小切手とは?種類や振出と換金の方法、メリット、デメリットを解説

更新日:2025年07月17日

小切手

小切手とは、物やサービスの代金を支払う方法の1つです。この記事では、小切手の3つの種類と利用の流れを解説します。併せて、小切手のメリットとデメリットおよび、小切手を利用した際の2つの仕訳例も紹介します。決済手段として小切手の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

小切手とは?基本事項を確認

小切手は、一定の金額の支払いに利用できる有価証券の1つです。物やサービスの代金を支払う際に利用できるため、「現金を持ち歩きたくない」「現金以外の方法で決済をしたい」と考えるのであれば、有力な決済方法の1つとなるでしょう。

小切手は、現金とは仕組みが大きく異なります。ここではまず、小切手の基本事項を見ていきましょう。

小切手の仕組み

小切手は、銀行から発行される小切手を使って、お金をやり取りする仕組みです。

この仕組みでは、銀行に当座預金の口座を開設して小切手を振り出す人を「振出人」、その小切手を受け取る人を「受取人」、銀行に持ち込み換金する人を「持参人」といいます。

例えば、A社がB社に商品を販売したとしましょう。B社は、代金を支払うために小切手を振り出す、振出人です。A社はB社から商品代として小切手を受け取るため、受取人となります。持参人は、小切手を銀行に持ち込み換金するA社の担当者が該当します。

このように、受取人と持参人は、場合によっては異なるケースもあることを覚えておきましょう。

小切手の有効期限

小切手には、振出日の翌日から数えて10日目までの換金が可能な期間(有効期限)があります。この期間を過ぎると、換金できなくなるおそれがあるため、期限内に速やかに現金化の手続きを進めましょう。

なお、小切手の法的な有効期限は、6ヵ月です。しかし、10日で換金ができなくなるのは、10日を過ぎると振出人は銀行に決済の取り消しを請求できるためです。

商品やサービスの代金を確実に回収するためには、受け取った小切手の期限をしっかりと管理し、忘れずに換金しましょう。

不渡りとは?

不渡りとは、小切手の支払い日に振出人による支払いが行われなくなる状態です。不渡りが出る要因はさまざまですが、多くの場合は、振出人の当座預金残高が小切手の額面に満たないことにより発生します。

小切手の不渡りが発生すると、振出人の社会的な信用力が大きく低下します。信用力が低下すると、銀行との取引がストップしたり、融資を受けられなくなったりするリスクがあります。

小切手を振り出す際は、当座預金の残高をしっかりと把握することが重要です。

小切手と手形の違い

小切手と同じく、決済手段として利用できる有価証券に「手形」があります。小切手と手形の違いを、以下で確認しましょう。

小切手 手形
換金のタイミング 受取直後から 支払期日到来後から
用途 現金に代わる即時決済 短期の信用取引
支払期日の法的拘束力 なし あり
不渡りリスク あり あり
収入印紙の要否 不要 必要

手形は、振出日から1~4ヵ月ほど先に設定される支払期日到来後に、換金が可能になります。手形の振出人にとっては、現金を用意するまでに時間的な余裕ができるため、資金繰りにゆとりを持たせられるでしょう。

一方の受取人は、すぐに代金の支払いを受けたい場合には、手形ではなく小切手での決済を依頼することが肝心です。

小切手の3つの種類

小切手は、現金化の方法などによって、以下の3つに分類されます。

  1. 持参人払小切手
  2. 線引小切手
  3. 先日付小切手

それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.持参人払小切手

持参人払小切手とは、受取人が名義が指定されていない小切手のことです。小切手を銀行窓口に持参すれば、原則として誰でも換金できるため、非常に自由度が高い種類といえるでしょう。

