ファクタリングとは?仕組み、種類、注意点
更新日:2025年04月16日

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社へ売却して資金調達する手法のことです。わかりやすく表現すると売掛金買取サービスと呼んでも良いでしょう。ファクタリングを利用すると、売掛金を早期に現金化でき、融資などに比べてスピーディーに資金調達できます。また、負債が増えないため信用情報に影響しない等のメリットがある一方で、ファクタリングにはデメリットも存在します。本記事では、ファクタリングの種類や仕組みを図解して解説し、長所と短所、注意点などについて紹介していきます。
目次
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業または個人事業主が保有する売掛金をファクタリング会社が買取る金融サービスです。売掛金買取サービスだと理解すると、わかりやすいと思います。ファクタリングでは、売掛金の当初の入金日よりも早期に現金化でき、売掛金の未収リスクも低減できます。
通常、事業者間の売上の取引は掛取引で、その際には売掛金が発生します。売掛金の入金は取引の30日から60日後になりますが、仕入れの代金などの支払が先にくるため運転資金の資金繰りに困ることも少なくありません。また、売掛金を回収できず貸倒損失になってしまう懸念もあります。
ファクタリングを活用すると、最短即日で売掛金を現金化できるため資金繰りが改善され、売掛金の未回収リスクを低減できます。未回収リスクを低減できる理由は、ファクタリング会社へ売掛金を売却した後に、売掛先が倒産するなどして未回収になっても、そのリスクを負うのがファクタリング会社になるからです。
ファクタリングの種類と仕組み【図解】
ファクタリングには「買取型」と「保証型」の2種類があります。売掛金を買い取って現金化してくれるのが「買取型」で、売掛金の回収を保証してくれる保険のようなサービスを「保証型」と呼びます。一般的なのは「買取型ファクタリング」の方で、その契約手続きは「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」に分かれます。 それぞれについて、以下で詳しく解説します。
買取型と保証型ファクタリングの違い
まずは、買取型と保証型の違いについて説明します。まずは以下の表に目を通したうえで、続く説明を読んでいただくとスムーズに理解しやすいと思います。
買取型 | 保証型 | |
---|---|---|
利用目的 | 売掛金の早期資金化 | 売掛金の未回収リスク回避 |
発生する費用 | 売却の手数料 その他諸経費※ |
保証料 |
入金のタイミング | ファクタリング契約後、最短即日 | 取引先の倒産などで売掛金の回収不能になった後 |
※ファクタリング会社によって事務手数料などの経費が発生する場合があります。
買取型ファクタリングとは
買取ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社へ譲渡して早期に現金化できるサービスで、主に資金調達を目的に利用されています。買取ファクタリングこそが、売掛金買取サービスです。買取型では、保有している売掛債権をファクタリング会社へ売却し、手数料などを差し引かれた代金を受け取ります。
たとえば、建設業の企業が工事を受注したものの、仕入の支払に運転資金が足りなかったとします。そういった場合に、売掛金をファクタリング会社へ譲渡して早期に資金化し、その代金を支払に充てるといった事例があります。
保証型ファクタリングとは
保証ファクタリングとは、売掛債権の貸し倒れのリスクを回避できる保険のようなサービスです。買取型とは違って資金の調達を目的としていません。万一、取引先の倒産などで売掛金が回収できなくなった場合には、保証ファクタリング会社が保証金を支払ってくれます。ファクタリング会社が取引先を信用調査して保証の枠を決め、その枠内の金額であれば、売掛債権の保証をしてくれるのです。保証型のファクタリングの利用には、保険料のような利用料が発生します。
また、日本ではなく海外との貿易で発生した売掛債権を保証する「国際ファクタリング」という保証ファクタリングも存在し、大手金融機関のグループ企業などから提供されています。
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングとは、ファクタリングの利用者(事業主、債権者)とファクタリング会社の2社間で契約する方式の買取型ファクタリングです。取引先(売掛先、得意先)への通知が不要なため売掛金の売却を知られることはなく、取引関係に悪影響を与えずに済むのがメリットです。また、2社間でのやりとりのみのため手続きも簡単で、素早く現金化できます。

▼2社間ファクタリングの利用の流れ
