デットファイナンスとは?資金調達の種類やメリットを解説

更新日:2024年08月20日

デットファイナンス

ファイナンスにはいくつか種類がり、その中でもデットファイナンスとは、借入によって資金を調達する方法です。事業拡大や新規事業立ち上げのため、利用を検討している方もいるでしょう。この記事では、デットファイナンスの概要およびエクイティファイナンスとの違い、メリットデメリット、デットファイナンスが向いているケースを解説します。

目次

デットファイナンスとは?

デットファイナンス(Debt Finance)とは、有利子負債による資金調達方法の1つです。「借入金融」とも呼ばれ、金融機関からの融資や社債の発行などさまざまな種類があります。

デットファイナンスの特徴は、集めた資金の返済義務がある点です。あくまでも負債の一種のため、定められた期間に金利を上乗せして返済しなければなりません。返済や利息の支払いができなくなると、延滞利息の支払いが求められたり強制執行されたりするケースもあります。

またデットファイナンスの債務不履行が発生すると、企業の信頼が低下し今後の資金調達が難しくなる可能性もあります。デットファイナンスを利用するのであれば、しっかりと返済計画を立てることが重要です。

デットファイナンスの主な種類

デットファイナンスには、主に以下の7種類があります。

  • 公的融資
  • 銀行融資(プロパー融資・ビジネスローン)
  • 社債
  • 私募債
  • コマーシャルペーパー
  • ソーシャルレンディング
  • シンジケートローン

ここでは、それぞれの概要およびメリットデメリットを解説します。

公的融資

公的融資とは、政府系金融機関が貸し出す融資です。メリットおよびデメリットを以下で確認しましょう。

メリット デメリット
  • 銀行よりも借入条件が柔軟
  • 金利が低め
  • 長期での借入が可能
  • 無担保で借りられる場合もある
借入までに時間がかかることが多い

メリットは銀行融資と比較し借入条件が柔軟で、経営実績が少ないベンチャー企業でも借りやすい点です。デメリットには審査に時間がかかるため、急な借入には対応しにくい点があげられます。

公的融資は日本政策投資銀行や日本政策金融公庫、商工組合中央金庫などが実施しています。ここでは日本政策金融公庫による新規開業資金と、地方自治体による制度融資を詳しく見ていきましょう。

新規開業資金

新規開業資金は、日本政策金融公庫による公的融資です。2024年3月に新創業融資が廃止された後、新たにスタートしました。制度の概要は以下のとおりです。

項目 詳細
利用できる方
  • 新事業を始める方
  • 事業開始から約7年以内の方
資金使途
  • 新事業開始の資金
  • 事業開始後の設備資金
  • 事業開始後の運転資金
返済期間
  • 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
  • 運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
基準利率
(2024年7月22日時点)
税務申告を2期終えている方 2.35~3.55%
税務申告を2期終えていない方 2.60~3.80%
担保を付けた場合 1.35~3.15%
担保および保証人 要相談

新規開業資金の対象は女性や若者、シニアの方、廃業歴等があり創業に再チャレンジする方、中小会計を適用する方など幅広く、特に創業およびスタートアップを支援します。基準利率は上記のとおりですが、年齢や性別、経歴などによって適用金利が変わる可能性があるため、融資を希望する方はぜひ一度相談しましょう。

参考)日本政策金融公庫「新規開業資金」
参考)金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫

制度融資

制度融資は地方自治体および信用保証組合、金融機関の3つの機関が連携して実施する融資です。3つの機関はそれぞれ、以下の役割を担っています。

概要 具体例
地方自治体 利用者の負担を軽減する役割
  • 利子の補助
  • 信用保証料の補助
金融機関 融資を実行する役割 融資の審査および可否の判断
信用保証組合 信用保証を出す役割 債務者が返済不能になったときに、保証人として弁済する

制度融資は、自治体によって対象者や借入条件などが異なります。借入を希望する方は、市区町村窓口や金融機関で相談しましょう。

銀行融資(プロパー融資・ビジネスローン)

銀行融資とは都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合といった民間の金融機関から資金を調達する方法です。銀行融資には、プロパー融資とビジネスローンの2つの種類があります。銀行融資のメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 金利が低め
  • 大きな金額の借入も可能
審査が厳しい

