即日で資金調達できる?法人・個人事業主が事業資金を集めための手段を比較
更新日:2025年04月11日

即日で資金調達するための手段として、ビジネスローンやファクタリングの利用が挙げられます。ただし、利用にあたっては業者を見極めなければならないことや、金利・手数料が高くなる可能性があることに注意が必要です。本記事では、法人や個人事業主が即日で事業資金を調達するための7つの手段を比較します。
目次
そもそも即日で資金調達できる?
事業資金でも、即日または急ぎで資金調達できる場合があります。ただし、種類によっては即日調達が難しいため注意しましょう。
資金調達には、大きく分けると以下の3種類があります。
- デットファイナンス
- エクイティファイナンス
- アセットファイナンス
デットファイナンスとは、銀行から事業性融資を受けたり、ビジネスローンを利用したりすることです。資金調達することで元本返済の義務が生じることや、利息が発生することが特徴として挙げられます。
エクイティファイナンスとは、投資家やベンチャーキャピタルなどから出資を受けることです。返済の義務が生じない分、資金調達後に経営の自由度が低下する可能性がある点が特徴として挙げられます。
アセットファイナンスとは、ファクタリングやリースバックのように保有している資産を現金化することです。返済の必要がない分、保有する資産によって調達できる金額が変わる点が特徴として挙げられます。
たとえば、デットファイナンスのうち、銀行からの融資は審査に一定の時間がかかるため、即日や急ぎの資金調達には向かないでしょう。一方、アセットファイナンスのファクタリングは、状況によって即日で資金調達が可能です。
参考)ファクタリングとは
法人・個人事業主が即日資金調達しなければならない場面
法人や個人事業主は、以下の状況にもかかわらず手元に十分な資金がない場合に、即日資金調達しなければなりません。
- 納税の期日が到来する
- 買掛金の支払期日を迎える
- 人件費の支払日(給料日)が近づいている
法人税や所得税などを延滞すると、延滞税や重加算税などのペナルティが発生します。滞納期間が長引くと、強制執行されるケースもあるでしょう。
また、買掛金や人件費を支払えないと、取引先や従業員からの信頼を失います。未払いが続くと、訴えられる場合もあるでしょう。
このような事態に陥り、会社の経営が揺らぐことを回避するには、あらかじめスケジュールを管理しておくことが大切です。ただし、スケジュール管理を徹底していても、販売先からの入金が遅れることで急遽に資金調達しなければならなくなることはあります。
そこで、ここから即日もしくは急ぎで資金調達するための6つの方法を確認していきましょう。
即日・急ぎの資金調達方法1:ビジネスローン
ビジネスローンの種類によっては、即日で資金調達できる場合があります。
ビジネスローンとは、法人や個人事業主が事業資金が必要なときに利用できるローンのことです。主に以下の事業者がビジネスローンのサービスを提供しています。
- 銀行
- クレジットカード会社
- 信販会社
- 消費者金融
ビジネスローンの返済方法は、一定の期間内で毎月返済していくことが一般的です。
ここから、ビジネスローンのメリットやデメリットを解説します。
ビジネスローンのメリット
一般的に、審査から融資までのスピードが早い点が、ビジネスローンを利用するメリットです。ノンバンク(信販会社や消費者金融など)が提供するビジネスローンの場合、即日で融資を受けられることがあります。
また、審査結果によって決められた限度額の範囲内であれば、何度でも利用できる点もメリットです。そのため、審査から融資までに一定の期間を要する銀行のビジネスローンを利用する場合でも、すでに申し込みが完了しており、限度額が残っているのであれば、即日で資金を調達できます。
さらに、総量規制の対象外であることも、ビジネスローンを利用するメリットです。総量規制とは、過度な借入れを防ぐために、年収などをもとに定められた基準の3分の1を超える貸付けが原則として禁じられていることを指します。
ビジネスローンは総量規制の対象外のため、審査結果次第では多額の資金を調達可能です。
参考)日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンを利用するデメリットは、銀行で通常の融資を受ける場合に比べて金利が高い傾向にある点です。そのため、長期間にわたって借りると利息負担が重くのしかかり、資金繰りがさらに悪化する可能性があります。