- 売掛先(得意先)へ商品・製品・サービスを提供します。ここで売掛金が発生します。請求書の発行は必須ではありません。
- ファクタリング会社へ、売掛金の買取の審査を申込んで審査結果の連絡を待ちます。審査を通過すると、ファクタリング会社から買取条件や契約内容を提示されます。その内容を確認し、合意できたら契約します。
- ファクタリング会社から、指定した銀行口座に代金(売掛金から手数料を差し引かれた金額)が振り込まれてきます。
- 売掛先から売掛金の入金があります。自分のお金ではないため、いわゆる預り金という扱いになります。
- 預り金(売掛金)をファクタリング会社へ入金します。
なお、ファクタリング会社に支払う手数料は、3社間ファクタリングより高くなる傾向があります。ただし、昨今では手数料の低い2社間ファクタリングも増えてきています。
3社間ファクタリングの仕組み
3社間ファクタリングとは、ファクタリング利用者(事業主、債権者)、ファクタリング会社、取引先(売掛先、得意先)の3社間で合意するタイプの買取型ファクタリングです。

▼3社間ファクタリングの利用の流れ
- 売掛先(得意先)へ商品・製品・サービスを提供します。ここで売掛金が発生します。
- ファクタリング会社へ、売掛金の買取の審査を申込んで審査結果の連絡を待ちます。審査を通過すると、ファクタリング会社から買取条件や契約内容を提示されます。ファクタリング会社から提示された内容に合意できたら契約します。
- 売掛先へ債権譲渡通知をします。
- 売掛先から承諾をもらいます。
- ファクタリング会社が法務局で債権譲渡登記をします。債権譲渡登記とは、法人による金銭債権の譲渡について、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための手段です。個人事業主がファクタリング会社に売掛金を譲渡した場合は、債権譲渡登記はしません。
- ファクタリング会社から、指定した銀行口座に代金(売掛金から手数料を差し引かれた金額)が振り込まれてきます。
- 売掛先からファクタリング会社へ直接、売掛金分の金額が入金されます。
2社間ファクタリングと異なり、得意先からの売掛金の入金先はファクタリング会社です。3社間ファクタリングのメリットは、2社間よりも手数料を安く済ませられる点です。ただし、3社間で合意形成するための段取りや資料の作成などの手間がかかります。さらに、取引先に資金繰りが苦しいといった印象を与える可能性についても留意しましょう。取引先に通知するにあたり、誤った情報が伝わらないように説明する点に注意が必要です。また、債権譲渡登記をすることで第三者にもファクタリング利用を知られる懸念が少なからずあることも理解しておきましょう。
医療ファクタリングとは
医療ファクタリングとは、病院やクリニックの診療報酬、調剤薬局の調剤報酬、介護事業者の介護報酬の債権買取をする買取型ファクタリングです。これら3つの報酬は、国保や社保へ請求してから入金まで2ヶ月ほどかかりますが、その期間を大幅に短縮できます。国保や社保へ通知が必要なため、3社間ファクタリングに分類されます。
ファクタリングのメリット7つ
中小企業や個人事業主がビジネスで必要な資金を調達する場合、その主な手法は銀行などからの融資です。ファクタリングは、融資に比べると様々なメリットがあります。
負債を増やさず資金調達できる
ファクタリングは銀行などからの借入金(融資、ビジネスローン)ではなく、利用しても負債は増えません。確定している売掛債権という資産が、手数料などの諸経費を引かれて、預金などの現金という資産で戻ってくるイメージです。その過程で負債は出てきませんので、ファクタリングなら負債を増やさずに資金を調達できます。
担保や保証人が必要ない
中小企業や個人事業主が金融機関から融資を受ける場合、担保や連帯保証人を求められるケースが非常に多いのは、よくご存知だと思います。ファクタリングであれば、不動産などの担保や保証人の提供は不要です。ファクタリングでは、売掛先の信用力が主な審査対象となるため、中小企業や個人事業主でも審査に通りやすくなっています。
スピーディーに資金調達できる
融資の場合、金融機関側での信用調査などで時間がかかるため、資金調達には数週間かかることもあります。一方、ファクタリングの場合は、2者間ファクタリングなら最短即日で、早ければ数時間以内に入金してもらえます。緊急の資金需要があった場合には、ファクタリングが有効な手段になるでしょう。
黒字倒産の予防につながる
よくご存知のとおり、赤字であっても会社がすぐに倒産することはありません。反対に、黒字が出ているからと言って安心もできません。企業は、黒字でも支払に必要なお金が不足すれば倒産してしまいます。それを黒字倒産と呼びます。