銀行融資は、他の借入方法と比較して低い金利で資金調達ができます。企業の信用力が高い場合や、価値がある担保を設定したときには大きな金額の借入ができる可能性もあります。

一方、銀行融資は公的融資と比較して審査が厳しいです。スムーズに融資を受けるには、財務状況がわかる資料をしっかりと準備し、審査に臨むことが重要です。

プロパー融資

プロパー融資とは、銀行と直接契約を結ぶローンです。信用会社からの保証がないため、万が一債務不履行が発生した場合は、銀行が貸倒の損失をすべて引き受けます。プロパー融資の特徴は、以下のとおりです。

  • 審査が厳しい
  • 主な融資対象は大企業や中堅企業
  • 保証付ローンよりも金利が低め
  • 大きな資金の借入も可能

保証会社を付けないプロパー融資は、債務不履行のリスクを軽減するために厳しい審査が実施されます。そのため融資を受けられるのは、一般的に大手企業や中堅企業に限られます。審査に通過すれば、保証付きローンよりも低い金利で大きな資金の借入も可能です。

ビジネスローン

ビジネスローンとは法人や個人事業主が申込可能な、事業資金専用のローンです。民間の銀行や信販会社が取り扱っており、借り入れた資金は新規事業の立ち上げ資金や設備投資資金、取引先への支払いなどに使用できます。ビジネスローンの特徴は、以下のとおりです。

  • 審査に通りやすい
  • 融資までの時間が早い
  • 無担保無保証での融資が可能な場合もある
  • 金利が高い
  • 借入金額が限られる

ビジネスローンは比較的審査が簡単で無担保で借りられる場合もあるため、事業実績や信用力がない企業でも借りやすいローンです。また申込から短時間で融資を受けられることから、緊急で資金が必要なときに利用を検討したい資金調達方法の1つといえるでしょう。

一方、金利が高く借入金の額が限られる点には注意が必要です。また、ビジネスローンの借入記録は、銀行融資の審査に影響を与える可能性があります。そのためビジネスローンの利用は一時的なものに止め、資金に余裕ができたら速やかに返済を進めることが重要です。

参考)ビジネスローンおすすめ21選

社債

社債とは、一般の事業会社が発行する債券です。債券市場を通じて投資家に売り出すことで、広く資金の調達をします。社債にはさまざまな種類がありますが、デットファイナンスでは一般的に普通社債が利用されます。

社債のメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 企業の信用力によっては低い金利で発行できる
  • 一般的に借入元本は満期時に一括返済すればよい
  • 大きな額の借入を目指せる
発行に手間がかかる

社債は、事業会社があらかじめ決定した金利で発行されます。信用力が低い企業は高い金利を設定し、購入者を募る必要があるでしょう。一方、信用力が高い企業は金利を低くしても購入者が集まるため、低金利でまとまった金額の資金調達を目指せます。

社債発行の注意点は、手間がかかる点です。有価証券報告書や有価証券通知書の提出および、取締役会または株主総会での決定が必要な場合もあるため、社債発行を検討しているのであれば計画的に準備を進めましょう。

私募債

私募債とは前項で解説した広く一般に募集される社債(公募債)とは異なり、金融機関やその他特定少数の50名未満の投資家に引受を依頼し発行されるものです。私募債のメリットおよびデメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 公募債と比べ発行手続きが簡単
  • 信用力の向上につながる
発行にコストがかかる

私募債は債券発行の手続きの多くを銀行が担当するため、事務手続きの手間を抑えられます。また財務状況が健全な企業で発行されることが多く、信用力の向上につながります。なお、一定の財務水準をクリアした企業であれば借入金の一括償還も可能です。

私募債を発行するのであれば、コストがかかる点は知っておきたいポイントです。私募債の多くは、金融機関や信用保証協会などが償還の保証をします。そのため発行には、保証料や手数料がかかることは押さえておきましょう。

コマーシャルペーパー

コマーシャルペーパー(CP)とは、公開市場において無担保で発行される約束手形です。一般的に1年未満の短期での資金調達を目的とし、引受人は機関投資家や金融機関となります。コマーシャルペーパーのメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 比較的低い金利で資金調達ができる
  • 会社の信用力向上につながる
信用力が低い企業は利用が難しい