また、銀行で融資を受ける場合に比べると、借りられる金額が限られている点もデメリットです。そのため、数千万単位の設備資金などを必要としている場合には、向きません。
さらに、事業の状況によっては、審査に時間がかかったり、利用できなかったりする点にも注意が必要です。そのほか、ビジネスローンを借りていることで、通常の融資を受けられない事業者と見られる可能性がある点もデメリットとして挙げられます。
即日・急ぎの資金調達方法2:カードローン
法人の代表者や個人事業主の本人がカードローンを作成したり、クレジットカード会社のキャッシングを利用したりして、即日で資金調達する方法もあります。
カードローンとは、銀行や消費者金融などが提供している個人向け融資のことです。近年は、カードを発行せず、インターネット上で借入れや返済をできる場合もあります。
また、キャッシングとはクレジットカードを使って買い物ができる「ショッピング枠」とは別に、現金を借りられる「キャッシング枠」を利用することです。カードローンとキャッシングは、何度でも利用可能な点で共通しています。
ここから、カードローンやキャッシングを利用するメリットやデメリットを確認していきましょう。
カードローンのメリット
カードローンを利用するメリットは、審査がスピーディーな点です。また、ビジネスローンと同様に、一度作っておけば限度額の範囲内で何度も利用できます。
一般的に、時間や場所を問わず借入れしたり、返済したりできる点もメリットです。商品によっては、コンビニのATMやインターネットを使って手軽に利用できることもあります。
そのほか、無担保・無保証で利用できる点も、カードローンのメリットです。
カードローンのデメリット
カードローンを利用するデメリットとして、借りたお金を事業関連に使えない点が挙げられます。
カードローンの資金使途が「自由」でも、事業資金は対象から除かれることが一般的です。そのため、カードローンを使って資金調達するのは、事業が不調で生活に困った際に自分の生活資金に充てるケースなどに限られます。事業資金を調達する場合は、資金使途として「事業への利用」が認められている商品を選びましょう。
また、消費者金融のカードローンや、クレジット会社のキャッシングなどを利用する場合は総量規制の対象であるため、借りられる金額が限られる点がデメリットです。銀行のカードローンは総量規制の対象外ですが、審査結果次第で少額しか借りられない場合があります。
そのほか、金利が高いこともカードローンのデメリットです。
即日・急ぎの資金調達方法3:ファクタリング
商品やサービスを取引先に提供したことにより売掛債権を保有している場合は、ファクタリングを活用して急ぎで資金を調達する方法もあります。
ファクタリングとは、保有する売掛債権を事業者に売却することで現金化する手法です。仕組みによって、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分類できます。
2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングとは、以下の仕組みの手法です。
- 取引先に商品やサービスを提供し、売掛債権(売掛金など)が発生する
- 売掛債権をファクタリングの事業者に売却する
- ファクタリング事業者から売却代金を受け取る(現金化する)
- 取引先から売掛債権の代金を受け取る
- 回収した売掛債権の代金をファクタリング事業者に支払う
3社間ファクタリングとは
一方、3社間ファクタリングは以下の流れで進められます。
- 取引先に商品やサービスを提供し、売掛債権が発生する
- 取引先に売掛債権をファクタリングに利用することの承諾を得る
- ファクタリング事業者とファクタリング契約を結ぶ
- ファクタリング事業者から売却代金を受け取る(現金化する)
- ファクタリング事業者が取引先に対してファクタリングの利用を通知する
- 取引先がファクタリング事業者に対して売掛金を支払う
2社間ファクタリングでは取引先が利用者に対して代金を支払うのに対し、3社間ファクタリングでは取引先からファクタリング事業者に直接支払う点が主な違いです。また、3社間ファクタリングを利用するには、取引先の承諾を得なければなりません。
ここから、即日・急ぎの資金調達方法としてファクタリングを利用するメリットとデメリットを解説します。
ファクタリングのメリット
ファクタリングを利用することのメリットは、すぐに資金調達できる点です。2社間ファクタリングを利用する場合は、事業者によって即日で資金調達できる場合もあります。