黒字倒産してしまうのは、掛取引が多くなっており、売掛金の入金よりも先に、仕入代金(買掛金)などの支払が先行してしまい、資金が不足するためです。そういった繋ぎ資金を融資で調達できれば問題ありませんが、融資での資金調達が難しい場合に、ファクタリングが役立ちます。なぜなら、各種の支払の期限が到来するまでに、売掛金を早期に現金化して資金を確保できるからです。
売掛先が倒産しても返済は不要
ファクタリングは手形の割引と近い感覚ですが、償還請求権や買取請求権がないため安心です(ノンリコース)。万一、売掛先が倒産するなどして、売却した売掛金が回収不能になった場合でも、売却代金を返金するなどの義務は生じません。ファクタリングは金銭消費貸借契約ではなく、売掛債権の売買契約だからです。
赤字、債務超過、税金滞納でも利用できる
金融機関からの融資の場合、経営者や会社の信用情報が与信の審査に影響します。そのため、信用情報がブラックの場合、融資を受けるのは困難です。ファクタリングであれば、主に審査されるのが取引先の信用度のため、自分が赤字決算、債務超過、税金滞納でも利用できる可能性があります。信用能力に自信がない方にも、ファクタリングは適しています。
業種や業態を問わずに利用でき、個人事業主も契約しやすい
ファクタリングは、業種に関係なく利用できます。前述の建設業や、製造業、小売業、運送業、人材派遣業、学習塾、広告代理店など、様々な業種・業態の方が利用可能です。
また、従来のファクタリングは、法人向けのサービスがほとんどでした。しかし、最近のファクタリングは、個人事業主やフリーランスの方でも活用できるサービスが増えています。ただし、個人事業主も利用できるファクタリングであっても、売却できる売掛金は「法人あての売掛金」のみのファクタリングが大多数です。個人から発注を受けた仕事の売掛金を売却できるファクタリング会社は、めったにありません。
ファクタリングのデメリット4つ
ファクタリングの短所には、主に以下の4つの点が挙げられます。
- 手数料が割高だと収益に悪影響が出る
- 依存すると資金繰りが悪化する懸念がある
- 悪徳事業者が存在する
- 土日祝日または夜間に資金調達しにくい
以下で詳しく説明します。
手数料が割高だと収益に悪影響が出る
ファクタリングの売買手数料は費用のため、高額な手数料を取られると利益が大幅に減少してしまいます。必ず、適切な手数料のファクタリング会社と取引しましょう。
依存すると資金繰りが悪化する懸念がある
前述のとおり、ファクタリングを利用すると手数料などの諸経費がかかる分、利益が減少します。そのため、ファクタリングは便利な手法ですが、依存すると資金繰りが悪化する危険性があるため、むやみに利用すべきではありません。金融機関からの融資など、他の資金調達手段も常に検討したうえで、急な資金需要があった場合など、最適なタイミングでファクタリングを活用しましょう。
悪徳事業者が存在する
ファクタリングにかぎらない話ですが、お金が関わるところには、悲しいかな悪徳業者も集まってきます。本記事の中でも解説しますが、悪徳業者の見分け方を参考に、トラブルに巻き込まれないように十分に注意してください。
土日祝日または夜間に資金調達しにくい
ほとんどのファクタリング会社は、営業時間が平日の昼間のみで、夜間や休日の審査と入金に対応していません。そのため、日中は忙しくファクタリングを利用する暇がない方にとっては、ファクタリングは利用しにくい手法とも言えます。ただし、ファクタリング会社のごく一部が、休日または夜間にも応対してくれていますので、以下の記事で紹介しています。参考にしてみてください。
参考)土日ファクタリング
ファクタリングの手数料率の相場
ファクタリングで資金調達する場合は、売掛債権の売却代金から手数料が差し引かれます。ファクタリングの手数料は、売却する売掛金に手数料率をかけて計算できます。その手数率しだいで、受取金額が変わりますので、複数のファクタリング会社で相見積もりをとることが重要です。手数料率の相場は、3社間ファクタリングは1.0~9.0%で、2社間ファクタリングは10~30%だと言われています。
ファクタリングの手数料率は、受取額に大きな影響を与えます。実際にシミュレーションしてみましょう。例として、売掛金100万円をファクタリング会社に売却する場合で、手数料が10%と20%の場合に分けて考えてみます。理解しやすくするために、売掛金の全額を買い取ってもらえることにして、手数料の他に経費は発生しないことにします。
【手数料率が10%の場合】
項目 | 金額 |
---|---|
売掛金 | 100万円 |
手数料率 | 10% |
ファクタリング手数料 | 10万円 |
受取金額 | 90万円 |
【手数料率が20%の場合】
項目 | 金額 |
---|---|
売掛金 | 100万円 |
手数料率 | 20% |
ファクタリング手数料 | 20万円 |
受取金額 | 80万円 |
以上のとおり、手数料が受取額に大きな影響があることが分かったかと思います。
