補助金と助成金の違いとは?種類や給付金の意味も解説

更新日:2024年11月28日

補助金と助成金の違い

補助金と助成金の主な違いとして管轄や受給のしやすさなどが挙げられます。また、いずれも支給までに一定の期間を要する点などに注意が必要です。本記事では、補助金・助成金の違いに加え、給付金の意味についても解説します。

目次

補助金と助成金の違いとは

補助金や助成金は、国や地方公共団体などから支給される金額のことを指します。補助金と助成金の主な違いは、以下のとおりです。

  • 管轄
  • 金額
  • 受給のしやすさ

それぞれ解説します。

管轄

管轄する主な機関が、補助金と助成金の主な違いです。

補助金は主に経済産業省や経済産業省の下部組織である中小企業庁などが管轄しています。それに対して、助成金を管轄している主な機関は厚生労働省です。

なお、補助金の種類によっては厚生労働省が管轄しているケースもあります(例:保育対策総合支援事業費補助金)。また、自治体や公共財団法人などが助成金事業を担うこともあるでしょう。手続きを進める際は、管轄機関だけで安易に補助金か助成金か判断せず、制度概要を確認することが大切です。

金額

支給される金額を補助金と助成金の違いとして挙げることもあります。

制度によっても異なりますが、補助金の方が助成金よりも高い金額を受給できることが一般的です。補助金は数百万円から数億円単位で支給される場合があるのに対し、助成金は数十万円から数百万円程度が支給額として設定されています。

ただし、補助金は基本的に支出した金額の全額を支給される制度ではありません。補助金の支給額はあらかじめ定められた補助率にしたがってが決められることが一般的です。

受給のしやすさ

受給のしやすさ(しにくさ)も、補助金と助成金の違いのひとつです。助成金の方が補助金よりも受給しやすい傾向にあります。

補助金は、あらかじめ採択数や金額の上限が決められていることが一般的です。そのため、対象の補助金に対して上限を超える応募があった場合は、たとえ要件を自社が満たしていたとしても審査の結果次第で支給を受けられない可能性があります。

それに対し、助成金は一定の要件を満たしていれば受給できることが一般的です。ただし、あくまで一般的な傾向で、必ずしも助成金の方が受給しやすいとは断言できない点に注意しましょう。

ここまでの説明からわかるように、補助金と助成金の違いが厳格に決められているわけではありません。ここから、補助金と助成金の一般的な概要について解説します。

補助金とは

補助金とは、事業者の取り組みをサポートするために国や自治体などが資金の一部を補助する制度のことです。ここから、補助金の目的や種類、受けるまでの流れについて解説します。

補助金の目的

補助金の主な目的は、中小企業の新規事業や設備の導入などを促進することです。

たとえば、サービス等生産性向上IT導入支援事業における「IT導入補助金2024」は、中小企業や小規模事業者が抱える経営課題を解決するため、ITツールを導入することを支援の目的としています。また、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業や小規模事業者が直面する制度変更に設備投資などを支援することが主な目的です。

参考)IT補助金事務局「IT導入補助金2024」
参考)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業 事務局「ものづくり補助金総合サイト」

補助金の種類

2024年の補助金の例を以下にまとめました。

  • IT導入補助金2024
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 省力化投資補助金
  • 事業再構築補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者などの販売開拓や業務効率化といった取り組みを支援するために、経費の一部を補助する補助金です。また、省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業などに対して課題を解消するために、IoTやロボットといった製品導入にかかる経費を支援することを目的としています。事業再構築補助金とは、ポストコロナに対応した事業再構築に挑戦する事業者などを支援するための補助金です。

なお、上記はあくまで一例で、毎年受給できる補助金が異なります。申請期限もそれぞれ違うため、検討している場合は早めに対象の制度概要を確認しておきましょう。

参考)商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局「商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金」
参考)中小企業省力化投資補助金 事務局「中小企業省力化投資補助金」
参考)中小企業等事業再構築促進事業 事務局「事業再構築補助金とは?」

補助金を受けるまでの流れ

補助金を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 「支援情報ヘッドライン」などを活用して、自社に適した補助金を探す
  2. 要領を確認して、申請書類を事務局に提出する
  3. 申請書類の内容に基づき、事務局から採択の可否が通知される
  4. 採択されたら、交付が決まった内容で事業を実施する
  5. 事業の実施後、結果を事務局に報告する
  6. 事務局の確認後、対象の補助金が支給される

なお、補助金の対象となるエビデンスは、事業終了後も一定期間保管しておかなければなりません。

参考)独立行政法人中小企業基盤整備機構「支援情報ヘッドライン」

助成金とは

助成金とは、事業者の取り組みをサポートするために国や自治体などが資金の一部を助成する制度のことです。ここから、助成金の目的や種類、受けるまでの流れについて解説します。

