損益計算書の見方を知ろう!基本的な内容から活用方法まで紹介

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損益計算書は企業経営において重要な情報が記載されているため、正確なデータを記載し、正しく読み取る必要があります。この記事では、損益計算書の見方と活用方法を解説します。損益計算書の基本を知りたい方や、より知識を深めたい方はぜひ参考にしてください。 ※2021年11月19日に更新

損益計算書とは?

損益計算書とは、企業における1年間の収益性などの経営成績を示す書類です。英語で「Profit and Loss Statement」と書くため、略してP/L(ピーエル)と呼ばれる場合もあります。 損益計算書には、企業の収益・費用・利益と3つの要素が記載されており、その年の経営成績や収益性を把握するために欠かせない書類です。

損益計算書の内容を理解しよう

損益計算書で経営成績を正しく把握するためには、どのようなルールに基づいて記載されているのか仕組みを理解しておく必要があります。ここでは、損益計算書の項目とそれぞれの詳細について解説します。

損益計算書には何が書かれている?

損益計算書は、主に「収益」「費用」「利益」といった3つの項目が記載されています。それぞれの意味を簡単に解説すると以下のようになります。

▼損益計算書の構成要素

  • 収益=費用を差し引く前にどれくらいの収入を得られたか
  • 費用=収益を生み出すためにどれくらいの資金を投入したか
  • 利益=収益から費用を差し引いていくら残っているか

損益計算書は、一番上に売上高を計上し、そこから売上原価・販売費および一般管理費・営業外損益・特別損益、最後に税金を加減算する形式で記載します。 記載する利益は、以下の5つの種類があります。それぞれの利益の意味を知っていると、損益計算書への理解が深まります。

売上総利益

売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた金額です。売上高とは、会社が主とする商品やサービスを提供して得られた収益を指します。売上原価とは、商品やサービスの販売・製造にかかった費用で、商品や材料の仕入、または製造に直接要した費用を指します。この売上総利益は「粗利」とも呼ばれており、企業の経営成績を把握するための重要な指標のひとつです。

営業利益

営業利益は、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた金額です。「販売費および一般管理費」とは、営業活動をするうえでかかった費用のことで、人件費・広告費・光熱費・出張費等が含まれます。売上総利益(粗利)から、売上原価以外にかかった費用を差し引くことで、本業の営業活動において得られた正確な営業利益を把握できるようになります。

経常利益

経常利益は、営業利益と営業外収益を加算した金額から、営業外費用を差し引いた金額です。営業外収益とは、本業以外の活動から得た収益を指し、株の売却益や本業以外の活動で得た収益等が含まれます。 一方、営業外費用とは、本業以外で要した費用を指し、株の売却損や利息の支払額、社債の発行費等が含まれます。経常利益を読み解くことにより、会社が通常の活動でどれくらい利益を上げているかが分かります。

税引前当期純利益

税引前当期純利益は、法人税など税金を引く前の当期の純利益です。経常利益と特別利益を加算した金額から、特別損失を差し引いて算出します。 特別利益とは、本業以外で得たその年しか発生しないような臨時の収益を指し、不動産を売却したときの固定資産売却益等が挙げられます。対して特別損失とは、本業以外で発生したその年しか発生しないような臨時の費用を指し、火災や災害が起こってしまったときの損失等が挙げられます。 たとえば、災害等が起こった年に特別損失が計上されると、純利益が少なくなってしまいます。反対に、その事業年度に固定資産を売却すると特別利益が大きくなります。

当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税・法人住民税・法人事業税を差し引いた金額です。当期純利益は当期の最終的な利益となるため、黒字経営をするためにはこの数値がプラスになっている必要があります。当期純利益がマイナスになると、企業の経営が悪化しているため注意が必要です。