なお、手数料を決める要素は、主に売掛先の信用度です。または、継続して同じファクタリングサービスを使った場合に特典があったり、ファクタリング会社によっては他社からの乗換キャンペーンで手数料を優遇していたり、といった内容も影響します。できれば、複数の業者に相見積もりをとって、受取額を比べましょう。
参考)ファクタリングの手数料
ファクタリングが役に立つ場面
ファクタリングがビジネスで役に立つケースを、いくつか紹介します
大規模な案件を受注できるチャンスがめぐってきた
建設業なら大規模な工事を受注できる機会があったり、システム開発なら大規模な案件を受託できる話がきたりと、嬉しい話が舞い込んできたとします。しかし、大規模なプロジェクトになると外注先への支払などもかさむため、多額の資金が必要になる場合がほとんどです。そこで取引のある金融機関へ追加融資の相談を持ちかけたのですが、枠がないという理由で断られてしまいました。こんな時にも、売掛金を譲渡して早期に現金化して必要な資金を調達し、ビジネスを大きく成長させられる可能性があります。
業績不振で融資を受けられなくなった
ビジネスの業績が悪化し、銀行からの追加融資を受けられなくなることがあります。それでも取引先への支払や、従業員の人件費、家賃の支払は待ってくれません。そういった時に、ファクタリングを活用して売掛金をすぐに現金化し、当面の間をしのぐことができる可能性があります。ファクタリングで審査されるのは売掛先のため、自分の会社が赤字決算、税金滞納でも問題なく利用できるからです。
売掛金の入金が遅れることが発覚した
ビジネスにおいては、あてにしていた売掛金の入金日が遅れてしまうことがあります。たとえば、自社の納期が当初より遅れたり、取引先側の都合で納品日が先延ばしになったりなど、その理由は様々です。そんなときに、ファクタリングが役に立ちます。別の取引先あての売掛債権(主に売掛金)を譲渡して早期に資金を調達し、不足していた資金の埋め合わせをできる可能性があります。※請求書を発行した後に、支払期限より入金が遅れることが分かった債権は不良債権なので、ファクタリング会社では買取対象外です
ファクタリングでの資金調達にかかる時間
ファクタリングで資金調達にかかる日数は、契約方式によって異なります。2社間ファクタリングであれば即日から数日以内に入金してもらえ、最速だと10分でで資金調達が可能なサービスもあります。3社間ファクタリングの場合は、売掛先への通知または承諾が必要なため、最短1営業日から数週間かかります。
急ぎの資金需要がある場合は、2社間ファクタリングの方が便利です。また、クラウドサインなどの電子契約を採用しているファクタリング会社であれば、契約手続きがweb上で完結できるためスムーズで、個人情報保護などのセキュリティの観点でも安心です。インターネット上でのやりとりに不安がある方であれば、ファクタリング会社の事務所を訪問したり、郵送で契約したりという方法もあります。
ファクタリングの審査基準
ファクタリングで審査されるのは、主として売掛先の信用度です。それも含めて、ファクタリングの審査基準を簡単かつ箇条書きで解説します。
- 売掛先の信用度が最も重要で、信頼性が高い取引先ほど審査通過しやすい。
- 売掛先との取引期間の長さも重要で、長期間の信頼関係がある方が有利である
- 譲渡したい売掛債権(売掛金)の支払期日までの日数が短い方が審査を通過しやすい。
- 支払期日を過ぎた不良債権は審査落ちする。
- 債権譲渡禁止特約がある売掛金の場合、審査で不利になることがある
- 取引の実態があることが要求され、架空の請求書は詐欺とみなされる可能性がある。
- 自分の会社自身の信用度は重要ではないものの、反社会的勢力との関連があったり疑われたりするなど、公序良俗に違反していれば審査に影響がある。
参考)ファクタリングの審査
ファクタリングの利用の流れと必要書類
本章では、ファクタリングの一般的な利用の流れと代表的な必要書類について解説します。
利用の流れ
まずは、ファクタリングの利用の流れを紹介します。必要書類については後で解説します。
- 審査の申込みと結果の確認
- ファクタリング会社と契約
- 入金・送金
それぞれについて以下で説明します。
1.審査の申込みと結果の確認
ファクタリング会社のウェブサイトの専用フォームから審査の申込みをします。電話受付している場合は電話で申し込みが可能です。その後、ファクタリング会社から指定された必要書類を提出します。早ければ当日中に審査結果(見積結果)の回答が来ますので、買取金額などを確認します。
2.ファクタリング会社と契約
ファクタリング会社の見積に合意できたら契約します。契約時には、審査時とは別の書類が必要になりますので、それを提出して契約書を締結します。オンライン契約できる場合は、非対面での契約手続きもできます。
3.入金・送金