売掛債権をファクタリング事業者に売却してから取引先が支払不能に陥っても、基本的に利用者は責任を負わない点もメリットです。ただし、リコース契約を締結している場合(リコースファクタリングの場合)には、事業者から弁済請求されることがあります。リコースファクタリングの契約は、債権譲渡契約ではなく、金銭消費貸借契約(つまり融資)であるという過去の判例があり、締結できるのは貸金業登録をしている業者のみです。一般的なファクタリングはノンリコースファクタリングのため、ノンリコースファクタリングの契約は締結しないように注意しましょう。
ファクタリングのデメリット
一般的に、手数料が高い点がファクタリングを利用するデメリットです。
また、3社間ファクタリングは手続きに時間がかかるため、即日・急ぎでの資金調達には向きません。一方、2社間ファクタリングはスムーズに利用できる分、審査が厳しかったり、手数料がより高めに設定されていたりすることがあります。
さらに、ファクタリングをうたう事業者のなかには、悪徳業者が一定数存在する点もデメリットです。金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けをするヤミ金融業者の存在を指摘し、注意喚起しています。
悪徳業者の具体例は、ファクタリング事業者から受け取る額が債権額に比べて著しく低い、貸金業の登録をしていないにもかかわらずリコース契約(対象債権を集金できない場合に利用者が債権を買い戻さなければならない)の締結を促すなどです。
即日・急ぎの資金調達方法4:手形割引
取引先から受け取った手形がある場合は、手形割引を利用してすぐに資金調達する方法もあります。
手形割引とは、取引先から受け取った手形を銀行や手形割引の業者に譲渡して現金化する手法です。基本的に、約束手形は支払期日まで現金化できません。しかし、手形割引を利用することにより期日前に現金を受け取れます。
手形割引を利用する際の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 銀行などの金融機関に手形割引を申し込む
- 取引先から受け取った約束手形を手形割引を利用する金融機関に提出する
- 金融機関と決めた日に、割引料を引いた額が口座に振り込まれる
ここから、手形割引のメリットとデメリットを解説します。
手形割引のメリット
資金繰りを改善できる点が、手形割引を利用するメリットです。本来、数か月後でなければ現金化にならない約束手形を持っている場合でも、手形割引を利用すれば数日後に現金化できます。
さらに、銀行の融資を受けられない事業者でも手形割引なら利用できる場合がある点もメリットです。一般の融資と異なり、手形割引の審査では申込人だけでなく約束手形を振り出した事業者の信用力が考慮されます。そのため、約束手形を振り出す企業の信用が高いほど、手形割引を利用できる可能性が高まるでしょう。
手形割引のデメリット
手形割引を利用する際に、割引料が発生する点がデメリットです。割引料は融資の金利よりも高めに設定されている場合があります。
また、手形の買い戻しリスクがある点もデメリットです。買い戻しリスクとは、取引先が振り出した約束手形の代金が支払われない(不渡り)場合に、申込人が現金で買い戻さなければならないことを指します。
手形割引を利用して速やかに資金調達できたとしても、取引先が支払不能に陥るとその分の現金を金融機関に支払う必要があるため、資金繰りが再び悪化することになりかねません。そのため、資金調達してからも、約束手形の支払期日を迎えるまでは安心できないでしょう。
さらに、今後約束手形自体が廃止になる可能性がある点にも注意しなければなりません。約束手形による支払いは現金が手元に入るまでの期間が長いこと、支払期限前に現金化する際の割引料が高いことを考慮し、政府は2026年の約束手形の利用廃止に向けた取り組みを実施しています。約束手形自体の廃止に伴い、手形割引の仕組みもなくなるでしょう。
なお、政府は約束手形の代わりに現金支払いやインターネットバンキングによる銀行振込、電子記録債債権(でんさい)による支払いなどを発注者側企業に対して促しています。
即日・急ぎの資金調達方法5:知人からの借入
即日・急ぎで資金調達しなければならない場合に、知人や家族・親戚から借りる場合もあります。
知人などから借りる場合も、借用書や金銭消費貸借契約証書を作成することが大切です。契約書を作成しておくことで、利息や返済期日などについて双方の認識にズレが生じるリスクを軽減できます。また、借金であるのにもかかわらず、税務署から贈与とみなされて贈与税をかけられることも防げるでしょう。
