クレジットカードの仕訳とは~経費をカード決済したときの会計処理~

2022.05.05

クレジットカードの仕訳

経費の決済にクレジットカードを使いたい事業主の方は多いのではないでしょうか。クレジットカードを使えば、支払いや書類の管理が簡略化でき、利用額に応じてポイントも貯まります。しかし、仕訳方法が通常より多少複雑になることがあるため、注意が必要です。この記事では、経費をクレジットカードで支払った際の仕訳方法や注意点などを解説します。

クレジットカード決済の仕訳

クレジットカードの仕訳方法は状況によって変わりますが、パターンと使う勘定科目の関係さえ覚えれば難しくありません。クレジットカード決済以外も同様ですが、何を経費として仕訳できるかを正しく理解する必要があります。当然、経費として仕訳できるものは事業に関わるもののみです。特に個人カードを使う際は、個人的支出と混同しないように気をつけましょう。

パターン 勘定科目
個人用口座引き落としの個人カードで決済 事業主借
事業用口座引き落としの個人カードで決済
事業専用カードで決済
未払金
個人的支出を事業用口座引き落としのカードで決済 事業主貸

未払金:経費を後払いで購入した際の支出

備品や事務用品などの経費を、クレジットカードや代金の後日振込など、後払いで購入した際に使います。「未払金」は、将来支払う義務があるため、貸借対照表において「負債」に分類します。ただし、販売用に購入した商品の場合、勘定科目は「未払金」ではなく「買掛金」を使うため、気をつけましょう。

事業主借:個人のお金で経費を支払った際の支出

個人事業主は、事業支出と個人的支出とを明確に区分するために「事業主借」と「事業主貸」2つの勘定科目を使います。個人のお金から事業に必要な経費を支払ったり、事業用口座に入金したりした際は「事業主借」を使います。「事業」が「個人事業主」からお金を借りるイメージで覚えましょう。「事業主借」は、借りているため負債に分類します。

(例)事務所の電気代5,000円をポケットマネーから支払った

借方 貸方
水道光熱費 5,000円 事業主借 5,000円

費用である「水道光熱費」を借方に、負債である「事業主借」の増加は貸方に記帳します。

事業主貸:事業用の資金を個人のために支払った際の支出

生活費など、事業と関係のない費用を事業用のお金から支払ったり、事業用口座から個人用口座へ出金したりした際は「事業主貸」を使います。「事業主借」とは反対に「事業」が「個人事業主」にお金を貸すイメージで覚えましょう。「事業主貸」は、貸しているため資産に分類します。

(例)1月10日に生活費5,000円を事業用の普通預金口座から支払った

借方 貸方
事業主貸 5,000円 普通預金 5,000円

資産である「事業主貸」の増加は借方に、同じく資産である「普通預金」の減少は貸方に記帳します。

白色申告を選択しているときの仕訳

白色申告は、取引の収支を一つの勘定科目で記帳する「単式簿記」という方法を使います。白色申告の場合、青色申告で認められている10万円や65万円の控除はありませんが、記帳方法はシンプルです。以下のように仕訳します。

(例)1月10日に50,000円の事務机をクレジットカードで購入した。

収入 支出
消耗品費 50,000円

このように、かかった経費の内容と金額を「支出」欄に記帳します。また、引き落としされた際、新たに記帳する必要はありません。

青色申告を選択しているときの仕訳

青色申告で、55万円もしくは65万円の控除を受けるためには「複式簿記」を使って仕訳帳に記帳する必要があります。先ほどの「単式簿記」と違い、「借方」「貸方」の概念のもと、複数の勘定科目を使うため、記帳は少々複雑になります。また、個人用カードか事業専用カードかによって仕訳方法が変わるため、混同しないようにしましょう。それぞれの仕訳方法を具体例と共に解説します。

個人カードで経費を決済した場合の仕訳

引き落としが個人口座のカードで決済した場合、仕訳は以下の通りです。

(例)1月10日に50,000円の事務机をクレジットカードで購入した。

借方 貸方
消耗品費 50,000円 事業主借 50,000円

費用である「消耗品費」を借方に、負債である「事業主借」の増加は貸方に記帳します。また、引き落とし時の処理は必要ありません。

事業専用カードで経費を決済した場合の仕訳

引き落としが事業用口座のカードである場合、支払い時と引き落とし時のそれぞれに仕訳が必要です。

(例)1月10日に50,000円の事務机をクレジットカードで購入した。

借方 貸方
消耗品費 50,000円 未払金 50,000円

(例)2月27日にクレジットカード代金50,000円が普通預金口座から引き落とされた。

借方 貸方
未払金 50,000円 普通預金 50,000円

購入時に、費用である「消耗品費」を借方に、負債である「未払金」を貸方に記帳します。そして、引き落とし日には、購入時に計上した「未払金」を相殺するようにして仕訳します。

