事業計画書の書き方を解説│おすすめテンプレートも紹介

更新日:2025年03月21日

事業計画書

事業計画書は、事業の全体像と将来展望を明確にするための重要な書類です。事業の目的や目標、戦略、資金計画などを具体的に記載し、関係者への説明や資金調達の際に活用します。本記事では、事業計画書の基本的な書き方や記載すべき項目を詳しく解説するとともに、活用できるテンプレートを紹介しま。業種別の記入例や作成時のポイントも解説しますので、これから事業計画書を作成する方は、ぜひ参考にしてください。

目次

そもそも「事業計画書」とは

事業計画書とは、企業の目標や戦略、行動計画、収益見込みを明文化し、社内外に共有するための書類です。事業の具体的な内容や収益性を示すことで、融資や資金調達の場面でも重要な役割を果たします。

明確な計画を立てることで、経営者自身が事業の方向性を整理できるだけでなく、関係者に対しても説得力のある説明が可能です。さらに、事業が停滞した際には、課題の洗い出しや改善策の検討をするための指針としても機能します。

事業計画書の作成にあたっては、「誰に何を提供するのか」「どのような強みがあるのか」「利益の見込みはどれくらいか」「必要な資金はどの程度か」などを明確にすることが求められます。

事業計画書の目的と必要な場面

事業計画書の目的や必要な場面について解説します。主な目的は関係者との情報共有で、必要な場面は外部から資金調達する際です。

まず、事業計画書は、事業に関わるメンバー間で情報を共有するも目的で活用されます。資金調達の方法や投資対象、売上向上の施策などを明確にすることで、関係者全員が共通の認識を持ち、一体感のある事業運営を実現できます。

次に、事業計画書が必要な場面は外部から資金を調達するときです。自己資金のみで事業を始めるのは難しいときに、銀行融資や投資家からの出資などを検討する必要があります。金融機関や投資家は、融資や出資の判断材料として事業計画書を確認します。そのため、資金調達には、事業の継続的な収益性を示し、信頼を得なければなりません。

ただし、事業計画書はあくまで事業の実現可能性を示すツールであり、作成に注力しすぎて事業自体の妥当性の検証がおろそかにならないよう注意が必要です。事業の優位性や独自性を綿密に検証し、その結果を計画書に反映させる必要があります。

事業計画書を作成するメリット

事業計画書は、起業や新規事業を成功に導くための羅針盤といえるでしょう。自身のビジネスアイデアを具体的に整理し、将来の道筋を明確にする重要なツールとして、多くの起業家に活用されています。ここでは、事業計画書の主なメリットについて解説します。

事業内容を可視化できる

事業計画書を作成することで、自身の思考を整理し、事業の全体像を明確にできます。頭の中で考えているだけでは見落としがちな要素も、書き出すことで気づくことがあります。

事業の目的やアイデア、売上目標、経営環境などを具体的に記載すると、将来のビジョンがより明確になるでしょう。また、課題や解決策を整理することで、計画の精度も高まります。

さらに、書面化された事業計画は、第三者にも伝わりやすくなるのもメリットのひとつです。マーケティング戦略やターゲット層へのアプローチ、さらには競争優位性を明確にすることで、事業の流れや方向性も客観的に判断しやすくなるでしょう。

関係者と事業内容を共有できる

事業計画書を作成することで、関係者と事業の方向性を明確に共有できます。事業の規模が拡大すると、創業者の考えだけでは円滑な運営が難しくなるため、計画の可視化が重要です。

計画を文書化することで、ビジネスパートナーや投資家、金融機関、スタッフなどと共通認識を持ちやすくなります。事業の進むべき方向や根拠を示すことで、関係者が迷わず足並みをそろえやすくなるでしょう。また、社外へのアピールにも活用でき、信頼を得る材料ともなります。

トップの役割は、事業の方向性を決め、関わる人々にそれを伝えることです。計画の共有が不十分であれば、事業が停滞するリスクも生じてしまいます。しかし、事業計画書があれば、視覚的な情報として伝えられるため、関係者の理解が深まり起業家のビジョンを理解してもらいやすくなるでしょう。