契約締結後、最短即日から数日で指定した銀行口座に代金が振り込まれます。2社間ファクタリングで契約した場合、売掛先から売掛金の入金があったらファクタリング会社へ送金します。3社間ファクタリングの場合は、売掛先からファクタリング会社へ直接入金されるため送金は不要です。
審査申し込み時の書類
ファクタリングで審査申し込み、見積もりを依頼する時に提出する書類には、以下のような書類があります。作成が手間になる事業計画書が不要なのは嬉しいポイントです。
- 代表者の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの顔写真つき身分証)
- 入出金明細書(直近3ヶ月の通帳コピーなど)
- 買取希望の売掛金に関する請求書、見積書、発注書、基本契約書(取引先との契約内容がわかる書類)
- 決算書(貸借対照表、損益計算書など。個人の場合は確定申告書) など
契約時の書類
ファクタリング会社との契約手続きで必要になる書類には、以下のようなものがあります。ファクタリング会社によっては、契約時の書類もあわせて提出が必要になる場合があります。
- 印鑑証明書
- 納税証明書
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書) など
ファクタリング利用時の注意点
ファクタリングを利用するにあたっては、以下の注意点に気をつける必要があります。事前によく確認しましょう。
- 契約書に債権譲渡禁止の記載がないか
- 契約方式の違いを理解する
- 買取手数料が高すぎないか
- 不良債権は対象外
- 売掛債権の全額は買い取ってもらえない場合がある
- ファクタリング会社への支払は分割できない
以下で詳しく解説していきます。
契約書に債権譲渡禁止の記載がないか
改正民法により、契約書に債権譲渡禁止特約が記載されている場合でも、債権譲渡禁止の効力は有効になるとされています(改正民法の前は、債権譲渡が無効とされていました)。そのため、債権譲渡禁止特約が契約書に書かれていても、売掛債権を譲渡すること自体は問題はないと考えられます。ただし、債権の譲受人(ファクタリングで言うとファクタリング会社)が、譲渡制限について悪意・重過失である場合には、債務者(ファクタリングで言うと売掛先)が譲受人に対しては債務の履行を拒むことができる、とされています。悪意・重過失であるか否かの立証責任を負うのは債務者です。以上を踏まえると、譲渡制限つきの売掛債権の譲渡は避けた方が無難でしょう。
契約方式の違いを理解する
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングとの違いを十分に理解しておく必要があります。その上で手数料の負担、取引先との関係を考慮し、自社の状況に合わせて選択しましょう。
買取手数料が高すぎないか
資金繰りの改善のためにファクタリングを利用するなら、手数料が高すぎると受け取り代金が減ってしまい効果がなくなります。最低限、相場の範囲内の手数料で契約しましょう。3社間ファクタリングの手数料の相場は1.0~9.0%で、2社間ファクタリングの相場は10~20%だと言われています。
不良債権は対象外
すでに支払の期日を過ぎている不良債権は買い取ってもらえません。
売掛債権の全額は買い取ってもらえない場合がある
買取型の場合、売却したい売掛債権の全額ではなく、一部のみが買取対象になる場合があります。その割合を「掛け目(かけめ)」と呼び、たとえば売掛債権が100万円で掛目が90%の場合、買取対象になるのは90万円(100万円✕90%)です。
ファクタリング会社への支払は分割できない
2社間ファクタリングで契約した場合、譲渡した売掛債権(売掛金)が取引先から入金されたら、ファクタリング利用者からファクタリング会社への支払いが必要です。3社間で契約した場合には、利用者の取引先からファクタリング会社へ支払うことになります。いずれにしても、支払いは現金一括の全額払いで分割払いはできません。なお、支払期日は売掛金の元々の入金日です。
ファクタリングは違法ではない
金融庁が「ファクタリングに関する注意喚起」をしているため、ファクタリングそのものが違法ではないかと心配している方もいるかもしれませんが、安心してください。ファクタリング自体は合法なサービスであり、経済産業省も推奨しています。問題になっているのは後述する個人向けの「給与ファクタリング」と、以下で説明する事業者向けの「偽装ファクタリング」です。
偽装ファクタリングとは
偽装ファクタリングとは、ファクタリング契約を装って別の契約を交わさせる手口のことを言います。具体的には、金銭消費貸借契約(借金の契約)を結ばせるやり方が横行しているようです。偽装か否かを判断する基準としては以下の3点がありますので、注意しましょう。
- 契約書の中に「債権譲渡契約(売買契約)」の記載がない
