ファクタリングは違法ではない!法的根拠や悪質業者を見極めるポイント
更新日:2025年04月16日

ファクタリングは、違法な資金調達の方法ではありません。この記事では、ファクタリングが違法でないとされる法的根拠と悪質業者を見極めるポイントを解説します。併せて、安全性が高いファクタリング会社とファクタリング以外の資金調達方法も紹介します。※本記事で紹介しているファクタリング会社から広告出稿を受けている場合があります。
目次
ファクタリングは違法ではない!2つの法的根拠
ここではまず、ファクタリングが違法ではないとされる2つの根拠を解説します。
- 売掛債権の譲渡は法律で認められている
- 権利譲渡禁止の特約付き売掛債権も譲渡可能
怪しいというイメージを持たれることもあるファクタリングですが、決して違法ではありません。ファクタリングが正しい資金調達方法である法的根拠を、以下で確認しましょう。
1.売掛債権の譲渡は法律で認められている
ファクタリングが違法ではない法的根拠の1つには、売掛債権の譲渡が法律で認められている点が挙げられます。
ファクタリングとは、ファクタリング会社に債権を譲渡して売却代金を受け取る資金調達方法です。利用を検討する中で、債権を売却することに不安を覚える方もいるかもしれません。
債権の譲渡は、民法第466条によって「債権は、譲り渡すことができる。」と定められています。そのため、ファクタリングの利用により債権を譲渡することは、違法にはあたらないのです。
2.権利譲渡禁止の特約付き売掛債権も譲渡可能
ファクタリングが違法でない法的根拠の2つ目は、権利譲渡禁止の特約付き売掛債権も譲渡可能な点です。
売掛債権の中には、権利譲渡禁止の特約が付いたものがあります。以前は、このような債権は、当事者の同意なしに譲渡することが禁止されていました。
しかし、2020年4月に債権法が改正されたことで、権利譲渡禁止の特約付きの売掛債権も当事者の同意なしに譲渡できるようになったのです。
改正後の民法第466条「債権の譲渡性」2項には、「当事者(債務者)が債権の譲渡を禁止・制限する旨の意思表示をしていても債権の譲渡の効力は妨げられない」と明記されています。この改正により、ファクタリングで利用できる債権の幅が大きく広がったといえるでしょう。
参考)e-GOV|民法
悪質業者を見極める5つのポイント
ここでは、悪質業者を見極める以下の5つのポイントを解説します。
- 手数料が相場と乖離している
- 償還請求権が契約に付与されている
- 担保や保証人を求められる
- 分割での支払いを求められる
- 給与ファクタリングを提供している
先述のとおり、ファクタリングは違法ではありません。しかし、免許や登録が不要なことや、ファクタリングに関する法整備が効き届いていないことから、実際に悪質業者も存在します。
悪質業者を見極めるポイントを押さえ、安全なファクタリングの活用を目指しましょう。
1.手数料が相場と乖離している
悪質業者を見極めるポイントの1つが、ファクタリングの手数料が相場と乖離していないかです。
相場より高い手数料が設定されている場合は、法外な費用をだまし取ろうとしている悪質業者かもしれません。反対に手数料が低すぎる場合、契約締結後に手数料を上乗せされるおそれがあります。
必要以上の費用を取られないためにも手数料は事前に確認し、不明点があるときにはしっかりと確認することが肝心です。
参考)ファクタリングの手数料
2.償還請求権が契約に付与されている
償還請求権が契約に付与されている場合は、悪質業者の可能性があります。償還請求権とは、売掛先から売掛金を回収できなかったときに、利用者にお金の返還を求める権利のことです。
ファクタリングには本来、償還請求権はありません。売掛債権がファクタリング会社に譲渡された時点で、売掛金が未回収になるリスクは利用者からファクタリング会社に移るためです。そのため、倒産などにより売掛金の支払いが不可能になっても、利用者がファクタリング会社にお金を支払う必要はありません。
にもかかわらず、償還請求権がある契約を締結しようとする会社は、悪徳業者の可能性が高いと考えられます。
3.担保や保証人を求められる
