社債とは?主な種類やリスク、株式との違いを簡単に解説

2024.03.01

社債とは

社債とは、企業が事業資金などの調達のために発行する債券です。企業が資金調達する方法には、社債や株式、金融機関からの融資などいくつかの方法があるため、それぞれの違いを押さえ使い分けることが重要です。この記事では、社債の概要や種類およびリスク、株式との違いを解説します。

目次

社債とは企業が発行する「借用証明」のこと

社債とは、企業が事業資金などの調達のために発行する債券です。企業が投資家からお金を借りる際に発行する、借用書のようなものともいえます。

投資家は、社債を購入することで企業に資金提供を行います。社債を発行した企業は、投資家に対しあらかじめ決められた期間にあらかじめ決められた金額の利息を支払わなければなりません。そして満期が到来したときに、企業が債券の額面金額を投資家に払い戻す仕組みです。

金融機関からの借り入れとの違いは、企業が返済方法を比較的自由に決められる点と資金使途が自由な点です。また、社債で集めた資金は返済義務があるものの、株式とは異なり経営権に影響がでないのも社債の魅力の一つといえます。

社債は原則として、企業がデフォルト(債務不履行)を起こさない限り、利息を受け取ったうえで満期日には元本の返却を受けられる金融商品です。社債には、普通社債だけでなくいくつかの種類があります。種類によって仕組みが異なるため、それぞれの違いをしっかりと確認し投資方針やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。

社債の主な種類

主な社債には、次のようなものがあります。

普通社債(SB)

一般的に「社債」というとこちらの普通社債を指し、ストレートボンド(SB)とも呼ばれます。あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕組みであり、ほとんどの場合は固定金利となります。信用格付に応じて利息が高くなる傾向があります。

転換社債(CB)

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、チェンジャブルボンド(CB)とも呼ばれます。基本的な仕組みは普通社債と変わりませんが、一定条件において株式と交換できるという特徴があります。社債としても機能するため利息を受け取ることもできますが、特別な条件が付帯することから、普通社債に比べて利息は低く設定されるのが一般的です。

ワラント債

ワラント債(新株予約権付き社債)は、通常の社債に加えて「社債を発行した企業の株式を一定金額で購入できる権利」が付帯しているものを指します。社債を株式に交換できる転換社債とは異なり、ワラント債の権利を行使する場合は別途の支払いによって株式を購入する必要があります。なお、株式を購入する権利だけを第三者へ売却することも可能です。

劣後債

投資家に対する債務の弁済順位が低いかわりに、金利が比較的高く設定されている社債を「劣後債」と呼びます。企業が破綻した場合、投資金額が戻ってくる可能性は非常に低いですが、そのリスクを許容できるのならメリットは大きいと言えます。たいていの劣後債は、自己資金規制の厳しい銀行から発行されます。

電力債

設備投資に莫大なコストがかかる電力会社によって発行される社債を「電力債」と呼びます。電力債には電力会社の保有資産が対象となる一般担保が付与されており、投資家にとっては万が一の場合もリスクが低いとされています。

金融債

金融債とは、特定の金融機関のみが発行できる社債です。特別法で認められた金融機関が発行する債券のため、信用力が高いとされます。金融債には半年ごとに利息が支払われる利付金融債と、額面金額より安い価格で発行し満期日に額面金額で償還が行われる割引債があります。

なお、新規に金融債を発行する金融機関はほとんどありません。そのため、発行残高は減少を続けています。

外国債

外国債とは、「発行者」または「発行場所」のいずれかが外国もしくは、「発行通貨」が外国通貨である債券です。外貨で取引が行われる外国債は、為替リスクが発生する点が他の社債と大きく異なります。

為替リスクとは為替相場の変動により、外貨建て資産の価値が変動する可能性のことです。たとえば、1ドル130円のときに130万円で1万ドルを購入したとしましょう。その後1ドル120円になったタイミングで円に戻すと、120万円しか受け取れず10万円の損失が発生します。一方、1ドル140円になったタイミングで円に戻すと、140万円が受け取れ10万円の利益となります。このように為替の値動きにより損益が発生する可能性が、為替リスクです。

外国債は、購入時の払込や利子および償還金の受け取りをどの通貨で行うかによって、「円建債券」「外貨建債券」「二重通貨建債券」の3つに分けられます。それぞれの概要を確認し、投資方針に合ったものを選びましょう。

円建債券

円建債券とは、購入時の払込や利子および償還金の受け取りがすべて日本円で行われる債券です。外国債の一つではあるものの、円で取引が行われるため直接の為替リスクはありません。円建債券には、以下の2つの種類があります。

  • サムライ債:外国の発行体が、日本の市場で発行
  • ユーロ円債:日本や外国の発行体が、日本以外の市場で発行

ユーロ円債は、自国以外の市場(ユーロ市場)で取引される債券です。ユーロという名前が付いていますが、欧州連合(EU)で流通している通貨とは関係はありません。

ユーロ円債では市場がある国が経済的、政治的に不安定な状況になったときに債券の資産価値に影響がでる「カントリーリスク」を含みます。一般的に新興国のカントリーリスクは、先進国よりも高いとされます。カントリーリスクを抑えるためには、日本貿易保険(NEXI)が作成する「カントリーリスクマップ」を参考にしましょう。

参考:カントリーリスクマップ

外貨建債券

外貨建債券とは、購入時の払込や利子および償還金の受け取りがすべて外貨で行われる債券をいいます。為替リスクが発生するため、投資をする際は為替の値動きを定期的に確認し把握することが重要です。