- 契約書の中に「売り主が債権を買い戻す規定(買戻請求権)」や「売掛金が回収できない場合に売主の負担で支払う規定(償還請求権)の記載がある
- 買取手数料などが高すぎて、手元に残る受け取り代金が著しく少ない
給与ファクタリングとは
給与ファクタリングとは、個人が勤務先から支給される給料をファクタリング会社に売却し、給与支給日より前に現金を入手できるサービスです。
売却と書きましたが、実際には賃金債権を担保にした融資のため売買契約ではなく、利用者から見ると借金です。そのため、給与ファクタリングの事業者は貸金業法の貸金業登録をする必要がありますが、登録していないヤミ金融業者などの悪質な業者が違法な金利をとるなどの問題が起きており、金融庁も注意喚起しています。
貸金業登録をしている業者が提供していれば問題がないかと言うと、そうとは言い切れません。繰り返しますが、給与ファクタリングは借金であり、給料日に受け取れる給料を担保にしてお金を借りているに過ぎません。
給与ファクタリングと、あたかも新しい仕組みかのように喧伝されていますが、消費者ローンと何ら変わりません。どうしても給与ファクタリングを利用する場合は、ただ単純に借金をしているだけである、という認識を必ず持っておきましょう。
なお、この記事で紹介する事業者向けのファクタリングでは賃金債権(給料債権)は買い取ってもらえません。※2023年2月20日に、最高裁で「給料ファクタリングは貸し付けに当たる」という判断が示されています
ファクタリングに関する相談窓口
ファクタリング契約に関して被害にあうなどのトラブルがあった際には、以下のような相談窓口が設けられています。
窓口 | 連絡先 |
---|---|
金融庁 金融サービス利用者相談室 (平日10時00分~17時00分) |
電話:0570-016811(IP電話からは03-5251-6811 ) FAX(高齢者・障害者専用):03-3506-6699 インターネットによる情報の受付 |
多重債務相談窓口連絡先 | https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html |
警察 | 電話:「#9110」番(警察相談専用電話) ファクタリングと他の資金調達方法との違い |
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター (9時00分~17時00分) ※土・日・祝休日・年末年始を除く |
電話:0570-051051(IP電話からは03-5739-3861 ) |
消費生活相談窓口 | 消費者ホットライン 電話:188(いやや!)(全国共通3桁の電話番号) ※最寄りの消費生活相談窓口をご案内します。 |
ファクタリングと他の資金調達方法との違い
ご存知のとおり、ファクタリングの他にも資金調達の方法は様々あります。それぞれの長所と短所を理解し、自社に最適な手法を採用することが大切です。そのためにも、簡単ですがファクタリングと他の資金調達手法との相違点についても触れておきますので、参考にしてみてください。
銀行融資との違い
中小企業が資金調達するとき、まず考えるのが銀行融資でしょう。銀行融資には、金利が安く調達できる金額が大きいメリットがあります。その一方で、審査時間が長く(保証協会つきの融資では審査に1週間から1ヶ月ほどかかる)、審査を通過する難易度が高くなるデメリットもあります。
ファクタリングとの違いは、銀行融資を受けると負債が増えるものの、ファクタリングなら負債を増やさずに資金調達できる点です。また、審査と入金をあわせて最短1時間以内に終わるファクタリングサービスも存在するなど、銀行融資よりもスピーディーに資金調達できます。しかし、ファクタリングで資金調達できる金額には限界があるのも事実で、それは譲渡する売掛債権の金額です。保有する売掛債権を超える大規模な資金調達をする場合は、銀行融資の方が適している場合もあります。
ビジネスローンとの違い
ビジネスローンとは、事業資金専用のローンのことです。は個人事業主向けと法人向けが存在し、資金使途は事業用に限られます。資金の貸し手は、銀行、信用金庫、ノンバンク、信販会社や消費者金融です。ローンと名前がつくとおり元本と金利の返済義務があり、借入金のため負債が増加するため、信用情報に影響します。なお、ビジネスローンには「証書貸付型」と「融資枠型」があり、複数回の借入をする場合には「融資枠型」が便利です。証書貸付の場合、借入のたびに面倒な手続きがあり、返済も決められた日付のみ可能だったりなど、融通がきかない部分があります。
一方のファクタリングは、売掛債権の譲渡になるため負債は増えず、信用スコアにも影響がありません。
手形割引との違い
買取型ファクタリングに関する説明を読んで、受取手形の割引を思い出した方もいるでしょう。手形割引とは、手形債権が満期を迎えるより前に、取立銀行や手形割引業者へ手形を持ち込んで、手数料を差し引かれた代金を受け取る手法です。