資金提供者へのアピール材料になる

事業計画書は、資金調達の際に資金提供者へ事業の魅力を伝える重要な資料となります。銀行や投資家は、どのような事業をどのように進めるのか、どのような成果を見込めるのかを知りたいため、説得力のある説明を求めています。

事業計画書があれば、口頭での説明よりも短時間で正確に事業内容を伝えられるでしょう。必要な情報が整理されているのであれば、資金提供者の理解が深まり、審査に合格する可能性も高まります。また、事業のリスクや資金計画が明確になるため、収益性や成長性についても判断しやすくなり、審査の迅速化にもつながります。

事業計画書の書き方

事業計画書の書き方に決まりはありませんが、一般的に盛り込むべきとされる項目について解説していきます。

1.創業の理由

創業の理由は、事業の継続力を判断する重要なポイントです。融資を受ける際、金融機関は創業者が困難な状況でも事業を続けられるかを見極めます。そのため、事業を始めた動機や自身の経験、事業との関連性の明確な提示が必要です。

創業目的が漠然としていると、事業の継続性に疑問を持たれる可能性があります。経験を活かし、新規性や独自性のある事業であることを強調することで説得力が増すでしょう。例えば、これまでの職歴や専門知識を活かして市場の課題を解決する事業であれば、実現可能性が高いと判断されやすくなります。

また、すでに取引先や顧客を確保できている場合は、その実績を記載すると信用力が高まります。創業前に取り組んできた準備や市場調査の結果を具体的に伝えることで、融資の審査も有利に進むでしょう。

2.経営者のプロフィール

金融機関や投資家は、経営者の経験や実績を基に事業の安定性を評価します。そのため、事業に関連する経歴や資格の明確な記載が必要です。

経営経験がある場合は、過去の実績を簡潔にまとめることで信頼性が高まります。これまでの事業運営の成果や業界での実績を示すことで、経営能力の客観的な証明が可能です。新たな業種に挑戦する際は、過去の経験をどのように活かすのかの具体的な記述により、計画の実現可能性を示します。

また、保有資格や知的財産権を記載することで、専門性や事業への適性も裏付けられるでしょう。金融機関向けの事業計画書では、勤務歴や担当業務、取得資格を整理し、事業との関連性が伝わる記載内容であるかが問われます。関係のない情報は省き、事業に直結する内容を簡潔にまとめるようにしましょう。

3.事業内容やコンセプト

事業内容やコンセプトは、事業の全体像を明確に伝えるために不可欠です。「誰に」「何を」「どのように」提供するのかをわかりやすく整理し、事業の概要を簡潔に記載しましょう。

事業コンセプトは、起業アイデアを具体化する際の骨格となり、第三者が事業内容についてイメージしやすくする役割を果たします。また、当該事業に関心を持ってもらうきっかけにもなるため、明確かつ魅力的な表現を目指しましょう。

具体的には、以下の3点を整理します。

【ターゲット顧客】

「誰に」に、該当する部分です。性別や年齢、職業、価値観などの要素を設定し、顧客のプロフィールを明確にします。

【提供する商品・サービス】

「何を」に該当し、カテゴリーごとに整理すると事業の全体像が伝わりやすくなります。必要に応じて価格帯などの情報も記載すると、より具体的なイメージを持ってもらえます。

【提供方法・仕組み】

「どのように」に、該当する部分です。図表を活用し、サービスを通じた顧客の変化や得られるメリットを示すことで、理解を深めてもらいやすくなります。

これらの要素をバランスよく記載し、事業の方向性を明確に伝え、説得力のある事業計画書を作成しましょう。

4.商品やサービスの詳細

商品やサービスの内容は、事業の魅力を伝える重要な部分です。

大きな売上シェアが見込める商材や、事業の看板となるような品ぞろえについては、競合他社との違いを説明しながらアピールしましょう。そのためにも、顧客に提供する「目に見える価値」と「目に見えない価値」、付随するサービスがどういったものであるかについての分析が必要です。

