クレジットカード現金化は違法?仕組み・方法やリスクを説明
更新日:2024年06月18日

クレジットカードを現金化すること自体は、違法と言い切れません。しかし、犯罪に巻き込まれる可能性があり、カード会社から一括返済を求められることもあるため、利用は避けましょう。
本記事では、クレジットカード現金化の仕組みや、トラブルに遭わないための対策について解説します。現金が必要なときの一般的な手段も紹介するため、急にお金が必要になった方や、ビジネスで資金調達が必要になった方は参考にしてください。
目次
クレジットカードの現金化とは
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を換金目的で利用することを指します。
ショッピング枠とは、クレジットカードを使って一括払いで買い物したり、各種支払いに利用したりする際の枠のことです。それに対して、利用可能枠(利用限度額)はショッピング枠とキャッシング(お金を借りられるサービス)枠を含めた全体の利用枠を指します。
本来、お金が必要になったときはクレジットカードのショッピング枠ではなく、キャッシング枠を利用することが一般的です。しかし、キャッシング枠を使い切っている人、キャッシングに対して抵抗がある人に対して、業者がショッピング枠を活用して現金を調達することを提案するケースがあります。
クレジットカード現金化の方法・仕組み
クレジットカードを現金化する方法(仕組み)は、主に以下の2種類です。
- 買取方式
- キャッシュバック方式
それぞれ解説します。
買取方式
買取方式(買取屋による方式)とは、ショッピング枠を使って購入した商品を買取業者に売却することで、現金を調達する方法を指します。現金化の際には、換金率が高い商品を購入することが一般的です。
主な流れを以下にまとめました。
- クレジットカードでブランド品・商品券・ギフト券などを購入する
- 購入品を使用せずに買取業者に売却する
- 支払日にクレジットカード会社に代金を支払う
この方法で一時的に現金を得られますが、利用者は当然クレジットカードの支払日に代金を支払わなければなりません。
また、現金化の業者から手数料の支払いも求められるでしょう。業者の役割として、方法のみを示唆する、方法を示唆して自身で商品を買い取る、方法を示唆した上で販売も買取も担うの3つのパターンが考えられます。
キャッシュバック方式
キャッシュバック方式(キャッシュバック付き商品の販売による方式)とは、業者が販売する商品をクレジットカードで購入し、商品とあわせてキャッシュバックも受け取ることにより、現金を調達する方式です。利用者は、支払日が到来した際に商品代金とキャッシュバック分をあわせて支払わなければなりません。
主な流れは、以下のとおりです。
- ブランドの時計・バッグなどを購入する
- 商品が送られてくる
- 現金が口座に振り込まれる
- 支払日にクレジットカード会社に代金を支払う
キャッシュバック方式では、一般的に購入時に掲載されている画像と、送られてくる商品が異なることがあります。なぜなら、購入者自身が商品の購入ではなく、現金の受け取りを目的として買い物をしているためです。
取引上は高級ブランドの時計を購入しているにもかかわらず、100円均一の時計が代わりに送られてくるなどのケースが考えられます。
クレジットカード現金化は違法?合法?