借用書に記入する主な項目は、以下のとおりです。
- 契約日
- 貸主の氏名
- 金額
- 利息や延滞損害金
- 返済期日
- 返済方法
- 借主の住所・氏名
また、第一号文書に該当するため、契約書に記載する金額が1万円以上の場合は金額に応じた印紙を貼り付けなければなりません。
ここから、知人や家族・親戚から借りる場合のメリットとデメリットを解説します。
参考)国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
知人から借りるメリット
金融機関から借りる場合と比べると、資金調達の手間がかからない点がメリットです。
一般的に、銀行から融資を受ける場合は、決算書・試算表・印鑑証明書などの必要書類を用意したうえで相談・申し込みをし、審査で承認を得たあとに複数の契約書を締結しなければなりません。一方、知人などから借りる場合は、話し合いさえまとまれば基本的に必要書類を用意しなくても契約書を取り交わすだけでスムーズに資金を調達できます。
また、交渉次第で金利や返済期間の融通が利く点もメリットです。低金利で長めの返済期間で事業資金を調達できれば、資金繰りの安定化につながります。
知人から借りるデメリット
知人や家族・親戚から借りようとすると、関係が悪化する可能性がある点がデメリットです。
しつこく頼み込むと、相手に悪い印象を与えかねません。相手が借金の申し出を断らざるを得ない場合に、気まずい思いをさせることもあるでしょう。
また、相手が快く応じた場合でも、返済期日を守られないと今まで良好な関係が崩れてしまいます。滞納が続く場合、金額によっては法的措置を取られることもあるでしょう。
知人や家族・親戚から借りる場合は、誠実な対応を取らないと大切な相手との関係が崩れてしまう可能性があることをあらかじめ理解しておかなければなりません。
即日・急ぎの資金調達方法6:定期預金・保険の解約
会社や個人事業主で開設している定期預金がある場合や保険を契約している場合は、解約して資金を調達する方法もあります。
法人として契約する生命保険の種類は、定期保険・終身保険・養老保険・変額保険・がん保険・医療保険などです。また、火災保険などの損害保険に契約している場合もあります。
ここから、資金調達のために定期預金や保険契約を解約するメリットとデメリットを確認していきましょう。
定期預金・保険解約のメリット
貸借対照表上の負債が増えない点が、定期預金や保険を解約して資金調達することのメリットです。一方、融資を受けたりローンを利用したりする場合は、借りた分負債が増加します。
また、自分の資産を切り崩すだけのため、返済負担が重くならない点もメリットです。そのため、直接資金繰りにも影響を及ぼさないでしょう。
さらに、営業日であれば銀行を訪問して手続きすることで、満期前でもすぐに資金調達できる点も定期預金を解約することのメリットです。ただし、保険を解約する場合は、解約返戻金が入金されるまでに1週間前後の期間を要します。
定期預金・保険解約のデメリット
本来得られるはずの利益や恩恵を得られなくなることが、定期預金や保険を解約することのデメリットです。
まず、各定期預金には満期日が設定されており、満期日前に解約すると期日前解約利率が適用されます。そのため、即日・急ぎの資金調達のために定期預金を途中で解約すると、本来得られるはずだった利率よりも低い金利が適用されてしまうでしょう。
保険を解約する場合も、途中で解約すると本来得られる金額よりも少なくなります。場合によっては今まで払ってきた額(元本)を下回ることもあるでしょう。
また、そもそも定期預金への預け入れや保険の契約をしていなければ、資金繰りに困った場合でも解約して資金調達できません。さらに、節税目的で加入していた場合に節税効果を得られなくなること、万が一のリスクに備えられなくなることなども保険解約のデメリットです。
即日・急ぎの資金調達方法7:請求書カード払い
請求書カード払いとは、取引先への支払いを先延ばしにするサービスです。受け取った請求書を手元のクレジットカードで決済できるようになり、カードの引落日まで現金の流出を先延ばしにできます。短期的な資金調達のひとつの手段として、中小企業や個人事業主の間で利用が広まってきています。
以降で、請求書カード払いのメリットとデメリットを簡単に解説します。
請求書カード払いのメリット
請求書カード払いの最大のメリットは、面倒な書類審査や手続きがなく最短即日で利用できる点です。急ぎの資金調達に向いていると言えます。
