起業・開業時における資金調達の方法とは?融資以外の手段も解説

更新日:2025年08月18日

起業 資金調達

起業・開業時は、当面の運転資金を確保したり予想外の出費に備えたりするために資金調達を検討しなければなりません。主な方法は、銀行融資・出資・クラウドファンディングなどです。この記事では、起業・開業時における各資金調達方法のメリット・デメリットや、調達時の注意点について解説します。

目次

起業(開業・会社設立)の資金調達とは

起業・開業の資金調達とは、新たに会社を設立したり事業を始めたりするにあたって、必要なお金を調達することです。ここから、起業時に資金調達が必要な理由や、資金調達額の目安について解説します。

起業時に資金調達が必要な理由

起業時に資金調達が必要となる主な理由は、当面の運転資金を確保するためです。

起業しても、会社や提供する商品・サービスが知られていなければ、十分な売上を出すことは期待できません。また、うまく販売できたとしても、資金回収までに時間がかかります。そのため、あらかじめ少なくとも3か月程度の運転資金を準備しておくと安心でしょう。

さらに、設備資金にも資金調達が必要になる場合があったり、起業時に取得する店舗・オフィスや設備などの費用が高額で、自己資金だけではまかなえないことがあったりもします。

また、予想外の出費に備えるためにも、資金調達は欠かせません。

起業時の資金調達額の目安

起業時の資金調達額の目安は、会社の規模・業種などによっても異なります。そのため、自身や会社を取り巻く状況を踏まえて必要な額を算出することが大切です。例えば、店舗を開業する場合は物件取得費や内装工事費、飲食店の場合は食材の仕入れ費用や運転資金など、業種ごとに必要な費用を洗い出したうえで、資金調達額の目処をつけるのが良いでしょう。

日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額の平均は1,197万円でした。ただし、そのうち約24.5%は自己資金が占めています。

自己資金以外の資金調達方法は、主に以下の6つです。

  • 銀行融資
  • 知人・親族からの借入
  • 出資
  • クラウドファンディング
  • 補助金・助成金
  • ビジネスコンテスト

ここから、各方法について解説します。

参考)日本政策金融公庫「新規開業に関する調査 定例調査 新規開業実態調査」

起業時の資金調達方法1:銀行融資

銀行融資とは、事業資金を銀行から借りて資金調達する方法のことです。日本政策金融公庫のような政府系金融公庫から借りるケースや、メガバンク・地方銀行・信用金庫などの民間金融機関から借りるケースがあります。

ここで、銀行融資で資金調達するメリットやデメリットについて押さえておきましょう。

銀行融資で調達するメリット

銀行融資で資金調達する主なメリットは、銀行との接点ができることです。起業時に融資を受けたことをきっかけに銀行と良好な関係を築き上げれば、今後の事業拡大などで新たな資金需要が発生した際にも相談しやすいでしょう。

また、基本的に経営に介入されることがない点もメリットです。株主総会で役員の解任を提案されるなどの心配はありません。

さらに、日本政策金融公庫で創業融資に関する制度を利用すれば、比較的低金利で借りられる点もメリットです。たとえば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用すれば、条件を満たす場合に特別利率での融資を受けられる可能性があります。

参考)日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

銀行融資で調達するデメリット

調達するまでに時間がかかる場合があることが、銀行融資で資金を調達するデメリットです。銀行に申し込んでから審査・契約を経て融資が実行されるまでに、1か月程度はかかります。

また、事業計画書や資金繰り表の提出などで手間がかかる点もデメリットです。手間をかけて申し込んでも、審査で承認を得られなければ資金を調達できません。

さらに、調達した額はいずれ返さなければならないため、将来的に資金繰りを圧迫する可能性がある点もデメリットです。金利が高ければ、利息支払の負担も重くなるでしょう。

起業時の資金調達方法2:知人・親族からの借入

銀行以外に、知人や親族からの借入で資金調達する方法もあります。メリットとデメリットを確認しておきましょう。

知人・親族からの借入で調達するメリット

知人・親族から借りる場合は、時間や手間がかからない点がメリットです。銀行のように必要書類の提出や審査などが厳密でない分、比較的スムーズに借りられる可能性があります。

また、交渉次第で低金利もしくは無利息で借りられる点もメリットです。ただし、利息に相当する額の利益を受けたものとして、国税庁から贈与とみなされる可能性がある点に注意しましょう。

知人・親族からの借入で調達するデメリット

返済が滞った場合に、人間関係が悪化する点が知人や親族からの借入で資金を調達することのデメリットです。何度もしつこく借入をお願いすることで、相手から距離を取られることもあるでしょう。

また、相手が資産家でない限り、銀行と比べて借りられる金額が少なくなることもデメリットです。そのため、知人・親族からの借入だけでは起業に必要なお金を調達できない可能性があります。