ファクタリングと似ていますが、手形には償還請求権があります。もし、手形が不渡りになった場合、あなたが手形振出人の代わりに決済しなければならなくなります。ファクタリングには償還請求権がないため、そういったリスクを回避できます。
ABL(売掛債権担保融資)との違い
売上債権を使った資金調達の手法にABL(売掛債権担保融資)があります。一見すると似ているようですが、ABLは言葉のとおり「売上債権を担保にした融資」です。ABL自体は資金調達の手段として問題はありませんが、買取型ファクタリングの契約だと信じ込ませて、実はABLの契約を結ばせようとする悪徳業者も存在します。契約書の内容をよく確認して、注意しましょう。
請求書カード払いとの違い
請求書カード払いについては、耳慣れない方もいると思います。昨今、事業者間の取引の決済手段でも、クレジットカードを利用できる場面は増えてきました。しかし、まだまだ銀行振込などの従来の決済手段が優勢で、カード決済できない場合が多数です。
請求書カード払いのサービスは、受け取った請求書をクレジットカードで決済すると、請求書カード払いのサービス提供元が支払いを立て替えてくれます。主なメリットは、支払いを先延ばしにできる点です。一方、先延ばしにできる金額の上限がカードの利用限度額であったり、利用代金の引落までの間は負債(未払金など)が増えるというデメリットもあります。
ファクタリングの場合、ファクタリング会社側の買取限度額に上限がなければ、資金調達の限度額はありません。繰り返しになりますが、ファクタリングの利用で負債は増えないため、健全性にも影響がありません。
ファクタリングのよくある質問
続いて、ファクタリングに関する質問と回答をFAQ形式で紹介します。ここで紹介している内容を理解しておくと、安心してファクタリング会社へ問い合わせできるようになります。
Q.ファクタリングで担保や保証人は必要ですか?
A.いいえ、どちらも不要です。銀行融資やビジネスローンなどの借入金とは異なりますので安心してください。ファクタリングは、あなたが保有している売掛金(資産)を売却して資金調達する手法です。
Q.ファクタリングを利用すると信用情報に影響しますか?
A.いいえ、影響しません。ファクタリングは借入金ではないため、利用しても負債が増えることもありません。そもそも、ファクタリングで主に審査されるのは売掛先の信用度ため、あなたの会社や個人が赤字、税金や社会保険料を滞納していても利用できます。
Q.金融庁がファクタリングに関して注意喚起していますが違法なのでしょうか?
A.いいえ、違法ではなく適法です。金融庁がファクタリングの利用について注意喚起しているため、違法だと誤解している方もいますが、ファクタリング自体は違法ではありません。問題視されているのは、ヤミ金融などの違法業者による給与(給料)の買取である給与ファクタリングであり、本記事で紹介するファクタリングとは無関係ですので安心してください
Q.2社間ファクタリングと3社間ファクタリングとの違いは何ですか?
A.2社間ファクタリングは売掛先への債権譲渡通知が不要なためスピーディーに資金調達できますが、手数料は3社間ファクタリングよりも高くなります。一方の3社間ファクタリングは、債権譲渡通知が必要なため資金調達に時間がかかりますが、手数料は2社間ファクタリングより安くなります。売掛先にファクタリング利用を知られたくない場合は、2社間ファクタリングがおすすめです。また注意が必要なのは、3社間ファクタリングの場合、売掛先からの売掛金入金先がファクタリング会社になる点です。
Q.ファクタリングの審査に落ちることはありますか?
A.はい、あります。ファクタリングの審査では、主に以下の点が評価されます。
- 売掛先の社会的な信用度
- 売掛金の内容
- 売掛先との取引期間と実績
- ファクタリング利用者の信用度
ファクタリングの審査で最重要なのは、売掛先の信用度です。売掛先の信用度が低ければ審査に落ちる可能性は十分にあります。なお、売掛債権の買取割合である「掛目」と審査通過率は全く別ものですので「買取率98%」は「審査通過率98%」ではない点には注意しましょう。
Q.ファクタリングの手数料に消費税は課税されますか?
A.いいえ、課税されません。ファクタリング取引の手数料は、国税庁が消費税の非課税取引に定めている「有価証券等の譲渡」に当たるためです。もし、ファクタリング会社の見積書で手数料に消費税を課していた場合は、その会社は悪徳業者の可能性が非常に高いため契約しないようにしましょう。なお、ファクタリング会社へ支払う事務手数料や、債権譲渡登記の際に司法書士へ支払う報酬などには税金がかかります。売掛金の譲渡に対する手数料は非課税、と覚えておきましょう。
Q.ファクタリング会社はどのように選べばよいですか?