銀行で交付される小切手は、持参人払小切手が採用されています。そのため、実際に使用されている小切手のほとんどはこの形式です。

ただし、誰でも換金できる持参人払小切手は、紛失や盗難のリスクがあります。小切手を受け取った際は、紛失したり盗まれたりすることがないよう管理することが肝心です。

2.線引小切手

線引小切手とは、小切手の上部に2本の平行線が引かれている小切手のことです。線引小切手は、横線小切手(おうせんこぎって)と呼ばれることもあります。

この小切手を銀行窓口に持ち込むと、現金ではなく、口座への振込によって代金が支払われます。

線引小切手の特徴は、振込先が記録に残るため、誰が資金を受け取ったかが明確になる点です。盗難や紛失、不正利用のリスクを軽減したい場合には有効な手段となります。

3.先日付小切手

先日付小切手とは、実際の振出日よりも未来の日付が、振出日として設定されている小切手のことです。小切手での決済を希望するものの、現時点では支払うだけの資金を用意できないケースに利用されます。

ただし、先日付小切手の利用で留意すべき点は、振出日に法的効力がないことです。持参人が銀行窓口に先日付小切手を持ち込むと、たとえ振出日前であっても、換金の手続きが進められます。

持ち込まれたときに当座預金口座の残高が不足している場合、小切手は不渡りとなります。不渡りを出すと、会社の信用力が大きく下がるかもしれません。このような事態を招かないためにも、先日付小切手の利用は慎重に判断することが重要です。

小切手を振り出す流れ

小切手は、以下の手順で振り出します。

  1. 当座預金口座を開設する
  2. 小切手帳を受け取る
  3. 必要事項を記載し割印を押す

小切手での決済を検討している方は、ぜひ事前知識として押さえておきましょう。

1.当座預金口座を開設する

小切手は、当座預金口座から振り出します。口座を保有していない場合は、まずは取引を希望する銀行に開設の申込をしましょう。申込後、銀行所定の審査に通過すると、口座が開設されます。

ただし、当座口座を開設しただけでは、小切手の振り出しはできません。なぜなら、銀行が勝手に振出人の口座から資金を移動することはできないためです。小切手を振り出すには、銀行と振出人の間で、支払い委託契約の締結が必要です。

支払い委託契約が完了すれば、小切手の振り出しが可能になります。不渡りを出さないよう、振り出す小切手の額面以上の資金を口座に入れておくことが肝心です。

2.小切手帳を受け取る

当座預金口座の準備ができたら、銀行が用意している小切手帳の交付を受けましょう。

スムーズかつ安全に小切手を取り扱うために、各銀行は統一した書式の小切手帳を用意しています。小切手の振り出しを希望する場合は、事前に小切手帳を受け取っておきましょう。また、小切手の振り出しに使用する印影(届出印)の登録もこの段階で済ませておくと安心です。

なお、小切手帳の発行には、銀行ごとに定められた手数料がかかります。金額は銀行によって異なるため、事前に確認しましょう。

3.必要事項を記載し割印を押す

小切手を振り出すには、以下の必要事項を記載します。

記載項目 詳細
①「小切手」であることを示す文字 小切手帳の小切手であれば、印刷済み
②支払委託の文句 小切手帳であれば、印刷済み
この文言があることで、持参人に現金が支払われる
持参人部分を二重線で消し、特定の人物を指名することも可能(指名式小切手)
③金額 改ざんを防ぐために、金額の前に「¥」、終わりに「※」や「也」を記入する
手書きで記入する際は、旧字体の漢数字で書く
④支払地 当座預金口座がある銀行の住所
⑤支払人の名称 当座預金口座がある銀行の名称
⑥振出日 振り出した日付を記入
先日付小切手であれば、先の日付になる
⑦振出地 最小独立行政区画(市町村、東京都では区)を記入
⑧振出人の署名 銀行に届けている署名を記入する
振出人が法人のときは、会社名および代表者名、代表者の役職を記入し、その下に銀行届出印を押す

上記のほか、小切手本体と控えの間に、銀行への届出印で割印を押します。割印は、小切手のミシン目部分に半々でまたがるように押しましょう。割印は必須ではありませんが、小切手の偽造や改ざんといった不正行為を防止する効果があるため、押すことをおすすめします。

小切手を換金する方法

小切手の換金は銀行窓口に持ち込んで行います。。銀行によって、それぞれ以下の違いがあります。

店頭呈示 取立委任
概要 小切手に記載されている「支払銀行」の窓口で直接換金する方法 持参人の取引銀行に小切手を持ち込む方法
現金化までのスピード 早い。最短即日も可能 数日~1週間程度かかる
手数料 なし あり

