破産と倒産の違いとは何か?
2021.01.18

債務超過、手形の不渡りなどを理由に、会社の継続的な経営が難しくなった場合、法律に従って破産手続きをします。会社が破産すると原則的にすべての資産・債務が清算され、法人格が消滅します。
破産と倒産の3つのポイント
- 破産とは清算を目的とした債務整理手段の一つ。債務超過などによって継続的な経営が困難になった会社は、破産手続きを行うことで原則的にすべての資産・負債が清算される。
- 個人破産の場合、自由財産制度や免責制度が認められているが、会社の破産は最終的に法人格が消滅するため、これらは適用されない。
- 会社が破産しても代表者まで破産することはないが、会社の債務の保証人や連帯保証人などになっている場合は代表者に支払い義務が課せられる。
破産手続きを進めるには
通常、債務者に対する支払いが履行できなくなると、債権者が裁判所に申し立てることで破産手続きが実施されます。債務者自身が申し立てることも可能で、この場合の破産を自己破産と呼びます。申し立てに応じて、裁判所は債務者の弁済が不可能な状態にあるかどうかを判断し、破産宣告をします。
破産管財人がすべて現金化
破産手続きが開始すると、裁判所によって選任された破産管財人が会社の所有する全財産を現金化し、債権者に配当します。つまり、破産によって会社の資産はすべて手放さなければなりません。また最終的に従業員全員を解雇することになるため、未払い賃金をどう対処するのかなどをきちんと説明する必要があります。
「倒産」と「破産」は異なる
「倒産」と「破産」は、厳密には異なる意味を持つ言葉です。倒産には法的な定義がありません。業績不振によって債務の返済ができず、事業を継続できない状態を指す言葉として一般的に使われています。一方の破産は清算を目的とした法的整理の手段の一つであるため、破産した企業は倒産していると言えますが、倒産した企業が必ずしも破産しているとは言えないのです。
法人と個人の倒産との違い
会社の破産手続きが完了すると、法人格は消滅します。当然ながら個人破産をしても、当の本人が消滅するわけではありません。個人破産の場合は、破産後に生活を立て直し、経済的な更生を図る必要があるため、一部財産の保有が認められる自由財産制度や免責制度が設けられています。また、個人が保有財産から破産手続き費用が支出できないと認められる場合は、破産手続きの開始と同時に廃止する(破産管財人の選任もなし)、同時廃止手続きを利用することも可能です。
会社が破産すると代表者も?
会社が破産しても、会社の代表である代表取締役まで個人破産するわけではありません。破産によって会社自体は消滅するため当然その地位は失いますが、原則的に社長や取締役にまで影響が及ぶことはないのです。ただし、会社の債務に関して保証人や連帯保証人、連帯債務者になっている場合は、支払い義務が課せられます。もし個人資産によって債務の返済ができないのであれば、自己破産などの債務整理を検討する必要があるでしょう。
手元の現金を大切に…
個人であれ法人であれば、本当の意味で成り立たなくなるのは手元の現金がなくなったときです。会社であれば、仕入れ、経費の支払いに充てる現金がなければ事業は成立しません。個人であれば、生活費を支払えなければ生きていけません。資金繰りの観点で、企業にとって大きなリスクなのが、売掛金の未回収。そのリスクを軽減できる手段として、保証ファクタリングというサービスがあります(売掛金を資産として売却するなら買取ファクタリング)。その他にも、資金繰りを安定化させる方法はあると思いますので、企業経営と個人の暮らしを守るために、日頃から対策を考えて導入しておきましょう。
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この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが執筆および監修をしています。当社は1991年に創業し、税理士事務所向けの会計ソフトの販売からスタートした会社です。2009年から中小企業・個人事業主の方向けにクラウド型の業務系システムの開発・販売を開始しました。当メディアは2012年から運営しており、会計や金融など経営に関する幅広い情報を発信しています。また、当社は本当に無料で使える会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」を提供しており、ご利用いただければ費用をかけずに業務効率化が可能です。詳しくは、こちら↓↓
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