もし2度の仕訳が面倒であれば、簡略化が可能です。その際は購入日に仕訳をせず、引落日に以下のように仕訳をします。

借方 貸方
消耗品費 50,000円 普通預金 50,000円

これにより「未払金」を省略できますが、引き落とし日が翌年(翌期)になる場合は省略不可です。なぜなら、今年発生した経費を翌年の経費として計上してしまうからです。

分割払いの仕訳

クレジットカードで分割払いをした場合、その手数料は費用である「支払手数料」として処理します。仕訳例を紹介します。

(例)1月10日に50,000円の事務机を5回分割払いで購入した。

借方 貸方
消耗品費 50,000円 未払金 50,000円

(例)2月27日に10,500円の引き落としがあった。(内分割手数料500円)

借方 貸方
未払金 10,000円 普通預金 10,500円
支払手数料 500円

購入時は通常のクレジットカード決済と同様の仕訳をします。
引き落としの際は、1回あたりの分割金額を「未払金」として、分割手数料を「支払手数料」として記帳します。

リボ払いの仕訳

クレジットカードでリボ払いをした場合、その手数料は費用である「支払利息」として処理します。仕訳例を紹介します。

(例)1月10日に50,000円の事務机をリボ払いで購入した。

借方 貸方
消耗品費 50,000円 未払金 50,000円

(例)2月27日に11,000円の引き落としがあった。(内リボ払い手数料1,000円)

借方 貸方
未払金 10,000円 普通預金 11,000円
支払利息 1,000円

購入時は通常のクレジットカード決済と同様の仕訳をします。引き落としの際は、その月のリボ払い金額を「未払金」として、リボ払い手数料を「支払利息」として記帳します。

ポイント・マイルの仕訳

個人用カードで経費を支払った場合、それにより獲得したポイント・マイルの使用は会計処理は不要です。しかし、事業専用カードで獲得したポイント・マイルを使用した場合は、事業の収入と考えるため「雑収入」として処理します。また、カード利用料金の支払いにポイントを充当した際も同様です。なお、仕訳するタイミングは、ポイントやマイルを獲得した時点ではなく、使用した時点です。仕訳例を紹介します。

(例)1月10日にクレジットカードのポイントを使って10,000円の航空券を取得した。

借方 貸方
旅費交通費 10,000円 雑収入 10,000円

「雑収入」は収益であるため、貸方に記帳します。

(例)カード利用金額50,000円の引き落としに、5,000円分のポイントを充当した。

借方 貸方
未払金 50,000円 普通預金 45,000円
雑収入 5,000円

購入時に計上した、50,000円の「未払金」は通常通り相殺します。ポイント利用分だけ、普通預金の引き落としが減少しているため、その分を「雑収入」で記帳します。

経費をカード決済するメリットとデメリット

クレジットカードで決済するメリットとデメリットを解説します。

メリット

まずはメリットについて解説します。

利用明細書を管理しやすい

経費に関する領収書やレシートなど書類の管理を面倒に感じている方も多いのではないでしょうか。クレジットカード決済では、利用明細書が領収書代わりになります。複数の取引を利用明細書にまとめて表示できるため書類の管理がしやすくなります。

支払いのタイミングを遅くできる

支払いのタイミングを遅くできることもメリットです。事業を経営する上で、なるべく支払いを遅らせて、資金繰りをよくすることは重要です。クレジットカードは現金や振込と違い、購入日から引き落としまで数週間〜2ヶ月近く猶予ができます。

ポイントやマイルがたまる

個人的な支出でも同じですが、クレジットカードで決済するとポイントやマイルがたまります。事業用の経費は、個人的な消費よりも金額が大きくなることが多いため、たまるポイントやマイルも多くなります。ポイントをカード決済の支払に充てることも可能ですし、マイルと交換して旅行に使うこともできます。