起業時の資金調達方法3:出資

出資とは、新たに発行した株式を提供する代わりに、法人や個人から資金の提供を受ける資金調達方法を指すことが一般的です。

会社が成長して高いリターンを得ることなどを目的とする、VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家などから、出資を受けられることがあります。VCは主にスタートアップやベンチャー企業に対して出資する組織、エンジェル投資家は創業後間もない企業に対して出資する投資家のことです。

また、開発する商品やサービスに魅力があれば、事業会社から出資を受けられるケースもあるでしょう。事業会社とは、コンサル・士業や金融業と異なり、自社で商品やサービスを提供する会社のことです。

ここから、出資を受けて資金調達するメリットとデメリットを紹介します。

出資を受けて調達するメリット

原則として返済の義務が生じない点が、出資を受けて資金を調達するメリットです。借入のように、調達後に返済負担が重くなり資金繰りを圧迫する心配はありません。

また、経営のノウハウをもつVCやエンジェル投資家から、経営に関するアドバイスを得られる点もメリットです。例えば、事業の成長戦略や販路開拓、組織づくりなど、専門的な知見から多岐にわたるアドバイスを得られます。事業会社から調達する場合は、知名度や生産設備を活用できる場合もあります。

出資を受けて調達するデメリット

調達後、出資者から経営に関与される可能性がある点が、出資を受けるデメリットです。資金と引き換えに渡す株式数次第で出資比率が大きく変動することがあります。

出資比率は、株主の権利・権限を判定する際に重要な指標です。たとえば、出資比率が3%を超える株主には株主総会の招集を請求できる権利、出資比率が3分の1を超える株主には単独で特別決議の可決を阻止する権限があります。

そのため、出資を受けて資金調達する際は、出資比率がどれくらい変わるのかを把握したうえで出資元と交渉しなければなりません。

起業時の資金調達方法4:クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、主にオンライン上で不特定多数の個人から資金を調達する方法のことです。クラウドファンディングは、調達手段や目的によって以下のような種類があります。

  • 購入型(支援者は資金を提供する代わりに商品やサービスを受けられる)
  • 寄付型(基本的に、寄付者にはリターンが発生しない)
  • 株式投資型(投資家は、資金と引き換えに未公開株を取得できる)
  • 融資型・貸付型(投資家の資金を集めて企業に融資し、返済金の一部を投資家に分配する)

ここから、クラウドファンディングで調達するメリットとデメリットを解説します。

クラウドファンディングで調達するメリット

クラウドファンディングを通じて、会社やプロジェクト、商品・サービスの知名度を上げられる点が主なメリットです。知名度が高ければ、本格的に事業を開始した際にスムーズに売上につなげられるでしょう。

また、あらかじめ消費者のニーズを掴めることもメリットです。たとえば、購入型クラウドファンディングの場合は商品やサービスと引き換えに資金を得るため、需要があるのかを事前に確認できます。需要がないことが判明した際は、改良したり別の商品・サービスを検討したりすることで、事業のリスクを軽減できるでしょう。

クラウドファンディングで調達するデメリット

資金調達の手段として利用しようとしても目標金額に達しない可能性があることが、クラウドファンディングのデメリットです。資金調達がうまくいかない場合は、別の方法を考えなければなりません。

また、寄付型を除き、基本的に何らかのリターンを提供しなければならない点もデメリットです。リターンの種類によっては、コストや手間の面で調達後に大きな負担を抱えることもあるでしょう。

さらに、資金調達にあたってプロジェクトや商品・サービスの概要を周知するため、事業を軌道に乗せる前にアイデアを盗用される可能性がある点もデメリットです。

起業時の資金調達方法5:補助金・助成金

国や自治体などから補助金・助成金を受け取って、資金調達する方法もあります。補助金は特定の事業に対して交付され、原則として公募審査で採択されます。一方で、助成金は雇用の安定や職場環境の改善など、特定の目的に対して支給されるものが多く、要件を満たせば原則として受給できます。

ここから、補助金・助成金で資金調達するメリットとデメリットを紹介します。

補助金・助成金を利用して調達するメリット

原則として返済の義務が生じない点が、補助金や助成金で調達するメリットです。ただし、受給後に違反が発覚した場合は、返金を求められる可能性があります。

また、経営権に影響を及ぼさない点も補助金や助成金のメリットです。株式と引き換えに資金を調達する出資と異なり、補助金・助成金は申請が通ればそのまま受給できます。

さらに、助成金の場合は要件を満たせば基本的に受給できるため、調達できるか判断しやすい点もメリットです。

補助金・助成金を利用して調達するデメリット

手間がかかる点が、補助金や助成金で資金調達することのデメリットです。補助金や助成金を受給するには、自分で要件を調べて必要書類を揃え、申請書を提出しなければなりません。