また、どのように生産し提供するのかを具体的に記載する必要があります。自社のコストと競合他社との比較や、商品の価値、顧客のコストといった「価格」軸についても分析しましょう。

事業計画書には、商品やサービスなどの単価を記入しますが、どの程度の売上が立つのかについてわかるように記載します。店舗であれば、「見込みの客単価」や「1日の売上予測額」などについて試算するとわかりやすいでしょう。

5.競合や市場規模

競合や市場規模の分析は、事業の成長性を判断するうえで欠かせません。自社の強みや独自性を明確にし、適切な戦略を立てるために、競合の特徴を整理しながら市場環境を把握することが重要です。

まず、競合分析では競合他社を3社ほど選定し、それぞれの商品・価格・流通経路・販売戦略を整理します。競合の強みや弱みを比較することで、自社の差別化ポイントを明確にできます。例えば、価格設定や販売手法の違いを活かすことで、競争優位性の確立につなげられるでしょう。

次に、市場規模の分析では、事業の対象エリアや業界の範囲を明確にし競争環境を把握します。地域密着型の事業では、周辺の競合店舗の分布や、顧客の動向調査が求められます。一方、広域または全国規模の事業では、業界の成長性や市場シェアの動向を把握しつつ、戦略への反映が必要です。

6.従業員数

従業員数は、事業の運営体制と将来計画を示すうえで重要な項目です。事業計画書には、雇用する従業員の数や雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)そして今後の採用計画を明記します。

人員計画は、事業の成長戦略と密接に関連します。売上計画と連動して人員計画を立てることで、人件費や採用コストを予測し、事業の実行可能性と効率性を示しましょう。融資担当者は、この人員計画を通じて、事業の実現性を評価します。

人員計画には、雇用形態別の従業員数を記載します。さらに、事業拡大を見据えた採用予定人数、採用時期、求める人材のスキルなどを具体的に記述するとよいでしょう。組織図を添付し、意思決定の流れや各従業員の役割分担を示すことも、事業の理解を深めるうえで有効な手段です。

留意点としては、取締役監査役などの役員は会社法上の役員であり、ここでいう従業員には含まれません。注意しましょう。

7.自社のセールスポイント

事業計画書では、自社の強みと差別化のポイントを明確に示すことが重要です。そのためには、競合他社の状況を踏まえ、自社のサービスが顧客にとってどのような価値を提供できるかを分析する必要があります。

強みを示す際は、技術力やノウハウ、資格、組織力などの観点から分析しましょう。独自性を強調するだけでなく、それらが市場で受け入れられる妥当性も示すことが求められます。金融機関は、突飛なアイデアを評価しない傾向にあるため、集客や収益につながる論理的な説明を加えることが大切です。

また、強みだけでなく弱みについても整理し改善策を示すことで、計画の実現可能性を高められます。SWOT分析(企業や事業の現状や課題を把握するためのフレームワーク)を活用し、課題を明確にしたうえで、どのように克服していくのか具体的な施策を明記しましょう。

差別化のポイントとして、顧客の利便性や負担感、コミュニケーションなどの観点から考えると、より実効性のある計画となります。

8.販売戦略

販売戦略は、事業の売上に大きな影響を与える重要な要素です。まずは、ターゲット顧客層を明確にし、その顧客層にどのようにサービスや商品を認知させるかについての分析が必要です。

ターゲットを絞り込むことで、戦略の効果が高まりやすいため、販売ターゲットはできるだけ具体的に絞り込むようにしましょう。ターゲットは、性別・年齢層・職業・居住地域・個人または家族・年収などの属性に基づいて絞り込みます。ターゲットを明確にすることで、集客の焦点が定まり、より効果的な対策を立てやすくなるでしょう。