助成金の目的

助成金を支給する主な目的は、事業者が抱える労働環境改善などの課題解消や、就業支援を促すことです。

たとえば、「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」では、生産性を向上させ、働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援しています。また、「雇用調整助成金」は、経済上の理由で事業活動を縮小せざるをえない事業主に対し、雇用の維持を図るためにかかる費用を助成することが主な目的です。

参考)厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」
参考)厚生労働省「雇用調整助成金」

助成金の種類

2024年に実施されている助成金の例を以下にまとめました。

  • 働き方改革推進支援助成金
  • 雇用調整助成金
  • 業務改善助成金
  • 人材開発支援助成金

「業務改善助成金」は生産性向上につながる設備投資を実施し、事業場内の最低賃金を一定額以上に引き上げた際に、かかった費用の一部が支援される助成金です。また、「人材開発支援助成金」では、雇用する従業員に対して、職務に関連する専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練などを実施した場合に、対象経費や期間中の賃金の一部が助成されます。

参考)厚生労働省「業務改善助成金」
参考)厚生労働省「人材開発支援助成金」

助成金を受けるまでの流れ

助成金を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 「支援情報ヘッドライン」などを活用して、自社に適した助成金を探す
  2. 要領を確認して、実施計画を申請する
  3. 実施計画を開始する
  4. 計画を実施後、報告書とともに助成金を事務局に申請する
  5. 事務局の確認後、対象の助成金が支給される

なお、原則として実施計画に沿って実施された場合にのみ、助成金が支給されます。

補助金や助成金を受ける際に気をつけること

補助金や助成金を受ける際に気をつけることは、主に以下のとおりです。

  • 支給までに一定の期間を要する
  • 受給できるとは限らない

それぞれ解説します。

支給までに一定の期間を要する

補助金や助成金の受給を予定している場合は、実際にお金を受け取るまでには一定の期間を要することに注意しましょう。種類によって異なりますが、申請してから数か月から1年程度かかることがあります。

また、補助金や助成金は基本的に後払いです。そのため、手元にある程度の余裕資金を用意しておかなければ、事業を実施できません。余裕資金がない場合は、あらかじめ金融機関に相談して短期の借入金も検討しましょう。

受給できるとは限らない

申請しても、必ず受給できるとは限らない点に気をつけましょう。すでに紹介したとおり、要件を満たしていたとしても採択数の上限がオーバーしていれば、審査結果次第で補助金を受けられないことがあります。

また、補助金や助成金の支給が決定していても、事業実施後に提出する報告書次第で受けられない可能性がある点に注意が必要です。「報告書の提出を怠る」「報告書の内容がずさん」「エビデンスを添付していない」などに該当すると、補助金・助成金が支給されないことがあります。

さらに、タイミングも意識しておかなければなりません。対象の事業期間以外に支出した経費については、受給対象外のことがあります。

補助金や助成金と給付金の違い

補助金や助成金と同様に、給付金も一定の金額を受けられる制度です。補助金・助成金が主に事業者を対象としているのに対し、給付金は個人も対象になる点が主な違いとして挙げられます。

ここから、給付金の概要や具体例について確認していきましょう。

給付金とは

給付金とは、国や地方自治体などが主に個人に対して支給するお金のことです。原則として、要件を満たす人が申請すれば給付金を受け取れます。

給付金には、返済義務が定められていません。また、使途が定められておらず、受け取ったお金を自由に使えることが一般的です。

給付金の支給目的は種類によって異なります。生活の支援や経済の活性化を図ることなどが、支給する主な目的です。

給付金の具体例

給付金の具体例のひとつが、雇用保険の被保険者が産後パパ育休を取得して一定の要件を満たした場合に受けられる「出生時育児休業給付金」です。また、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合にも、一定の要件を満たせば「育児休業給付金」を受けられることがあります。

失業中に一定の要件を満たした際に受け取れる基本手当も、給付金の一種です。失業中の生活を心配せずに、新しい仕事を探して1日も早く再就職できるようにするため、給付金を支給しています。

なお、コロナ禍においてもさまざまな給付金がありました。たとえば、2020年に1人当たり10万円を給付した「特別定額給付金」は、感染拡大防止に留意しつつ迅速かつ的確に家計へ支援することを目的とした給付金です。

参考)厚生労働省「育児休業給付について」
参考)ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

補助金と助成金の違いまとめ

補助金と助成金の主な違いとして、管轄している団体が挙げられています。補助金は主に経済産業省が管轄するのに対し、助成金を管轄しているのは主に厚生労働省です。

また、要件を満たしても採択されない可能性があるため、補助金の方が受給が難しい点を違いとして挙げることもあります。ただし、「管轄」も「受給のしやすさ(しにくさ)」も補助金・助成金の種類によって異なるため、明確な違いは断言できません。

受給を検討している場合は、「支援情報ヘッドライン」などを活用して自社に適した補助金・助成金を探し、制度概要をしっかりと把握したうえで手続きを進めましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
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