クラウドファンディングとは?種類や始め方を簡単に解説

更新日:2024年04月23日

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多くの人から少額の資金を集めるシステムであり、特定のプロジェクトやアイデアに対し、資金を得るための有効な手段として関心が高まっています。

本記事では、クラウドファンディングの種類やメリット・デメリット、始め方について詳しく解説します。

目次

クラウドファンディングとは?歴史と仕組み

クラウドファンディングは、地域の課題解決や新製品のプロモーション、市場調査などの手段として利用可能な資金集めのための仕組みです。クラウドファンディングでは、プロジェクトに賛同する個人や企業が、オンライン上で資金を提供することにより、その取り組みへの支援を可能にします。

ここでは、クラウドファンディングの普及にいたる歴史や仕組みについて解説します。

クラウドファンディングの歴史

クラウドファンディングは、米国で2000年代に始まり、その後インターネットの普及とともにサービスが広がり、資金調達の手段として浸透していきました。日本では、2011年の東日本大震災をきっかけに、復興を支援するための寄付型クラウドファンディングが普及しました。その後、さまざまなクラウドファンディングサイトが登場しています。

クラウドファンディングという言葉は新しいものですが、多くの人々から資金を集めてプロジェクトを実現するというコンセプトは、以前から根付いています。たとえば、海外ではアート作品のための資金調達がなされてきており、日本では寺や仏像の建設や修復のために、一般の人々からの寄付を募る「勧進」という仕組みがありました。

参考)資金調達とは

クラウドファンディングの仕組み

クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人々から資金を集める手法で、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。創造的なアイデアや社会的課題の解決策を有する人が、プロジェクトの実行者として自らの計画を提示し、その提案に賛同する人々が資金を提供することによって、支援者としてプロジェクトに参画できます。

このように、クラウドファンディングは実行者と支援者双方にとって利用しやすく、新たなプロジェクトやサービスの提供を可能にする資金調達の手段です。 また、目的などに応じ複数の種類を選択できることも特徴の一つです。

クラウドファンディングの種類とメリット・デメリット

クラウドファンディングの種類は、主に次の6つです。

  • 購入型クラウドファンディング
  • 寄付型クラウドファンディング
  • 株式投資型クラウドファンディング
  • 融資型クラウドファンディング
  • 不動産投資型クラウドファンディング
  • ふるさと納税型クラウドファンディング

ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説します。

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングは、提案されたプロジェクトへ金銭的支援をし、見返りとして物品やサービスを受け取る資金集めの手法です。購入型では、支援者は実行者が提供するリターンを実質的に「購入」することでプロジェクトを支援しますが、金銭的な報酬はありません。購入型の資金調達方法には主に2つのモデルがあります。

「All-or-Nothing型」では、設定された目標金額が募集期間内に達成されなければプロジェクトは不成立になります。すなわち、目標金額の達成がプロジェクト実行の前提条件である場合に適しています。

「All-In型」では、目標金額に到達しなくても、少なくとも一人の支援者が現れればプロジェクトが成立します。プロジェクトの実施を事前に確約する必要があるため、場合によっては利用できないこともあります。

メリット

購入型クラウドファンディングのメリットは、主に次の3点です。

  • 低リスクでの出品が可能である
  • 自社製品のファンを増やせる
  • テストマーケティングの手段として利用できる

購入型は、低リスクで出品できます。在庫を持たずに出品できることは、リスクを減らす上での重要な要素になりえます。また、クラウドファンディングは成功報酬システムのため、基本的に掲載に費用がかからないのも魅力の一つです。

購入型は、製品やサービスの事前宣伝の場として利用でき、新しいアイデアや製品を求めている人々が集まるプラットフォームです。これらのユーザーは単なる購入者ではなく、市場に出る前の革新的な製品やサービスを先取りしたいと考えています。

そのようなユーザーに対し効果的にアプローチできることは、購入型の大きな利点です。さらに、プロジェクトの背景や進行過程も評価されるため、支援者の共感を通じて長期的な関係を築けます。このことは、製品のファンを増やし、ブランドの確立に寄与することを意味します。