販売戦略は「集客の仕組み」として捉えられます。単なる一時的な販促策や広告ではなく、継続的に売上が見込める仕組みの構築が重要です。そのため、長期的に持続可能であり、一定の効果が見込める戦略を立案する必要があります。

9.主な取引先や顧客

事業計画書における主な取引先や顧客の記載は、事業計画書の信頼性を高めるうえで重要です。販売先、仕入先、外注先の名称や取引シェアなどの情報を明記することで、事業の安定性や実現可能性に対する透明性が向上します。

特に、起業直後に取引先が決まっている場合には、開業後すぐに売上が見込めることを示せるため融資判断において有利に働くでしょう。

また、取引先企業名や取引シェアに代金回収、支払条件などを具体的に記載することで事業の継続性と安定性を示せるため、融資担当者からの信頼を得やすくなります。

10.借入状況

事業計画書における借入状況の記載は、融資や投資の判断において重要な役割を果たします。金融機関は、借入状況を通じて事業主の信用力や返済能力を評価します。虚偽の申告は信頼を損なうため、返済明細書などを参照して正確な情報を記載しましょう。

具体的には、借入先・使い道(事業・住宅・車・教育・カードなど)・借入残高・年間返済額を記入します。個人としての借入がある場合でも、必ずしもマイナス評価にはなりません。例えば、住宅ローンを利用している場合には、銀行の審査に通過していることが証明できるため、信用力の裏付けとしてプラスに評価される可能性があります。

11.事業の見通しに関する項目

事業計画書において、事業の見通しは重要な項目です。売上・売上原価経費・利益に関する見通しを具体的に記載し、事業の収益性や成長性を示すことが求められます。それぞれ見ていきましょう。

売上

売上の見通しを事業計画書に記載する際は、どのように売上を上げていくのか、原価がどの程度になるのかを明確に記載しましょう。

各商品やサービスごとに売上の計算式を示し、個数や顧客数(回転数)に基づいて平均単価を導き出します。商品・サービスの価格に加え、販売数や顧客数の根拠も具体的に示さなければなりません。

また、事業内容によっては、稼働率を加味して売上の根拠を示すこともあります。こうした情報を具体的に計画に反映させることで、売上の実現可能性を高く示すようにしましょう。

売上原価

売上原価は、商品やサービスの提供に直接関係する費用を指します。売上原価を適切に把握することは、事業の収益性を評価するうえで重要です。

売上原価には、商品の仕入価格や仕入れにかかる費用、サービス提供時に発生する固定費が含まれます。原価率は事業の特性に応じて異なるため、それぞれ適切な水準での設定が求められます。

また、原価率を下げるための工夫や、売上単価を上げる施策の検討も重要です。売上原価を正確に把握し、利益を最大化する事業計画の策定を進めましょう。

経費

事業計画書における経費は、事業を運営するために必要な費用を指します。経費の適切な把握は、事業の収益性を評価するために重要です。

人件費は従業員を雇用するための費用であり、法人の場合は役員報酬も含めます。個人事業主の場合、事業主自身の給与は人件費として計上しません。

従業員を雇用している場合は、社会保険料や労働保険料を計上しなければなりません。個人事業主の場合は、常時5人以上の従業員を雇用する場合に、原則として社会保険(厚生年金保険・健康保険)の加入義務が生じます。

家賃は、事務所や店舗の賃料です。自宅兼事務所などを使用している場合は、事業に使用している部分の費用を按分して計算します。

支払利息は、借入金の利息に関する費用です。月間の支払利息は、借入金(元金)の額に適用される利率を乗じて算出します。

その他の経費には、水道光熱費や交通費、通信費広告宣伝費などが含まれます。これらの経費は事業運営に必要なものであり、事業計画に組み込まなければなりません。

利益

利益は、事業の収益性を示す重要な指標であり、事業計画書において重視されます。利益を算出するには、売上から各種費用を段階的に差し引いて予測しましょう。

売上から売上原価・販売費及び一般管理費(人件費・減価償却費など)、営業外費用(借入利息など)、法人税等を順に差し引きます。この過程で、売上総利益営業利益経常利益・税引後の当期純利益の算出が可能です。費用構造を分析することで、費用削減や重点投資のポイントが見えてきます。より正確に予測するなら、営業外収益(受取利息など)や特別収益を足したり、特別損失を差し引く必要がありますが、特別収益と特別損失は事前に予想できるものではなく、営業外収益は利益に対する影響が少ないため、上記の計算方法で出た利益を予測するのでも問題はないと思います。