請求書カード払いでは、取引先への支払いを先延ばしにできます。その期間は、請求書カード払いのサービスによって異なりますが、最大40日から60日間ほどです。短期的な運転資金の確保に向いています。
請求書カード払いサービスを利用したときには、決済手数料が発生します。この手数料の相場は3.0~4.0%ほどですが、カード決済のポイントやマイル交換によって、手数料負担を軽減できます。
請求書カード払いのデメリット
請求書カード払いの最大の短所は、カード限度額までの利用に限られる点です。ビジネスカードでも個人のカードでも利用できますが、利用限度額を超えての決済はできません。枠が少ないと少額の資金調達でしか利用できないのがデメリットです。
即日・急ぎで資金調達する際の注意点
即日もしくは急ぎで資金調達する際には、以下の点に注意しましょう。
- 業者を見極めなければならない
- 即日調達できるとは限らない
- 土日・夜間だと即日対応が難しいことがある
- 金利・手数料が高くなる可能性がある
各注意点を解説します。
業者を見極めなければならない
急いでいるときこそ、資金調達に利用する業者を見極めましょう。お金に困って資金調達を試みたのにもかかわらず、悪質な業者に出くわすとさらに資金繰りが悪化する可能性があります。
先ほど紹介したファクタリング以外にも、SNSを通じた個人間融資や後払い(ツケ払い)現金化などに悪質な業者が潜んでいることがあるでしょう。また、融資の約束をしてから事業者に保証金などの名目で入金を促したにもかかわらず、融資自体は実行しない(融資保証金詐欺)というケースもあります。
そもそも、貸金業登録を受けずに業として貸付けすることは「ヤミ金融」です。借入れの際は、必ず相手が財務局長か都道府県知事の登録を受けているのかを確認しましょう。
即日調達できるとは限らない
即日調達できるとは限らないことも、あらかじめ理解しておきましょう。
資金調達手段は同じでも、業者によって申し込みから入金までの日数が異なります。また、提出した書類に不備があると、再度書類を準備したり手続きしたりする必要が生じるため、より時間がかかるでしょう。
あとから即日調達できないことに気づいて慌てることがないように、さまざまなプランを検討しておくことが大切です。
土日・夜間だと即日対応が難しいことがある
土日・夜間だと、即日の対応が難しいことがある点も理解しておかなければなりません。
ファクタリングやビジネスローンなどで、「即日」資金調達できることをアピールしている事業者は一定数います。しかし、平日しか営業していない場合、土日にオンラインの申し込み自体はできても、審査・対応してもらえるのは月曜日以降になるでしょう。また、申し込んだ時間が夜間で営業時間外の場合も、対応してもらえるのは翌営業日になることが一般的です。
金利・手数料が高くなる可能性がある
即日・急ぎの資金調達では、金利や手数料が高くなる可能性がある点も注意が必要です。
一般的に、短期間での資金調達ほど金利や手数料は高くなる傾向にあります。なぜなら、事業者が審査に時間をかけられない分、リスクを考慮しているためです。
金利や手数料が高いほど、のちに資金繰りが悪化する要因になることを理解したうえで、本当にすぐ資金調達しなければならないのか判断しましょう。
慌てて資金調達しなくても済むようにするコツ
資金繰りの悪化が進むと会社の経営に支障をきたしかねないため、慌てて資金調達しなくても済むように準備しましょう。主なポイントは、以下のとおりです。
- 資金繰り悪化の前に資金調達しておく
- 補助金や助成金を探す
- キャッシュフローを管理する
- 経費を削減する
- 仕入先や販売先と交渉する
- M&Aを活用する
ここから、それぞれのコツについて解説します。
資金繰り悪化の前に資金調達しておく
資金繰りが悪化する前から資金調達して余裕資金を確保しておけば、金策に走る必要がありません。即日もしくは急ぎでの対応を望まなければ、紹介した6つ以外に以下の方法でも資金調達できます。
- 銀行から借入れする
- 出資を受ける
- ABLを利用する
それぞれの概要やメリット・デメリットを説明します。
銀行から借入れする
一般的に、銀行から借入れする際は、プロパー融資を受ける方法と信用保証付き融資を受ける方法があります。
プロパー融資とは、銀行が単独で申込人と取引する融資です。それに対し、信用保証付き融資は、信用保証協会が保証する融資を指します。
銀行からプロパー融資を受けて資金調達する場合のメリットは、保証料が発生しない点です。一方、信用保証付き融資はプロパー融資を受けられない事業者でも借りられる可能性があります。