購入型は、企画段階の製品のテストマーケティングの手段としても利用可能です。予約販売を通じて開発前の製品を掲載し、一定額の資金が集まれば開発を進めるという方法をとれます。在庫を抱えるリスクなしに市場の反応を確認できるため、未実現のアイデアを検証するのに適した手段です。

デメリット

購入型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の3点です。

  • 資金調達に時間がかかってしまう
  • アイデアの盗用リスクがある
  • 炎上のリスクがある

購入型には、資金集めや審査プロセスの長期化が欠点として挙げられます。時間がかかる原因は、実行者の財務状況を慎重に評価し、約束されたリターンが提供できないリスクを最小限に抑えるために必要な手続きを踏むためです。しかし審査の時間が長くなると、市場に投入する前に同様の製品やサービスが登場し、ビジネスの機会を逸するリスクが生じます。

クラウドファンディングを利用する際には、オンラインで未実現のアイデアを公開してしまうため、他者によるアイデアの盗用というリスクが生じます。開発途中で他人によって特許が取得されてしまう事態を避けるためにも、アイデア保護の対策を事前に練ることが重要です。クラウドファンディングで情報を公開する前に特許申請することは、アイデアを守る上で効果的な方法の一つです。

クラウドファンディングで資金を集められたとしても、プロジェクトの実行が困難になり、結果的に失敗に終わる可能性があります。実行困難な状況であっても、支援者が投じた資金の返還は通常行われないため、炎上の可能性も無視できません。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは、支援者がプロジェクトに資金を寄付する形式の資金調達方法です。寄付型では、購入型とは異なり、原則として物理的な商品やサービスの提供はなく、手紙や写真のようなアイテムがリターンとして提供されることがあります。

寄付型クラウドファンディングの実施は、税制上の寄附金控除が適用される特定の団体に限定されており、支援者は寄付した金額に応じて税金の控除を受けられます。対象となるのは、国や自治体、公益社団法人などです。

メリット

寄付型クラウドファンディングのメリットは、主に次の2点です。

  • 寄付がしやすいこと
  • 実行者の金銭的負担が少ないこと

寄付型のクラウドファンディングを利用すれば、インターネットを通じて気に入ったプロジェクトを選ぶことにより、簡単に寄付ができます。関心のある分野や支援したい取り組みを見つけて、匿名で手軽に寄付できるのもメリットの一つです。

寄付型は、通常、支援者に対する具体的なリターンを提供しません。そのため、プロジェクトの実行者は、掲載料やリターンの準備に関連するコストを節約しながら、公共利益をもたらす取り組みに集中できます。この種のプロジェクトは、災害救助から社会問題への対応まで、幅広い目的に資金の割り当てが可能です。国内には寄付型の資金調達をサポートする複数のプラットフォームが存在します。

デメリット

寄付型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の2点です。

  • リターンがないこと
  • 求められる透明性

寄付に基づくクラウドファンディングの利点の一つは、支援者に対する具体的なリターンの提供が不要なため、プロジェクトの実行者にとって金銭的な負担が軽減される点です。しかし、これは同時に、支援者に対して市場で価値のある報酬を提供できないという事実でもあります。プロジェクト実行者は、その目標や資金の使用計画をはっきりと示し、人々の共感を呼び起こさなければ、必要な支援を得ることは困難です。

寄付型は、支援者に物理的なリターンを提供せず、プロジェクト目標と資金の使途に焦点が当てられます。支援者は、自らの貢献がプロジェクトにどのように影響しているかを気にかけているため、透明性のある報告と誠実な資金管理が重要です。不明瞭な報告や不適切な資金使用は問題を引き起こす可能性があります。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングは、実行者が法人です。支援者は資金を出資し、見返りとして企業の非公開株を取得します。株式投資型では、支援者が企業に資本を提供し、企業はその事業からの利益を収入として得ます。

株式投資型は、将来的な成長が見込まれるベンチャー企業や、上場や合併・買収の可能性がある企業の大幅な株価上昇を期待しつつ投資をしていくタイプのクラウドファンディングです。