開業当初からの黒字化が理想ではあるものの、現実的には時間を要する場合が多いです。損益分岐点を超える時期について明確にし、事業開始から軌道に乗るまでの必要資金を算出しましょう。

12.資金計画

資金計画は、事業に必要な資金とその調達方法を示すものであり、事業計画の重要な要素です。資金は、「設備資金」と「運転資金」に大別されます。

設備資金は、店舗や工場、機械設備など、事業開始に必要な設備投資にかかる費用です。運転資金は、商品の仕入費用や人件費、光熱費など事業を継続的に運営するための費用になります。

資金計画では、資金の調達方法も詳細に記載しましょう。自己資金、金融機関からの借入、投資家からの出資など、具体的な調達先と金額を明示する必要があります。

利益計画と連動させ、資金の過不足を把握することも重要です。銀行融資の審査においても、返済能力を示す資料として、資金計画が重視されます。

事業計画書のおすすめテンプレート5選

事業計画書のおすすめテンプレートは、以下のとおりです。

  1. 日本政策金融公庫
  2. J-Net21
  3. Word・Excel
  4. 各金融機関
  5. 各地方自治体

それぞれ見ていきましょう。

1.日本政策金融公庫

日本政策金融公庫では、事業計画書のテンプレートを無料で提供しています。PDFやExcel形式で用意されており、すぐに活用可能です。特に創業融資を希望する場合には、「創業計画書」と「創業計画書記入例」が参考になるでしょう。業種ごとの記入例も公開されているため、事業内容に適した書き方を学べます。

日本政策金融公庫のテンプレートは、資金調達を目的とした事業計画書として広く利用されています。書き方のポイントを押さえたフォーマットのため、事業の方向性を整理しやすく、金融機関にも伝わりやすい構成です。記載方法がわからない場合には、電話で問い合わせることも可能です。融資を検討している場合は、公式サイトからダウンロードして活用するとよいでしょう。

出典)日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード

2.J-Net21

J-Net21は、中小企業基盤整備機構が運営する創業予定者向けのポータルサイトです。事業計画書のテンプレートは、Word版とPDF版が提供されています。

J-Net21のテンプレートは、事業内容を詳しく記載できるよう、枠に余裕をもたせた設計になっています。人員計画や数値計画の項目には、あらかじめ表が用意されており、視覚的に整理しやすい点も特徴です。

必要事項を空欄に入力するだけで、わかりやすく整理された計画書を作成できるため、事業計画書の作成に慣れていない起業家にとって、有用なツールとなるでしょう。

出典)J-Net21 事業計画書の作成例

3.Word・Excel

事業計画書を作成する際、コストを抑えたい場合は無料のWordやExcelのテンプレートを活用するとよいでしょう。ネット上には多くのフォーマットが公開されており、手軽にダウンロードできます。

Word形式のテンプレートは、文章を中心に構成しやすく、事業内容や戦略を詳細に記載するのに適しています。一方、Excel形式は数値計画を整理しやすく、表や計算式を活用することで財務計画の効率的な作成が可能です。

無料のテンプレートの中には、基本的な項目があらかじめ設定されているものもあり、初めて作成する人にとって便利です。有料のテンプレートもありますが、比較的安価なものが多く、必要に応じて導入を検討するとよいでしょう。

4.各金融機関

各金融機関では、事業計画書のテンプレートを提供している場合があります。銀行ごとにフォーマットが異なるため、検討中の金融機関がある場合は、事前にテンプレートの有無を確認しましょう。