店頭呈示は、小切手に記載された支払銀行の窓口に直接赴く手間がかかりますが、換金が早く手数料もかかりません。急ぎで現金を回収したい方や、コストを抑えたい方は、店頭呈示が向いているでしょう。

一方で、取立委任は、持参人が頻繁に利用する取引銀行で換金ができますが、現金化まで数日かかる点や、手数料がかかる点には注意が必要です。小切手に記された銀行が近くにない場合は、手数料がかかることなどを理解したうえで、取立委任を選びましょう。

小切手を利用するメリット

小切手を利用する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 多額の現金を持ち歩く必要がなくなる
  • 紛失時に振出人が支払銀行に連絡すれば、支払いを停止できる
  • 支払い記録が残る
  • 信用力が高まる

小切手は、金額にかかわらず証書を1枚受け渡すだけで、決済が完了します。仮に支払額が大きい場合でも、多額の現金を持ち歩く必要がなくなるため、盗難や紛失などのトラブルの発生を防げるでしょう。

小切手を利用すれば、会社の信用力や取引先からの信頼性が上がる可能性もあります。小切手を振り出せる会社は、当座預金口座の開設の審査に通っており、不渡りを出すことなく小切手を利用していることがわかります。このように、会社としての信用力を向上させる手段の1つとしても、小切手の利用は有効といえるでしょう。

小切手を利用するデメリット

小切手を利用するデメリットは、以下のとおりです。

  • 当座預金口座を管理する必要がある
  • 不渡り発生時の影響が大きい
  • 小切手の記載ミスが発生する可能性がある
  • 不正利用のリスクがある

小切手を利用するのであれば、当座預金口座の管理は気を付けなければなりません。残高不足により不渡りが出ると、銀行との取引停止などが発生するおそれがあることは、覚えておきましょう。

また、小切手は、記載ミスや不正利用のリスクも伴います。仮に記載内容に不備があると無効になるリスクもあります。金額や署名のミス、印鑑の押し忘れなどは、換金不能につながることがあります。

さらに、小切手は紙の証書であるため、紛失・盗難時には第三者による不正利用のリスクも否定できません。持参人払小切手の場合、特に注意が必要です。

小切手を利用する際は、作成不備や紛失などを防ぐために、細心の注意を払って取り扱うことが大切です。

小切手をスムーズに利用するポイント

小切手をスムーズに利用するポイントには、以下があります。

  • 受取時に記載内容をしっかり確認する
  • 小切手に記載された銀行で換金する
  • 紛失時は事故届を提出する

それぞれを詳しく解説します。

受取時に記載内容をしっかり確認する

小切手の受取人は、受取時に記載内容をしっかりと確認することが重要です。

例えば、金額欄に「¥」や「※」が記入されていないといった不備がある場合は、その場で振出人に修正してもらいましょう。また、振出日や振出人の名前が間違っている場合も、振出人に修正をしてもらいます。

追記や修正が難しい場合には、正しい内容の小切手を再度振り出してもらえるよう、振出人に相談してください。

小切手に記載された銀行で換金する

スムーズな現金化を望む場合は、小切手に記載された銀行の窓口で換金をしましょう。

小切手は、即時決済が可能な有価証券のため、小切手に記載された銀行の窓口であれば、即日での換金が可能です。一方、記載された銀行以外の銀行窓口に小切手を持ち込んだ場合、現金化までに数日かかります。

商品やサービスの代金をできるだけ早く受け取りたい場合は、小切手の受取時に、記載された銀行も確認すると安心です。

紛失時は事故届を提出する

万が一、小切手を紛失したときは、振出人から銀行に事故届を出しましょう。事故届が出されると、銀行は小切手の支払いを停止するため、不正利用の可能性がなくなります。また、事故届と併せて、警察へ遺失届または紛失届を出してください。

なお、銀行に事故届を出す際は、小切手に記載されている金額を銀行に預け入れる必要があります。金額の預託ができない場合、振出人は銀行との取引を停止されるおそれがあることは覚えておきましょう。