外貨建債券には外国の発行体がその国の市場で発行するものと、日本の市場で発行するものがあります。一般的に米ドル建債券や豪ドル建債券、ユーロ建債券と呼ばれるものは、外国の市場で発行される外貨建債券です。一方、日本市場で発行される外貨建債券は、ショーグン債と呼ばれます。

二重通貨建債券

二重通貨建債券とは、購入時の払込や利子および償還金の受け取りが2種類の通貨で行われる債券です。外貨建債券同様に為替リスクがありますが、2つの通貨で取引が行われるため、リスクを抑えながら為替差益を狙えます。二重通貨建債券には、以下の2種類があります。

  • デュアルカレンシー債:購入時の払込および利子の受け取りが円、償還金の受け取りが外貨で行われる債券
  • リバースデュアルカレンシー債:購入時の払込および償還金の受け取りが円、利子の受け取りが外貨で行われる債券

二重通貨建債券の投資をした場合、受け取った外貨はそのまま保有し続けるか、為替差損が発生しないタイミングを見て円に換える必要があります。円に換えるタイミングを計るためにも、為替の値動きは定期的にチェックし把握しておきましょう。

社債と株式の大きな違いは「返済義務」

社債と株式には、返済義務の有無などいくつかの相違点があります。主な相違点を以下で確認しましょう。

社債 株式
返済義務 あり なし
期待できる利益 利息/売却益 配当金/売却益
リスクの大きさ ミドルリスクミドルリターン ハイリスクハイリターン

社債と株式では、期待できる利益やリスクの大きさなども異なります。ここでは、それぞれの違いを詳しく確認します。

社債は返済義務がある

株式と社債の大きな違いは、返済義務の有無です。投資家からお金を借りて資金調達する社債は負債であり、満期時に返済をしなければなりません。一方の株式は、配当金や議決権を得る代わりに、投資家が企業に出資するものです。そのため、調達した資金を返済する必要はありません。

借入により資金を調達する社債において、投資家が受け取れる主な利益は利息です。満期日前に売却することで売却益を狙うこともできますが、償還まで保有すれば額面金額が受け取れることから、ミドルリスクミドルリターンと言われます。

出資として資金を受け取る株式において、投資家が狙える利益は配当金および売却益です。配当金および売却益は、投資した企業がどれだけ利益をあげたか、どれだけ成長したかによって変わります。大きな成長を遂げたときには多額の利益の獲得も可能ですが、場合によっては配当金がでなかったり売却損が発生したりするケースもあるでしょう。そのため株式投資は、ハイリスクハイリターンと言われます。

参考)負債とは

参考)借入金とは

会社倒産時の元本の扱い

会社が倒産したときに投資元本がどのように取り扱われるかも、社債と株式で大きく異なる点です。会社の倒産時には、企業が保有する売掛金や在庫、不動産といった資産の回収や売却を行い、現金を債権者に平等に分配します。

ここで押さえておきたいのは、社債のほうが元本や利息などの支払い順位(弁済順位)が株式よりも高い点です。仮にデフォルトが起きた場合、社債であれば元本や利息の一部を弁済してもらえる可能性があるでしょう。しかし株式の場合、分配金を得られる可能性はきわめて低いとされます。

参考)破産と倒産の違い

参考)黒字倒産とは

社債のリスクとは

先述のとおり、社債はミドルリスクミドルリターンの金融商品です。社債で考えられる主なリスクには、以下が挙げられます。

  • 信用リスク
  • 価格変動リスク
  • 流動性リスク

信用リスクとは、会社の倒産などにより元本や利息を回収できない可能性や、財政悪化により支払いが滞る可能性のことです。信用リスクが高い債券ほど、元本や利息が未払いになる可能性が高いと言えます。一般的に信用リスクが高い社債は利息が高く、リスクが低い債券は利息が低い傾向にあります。社債を購入するときは、信用リスクと利息を確認し、リスク許容度に合った商品を選ぶことが肝心です。

価格変動リスクとは、投資した社債の価格変動により資産の価値が増減するリスクです。満期まで保有した場合は、価格変動リスクは関係ありません。しかし、満期の前に売却する際は時価での売却となるため、価格変動リスクが発生します。価格変動リスクを抑えたいのであれば、満期まで保有できる使い道がない資金で投資することが重要です。

流動性リスクとは、現金化ができない可能性をいいます。社債を満期まで保有するなら、流動性リスクは考えなくてよいでしょう。しかし、満期前の売却を検討しているのであれば、流動性リスクは気を付けたいポイントです。流動性リスクが高い債券の場合、市場での取引が成立せず売却ができなくなる可能性があります。流動性リスクを抑えるためには、満期前の売却をしない、もしくは流動性リスクが低い商品を選びましょう。

社債まとめ

社債とは、企業が事業資金などの調達のために発行する債券です。投資家は資金を貸し出す見返りとして、満期が到来するまで利息を受け取れます。

社債には普通社債のほか転換社債やワラント債、劣後債、電力債、金融債、外国債などの種類があります。どの社債を選ぶかによりリスクやリターンが異なるため、投資家は事前に概要や仕組みを確認し納得したうえで購入することが重要です。

社債と金融機関からの融資との違いは、社債は使用用途が自由で、企業が返済方法を自由に決められる点です。また株式とは異なり、株式の希薄化が起きたり経営権への影響がでたりしない点も特徴として挙げられます。資金調達を考えているのであれば、社債の活用もぜひ検討してください。

参考)資金調達とは

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加