A.ファクタリング会社の選び方には様々なポイントがあります。一例を挙げると以下のポイントが考えられます。
- 手数料が公開されている(上限も下限も公開されている)
- 取引実績が充実している
- 審査申し込みから入金まで最短即日で対応してくれる(審査期間が短いなど)
上記はあくまで一例です。ファクタリング会社の選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事で徹底解説していますので、参考にしてみてください。
Q.ファクタリングの手数料に消費税は課税されますか?
A.いいえ、課税されません。ファクタリング取引の手数料は、国税庁が消費税の非課税取引に定めている「有価証券等の譲渡」に当たるためです。もし、ファクタリング会社の見積書で手数料に消費税を課していた場合は、その会社は悪徳業者の可能性が非常に高いため契約しないようにしましょう。なお、ファクタリング会社へ支払う事務手数料や、債権譲渡登記の際に司法書士へ支払う報酬などには税金がかかります。売掛金の譲渡に対する手数料は非課税、と覚えておきましょう。
ファクタリング優良3社
数あるファクタリング業者の中から厳選した、特に優良な3社を紹介します。どのサービスも非常におすすめです。各社ともに即日振込が可能で、買取手数料にも透明性があります。また、比較表の3社は、電子契約などの非対面契約に対応しており、個人事業主も利用可能です。※本記事ではファクタリング会社の広告から収益が発生している場合があります。
サービス 名称 |
おすすめ コメント |
買取 手数料 |
最短 入金 |
買取 可能額 |
契約 形態 |
---|---|---|---|---|---|
QuQuMo(ククモ) | 少ない書類で審査申込したい方におすすめ | 1.0%~ 14.8% |
2時間 | 無制限 | 2社間 |
日本中小企業金融サポート機構 | 電話でも相談したい方におすすめ | 1.5%~ 10.0% |
3時間 | 無制限 | 2社間 3社間 |
PMG(ピーエムジー) | 大手のファクタリング会社と契約したい方にオススメ | 1.0%~ 12.8% |
2時間 | 50万円~ 2億円 |
2社間 3社間 |
買取手数料1.0%からの「QuQuMo(ククモ)」
QuQuMo(ククモ)は、ネット完結でスピーディーに資金調達できます。買取手数料は1%から14.8%と業界最安クラスかつ透明性が高く、入金は最速で2時間というスピードの速さが魅力(見積だけなら30分)です。買取の審査申し込みで必要な書類は、請求書と通帳のたった2点のみ。債権譲渡登記も不要なため、2社間取引で売掛先に知られずに利用できます。QuQuMo(ククモ)なら、審査と契約手続きをインターネットで完結できるため来店や面談が不要なため、忙しい合間にも利用しやすくなっています。
買取手数料が1.5%から10.0%「日本中小企業金融サポート機構」
一般社団法人 日本中小企業金融サポート機構のファクタリングは、買取手数料が1.5%から10.0%、買取可能金額が無制限で、最短3時間で入金してくれます。審査に必要な書類もたったの2点で、審査と契約手続きをパソコンやスマホで完結できます。債権譲渡登記は必須ではありませんが、必要になるケースもあります。なお、同社は関東財務局長、関東経済産業局によって経営革新等認定支援機関に認定されています。2024年12月時点で、2024年12月時点の累計取引者数は13,190社、債権買取総額は318億円を誇っています。。ファクタリング業界では珍しい非営利団体です。非営利団体というのは、事業継続のために必要な利益は当然に出して良いものの、余剰利益を分配できない団体のことです。
資金調達の他にも多様な支援を受けられる「PMG(ピーエムジー)」
PMG(ピーエムジー)は、実績が豊富な大手のファクタリング会社です。2024年4月時点(2024年5月決算)の契約総数は34,758件、買取総額は1,584億円を誇っているため安心です。PMG(ピーエムジー)は2社間と3社間ファクタリングに対応しており、買取手数料は1.0%から12.8%と業界最安クラスで、最短2時間で入金してくれます。
PMG(ピーエムジー)の最大の特徴は、財務コンサルティング、販路拡大、協業支援など、ファクタリング以外の面でも支援を受ける機会があることです。PMG(ピーエムジー)はホールディングス全体で「中小企業の継続と発展」を掲げているだけあり、経営者に寄り添いながら多様な観点で支えてくれます。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社フリーウェイジャパン |
法人番号 | 1011101045361 |
事業内容 |
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本社所在地 | 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階 |
所属団体 | 一般社団法人Fintech協会 |
顧問弁護士 | AZX総合法律事務所 |