口座振替に比べて管理が楽

プライベートでも、銀行口座からの口座振替で各種の支払いをすることがあると思います。銀行振込に比べると手間は少なくなるかもしれませんが、経費の支払先によって口座引落日がバラバラだと、銀行口座にどれだけの資金を置いておくのかの管理が面倒です。残高不足で引き落とせず督促をされるのは信用問題にもなるため要注意です。一方、クレジットカードで決済すれば、口座引落日をまとめられるため、経理担当者も楽になります(カードの引き落とし日に残高不足にならないようには注意が必要です)。

デメリット

現金や振込での支払いと比べて、会計処理が複雑になることがデメリットです。クレジットカード決済は、仕訳の際に「未払金」を使って、購入時と引き落とし時にそれぞれ仕訳する必要があります。また、個人用のカードで経費を決済した際は「事業主借」を使うなど会計上の処理が面倒だと感じる場合があります。

事業専用カードは必須ではない

経費の決済にクレジットカードを使う場合、必ずしも事業専用カードを作る必要はありません。ただし、事業専用カードを作らない場合は、個人カードを2枚作り、個人用と事業用とで使い分けましょう。その理由は以下のデメリットを避けるためです。

  • 個人用のカードで決済した際「事業主借」で処理する手間がある
  • 個人的支出と事業支出が混同し、管理が面倒になったり、記帳ミスにつながったりする

このように、個人用と事業用を明確に区別していないと、後の会計処理が面倒になります。

事業専用カードを作るメリット

支払いにクレジットカードを使いたい場合、必須ではありませんが事業専用カードをもつことをおすすめします。その理由をメリット3つと共に解説します。

経費の支払いをまとめられる

現金・振込・口座引き落としなど、経費を複数の方法で支払っていると、領収書やレシート、出金伝票など多くの書類を管理する必要があります。

経費の支払いを事業専用カードにまとめれば、支払い先・日時・内容・金額を利用明細書で確認できます。

複数の書類を1、2枚程度の利用明細書にまとめられるため、書類管理を簡略化できます。また、毎月の経費を一目で把握できれば、経理の透明性確保や経営分析にも役立ちます。

経費精算が簡単

経費の支払いを現金でしていると、申告忘れによる精算漏れや領収書の紛失など、精算時にトラブルが起きる可能性もあります。

経費の支払いを事業専用カードにまとめれば、利用明細書に全て記載されるため、精算漏れや領収書紛失の心配がありません。万が一、利用明細書を紛失したとしても、Webからダウンロードできるカード会社がほとんどです。

また、カード決済ならば、経費の立て替え払いや前払いも必要ありません。社内での現金受け渡しが減り、現金管理も楽になります。

経費削減につながる

経費を振込で支払った場合、その都度振込手数料がかかります。経費の支払いを法人カードに一本化すれば、まとめて指定口座から引き落としされるため、振込手数料のコストを抑えられます。※個人事業主でも法人カードを作れます

また、ポイントがたまること、各カード会社の特典や優待を受けられることなどもメリットです。宿泊施設やレジャー施設の割引など、カード会社が提供する福利厚生サービスを利用できます。ポイントを経費の支払いに当てる、低コストで社員の福利厚生を充実させられるなど、経費削減につながります。

事業専用カードを作るデメリット

事業専用カードのデメリットは、個人カードに比べて年会費が高い傾向にあることです。個人カードは年会費無料のものも多く存在しますが、法人カードは10,000円以上の年会費がかかることもあります。

しかし、中には年会費無料で事業専用カードを作れるカード会社もあるため、年会費を抑えたい場合は年会費無料のカードを選びましょう。

もう一つのデメリットは、分割・リボ払いができなかったり、キャッシング機能がついてなかったりすることです。
しかし、これらの機能を付帯した法人カードも多く登場してきており、カード会社やカードの種類によっては利用できます。

経費をクレジットカード決済する際の注意点

経費をクレジットカード決済にすることでさまざまなメリットを受けられますが、注意点も存在します。

利用明細書は保管しておく

店頭でクレジットカード決済した場合は領収書の発行を同時に依頼できますが、インターネットでの決済の場合は領収書が発行されないこともあります。その場合、販売店が発行する利用明細書が領収書の替わりになります。必ず保管しておきましょう。

Web明細は定期的にダウンロードする

カード会社によっては、紙面の利用明細を発行せず、インターネット上で確認するWeb明細を採用していることがあります。また、Web明細の閲覧・ダウンロードに期限を設けている場合もあります。期限切れのWeb明細は利用できないため、定期的にダウンロードしておくことが重要です。基本的に確定申告に関する書類は紙ベースで保管しておく必要があるため、ダウンロードした明細は印刷して保管しておきましょう。

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