契約時に担保や保証人を求められたときも、悪徳業者への注意が必要です。ファクタリング会社は、利用者に支払った資金を売掛金で回収します。そのため、ファクタリング会社にとって重要なのは、利用者ではなく売掛先の返済能力です。
また、先述のとおりファクタリングには償還請求権が付与されていないため、仮に売掛金の支払いが不能になったとしても、利用者が返済する必要はありません。
利用者に返済義務がないファクタリングの契約において、担保や保証人を求める業者は、悪質な可能性があることは覚えておきましょう。
4.分割での支払いを求められる
分割での支払いを求められたときも、悪質業者の可能性があります。
ファクタリングの中でも利用者とファクタリング業者で契約を結ぶ、「2社間ファクタリング」を利用する際は、必ず支払い方法を事前に確認しましょう。
2社間ファクタリングでは、利用者は債権をファクタリング業者に売却し、売却代金を受け取ります。その後、期日に売掛金を受け取った利用者は、ファクタリング会社に売掛金を支払います。
このとき、一括ではなく分割による支払いを求めてくる業者は、貸金業を営む悪徳業者の可能性が高いです。貸金業を営む業者の場合、そもそも契約自体がファクタリングを装った貸付の恐れがあることは覚えておきましょう。
5.給与ファクタリングを提供している
ファクタリング業者が給与ファクタリングを提供している場合は、十分な注意が必要です。
給与ファクタリングとは、給与の支払いを受ける権利を債権として売却し、お金を受け取る方法のことです。一見すると、ファクタリングとして大きな問題はないように見えるかもしれません。
しかし、金融庁は個人の給与を債権とするのは貸金業という見解を示しており、闇金業者の被害にある可能性があるとホームページ上で注意喚起を行っています。給与ファクタリングを勧められたときは、悪質業者を疑ったほうが良さそうです。
困ったときは専門家に相談
「契約後に法外な手数料を請求された」「返還請求をされた」などのトラブルで困ったときには、専門家に相談しましょう。ファクタリングのトラブルを相談できる窓口の一例は、以下のとおりです。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
- 消費者センター
- 警察
トラブルに巻き込まれたときには、落ち着いた対応が必要です。トラブルに直面したときに慌てずにすむよう、少しでも不安を感じたときは、事前に相談窓口を確認しておきましょう。
安全性が高いファクタリング会社の特徴
安全性が高いファクタリング会社の特徴には、以下が挙げられます。
- 十分な取引実績がある
- 手数料が妥当である
- 運営元の情報が開示されている
悪質業者の特徴と併せて安全性が高いファクタリング会社の特徴も押さえることで、より安全なファクタリング会社選びを実現しましょう。
十分な取引実績がある
安全性が高いファクタリング会社の特徴の1つ目は、十分な取引実績があることです。取引実績がある会社は、それだけ多くの利用者に支持されていると考えられるため、安心して取引ができるでしょう。
一部のファクタリング会社は、取引実績をホームページに掲載しているため、ぜひ事前に確認してください。実績と併せて、利用者の評判も確認するとより安心して取引を進められます。
手数料が妥当である
安全性が高いファクタリング会社を見極めるには、手数料が妥当であることも重要です。
ファクタリングの手数料の目安は、以下のとおりです。
ファクタリングの種類 | 手数料の目安 |
2社間ファクタリング | 10.0%~30.0%程度 |
3社間ファクタリング | 1.0%~9.0%程度 |
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社で契約を結ぶファクタリングです。売掛金は、利用者を通してファクタリング業者に支払われます。ファクタリング業者からすると、利用者が受け取った売掛金を支払わないリスクがあるため、3社間ファクタリングよりも目安は高めです。
3社間ファクタリングでは利用者とファクタリング会社、売掛先の3社で契約を結ぶため、売掛金は売掛先からファクタリング会社に直接支払われます。売掛金を受け取れなくなるリスクが2社間ファクタリングよりも低いことから、手数料の目安は低めです。