メリット

株式投資型クラウドファンディングのメリットは、主に次の2点です。

  • 多様な非上場企業への投資が可能である
  • 経営権を不安定にさせることなく、資金を集められる

革新的な技術やサービスを提供する小規模ベンチャーや地域社会で活躍する中小企業、多くのファンを抱えるスポーツ関連企業など、多様な非上場企業への投資が可能です。

これらの企業が成長し上場する際には、株主として大きな利益獲得の可能性を秘めています。また、企業の成長を長期的に見守り応援することは、投資家にとっての大きな喜びにもなります。

個々の投資家が出資できる金額に上限が設けられていることにより、企業は経営権を不安定にさせることなく、資金を集められるのもメリットの一つです。

デメリット

株式投資型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の2点です。

  • 資金調達できる額は、年間で1億円未満である
  • ファンディング業者への手数料が発生する

企業が株式投資型クラウドファンディングを通じて資金を集める際、金融商品取引法の制約により資金調達できる額は、年間で1億円未満です。さらに一つの企業への投資は、1年間で最大50万円までと定められているため、小口株主が増えます。多数の小口株主を抱えることによる事務処理の増加は、デメリットの一つです。

またクラウドファンディングを利用するためには、ファンディング業者を仲介者として利用する必要があり、手数料が発生します。さらに、クラウドファンディング業者の審査を通過しなければなりません。審査を通過したとしても、目標金額が集まらなければプロジェクトは不成立となります。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、投資を希望する個人から小口の投資を募り、これをクラウドファンディングのプラットフォームがまとめて、大きな資金として企業に貸し出す方式です。融資型は単なる支援ではなく「融資」としての性格をもち、資金を提供した個人は利息という形で金銭的なリターンを受け取れます。この種類のクラウドファンディングは金融商品とみなされるため、運営事業者は貸金業法や金融商品取引法など法規制の対象です。

メリット

融資型クラウドファンディングのメリットは、主に次の3点です。

  • 新興企業でも資金を調達しやすい
  • 資金調達が早い
  • 借り手側の認知度が上がる

企業が融資を求める際の利点として、実績が浅い企業でも資金調達しやすいことが挙げられます。従来の金融機関では、売上高や取引の履歴、設立年数など多くの基準に基づいて融資が実行されるため、新しい企業が資金を得るのは困難です。

一方の融資型クラウドファンディングは、過去の成果よりも事業の将来性や返済能力が審査の主な焦点です。信頼できるビジネスプランがあれば、過去の実績にとらわれずに、新規事業やベンチャーも資金を集められます。

金融機関からの借り入れには、企業の詳細な審査や資金準備に時間が必要であり、迅速な資金調達は困難です。審査に時間を費やした挙句に融資が得られなかった場合、審査の期間が無為に終わってしまう可能性も否めません。

それに対して、融資型クラウドファンディングは審査が迅速であり、申し込みから資金を得るまで早いのが利点です。

また融資型は、企業の知名度を高めるためにも有効な手段といえます。融資型クラウドファンディングを利用することで、その企業の新しいサービスやビジネスの詳細を広く伝え、支持者を増やせるためです。融資型には、企業の製品やサービスを特典として提供するファンドも存在します。

デメリット

融資型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の3点です。

  • 金利負担が大きくなる
  • 資金が集まらない可能性もある
  • 貸し倒れのリスクが存在する

融資型クラウドファンディングを利用して資金を借りる際には、通常の銀行融資と比較して、より高い利率になる傾向があります。銀行が低利の預金を基に貸し出しするのに対し、融資型クラウドファンディングでは投資家に高めのリターンを提供する必要があるためです。

投資家にとっては、高リスクに見合う利益を求めるため、借り手には相応の利率が求められます。その結果、融資を受ける際の利息負担増加の可能性があります。借り入れをする前に返済プランを立てることが重要です。

とくに融資型の場合には、プロジェクトによっては資金を集められないリスクがあります。融資型では、リターンがプロジェクトの収益に基づいて支払われるため、投資家はプロジェクトの実現可能性や収益性、安全性を基に投資を検討しなければなりません。

