新聞図書費に経費計上できるものは?仕訳の注意点も解説
更新日:2025年08月21日

新聞図書費とは、事業に必要な書籍や新聞、雑誌などの購入費を経費として処理する際に用いられる勘定科目ですが、どのような出版物が新聞図書費に該当するのか、判断に迷うケースも少なくありません。例えば、情報収集を目的とした業界紙やスキルアップのための自己啓発本などは、内容や使用目的によって処理方法が異なるため注意が必要です。本記事では、新聞図書費として計上できるもの・できないものの基準や、実務における仕訳処理の注意点について具体的に解説します。
目次
勘定科目「新聞図書費」とは
新聞図書費は、企業や個人事業主が事業に必要な情報を得るために購入した出版物の費用を計上する勘定科目です。対象には書籍や新聞、雑誌などの紙媒体に加え、電子書籍やメールマガジンなどのデジタルコンテンツも含まれます。
経費として認められるには、購入した出版物が事業とどのように関係しているかを明確に説明できることが必要です。
例えば、スポーツ新聞や休憩室に備える新聞・雑誌などは、事業との関連性が認められにくく、新聞図書費として計上するのは適切とはいえません。一方で、株式投資や不動産投資に関する書籍は、それらを本業としている場合に限り新聞図書費として認められる可能性があります。
会計処理では、支出の内容と目的を正しく判断し、他の勘定科目と混同せず一貫性のある仕訳が重要です。税務調査時にスムーズに説明できるよう、領収書には「〇〇プロジェクト参考資料」など購入理由を記載しておきましょう。
新聞図書費として経費計上できるもの・できないもの
新聞図書費として経費にできるかどうかは、購入した媒体が事業に直結しているかによって決まります。ここでは、計上できる例とできない例を具体的に紹介します。
新聞図書費として経費計上できるもの
新聞図書費に計上できるのは、事業に必要な情報や知識を得るために購入した出版物やデジタルコンテンツの費用です。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 紙媒体の新聞(※定期購読契約があり、週2回以上発行される新聞は軽減税率8%の対象)
- 業界誌、専門書、雑誌
- 官報、地図、統計資料
- 業務関連の電子書籍
- 有料サイト、メールマガジン
これらは、従業員の知識向上や業務の遂行、顧客への情報提供など明確な事業目的がある場合に限り、経費として計上できます。ただし、10万円以上の書籍や全集については、原則として固定資産(工具器具備品)として処理する必要があります。
新聞図書費として経費計上できないもの
事業との関連性が不明確な場合や、他の勘定科目で処理すべきケースでは、新聞図書費としては認められません。以下は、その具体例です。
- 休憩室に置くリラクセーション目的の雑誌(福利厚生費)
- 研修や講義で使うテキスト代 (研修費)
- 投資が本業でない会社の投資関連書籍
- 経営ノウハウ本や自己啓発本(特定の業務知識というより、個人の思考法やスキル向上を目的とするため、事業との直接的な関連性が認められにくい)
- スポーツ新聞など娯楽要素が強い新聞(事業と関係がない場合)
また、金額が少なく一時的な支出で他の勘定科目に分類できないものについては、「雑費」で処理するケースもあります。
新聞図書費として計上できない場合の勘定科目
購入した書籍や雑誌が新聞図書費に該当しない場合でも、使用目的によって他の勘定科目で経費として計上できます。代表的な勘定科目は、次のとおりです。
- 福利厚生費
- 接待交際費
- 雑費
- 研修費
- 工具器具備品
以下で、それぞれの勘定科目を見ていきましょう。
福利厚生費
福利厚生費とは、給料や賞与以外で企業が従業員の労働環境の改善や満足度向上のために提供するサービスにかかる費用です。
例えば、オフィスの休憩室に新聞や雑誌などを設置し、従業員が自由に閲覧できるようにするケースがあります。このような支出は、全従業員に公平に提供されるものであれば福利厚生目的とみなされるため、福利厚生費で処理するのが適切です。
接待交際費
取引先への贈答や接待を目的に書籍や新聞を購入した場合は、接待交際費として処理します。情報収集目的ではなく、社外との関係構築を目的とする支出に該当するためです。
例えば、お歳暮代わりに図書カードを贈ったり、商談時の話題提供として新聞を渡したりするケースが該当します。