小切手の仕訳例

ここでは、小切手の仕訳例を「自社が振り出した場合」と「他社から小切手を受け取った場合」の2つのケースで紹介します。

小切手の導入を検討している方や仕訳に不安がある方は、知識として押さえておきましょう。

自社が振り出したときの仕訳

小切手は、当座預金の預入金から支払われます。そのため、自社が小切手を振り出した際には、「当座預金」勘定で仕訳をします。

仮に、A社から商品を仕入れるにあたり、10万円の小切手を振り出したとしましょう。その場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方 貸方 摘要
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 10万円 当座預金 10万円 A社への仕入代の支払いとして、小切手振り出し
小切手整理番号〇〇〇〇-××

摘要欄には、取引の内容が明確になるよう、取引先の名前や振り出した小切手整理番号を記載しましょう。

他社から受け取ったときの仕訳

他社が振り出した小切手を受け取ったときには、勘定科目は「現金」で仕訳をします。

仮に、B社に販売した商品代金15万円を小切手で受け取った場合の仕訳は、以下のとおり

借方 貸方 摘要
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 15万円 売掛金 15万円 小切手整理番号△△△△-××により、B社の売掛金を回収

小切手を銀行に持ち込んで換金し、当座預金に入金したときには、以下の仕訳をしましょう。

借方 貸方 摘要
勘定科目 金額 勘定科目 金額
当座預金 15万円 現金 15万円 小切手入金
小切手整理番号△△△△-××

小切手は2026年度末までに電子化の予定

小切手は2026年度末までに全面的に廃止され、電子決済サービスに移行される予定です。

ここでは、売掛債権による決済が電子化されるメリットと、小切手に代わる選択肢として2つの電子決済システムを紹介します。

小切手での決済を利用している方は、電子化後の対応についてあらかじめ考えておくことで、スムーズな移行を目指しましょう。

参考)2026年度末までに紙の手形・小切手の全面的な電子化|全銀協

電子化によるメリット

小切手を電子化する主なメリットには、事務負担やコスト、盗難・紛失リスクの軽減があります。メリットの詳細を、振り出す側と受け取る側のそれぞれの立場から確認しましょう。

メリット
事務負担の軽減 コストの軽減 盗難や紛失リスクの軽減
振り出す側 小切手の発行が不要になる 小切手帳発行代や印刷代が不要になる 現物がなくなるため、紛失や盗難による不正利用のリスクが減る
受け取る側 受け取った小切手の管理や銀行への持ち込みが不要になる 小切手に記載された銀行以外で換金する際の手数料が不要になる 現物がなくなるため、盗難や紛失による未回収リスクが減る

上記に加え、電子化されることで、時間や場所を選ばずにインターネット上で決済ができるようになります。

小切手に代わる電子決済システムの一例

小切手に代わる電子決済システムの一例には、インターネットバンキングによる振込や、電子記録債権(でんさい)があります。

インターネットバンキングを利用すれば、自社の銀行口座から他社の銀行口座に振込ができます。インターネットバンキングによる決済に切り替える場合は、取引先に口座番号を確認しましょう。

でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称 でんさいネット)が運営する、電子記録債権のことです。売掛債権(売上債権)をオンライン上でやり取りすることで、前項で紹介したメリットを得られます。

なお、でんさいを利用するには金融機関の窓口で申し込み、審査に通過していなければなりません。また、取引相手もでんさいを利用している必要があります。決済手段としてでんさいを利用したい場合は、計画的に導入を進めることが大切です。

参考)でんさいとは|でんさいネット

小切手まとめ

小切手とは、一定の支払いに使用できる有価証券です。振出人が振り出した小切手を、持参人が銀行窓口で換金することで、支払いが完了します。

小切手を使用すれば支払額が大きくても多額の現金を持ち歩かずにすむことや、支払いの記録が残ることから、現金決済の代わりとして利用されます。

なお、小切手は2026年度末までに廃止され、電子決済システムに移行する予定です。小切手を利用している方は、あらかじめ対応を検討し、計画的に移行準備を進めましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
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顧問弁護士 AZX総合法律事務所

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