資金を募るためには、まずクラウドファンディング事業者の審査を経て、インターネットを通じて広く個人投資家からの評価を得る必要があります。その後、投資家の判断による投資がなされますが、場合によっては目標額に達しないケースもあるでしょう。資金調達が成功しなかった場合のリスクも理解しておくことが重要です。

融資型において、市場の変動による投資元本の価値の変動はないものの、貸付先が返済不能に陥ることによる損失のリスクは存在します。たとえば資金を借りた企業が経営難に陥ったり、返済能力が低下したりした場合、投資家は貸し倒れにより投じた資金を回収できず、結果として損失を被ります。

参考)貸倒損失とは

不動産投資型クラウドファンディング

不動産投資型クラウドファンディングは、多くの投資家が共同で不動産事業に資金を提供する仕組みです。1口1万円と低く設定されており、運営会社が煩雑な手続きを代行するため、従来の不動産投資よりも手軽に始められます。

不動産投資型では、主に居住用のアパートやマンションが投資対象です。入居率に基づいた収益予測が可能で退去の際の計画も立てやすいため、比較的リスクの低い投資案件が多いとされています。

メリット

不動産投資型クラウドファンディングのメリットは、主に次の2点です。

  • 若い世代の投資家の呼び水となる
  • 地方物件への投資が可能となる

不動産投資型クラウドファンディングは、若い世代の投資家にとって手軽に始められる投資の一つです。最小1万円から投資できることから、若い世代による不動産投資への関心を促す制度として注目されています。

また不動産投資型は、地方物件への投資が可能となることにより新たな顧客層を開拓できるのがメリットです。銀行の融資が下りにくい地方物件の掘り起こしは、投資家にはリスクがあるものの高利回りのチャンスでもあり、不動産業界に新たな活気をもたらすものと期待が高まっています。

デメリット

不動産投資型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の2点です。

  • 換金性と流動性が低い
  • 元本割れのリスクがある

不動産投資型クラウドファンディングは、換金性と流動性が低く、すぐに現金化できないといったデメリットがあります。定期的に利益を得られる一方で、元本割れのリスクもあります。信頼できる事業者を選ぶことでリスクを回避できるものの、不動産を直接所有しないため税制上のメリットは得られません。節税を考えるのであれば、現物投資が適しています。

ふるさと納税型クラウドファンディング

ふるさと納税型クラウドファンディングは、地方自治体が取り組みたい特定の問題をプロジェクトとして明確にし、その取り組みに賛同する人々からふるさと納税を通じて資金を集める方法です。

ふるさと納税型では、寄付者は税額控除の恩恵を受けられます。地域支援や貢献を望む純粋な意思に応えるため寄付の目的を具体的なプロジェクトに絞り、そのプロジェクトに共感する人々からの支援を募るのがふるさと納税型の特徴です。

メリット

ふるさと納税型クラウドファンディングのメリットは、主に次の2点です。

  • 地域活性化につながる
  • 地域経済に貢献できる

クラウドファンディングは、地方自治体にとって多くのメリットをもたらします。まず、地域の現状を把握し、地域の強みや弱みを明確にすることで、地域活性化のための具体的な計画立案が可能です。このような取り組みは、地元企業や団体との連携を深め、地域コミュニティの絆の強化につながります。

また特産品や工芸品、観光地のアピールを通じて、新たな顧客やファンを獲得し、地域経済に貢献できます。さらに、財政負担の軽減や、災害復興の迅速化など、地方自治体の財政や危機管理にも効果的です。

これらのメリットは、地方創生において重要な役割を果たし、地元企業にビジネスチャンスを提供するとともに、地域全体の活性化に寄与します。クラウドファンディングは、地方自治体にとって価値ある取り組みといえます。

デメリット

ふるさと納税型クラウドファンディングのデメリットは、主に次の2点です。

  • 返礼品に過度な予算を割いてしまう懸念がある
  • プロジェクトを中止するという選択肢を失うおそれがある

ふるさと納税型クラウドファンディングは、返礼品に過度な予算を割いてしまうことがデメリットです。返礼品は必須とはされていないものの、他のプロジェクトとの差別化を図るために設定されることがあります。

