資本コストとは何か?~WACCの計算方法を解説~
更新日:2023年12月10日
資本コストとは、会社の資金調達に伴う費用のことです。会社が銀行借入、社債発行、株式発行などによって資金調達する際には、銀行への利子、社債権者への利回り、株主への配当などのコストが必要になります。このように、会社が債権者や投資家に支払うべきコストが資本コストです。資本コストは、株主資本コスト(自己資本コスト)と、負債コスト(他人資本コスト)の2つに分けられます。
資本コストの計算方法
資本コストの代表的な計算方法が、「WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)」です。WACCは、株主資本コストと負債コストをそれぞれの時価で加重平均して求めます。企業の投資判断に用いられるNPV(正味現在価値)を計算するときの割引率も、このWACCが使われます。
株主資本コスト(自己資本コスト)とは
株主資本コストとは、会社からすると株式での資金調達にかかるコストのことです。株主からすると、出資額に対して期待するリターンであり、株主の会社に対する期待収益率と言えます。株主が期待するリターンとは主に配当であり、これらが自己資本コストです。
負債コスト(他人資本コスト)とは
負債コストとは、会社からすると負債にかかるコストのことです。社債権者や銀行などの債権者からすると、出資額に対して要求するリターンであり、債権者の会社に対する期待収益率と言えます。債権者が期待するリターンとは主に利回りや金利であり、これらが他人資本コストになります。
資金調達と資本コストの関係
会社がスムーズに資金調達するには、資本コストを意識して会社を経営する必要があります。そこで、一つの指標になるのが、キャッシュフローが資本コストを上回っているかどうかです。資本コストを上回るキャッシュフローを獲得できていれば、銀行や投資家、株主などから魅力的な投資先であると見られるため、資金調達がしやすくなります。逆に、キャッシュフローが資本コストを下回っていると、リスクに見合ったリターンを得られない投資先であると見られ、資金調達が難しくなります。
参考)資金調達とは
資本コストのまとめ
- 資本コストとは、会社の資金調達に伴うコスト(費用)のことで、銀行への利子、社債権者への利回り、株主への配当などが該当する。
- 資本コストは、株主資本コスト(自己資本コスト)と、負債コスト(株主資本コスト)の2つに分けられる。
- 資本コストとは、自己資本コストと他人資本コストをそれぞれの時価で加重平均したもので、資本コストの代表的な計算方法である。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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