プロパー融資(信用保証協会の保証を利用せずに、民間の金融機関が独自で融資をする形態)を受ける際には、信用保証協会の保証がない分、ビジネスモデルや事業コンセプトを明確に伝えることが重要です。

金融機関のテンプレートは、銀行ごとに異なるものの、記載する内容は大きく変わりません。記入方法や不明点がある場合には、窓口に問い合わせることも可能です。事前にテンプレートを入手し、自社の事業内容に合わせて編集することで、融資審査に備えられるでしょう。

プロパー融資では、事業計画書の質が審査に直結します。金融機関が求める情報を過不足なく記載し、事業の独自性や収益性を明確に示すようにしましょう。

5.各地方自治体

各地方自治体では、創業支援や地域経済の活性化を目的に、事業計画書のテンプレートを提供している場合があります。これらは、地域独自の支援制度や補助金制度に関する情報が含まれていることもあり、地域に根差した事業計画の作成にも役立つでしょう。

また、自治体の公募や融資制度を利用する際にも活用しやすく、地域の産業や市場特性を反映しすることで計画書の説得力を高められます。必要な場合は、自治体のWebページからダウンロードして活用するとよいでしょう。

出典)江東区 創業支援資金融資(創業前~創業後1年未満)
出典)名古屋市 名古屋市創業支援ガイドブック

【業種別】事業計画書の記入例とポイント

事業計画書の記入例を理解するためには、まず全体像を把握することが重要です。下図は、日本政策金融公庫の創業計画書テンプレートからダウンロードしたものです。

日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード(3 創業計画書)を引用して加工

ここでは、主な業種別に記入例とそのポイントを解説します(主に異なる部分は、向かって左側です)。なお、サービス業に関しては、J-Net21のテンプレートを使用して解説します。

【飲食業】事業計画書の記入例とポイント

飲食業の事業計画書では、メニューやコンセプトを通じて経営戦略を明確に示すことが重要です。まず、創業の動機を具体的に記述し、過去の経験や店舗の立地といった要素を交えて説明します。取扱商品・サービスの欄では、料理やドリンクの内容やお店のコンセプトを明記し、原価や原価率も記載するとよいでしょう。メニューはカテゴリーごとに整理し、写真を添えてコンセプトとの一貫性を示します。

セールスポイントの記述では、立地の特性を分析し、課題と対策を明確にします。また、競合店の調査をすることで差別化のポイントを具体的に示すことが重要です。抽象的な表現は避け、内外装や商品・サービスの特徴を具体的に記載し、必要に応じて写真を活用します。さらに、ターゲットとなる客層や利用動機を明確にし売上構成比を記載することで、計画の説得力が高まります。

日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード(4 創業計画書記入例)を引用して加工

【小売業】事業計画書の記入例とポイント

小売業の事業計画書では、根拠のある数字に基づいた資金計画と利益見通しを示すことが重要です。

資金計画では、仕入れ資金や実店舗の内装工事費など必要な資金について詳細な見積もりを基に算出し、具体的に記載します。利益見通しでは、商品の価格帯や1日あたりの客数、営業日数などを基に売上高を算出し、具体的な根拠を示します。

さらに、競合との差別化戦略や開業後に活かせる専門性、人脈をなど盛り込み、収益性を意識した計画とすることで実現可能性を高めるようにしましょう。

日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード(4 創業計画書記入例)を引用して加工

【サービス業】事業計画書の記入例とポイント

サービス業の事業計画書では、競合との差別化と自社の強みを明確に示すことが重要です。

企業概要として経営者の経歴や起業の動機を記載し、事業内容では提供する商品・サービスやターゲット顧客、提供方法を具体的に示します。

市場・競合分析では、業界の動向や競合との差別化ポイントを整理し、自社の優位性を強調しましょう。

さらに、販売戦略として集客・販促施策や価格設定を明確にし、運営体制では必要な人員計画を示します。

資金計画では、必要資金と調達方法、損益計画を具体的な数値で示し、実施スケジュールを整理することで計画の実現性を高めましょう。

J-Net21 事業計画書の作成例(3.サービス業)を引用して加工

【医療機関】事業計画書の記入例とポイント

医療機関の事業計画書では、経営計画や資金計画、収支計画を明確にし、資金繰り表を用いて資金の流れを可視化することが重要です。可視化により、金融機関からの信頼を得やすくなります。