しかし、返礼品に予算をかけすぎると、本来の活動資金が減少してしまう点がリスクです。また、共感を得るためのプロジェクト立案は容易でなく、とくに交通安全や子育て支援などは他自治体との差別化が難しいため、寄付を集めにくいとされています。

寄附金は、目標額に達しなくても返却されません。その結果、自治体はすでに計画されているプロジェクトにかかる「追加の予算」を確保するため、さらに寄附金を募る必要性が生じます。目標額に達しなくてもプロジェクトを中止するという選択肢がなくなるおそれは、自治体にとってはリスクです。

クラウドファンディング支援者側のメリットとデメリット

クラウドファンディングは、革新的なアイデアやプロジェクトに資金を提供するための手段です。支援者は、新しい製品やサービスの開発に出資という形で関与し、その成功の喜びを共有できます。

ただし、リスクをともなうことも確かです。投資したプロジェクトが期待どおりに進まない場合、資金の損失や報酬の不履行が発生するリスクも排除できません。ここでは、クラウドファンディングの支援者側のメリットとデメリットについて解説します。

クラウドファンディング支援者側のメリット

クラウドファンディング支援者側のメリットは、少額からの支援が可能で、新商品の購入や社会貢献ができることです。また、希少性の高い商品やサービスへのアクセスも魅力の一つであり、融資型や投資型では、リターンも期待できます。

投資につきものの信頼性も、プラットフォーム会社の審査を介しているため、一定の安全性と透明性は担保されているといえます。透明性に関しても、プラットフォーム上で公開されていることから、実行者との双方向コミュニケーションも保たれるでしょう。これらのメリットは、支援者にとって大きな魅力です。

クラウドファンディング支援者側のデメリット

クラウドファンディングには、リスクがともないます。プロジェクトが資金調達目標を達成したとしても、予期せぬトラブルによりリターンを得られない可能性があります。

また、一度支援を決定するとキャンセルは基本的にできません。資金が適切に使用されているかの確認は困難で、プロジェクトが実行されないリスクもあります。

株式投資型クラウドファンディングでは、元本損失のリスクにも注意が必要です。支援先を慎重に選ぶようにしましょう。

クラウドファンディングの始め方【実行者】【支援者】

クラウドファンディングを初めて利用する際、どのプラットフォームを選ぶかは、プロジェクト実行者にとって非常に重要な問題です。各プラットフォームには異なる種類のプロジェクトがあるため、自身の取り組みに最適なサイトを見つけることが重要です。

一方の支援者側は、プロジェクトの詳細や提供されるリターンを入念に検討しなければなりません。さらに、どのサイトがどのようなテーマのプロジェクトを多く扱っているかを把握しておくことで、自分が支援したいプロジェクトを見つけやすくなります。

ここでは、実行者・支援者それぞれの立場におけるクラウドファンディングの始め方について解説します。

【実行者】クラウドファンディングの始め方

実行者側の始め方の流れを6つの順序に沿って解説します。

Step1.プロジェクトの計画を立てる

クラウドファンディング成功の鍵は、明確な目標と計画です。プロジェクトの目的や必要な資金、期限を決定し、透明性をもって支援者に訴えるコンテンツの策定が重要です。不確かな計画では支援を得られません。過去の成功例を参考にし、自分に合った戦略を練りましょう。目標達成のための具体的な方法と自身の経歴も共有することで、信頼と支援を集められます。

Step2.クラウドファンディングサイトを検討する

次のステップは、適切なクラウドファンディングの形態とプラットフォームを選択することです。クラウドファンディングには、支援者に提供するリターンの種類に応じて異なるカテゴリーがあります。

先行商品や割引価格でのサービス提供などの物理的リターンを提供する場合は、購入型クラウドファンディングを選択しましょう。一方、報告や感謝のメッセージなど非金銭的なリターンを提供する場合には、寄付型クラウドファンディングが適しています。

クラウドファンディングサイトは、プロジェクトの実行者と支援者を結びつけるためのプラットフォームです。プロジェクトを掲載する際には、ターゲットとする支援者層に適したサイトを選び、手数料やプロジェクト紹介の露出度などにも着目しましょう。