クレジットカードを現金化することを、違法と断言はできません。しかし、以下の理由からはっきりと合法といえるものでもないため、グレーゾーンにあたる行為でしょう。
- 規約の禁止事項に該当する場合がある
- 出資法に違反する場合がある
それぞれ説明します。
規約の禁止事項に該当する場合がある
クレジットカードの現金化は、クレジットカード会社の規約・約款に記されている禁止事項に該当する場合があります。規約とは、クレジットカードを利用するにあたって定められているルールのことです。
クレジットカード会社によって、「紙幣の購入」や「違法な取引に使用すること」と並び、「現金化を目的とした商品やサービスの購入」を禁じていることがあります。
出資法に違反する場合がある
クレジットカードの現金化は出資法に違反する場合があります。
出資法とは、出資金の受け入れや金銭消費貸借契約における手数料・金利などについて定めたものです。現金化で業者が受け取る手数料率(金利)が、出資法の上限金利(20%)を上回るものであれば、刑事罰の対象となります。
また、クレジットカードの現金化は一般的に貸金業に該当する行為です。そのため、貸金業登録をしていない業者がクレジットカードの現金化をすることは違法にあたります。
なお、貸金業に登録している業者かどうかは、登録貸金業者情報検索サービスや、財務局・各都道府県で最新情報をチェック可能です。
クレジットカード現金化はリスクのある取引
クレジットカードの現金化は、さまざまなリスクを抱える取引です。主なリスクとして、以下の点が挙げられます。
- 犯罪に巻き込まれる可能性がある
- カード会社から一括返済を求められる
- 債務整理がしにくくなる
- 高額な手数料を払わなければならない
- カードやローンを利用できなくなる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
犯罪に巻き込まれる可能性がある
クレジットカードの現金化をしたことで、犯罪に巻き込まれる可能性がある点がリスクです。
すでに紹介したとおり、貸金業に登録せずクレジットカード現金化を勧誘するのは悪徳業者である可能性があります。悪徳業者なら、入手した利用者の個人情報をネットに流出させたり、振り込め詐欺などの違法行為に利用したりすることがあるでしょう。
代金を支払えなくなった際に、時間・場所問わず悪質な取り立てを受ける可能性もあります。また、そもそも悪徳業者なら、当初予定していた現金(キャッシュバック)を振り込むとは限りません。
カード会社から一括返済を求められる
クレジットカードの現金化をすることで、カード会社から一括返済を求められることがある点もリスクです。
一般的に、クレジットカード会社の規約には、「クレジットカードの現金化」を禁ずる条項が記載されています。規約に違反する場合は、残金の一括請求といったペナルティを受けるでしょう。
そのほか、カードの利用停止や強制退会の処理をされることもあります。
債務整理がしにくくなる
債務整理がしにくくなることもリスクです。債務整理とは、自己破産のように借金の支払い義務を免除してもらったり、任意整理のように毎月の返済負担を減らしたりする手続きを指します。
一般的に、クレジットカード現金化は破産法第252条1項2号に該当する行為です。そのため、状況や経緯によって、裁判所で自己破産が認められない可能性があります。
自己破産ができないと、借金を抱えたままさらに生活が苦しくなるでしょう。
高額な手数料を払わなければならない
高額な手数料を払わなければならない点もリスクです。
クレジットカードを現金化するにあたって、業者に手数料を払わなければなりません。また、買取方式を利用する場合も、本来の価格より安い値段で売却することになるでしょう。
そのため、仮に調達した資金にまったく手をつけなかったとしても、より多くの現金を返済日に支払わなければなりません。安易にクレジットカード現金化を選択したことで、損失や負債を抱えることになります。
カードやローンを利用できなくなる可能性がある
クレジットカードの現金化に使用したカードを強制退会させられるだけでなく、ほかのカードや銀行の各種ローン(マイカーローン・住宅ローン・教育ローンなど)を利用できなくなる可能性がある点もリスクです。
カード会社は、一般的に規約に反する「クレジットカード現金化」をした利用者を信用情報に登録します。信用情報とは、個人の過去から現在までの客観的な取引事実を記した情報のことです。
金融機関は、クレジットカードやローンの申し込みを受け付けた際に、信用情報を確認します。そのため、信用情報に規約違反の事実が残っていると、審査に通りにくくなるでしょう。
現金が必要なときの一般的な手段
現金が必要になったときは、本来以下の手段を検討することが一般的です。
- キャッシングを利用する
- カードローンを利用する
- 分割払い・リボ払いなどを活用する
それぞれの概要を説明します。
キャッシングを利用する