計画書には、開業コンセプトや診療理念に初期費用の詳細な見積もり、固定費・変動費を含む支出計画、収入見込みを具体的に記載しましょう。

金融機関は、開業への熱意や診療理念の明確さにデータの信頼性、地域ニーズの把握や収支計画の妥当性を重視するため、説得力のある内容にする必要があります。

日本政策金融公庫や医師信用組合、民間金融機関にリース会社、補助金・助成金など複数の資金調達手段を比較検討し、適した方法を選択することが重要です。

日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード(4 創業計画書記入例)を引用して加工

事業計画書を書く際の注意点

事業計画書は、融資や出資を受けるうえで重要な書類です。内容の正確性やわかりやすさに加え、いくつかの注意点を意識することで、より効果的な事業計画書を作成できます。以下では、事業計画書を作成するうえで、特に重要な注意点について解説します。

内容は簡潔にまとめる

事業計画書は、簡潔でわかりやすい内容にまとめることが重要です。第三者がすぐに理解できるよう、要点を明確に記載しましょう。

長文だけの説明では、読み手が内容をイメージしにくく、重要なポイントが伝わりません。そのため、要点を簡潔にまとめ、図やグラフを活用して視覚的にわかりやすくすることが効果的です。また、フォントを統一し、強調したい箇所は太字にするなどの工夫も加えましょう。

金融機関の担当者は、多くの事業計画書を審査するため、長文で要点が不明瞭な計画書は読む意欲を低下させます。結論を先に書き、箇条書きや具体例を活用し、伝えたいことを端的に記載するようにしましょう。

数字の整合性を図る

金融機関は、事業計画書に記載された数値の整合性を重視します。売上計画・投資計画・損益計画が一貫しており、「数値間に矛盾がないこと」が信用力の向上につながります。

収支見込みを示す際には、実現可能な根拠が不可欠です。「売上が10%増加」「売上が100万円増加」などの予測を記載する場合、その達成方法を客観的なデータに基づいて説明する必要があります。経済環境の変化を考慮しつつ、裏付けのある計画を立てることが重要です。

事業規模に対して非現実的な売上予測や、初年度からの大幅な利益見込み、人員と人件費予算の不整合などは、計画全体の信頼性を損ないます。金融機関への提出前に、税理士などの専門家に相談し、数値の整合性を確認するようにしましょう。

自社と競合他社への理解を深める

事業計画書を作成する際は、自社だけでなく競合他社への理解を深めることが不可欠です。競合の現状を調査し、その内容を計画書に反映させることで、事業の検討が十分であることを示せます。

競合に関する記述がない場合、「市場環境を十分に分析していない」と判断される可能性があります。競合の状況を把握することは、自社の戦略立案に役立つだけでなく、事業の優位性を明確にするうえでも重要です。

さらに、参入を予定している市場において、自社がどのターゲット層を狙い、どの程度の収益を目指すのかを明確にすることが求められます。市場環境の調査を基に、自社の特徴や強みを説明することで、事業計画書の説得力が高まるでしょう。

市場規模の推移や競合の業績を分析し、図表やグラフを活用して視覚的にわかりやすく記載することも効果的です。競合状況を踏まえ、自社にしか提供できないサービスや付加価値をアピールし、事業の優位性を明確に示すことが重要です。

外部からの質問を想定しておく

事業計画書の完成度を高めるために、外部からの質問を想定しましょう。想定した質問に対応する過程で、計画書の不足点に気づき、内容をより明確に整理できます。事前に対策を講じることで、融資や投資家への説明時に説得力が増します。