コマーシャルペーパーの発行金利は、企業の信用力によって決まります。そのため信用力が高い企業は、低い金利で資金調達が可能です。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの1つで、融資を受けたい企業と資金提供による利益獲得を狙う投資家を仲介するサービスです。

資金調達を希望する企業はまずサービスに登録し、出資者を募ります。サービスの運営会社は集まった資金を取りまとめ、信託会社を通して企業に融資をします。ソーシャルレンディングのメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
融資までの時間が比較的短い 金利が高い

ソーシャルレンディングは審査がないため、比較的短い時間で融資を受けられます。また、運営会社が事務を取りまとめてくれるため、手続きの手間が少ないといった特徴もあります。一方、ソーシャルレンディングは他の借入方法よりも金利が高くなることが多い点には注意しましょう。

なお、ソーシャルレンディングは比較的新しい資金調達方法の1つです。トラブルなどを防ぎスムーズに資金を集めるには、信頼がおけるサービス運営会社を選ぶことが重要です。

シンジケートローン

シンジケートローンは、アレンジャー(幹事金融機関)を中心とした複数の金融機関で構成されるシンジケート団から融資を受ける方法です。1つの契約書に基づき、同一の条件で複数の融資を受けられます。シンジケートローンのメリットおよびデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 借入条件や返済スケジュールを柔軟に決定できる
  • 事務負担を抑えられる
  • 審査が厳しい
  • コストがかかる

シンジケートローンは、借入条件や返済スケジュールを柔軟に決められるほか、幹事金融機関が事務を取りまとめるため、借入の手間が少ないといった特徴があります。

一方で、複数の金融機関と取引をするため手数料が嵩む点には注意が必要です。また、複数の銀行からまとまった金額の融資を受けるため、審査が厳しいことも覚えておきましょう。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの違いとは

企業の資金調達方法には、デットファイナンスのほかエクイティファイナンスもあります。エクイティファイナンスとは、新株発行により資金調達する方法です。デットファイナンスとエクイティファイナンスの主な3つの違いを、以下で確認しましょう。

返済義務や利子の有無 貸借対照表の扱い 株主の議決権
デットファイナンス あり 負債 なし
エクイティファイナンス なし 純資産 あり

ここでは、それぞれの相違点を詳しく解説します。

返済義務や利子の有無

相違点の1つめは、返済義務と利子の有無です。デットファイナンスは、融資や社債の発行により資金を調達します。そのため、あらかじめ決められた満期には元本の返済が必要なほか、利子の支払いも求められます。

一方、株式の発行により資金を調達するエクイティファイナンスは、元本の返済義務および利子の支払いが発生しません。定期的に利子や返済に充てる資金を用意する必要がなく、より自由に資金を使えるでしょう。

だからといって、投資家に何のリターンも渡さなくてよいわけではありません。企業活動により利益がでたときには、株価の上昇や配当金によって利益の一部を出資者に還元する必要があることは押さえておきましょう。

「負債」と「純資産」の違い

相違点の2つめは、貸借対照表上の表記の違いです。貸借対照表において、デットファイナンスは負債に分類されます。一方、エクイティファイナンスは純資産として扱われます。

純資産とは、返済義務がない自己資本です。純資産の比率が大きい企業は、債務者の意見や意向から受ける影響が少なく健全な経営状態であると判断されます。そのためエクイティファイナンスを実施すれば、財務面での安定性の向上を図れるでしょう。

株主の議決権の有無

相違点の3つめは、株主議決権の有無です。株式には、株式の保有率に応じて株主が経営に参加する権利(議決権)が付与されます。そのため、エクイティファイナンスを実施すると、経営者が持っている権利が希薄化する恐れがあることは覚えておきましょう。

持株比率によって行使できる主な権利は、以下のとおりです。

持株比率 行使できる権利
持株比率が33.4%以上 株主総会の特別決議への単独否決
持株比率が50.0%超 株主総会の普通決議を単独で可決
持株比率が66.7%以上 株主総会における特別決議を単独で可決
持株比率が90.0%以上 株主の強制買い上げ(スクイーズアウト)が可能

このように経営者の持株比率が減少すると、経営権を失う可能性もあります。エクイティファイナンスを実施するにあたっては、経営権を保持できる範囲内で発行株式数を慎重に決定することが肝心です。