具体的な手数要はファクタリング会社によって異なるため一概にはいえませんが、ぜひ目安の1つとして押さえておきましょう。
運営元の情報が開示されている
運営元の情報開示も、ファクタリング会社の安全性をはかるうえで重要です。確認するべき主なポイントには、以下が挙げられます。
- 会社名
- 所在地
- 設立年
- 資本金
多くのファクタリング会社は、これらの情報をホームページ上で開示しています。取引を希望するファクタリング会社が見つかったら、まずは運営元の基本情報をチェックしましょう。
安全性が高いファクタリング会社4社を紹介
ここでは、安全性が高いファクタリング会社の中から代表的な会社を紹介します。
- PMG(ピーエムジー)
- 日本中小企業金融サポート機構
- ビートレーディング
- ベストファクター
それぞれの特徴を確認し、自社に合ったファクタリング会社を選びましょう。より多くの安全性が高いファクタリング会社を比較したい方は「ファクタリング会社おすすめ比較10選」の記事を参考にしてみてください。
PMG(ピーエムジー)
項目 | 詳細 |
会社名 | ピーエムジー株式会社 |
所在地 | 東京都新宿区西新宿 2丁目4番1号 新宿NSビル25階 |
設立年 | 2015年 |
資本金 | 1億円 |
手数料 | 1.0%~ |
買取下限額 | 50万円 |
買取上限額 | 2億円(2億円超は応相談) |
個人事業主の利用 | 可能 |
入金までの最短時間 | 2時間 |
PMGは大手ファクタリング会社で、2024年10月9日時点で、買取総額が1,840億円にのぼっており業界大手として十分な実績をほこっています(年間契約数7,800件以上)。
2社間と3社間の両方で、最短2時間で売掛金を資金化してくれます。2社間ファクタリングであれば、売掛先に知られずにファクタリングを利用でき、スピーディーに資金調達できます。
また、診療報酬、調剤報酬、介護報酬債権の買取(医療ファクタリング)にも対応しています。
日本中小企業金融サポート機構
項目 | 詳細 |
会社名 | 一般社団法人 日本中小企業金融サポート機構 |
所在地 | 東京都港区芝大門1-2-18-2F |
設立年 | 2017年 |
資本金 | 掲載なし |
手数料 | 1.5%~ |
買取下限額 | なし |
買取上限額 | なし |
個人事業主の利用 | 可能 |
入金までの最短時間 | 3時間 |
日本中小企業金融サポート機構は、多くの実績があるファクタリング会社です。2024年には取引社数5,060社、支援額117億円を達成しました。
日本中小企業金融サポート機構の特徴は、利用の条件が少ないことです。法人はもちろん、個人事業主も利用可能です。
そのほか、赤字や税金の滞納がある方でも利用できます。買取の上下限額もないため、まずは少額からファクタリングを利用したい方にも向いている会社といえるでしょう。
ビートレーディング
項目 | 詳細 |
会社名 | 株式会社ビートレーディング |
所在地 | 東京都港区芝大門一丁目2-18 野依ビル3階・4階 |
設立年 | 2012年 |
資本金 | 7,000万円 |
手数料 | 2%~ |
買取下限額 | なし |
買取上限額 | なし |
個人事業主の利用 | 可能 |
入金までの最短時間 | 2時間 |
ビートレーディングは、オンラインを活用したスピーディーな資金調達ができるファクタリング会社です。提出書類は、売掛債権に関する書類と通帳コピーの2点のみで、最短2時間で入金されます。緊急で現金が必要になったときのも、使いやすいファクタリング会社といえるでしょう。
ビートレーディングも、個人事業主の利用が可能です。また、赤字や税金の滞納がある企業でも利用できます。
ベストファクター
項目 | 詳細 |
会社名 | 株式会社アレシア |
所在地 | 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー24階 |
設立年 | 2017年 |
資本金 | 7,000万円 |