キャッシングとは、お金を借りられるサービスの総称です。
クレジットカードには、キャッシング機能が付帯している場合があります。キャッシング機能があれば、クレジットカードを使ってコンビニATMなどでキャッシング枠の範囲内で借入可能です。
キャッシングを利用するメリットとして、すぐにお金を借りられる点、使途が自由な点などが挙げられます。一方で、キャッシングを利用するとその分ショッピング枠が減ること、金利が高い場合があることがデメリットです。
カードローンを利用する
カードローンとは、銀行などの金融機関が提供する主に個人向けの融資サービスです。カードローンのためだけにカードを発行するカードローン専用型と、普通預金のキャッシュカードと一緒になった「キャッシュカード兼用型(キャッシュカード一体型)」があります。
銀行のATMやコンビニのATMですぐに借り入れられる点や、一般的に年会費がかからない点などが主なメリットです。一方で、金利が高い場合がある点、商品によって返済額の決め方が異なる点などに注意しなければなりません。
なお、カードローンはキャッシングと異なりショッピング枠に左右されない分、限度枠が広く設定される傾向にあります。
分割払い・リボ払いなどを活用する
分割払いとは、ショッピングやサービスを利用する際に支払回数(3回以上)を指定し、分割で支払う方法です。一方、リボ払いとは、クレジットカードを利用した金額・回数に関係なく一定の金額を毎月支払う方式を指します。
分割払いは決まった回数を支払うのに対し、リボ払いは決まった金額を毎月支払う点が主な違いです。どちらも、1回あたりの返済額を抑えられる点がメリットとして挙げられます。ただし、その分手数料が発生するため、総支払額が膨れあがる点に注意しましょう。
ここで紹介した3つは、クレジットカード現金化と異なり、いずれも一般的に使われる合法的な手段です。ただし、いずれも返済計画を立てた上で無理のない範囲で利用しましょう。
トラブルに遭わないための対策
車を買う際や子どもの教育にかける際、ビジネスで設備資金や運転資金を要する際など、さまざまな場面でお金が必要になることがあります。お金が必要なときにトラブルに遭わないために、以下の対策を検討することが大切です。
- クレジットカードの現金化の利用を避ける
- 不審な内容の契約はしない
- 多重債務問題は信用できる機関に相談する
それぞれ解説します。
クレジットカードの現金化の利用を避ける
ここまで紹介してきたとおり、クレジットカードの現金化はリスクのある取引です。クレジットカード会社が定める規約の禁止事項にもあたるため、利用は避けましょう。
消費者庁や各自治体でも、クレジットカードの現金化をしないよう注意喚起しています。同様に、「先払い買取現金化」などをうたうサービスにも注意が必要です。
不審な内容の契約はしない
クレジットカードの現金化に限らず、不審な内容の契約はしないことが大切です。
金融サービスを利用する予定がなくても、悪質な業者は、魅力的な部分だけをアピールして勧誘してきます。トラブルや犯罪に巻き込まれることを回避するために、契約内容をしっかりと確認し、少しでも不審なことがあれば家族や消費生活センターなどに相談しましょう。
多重債務問題は信用できる機関に相談する
多重債務の問題を抱えている場合は、信用できる機関に相談しましょう。多重債務とは、すでにある借金を返済するために、別の金融業者からお金を借りている状態のことです。
多重債務に陥っていると、正式な貸金業登録をしている機関から借りることが難しくなるため、クレジットカードの現金化や先払い買取現金化の利用を検討する可能性が高まります。
しかし、クレジットカードの現金化などを利用すると手数料が発生するため、借金は膨れあがるばかりです。取り返しのつかなくなる前に、消費生活センターの多重債務相談窓口や弁護士会が無料で実施する法律相談窓口に相談しましょう。
クレジットカード現金化とはまとめ
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を換金目的で利用することです。主に買取方式とキャッシュバック方式といった方法があります。
急にお金が必要になった際、金融機関から借り入れる代わりにクレジットカードの現金化を利用することを勧誘する業者や、アピールするサイトに出くわすことがあるでしょう。しかし、一般的にクレジットカードの現金化は規約に違反するため、利用してはいけません。
お金が必要になったら、トラブルや犯罪に巻き込まれたり、高額な手数料を支払うことになったりする事態を避けるため、クレジットカード現金化以外のキャッシングやカードローンといった手段の利用を検討しましょう。また、キャッシングやカードローンを利用する際も、計画的な利用が大切です。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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