デットファイナンスを資金調達に活用するメリット

デットファイナンスを資金調達に活用する主なメリットには、以下の5つがあげられます。

  • 節税につながる
  • 税負担に影響がない
  • 経営権の分散を防げる
  • 資金繰りを予測しやすい
  • 融資元からの信用度が向上する

どの資金調達方法を選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

節税につながる

デットファイナンスを実施すると、節税効果を得られます。なぜなら利息の支払い分は法人税の対象外となり、所得から差し引けるからです。

仮に、5,000万円の利益があったとしましょう。利息の支払いがない場合、課税所得は5,000万円となり、仮に法人税率が30%とすると法人税は1,500万円(5,000万円×30%)です。一方、500万円の利息を支払ったときには、課税所得は4,500万円(5,000万円-500万円)に減り、法人税は1,350万円(4,500万円×30%)に圧縮できます。

利息による税額の圧縮は、法人税率が高いほど効果が期待できます。資金調達と併せて節税を図りたいと考えているのであれば、デットファイナンスは有力な選択肢となるでしょう。

税負担に影響がない

デットファイナンスは、エクイティファイナンスのように税負担に影響がない点も特徴です。エクイティファイナンスを実施すると、純資産(自己資本)が増加します。資本が増加すると、以下の優遇税制の対象外になる可能性があります。

資本金が1億円以下の中小法人で受けられる主な優遇税制
優遇税制の種類 詳細
法人税率の軽減 所得800万円以下の部分については税率が15%になる
(中小法人以外の法人税率は23.2%)
欠損金の繰越控除
  • 欠損金繰越控除について所得金額の100%まで損金算入可
  • 欠損金繰戻還付(1年間)が可能
貸倒引当金の損金算入 貸倒引当金を一定の限度額の範囲内で損金算入可

※ただし以下の法人を除く

  • 前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える
  • 資本金の額等が5億円以上である法人等との間にその法人等による完全支配関係がある

上記のほか多くの市区町村では、資本金が1,000万円を超えると法人住民税が高くなります。税負担を増やすことなく資金調達をしたいと考えているのであれば、集めた資金を「負債」とできるデットファイナンスを検討しましょう。

参考)財務省「中小法人に対する課税に関する資料」
参考)中小企業庁「法人税率の軽減」
参考)横浜市「法人の市民税」
参考)西東京市「法人市民税」

経営権の分散を防げる

デットファイナンスは、経営権の分散も防げます。先述のとおりエクイティファイナンスでは、新株の発行により経営者の権利の希薄化が発生する可能性があります。新たな株主に議決権の過半数が渡ってしまうと、経営権を失う事態にもなりかねません。

経営権を手元に残したままの資金調達を希望する方は、デットファイナンスも選択肢となります。

資金繰りを予測しやすい

資金繰りを予測しやすいのも、デットファイナンスの特徴です。利益の大きさにより投資家に還元するリターンを決定するエクイティファイナンスは、配当金としていくら用意しておけばよいかの予測が立てられません。

一方デットファイナンスでは、資金調達時に借入期間や借入金利、利息支払日、返済日などが決定します。そのため、事前に資金計画を立てやすい調達方法といえるでしょう。

融資元からの信用度が向上する

借り入れた資金の返済を滞りなく行えば、融資元の信用力の向上につながります。信用力が向上すれば次回借入時の金利が下がったり、借入限度額があがったりする可能性もあるでしょう。

一方、返済が遅れてしまうと信用力が下がり次回以降の借入条件が悪くなる、または借入ができなくなるケースもあります。デットファイナンスを利用するにあたっては、あらかじめ返済計画をしっかりと立てたうえで、無理のない借入をすることが肝心です。

デットファイナンスを通じた資金調達のデメリット

次に、デットファイナンスを通じた資金調達のデメリットを3つ解説します。デットファイナンスを利用すると、完済まで返済を継続しなければなりません。納得がいく資金調達を実現するには、デメリットもしっかりと押さえておくことが重要です。

返済義務があり計画的な運用が必要

デットファイナンスは、返済義務がある資金調達方法です。期限内に返済できなかった、利息の支払いが滞ったときには、延滞利息の支払い請求や強制執行の可能性があることは知っておきましょう。