Step3.プラットフォームへの申し込み、審査を受ける

クラウドファンディングでのプロジェクト掲載は、熱意ある説明とともに、タイトル・カテゴリー・目標金額・プロジェクトの流れ・画像・リターン・連絡先などを登録します。PR動画や個人の体験談を含めると、共感を呼びやすくなるでしょう。

サイト運営者はプロジェクトの実行可能性を評価し、問題のある内容は却下します。審査を通過した後も、運営者からのアドバイスに耳を傾け、連絡を密にとるのが重要です。掲載基準を確認し、独自性やストーリー性のあるプロジェクトを提案することによって、審査をスムーズに通過できるよう努めます。

Step4.プロジェクトページの公開

プロジェクトページが承認され公開した後は、ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて積極的に宣伝しましょう。広告やプレスリリースを利用したり、X(旧Twitter)やInstagramで情報を共有したりするのが効果的です。

また、インフルエンサーと協力してプロジェクトを広めることも有益な手段になります。クラウドファンディングでは、プロジェクト開始時と終了直前に支援が集まりやすいため、早期に宣伝を開始し、初期の段階での支援確保に努めます。

Step5.閲覧者・支援者への進捗状況報告

プロジェクトの開始後、SNSやクラウドファンディングのプラットフォームを利用して、定期的に進捗状況を更新し、支援者とのつながりを保ちましょう。支援者はプロジェクトの最新情報を知りたがっています。

プロジェクトの成功は、実行者と支援者が協力して進めることにあるため、進捗報告は必須です。たとえプロジェクトが順調でなくても、感謝の意を示す投稿など、積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

また、支援者からの問い合わせには迅速な対応が必須です。とくに、商品やサービスを提供する購入型クラウドファンディングでは、実行者と支援者との密接な関係が重要です。

Step6.支援者へのお礼

プロジェクトの目標が達成されると、運営側から手数料を差し引いた額が口座に振り込まれます。目標に到達しなかった場合、集めた資金は支援者へ返還され、プロジェクトは終了します。

プロジェクト期間の終了時には、成功の有無にかかわらず感謝のメッセージを掲示したり、メールや手紙で感謝を表したりすることが大切です。約束されたリターンがある場合は、リターンを支援者に提供しましょう。

また、同意を得た支援者のリストをウェブサイトに掲載可能です。プロジェクト完了後に事業の進捗状況をブログで報告することは、透明性の観点から支援者に安心感をもたらします。

クラウドファンディングの支援者は、単なるリターンを求めるよりもプロジェクトの社会的または個人的な価値に意義を見出すことが多いため、プロジェクトの成果を共有することで、長期的な支持を得られます。

【支援者】クラウドファンディングの始め方

支援者側の始め方の流れは、以下のとおりです。

  1. クラウドファンディングサイトでプロジェクト内容をチェック
  2. プロジェクトの内容やリターンから支援先を選定
  3. クラウドファンディングサイト上で支援の確定・決済
  4. プロジェクトの進捗状況を確認
  5. リターンの確認

クラウドファンディングを始める際には、まず適切なプラットフォームを選ぶことが大切です。特定の分野に特化した業者もあるため、自分好みのプロジェクトが掲載されているサイトを見つけてアカウントを作成します。

次に、支援したいプロジェクトを選び、希望するリターンを決定します。支払いは、クレジットカードや銀行振込みなど複数の方法から選べますが、サービスによって利用できる決済方法が異なるので注意が必要です。

リターンを受け取るためには、住所や氏名などの個人情報を登録します。プロジェクトの進捗状況は、プラットフォーム上で確認できます。プロジェクトの形式によって、リターンの受け取り方が異なるため、事前の確認が必要です。

クラウドファンディングまとめ

クラウドファンディングは、従来の資金集めの方法とは異なり、個人や団体が社会貢献や夢の実現に向けて、広く支援を募ることのできる仕組みです。資金調達の目的に応じて、購入型、株式投資型など複数の種類から選択できます。資金や人脈が不足していると感じている人にとって、光明となるかもしれません。利用する際は、自分に適したクラウドファンディングのプラットフォームを見つけてみましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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