出資を受ける
一般的に、出資を受けるとは投資家などに株式を新たに発行し、資金の援助を受けることを指します。
出資を受けることのメリットは、利息がかからないことや返済が不要であることです。また、基本的に自由に使える点や投資家からのアドバイスやノウハウを得られる点もメリットとして挙げられます。
一方、株式を発行することで変動した議決権割合によっては、経営に関与される可能性がある点がデメリットです。また、利益を出した場合に配当金の支払いを求められます。
ABLを利用する
売掛債権担保融資(ABL)とは、保有する売掛債権(売掛金や受取手形)などの流動資産を担保とすることにより、融資を受ける手法を指します。
ABLを利用することにより、不動産を所有していない人でも担保を活用した融資を受けられる点がメリットです。一方で、手続きに時間や手間がかかること、十分な金額を借りられない可能性があることなどがデメリットとして挙げられます。
補助金や助成金を探す
慌てて資金調達しなくて済むように、利用できる補助金や助成金を探しておきましょう。
補助金や助成金は、国や地方公共団体などから支給される資金のことです。必要書類を提出して審査に通過すれば、返済不要で資金を得られます。ただし、手続きには時間がかかるうえ、必ず受給できるとは限らないため、余裕を持って進めることが大切です。
キャッシュフローを管理する
突然、資金不足に陥って慌てることがないようにするため、日頃からキャッシュフローの管理を徹底しましょう。
キャッシュフローとは、事業者に入ってくるお金(キャッシュイン)から出ていくお金(キャッシュアウト)を引いたものです。キャッシュフローを管理し予測することで、現金が不足しそうな時期や金額をあらかじめ把握できます。
事前に資金不足に陥ることがわかっていれば、対策を取りやすいでしょう。
経費を削減する
経費を削減することで、慌てて資金調達しなくて済むようになる場合もあります。なぜなら、余計な支出が減り、手元の資金に余裕が出るためです。
まず、利用しているサービスに無駄がないか確認しましょう。不要なサブスクリプションを解約することにより、毎月の固定費を削減できます。また、業務の効率化を目指すことにより、人件費などの削減につながることもあるでしょう。
仕入先や販売先と交渉する
仕入先や販売先と買掛金・売掛金の回転期間について交渉することも重要です。
たとえば、仕入先に買掛金を支払うまでの期間を長くしてもらえれば、その分資金繰りが安定します。また、販売先に今までより売掛金を入金するまでの期間を短くしてもらうことでも、資金繰りは安定するでしょう。
なお、買掛金や売掛金の回転期間は、それぞれを売上高で割ることによって求められます。
M&Aを活用する
資金不足が原因で経営が悪化して事業の継続が困難な状況に陥る前に、M&Aを活用する方法もあります。「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」を略したM&Aは、複数の会社がひとつになったり、一方の会社が他方の会社を買ったりすることです。
たとえば、M&Aの事業譲渡を用いれば、一部の事業を売却して得た資金を本業の運営に充てられるでしょう。また、株式譲渡を用いて資金力のある会社に自社を買い取ってもらえば、従業員の雇用を守りつつ事業も存続させられる可能性があります。
即日の資金調達のまとめ
即日もしくは急ぎで資金調達するための方法は、ビジネスローンを利用する、ファクタリングを利用する、定期預金や保険を解約するなどです。ただし、慌てて資金調達しようとすると、高い金利や手数料がかかったり、本来得られるはずの利益を得られなかったりする点に注意しなければなりません。
そこで、資金難に陥る前に余裕を持って銀行から融資を受けるなどして資金調達しておくことが大切です。キャッシュフローの管理を徹底し、即日もしくは急ぎで資金調達に動く必要がないよう準備しておきましょう。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社フリーウェイジャパン |
法人番号 | 1011101045361 |
事業内容 |
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本社所在地 | 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階 |
所属団体 | 一般社団法人Fintech協会 |
顧問弁護士 | AZX総合法律事務所 |