また、予定された返済ができないと企業の信用力に影響し、他の金融機関からの借入もできなくなるかもしれません。デットファイナンスを利用するのであれば、何よりも計画的な運用を心掛けてください。

負債が増え自己資本比率が低下する

先述のとおりデットファイナンスで集めた資金は、負債として扱われます。そのため、自己資本比率が下がる可能性があることは押さえておきましょう。

自己資本比率は、企業の信用力や経営の安定性を計る材料としても活用されます。減少すると今後の融資や補助金、助成金の申請に影響する可能性もあることは覚えておいてください。

自己資本比率は一般的に、高いほうが良好な財務状況と考えられます。健全な自己資本比率がどのくらいかは業界によって異なりますが、一般的に少なくとも30%以上、50%以上あれば安定した経営状態と判断されるようです。デットファイナンスを実施するのであれば、実施後の自己資本比率も考慮して借入金額を決定しましょう。

どの企業も利用できるわけではない

デットファイナンスは、企業の信用力や返済力を基に借入の可否や金額が決定します。そのため、資金調達の整備ができていない個人事業主や中小企業、事業実績が少ないベンチャー企業などは利用できないケースもあります。その場合は、他の資金調達を検討するしかなさそうです。

デットファイナンスが向いている企業の特徴とは

最後に、デットファイナンスが向いている企業の特徴を解説します。

まとまった資金を早急に調達したい

まとまった資金を早急に調達したいと考えている方も、デットファイナンスは有力な選択肢となるでしょう。特に、銀行以外の金融機関や信販会社といったノンバンクの融資は、スピードが早い調達方法の1つです。ただし、ノンバンクからの融資は金利が高く設定されることが多いため、収支のバランスを考えて借入の判断をすることが重要です。

中・長期的な収益化が見込める

中・長期的な収益が見込める企業も、デットファイナンスに適した企業といえます。デットファイナンスは、滞りなく返済を続けていく必要があります。そのため、売上の上昇や売掛金の入金といった安定した収益化が見込めるのであれば、負担を抑えた返済ができるでしょう。

加えて返済実績を上手に積み上げることで将来的にさらに大きな融資を獲得し、企業の成長につなげられる可能性もあります。

一定の業績があり担保が用意できる

一定の業績があり担保が用意できる企業も、デットファイナンスが適しているでしょう。デットファイナンスの中には、無担保無保証で借りられるものと担保が必要なものがあります。

担保を設定した融資は、無担保よりも大きな金額の借入を目指せます。特に担保の価値が高い場合、多額のローンの借入が可能になるケースもあるためぜひ検討しましょう。

また融資の審査では決算内容が重要な判断材料となるため、一定の業績がある企業はデットファイナンスを利用しやすいです。デットファイナンスの申込をするにあたっては、貸借対照表や損益計算書の内容をしっかりと把握して臨みましょう。

企業の経営権を保持したい

先述のとおり、企業の経営権を保持したい場合もデットファイナンスは選択肢です。エクイティファイナンスのように経営権の希薄化が発生しないため、安心して資金調達ができるでしょう。

中小企業や個人事業主の中には、投資家からの出資を集めるのが難しいと感じる方もいるかもしれません。その場合も、デットファイナンスの活用を検討してください。

デットファイナンスまとめ

デットファイナンスは、有利子負債による資金調達方法です。金融機関からの借入や社債の発行、コマーシャルペーパー、シンジケートローンなどさまざまな種類があります。

デットファイナンスを利用するメリットは、利息を所得から差し引くことで節税効果が期待できる点です。エクイティファイナンスのように経営権の希薄化が起きない点や、資金繰りを予測しやすい点も魅力としてあげられます。

デメリットには万が一返済が滞ったときに企業の信用力に影響がでる点や、自己資本比率の低下につながる点があげられるでしょう。

デットファイナンスは安定した収益が見込める企業や、一定の業績や担保を有する企業が適しています。デットファイナンスの利用を検討しているのであれば、決算書などにしっかりと目を通したうえで、金融機関に相談しましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒103-0006
東京都中央区日本橋富沢町12-8 Biz-ark日本橋6F
所属団体 一般社団法人Fintech協会
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