損益計算書の例を紹介

これまでの説明を踏まえて、損益計算書を見てみましょう。

ex) 損益計算書の例(単位:円)
項目 金額
売上高 100,000,000
売上原価 30,000,000
売上総利益 70,000,000
販売費および一般管理費 50,000,000
営業利益 20,000,000
営業外収益 3,000,000
有価証券売却益 2,000,000
受取配当金 1,000,000
営業外費用 700,000
支払利息 500,000
社債利息 200,000
経常利益 22,300,000
特別利益 10,000,000
固定資産売却益 10,000,000
特別損失 5,000,000
投資有価証券売却損 5,000,000
税引前当期純利益 27,300,000
法人税、住民税及び事業税 7,000,000
当期純利益 20,300,000

各利益の計算式まとめ

各項目の計算方法をまとめると以下のようになります。

  • 売上総利益=売上高-売上原価
  • 営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費
  • 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
  • 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
  • 当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税

本来の損益計算書は色分けされていませんが、上記では分かりやすいように色を付けています。水色の部分では企業の本業における経営成績、ピンク色の部分では本業以外も含む経営成績を示しています。紫色の部分では、企業における最終的な経営成績を把握できます。

損益計算書を活用してみよう

損益計算書の見方が分かったところで、活用するための方法も知っておきましょう。損益計算書は単に1年間の経営成績を見るだけでなく、経営分析にも役立てられます。

損益計算書分析の必要性

損益計算書は、その情報を眺めているだけではあまり意味がありません。経営者や投資家の方は、損益計算書を分析して、今後の経営予測や事業計画の見直しなどの判断材料として活用することが重要です。適切な分析や活用方法を知ることで、有益な判断材料を得ることができます。

売上総利益率を求めよう

損益計算書をもとに分析をする際、最初に計算するのが「売上総利益率の算出」です。売上総利益率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益を売上高で割った割合 を指しており、企業が商品や製品の販売においてどれくらいの利益を得られたかを把握する指標となります。この売上総利益率が高いほど、利益率が高いと判断できます。売上が高くても、その分原価が多くかかっている場合は、利益を圧迫してしまいます。売上高・売上原価といった両面で利益率を把握することで、投入コストが妥当な金額かどうかを把握できます。また、売上総利益率が分かれば、自社の数年間における業績の推移と比較することも可能です。過去の業績が好調だったにもかかわらず売上総利益率が低下している場合は、売上原価や事業計画の見直しが必要と考えられます。

売上高営業利益率を求めよう

企業が売上原価だけでなく経費も含めた上で、本業でどれほどの収益を得られたかを把握するためには、売上高営業利益率も求める必要があります。売上高営業利益率は、売上高に対して営業利益が占める割合のことで、本業の収益力を測る際の指標となります。この売上高営業利益率の数値が高ければ、本業で利益を出せており経営が安定していると判断できます。一般的には5%を超えると上場企業並みに優良と言われており、1~3%が標準です。

損益分岐点を理解しよう

損益分岐点とは、企業経営における損益がゼロになるポイントのことをいいます。また、営業利益が0円の時の売上高を「損益分岐点売上高」と呼びます。この「損益分岐点売上高」を求めることにより、どのくらいの売上に到達すれば利益が出るのかを把握できるようになります。 損益分岐点計算のポイントは「固定費」と「変動費」です。固定費は売上高が何円でも固定的に発生してしまう費用を指し、変動費は売上高に比例して発生する費用を指します。 たとえばパン販売の場合、製造と販売を繰り返すほど売上高は上がりますが、その分材料費がかかります。この材料費にあたるのが変動費です。一方、人件費や家賃などは売上が上がらなくてもかかる費用となり、固定費となります。 損益分岐点を把握することで、利益を増やすために固定費を引き下げるか、変動費比率を引き下げるか、販売量を増やすか等の施策を検討できるようになります。自社の損益分岐点を把握し、今後の改善に活かしましょう。

損益計算書が読めると経営に役立つ

損益計算書の基本について解説しました。損益計算書は、企業の収益や費用などを明らかにして、一定期間でどれくらいの収益を得られたかを把握するための決算書です。 損益計算書の見方や活用方法を知ることで、経営成績を把握できるほか、経営改善に向けた分析にも役立てられます。売上向上や経営安定化を目指して、損益計算書を有効活用しましょう。

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