある場合はそのままにせず、担当者に確認することが重要です。問い合わせに十分な説明を受けられないときは、悪徳業者の可能性も考え、契約手続きを見直すことをおすすめします。
手数料が相場の範囲内か
手数料が相場の範囲内であるかも、優良なファクタリング会社を選ぶポイントです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの手数料相場を、以下で確認しましょう。
| ファクタリングの種類 | 手数料相場 |
| 2社間ファクタリング | 10%~30% |
| 3社間ファクタリング | 1%~9% |
手数料が相場よりも高く設定されている場合は、必要以上のコストがかかるおそれがあります。手数料が高すぎると感じたら、他のファクタリング会社を検討しましょう。
一方、手数料が相場より極端に低い場合も、注意が必要です。手数料が低すぎる契約では、締結後に他の名目で費用を請求されるおそれがあります。手数料が低いと感じたときは、契約前に費用をしっかりと確認し、納得したうえで契約することが重要です。
参考)ファクタリングの手数料
償還請求権が付加されていないか
ファクタリング会社を選ぶ際は、償還請求権の有無も確認しましょう。
償還請求権とは、債務者が債務を履行しないときに、元の債権者に遡って弁済を求める権利のことです。
ファクタリングの場合、ファクタリング会社は売掛先からの売掛金により資金を回収します。売掛先の倒産などで売掛金の支払いができなくなったとしても、利用者がファクタリング会社に弁済する必要はありません。
しかし、償還請求権が付与されている場合、売掛金が支払われなかったときに利用者に対して資金の支払いが求められる可能性があります。この仕組みは、実質的に、売掛債権を担保とした融資と考えられます。
融資は本来、貸金業法に基づき登録をされた貸金業者のみが可能です。登録がないにもかかわらず融資を行っている場合、悪徳業者のおそれがあります。
悪徳業者は、法外な利息の上乗せや無理な取り立てなどを行うかもしれません。償還請求権が付されているときには、取引は慎重にしたほうがよいでしょう。
ファクタリング乗り換えまとめ
ファクタリングの乗り換えとは、利用しているファクタリング会社を変更することです。
乗り換えは、原則として可能です。ただし、1つの売掛債権を複数のファクタリング会社で使用すると、二重譲渡となり最悪の場合は刑事罰や損害賠償の対象となることは覚えておきましょう。
乗り換えをすれば、より良い条件でファクタリングを利用できる可能性があります。手数料や買取限度額、担当者の対応などに不満を感じたら、乗り換えを検討しましょう。
乗り換えをする際は、信頼できるファクタリング会社を選ぶことが肝心です。見極めのポイントを押さえ、トラブルのないスムーズな乗り換えを目指しましょう。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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