手数料 | 2%~ |
買取下限額 | 30万円 |
買取上限額 | 原則、売掛1社につき1億円 |
個人事業主の利用 | 可能 |
入金までの最短時間 | 1時間 |
ベストファクターは、中小企業を中心にファクタリングサービスを提供している会社です。幅広い業種の債権に対応していますが、中でも建設業や物流業との取引実績を多く持っています。
ベストファクターでは、手数料の目安がわかる簡易診断シミュレーターを用意しています。シミュレーターで債権額や売掛先の規模など7つの質問に答えるだけで、30秒で買取手数料の診断が可能です。あらかじめ手数料の目安を知れることで、安心して取引を進められるでしょう。
ファクタリング以外の資金調達方法も押さえておこう
最後に、ファクタリング以外の以下の資金調達方法を解説します。
- 金融機関からの融資
- 補助金や助成金の活用
- 固定資産の売却
ファクタリングの利用以外の資金調達方法を押さえておけば、選択肢が広がります。自社の資金繰りや資金計画と照らし合わせて、ぜひ最適なものを選んでください。
金融機関からの融資
資金調達方法の1つ目は、金融機関からの融資です。融資を申し込み、審査に通れば資金調達ができます。
金融機関の融資を利用するメリットは、融資額に決まりがない点です。ファクタリングでは、売掛債権の額面金額までしか資金調達ができません。一方、融資であれば、必要な額の申込が可能です。
デメリットは、自社の審査がある点です。融資を受けるには、金融機関が実施する審査に通る必要があります。自社の財務状況や信用力によっては、審査に通らず資金調達ができない可能性があることは覚えておきましょう。
また融資で得た資金は、返済が必要です。融資を利用する際は、借入後の返済プランもしっかりと立てておくことが重要です。
補助金や助成金の活用
資金調達方法の2つ目は、補助金や助成金が挙げられます。補助金や助成金は、事業者の取り組みをサポートするために、国や自治体が資金の一部を援助するものです。
補助金や助成金のメリットは、返済不要な資金調達ができることです。募集要項に該当しており条件をクリアすれば、事業に必要な資金援助を受けられます。
デメリットは、資金調達までに時間がかかる点です。入金までにかかる時間は補助金や助成金によって異なりますが、ほとんどが後払いのため、一時的に使用する資金を用意しておく必要があります。
補助金や助成金を活用する際は、支払いが実施されるまでの資金繰りを考えておくことが重要です。
固定資産の売却
資金調達方法の3つ目は、固定資産の売却です。土地や建物などの固定資産を保有しているのであれば、それらの売却することで資金調達課できます。
固定資産の売却で資金調達をするメリットは、返済不要なまとまった資金を得られる点です。不要な固定資産を売却すれば、固定資産税の削減もできます。
デメリットは、固定資産が売れなければ資金が手に入らない点です。売却を希望する固定資産に買い手が付かないときは、資金調達はできません。
固定資産の売却による資金調達を希望する際は、スケジュールに余裕を持って手続きを進めることが肝心です。
ファクタリング違法まとめ
危険なイメージを持たれることも多いファクタリングですが、民法が債権譲渡を認めていることから、違法ではありません。
ただし、免許や許可がいらないことや、法規制が整っていないことから、悪質な業者も存在します。悪質業者に騙されないためには、手数料や償還請求権の有無、担保の要不要などを事前にしっかりと確認することが重要です。
安全性が高いファクタリング会社を選ぶには、実績や手数料、運営元の情報などを確認しましょう。信頼できるファクタリング会社を選べば、安全でスムーズな債権の現金化を実現できます。
なお、資金調達方法には、ファクタリング以外にも金融機関による融資や補助金、固定資産の売却などがあります。資金繰りや資金計画を考慮し、自社に合ったものを選びましょう。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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