また、申請してから補助金・助成金を受け取るまでに時間がかかるうえに、「後払い」である点もデメリットです。基本的に、対象の事業・プロジェクトを終えて事務局に報告してから受給するため、まずは自社で対象の支出に対して資金を用意しなければなりません。

さらに、補助金の場合は、要件を満たしても受給できるとは限らない点がデメリットです。採択予定件数以上の応募が集まった場合、審査に通らないと受給できません。

起業時の資金調達方法6:ビジネスコンテスト

ビジネスコンテストに応募して、資金調達する方法もあります。

ビジネスコンテストとは、ビジネスに関するアイデアやビジネスプランを参加者で競うイベントのことです。官公庁・民間企業などさまざまな団体で、開催されています。

ビジネスコンテストで勝ち抜けば、一定の額の資金調達が可能です。ここから、ビジネスコンテストで資金を調達するメリットとデメリットを紹介します。

ビジネスコンテストで調達するメリット

ビジネスコンテストで得た賞金は、返済する必要がない点がメリットです。そのため、返済負担のことを気にせず、賞金を事業に投入できます。

また、自社の事業計画について専門家からアドバイスを得られる点もメリットです。今まで経営の経験がなくても、アドバイスを参考にしてより現実に即した事業計画を立てられるでしょう。

さらに、ビジネスコンテストに参加している人とのつながりができたり、発表を通じて自社の名前や商品・サービスについてより多くの人に知ってもらえたりする点もメリットです。

ビジネスコンテストで調達するデメリット

アイデアを盗用されるリスクがある点が、ビジネスコンテストに参加するデメリットです。発表時に自社の情報が公開されるため、現段階でどの部分までを明らかにすべきか、十分に考慮しなければなりません。

また、必ずしも資金調達できるとは限らない点も、デメリットです。発表の準備に時間や労力をかけても、プレゼンの出来次第で受賞を逃す可能性があります。

なお、ビジネスコンテストで成功するには、自社のサービス内容や資金調達目的にあったコンテストに参加することが大切です。ビジネスコンテストの情報については、経済産業省のサイトから確認できます。

参考)経済産業省「ビジネスプランコンテスト」

起業の資金調達時に注意すること

起業にあたって資金調達する際は、以下の点に注意しましょう。

  • スケジュールを考慮する
  • あらかじめ必要な金額・目的を明確にする

それぞれ解説します。

スケジュールを考慮する

調達手段によって資金を受け取れるまでにかかる時間や受け取れる可能性が異なるため、スケジュールを考慮することが大切です。たとえば、設備の購入や仕入れなどですぐに資金が必要な場合は、後払いの補助金・助成金などで調達しようとしても対応できません。

資金が必要になってから慌てることのないように、早めに資金調達手段の検討や手続きなどを進めておきましょう。

あらかじめ必要な金額・目的を明確にする

各調達手段によってメリット・デメリットがあるため、あらかじめ必要な金額や目的を明確にしておかなければなりません。

たとえば、店舗を購入するために数千万円の資金が必要な場合に、クラウドファンディングだけでは必要な額を調達できない可能性があります。また、経営に介入されずに自由に方針を決めたい場合は、多額の出資を受けることも避けたほうがよいでしょう。

起業後にも利用できる資金調達方法

起業後に運転資金や設備資金で新たに資金需要が発生した場合は、紹介した方法以外に以下で資金を調達することがあります。

  • ファクタリング
  • 固定資産の売却
  • M&A

ファクタリング

ファクタリングとは、取引先に対する売掛債権をファクタリング事業者に売却することで、期日前に資金を調達する方法です。自社・ファクタリング事業者の間で契約する2者間ファクタリングと、自社・ファクタリング事業者・取引先の間で契約する3者間ファクタリングがあります。

ファクタリングを利用するメリットは、スピーディーに資金調達できる点です。一方で、事業者によっては高額の手数料がかかる場合がある点がデメリットとして挙げられます。

固定資産の売却

固定資産の売却とは、自分や会社が所有する不動産を売却することで、資金を調達する方法です。ただし、不動産を所有していない場合は利用できない点、不動産があっても買い手が見つからない限り資金調達に活用できない点に注意しなければなりません。

M&A

M&Aとは、企業の合併や買収のことです。M&Aの株式譲渡や事業譲渡などを用いて会社や事業を売却すれば、多額の資金を調達できる可能性があります。M&Aで資金調達する場合も買い手が見つからないと利用できない点や、取引先や従業員に迷惑がかかる点に注意が必要です。

起業の資金調達まとめ

起業の際は、当面の運転資金を確保したり、予想外の出費に備えたりするために資金調達を検討することが大切です。調達目的や自社を取り巻く環境などに応じて、銀行融資・出資・クラウドファンディングなどの手段を活用しましょう。

また、各手段によってかかる期間が異なるため、いつまでに資金が必要かを考えておくことも重要です。起業後スムーズに事業を軌道に乗せられるよう、起業前から綿密に計画を立てましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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