計画書の内容は、1分以内で説明できる仕上がりが理想的です。簡潔に伝えられるほど、相手に与える印象がよくなります。作成後は実際に口に出して確認し、わかりにくい箇所や説明に詰まる部分を修正するようにしましょう。

事業計画は、関係者との対話の中で質問を受ける機会が多くあります。想定される質問への回答を準備することで、計画の精度が高まり、説得力のある説明も可能になります。

事業計画書を提出し融資を成功させるためのポイント

事業融資を成功させるためには、事前の綿密な準備と戦略的なアプローチが不可欠です。金融機関から資金を獲得するためには、単なる書類作成だけでなく、自身のビジネスプランへの深い理解と信頼性の構築が求められます。

自己資金の準備、融資面談対策、そして必要に応じた外部サービスの活用という重要なポイントを押さえておきましょう。

一定の自己資金を用意しておく

融資審査を有利に進めるためには、一定額の自己資金が不可欠です。開業融資の場合、「開業費用の約3分の1以上」の自己資金が求められることも多く、自己資金がどのくらい用意されているかによって、金融機関は返済能力への信頼度をはかります。

自己資金の充実は、事業計画に対する真剣さや実行力の証として評価され、結果として借入額の抑制や返済負担の軽減につながります。

また、直近6ヶ月の家賃や水道光熱費、税金などの支払い状況もチェックされるため、事前に解消しておくことが重要です。

さらに、消費者金融やカードローンの利用履歴が残っている場合には、計画性に疑念を抱かれる可能性があるため、これらは事前に完済し信用情報を健全に保つようにしましょう。

融資面談の準備をしておく

融資面談では、事前に提出した事業計画書を基に質疑応答が行われます。そのため、計画書の内容を正確に把握し、どのような質問にも論理的に回答できるよう準備することが重要です。

まず、事業計画書を再確認し、事業の強みや収益見込みを明確に説明できるようにしましょう。事業の目的や収益の根拠を具体的に示すことで、金融機関の担当者からの信頼を得やすくなります。

次に、面談では「結論」と「根拠」を一貫して矛盾なく伝えることが重要です。売上予測に関する質問には、まず売上見込みを提示し、その後、市場調査や過去の実績を根拠として説明することで説得力が高まります。

また、専門用語や曖昧な表現は避け、誰にでも理解しやすい言葉で簡潔に伝えることが大切です。「おそらく」「多分」といった不確実な表現を控え、明確に言い切る姿勢を保ちましょう。

さらに、厳しい質問にも冷静に対応することが求められます。リスクや課題を指摘された際には、感情的にならず具体的な対策を示すことで、経営者としての判断力を評価されやすくなります。

必要に応じ外部サービスを利用する

事業計画書の作成は重要ですが、経験がない場合や多忙な場合は、外部の専門サービスを利用する方法もあります。代行サービスを活用することで、要点がまとまった計画書を短期間で入手できるでしょう。

代行サービスには、作成のみのものと、融資サポートを含むものがあります。作成のみのサービスは費用を抑えやすく、コストを重視する場合に適しています。

一方、融資サポート付きのサービスでは、資金調達のアドバイスや申請支援を受けられるため、融資の成功率を高めたい場合に有効です。

ただし、代行サービスの提供内容はさまざまで、単にフォーマットを整えるだけのサービスもあるため、事業に即した計画書を作成できるかの見極めが重要です。

また、融資サポート付きのサービスは成功報酬型の料金体系を採用していることがあり、最終的なコストが高くなる可能性もあります。契約前に、詳細を確認するようにしましょう。

事業計画書まとめ

事業計画書は、事業の全体像を明確にし、関係者との共有や資金調達に不可欠な重要書類です。作成の際は、創業理由から財務計画まで必要な項目を簡潔にまとめ、数字の整合性を確認することが重要です。

日本政策金融公庫などが提供する各種テンプレートを活用し、業種別のポイントを押さえながら、自社の強みをわかりやすく表現していきましょう。また、外部からの質問を想定し、融資面談の準備も怠らないようにすることが大切です。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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