これらの費用を交際費として計上するには、領収書の保管が重要です。接待目的の支出であることがわかるよう、領収書には取引先名や目的、取引先担当者の氏名をメモしておくと、税務調査の時にもスムーズに対応できます。
雑費
雑費とは、他のいずれの勘定科目にも該当せず、少額で発生頻度が低い支出に用いられる科目です。例えば、一度限りで購入した少額の新聞代などが該当します。
ただし、雑費は使途が不明確になりやすいため、多用すると税務署から詳細な説明を求められる可能性があります。支出の金額や目的が明確な場合は、通信費や新聞図書費など、より適切な勘定科目への分類を優先することが望ましいでしょう。
なお、雑費の仕訳に法的な金額基準や耐用年数のルールはありませんが、一般的には経費全体の5〜10%以内に収めることがひとつの目安とされています。
研修費
従業員のスキル向上や、業務に必要な知識の習得を目的として書籍を購入した場合には、「研修費」としての計上が可能です。例えば、人材研修で使用するテキストや、特定の技能を習得するための専門書などが該当します。
一般的に、日々の情報収集を目的とした書籍は「新聞図書費」、体系的・計画的な学習を目的とする書籍は「研修費」として区分されます。ただし、実務上は研修目的の書籍であっても「新聞図書費」としての計上も可能です。
どちらの勘定科目を使うかは、自社の会計管理の方針によって判断されます。例えば、研修参加費と教材費を一括で管理したい場合は「研修費」、書籍の購入費用だけを独立して管理したい場合は「新聞図書費」とする方法が考えられます。
いずれの処理方法を選ぶ場合でも、一度決めた分類ルールは継続的に適用すること(継続性の原則)が重要です。後々の混乱を防ぐためにも、領収書には使用目的を明記し、社内ルールに従って適切に分類しましょう。
工具器具備品
価格が10万円以上の書籍や全集は、「新聞図書費」ではなく「工具器具備品」として資産に計上します。これらは一時的な費用ではなく、1年以上にわたって事業に使用できる資産と判断されるためです。
購入年度に全額を費用化するのではなく、複数年にわたって減価償却する必要があります。百科事典や専門書のセットなど、1組の価格が10万円を超える場合が該当します。取得価額には送料なども含まれるため、請求書の内訳を確認しておきましょう。
ただし、一定の条件を満たすことで税法上の特例制度を活用し、より柔軟な経費処理が認められるケースもあります。
- 少額減価償却資産の特例
青色申告をしている中小企業者(個人事業主を含む)が、30万円未満の資産を取得した場合には「少額減価償却資産の特例」により、その年に全額を経費として計上できます。
ただし、年間でこの特例を適用できる資産取得額の合計は300万円までと上限が設けられています。なお、少額減価償却資産の特例は、2026年3月31日までに取得した資産が対象です。
- 一括償却資産
取得価額が10万円以上20万円未満の資産については、「一括償却資産」として、3年間で均等に償却する方法も選択できます。一括償却資産は、青色申告の有無にかかわらず利用が認められ、通常の減価償却との選択適用となります。
- 適用期限と留意点
いずれの特例も、対象事業者・資産金額・償却方法などに明確な要件があります。制度の適用にあたっては、税理士や税務署に相談しながら自社の状況に適した処理を選択しましょう。
新聞図書費の仕訳例
ここでは、具体的な取引をもとに新聞図書費の仕訳例を見ていきましょう。なお、仕訳は取引内容をわかりやすくするため「税込経理方式」で解説します。
書籍を一時的に購入した場合
事業に必要な書籍をその都度購入した場合の、基本的な仕訳です。書店での購入や、オンラインでの電子書籍の都度購入などが該当します。
ここでは、事業活動で必要なマーケティング関連の書籍を、現金3,300円で購入したと仮定します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 新聞図書費 | 3,300円 | 現金 | 3,300円 |
事業に必要な情報を得るための書籍購入のため、借方(費用の発生)は「新聞図書費」とします。
書籍を定期購入した場合
新聞の定期購読など、複数月にわたってサービスを受ける契約では、「支払のタイミング」と「費用としての認識のタイミング(発生主義)」がずれる点に注意が必要です。以下では、支払時と決算時の処理方法を解説します。
【支払時】
契約に基づいて1年分や半年分などの購読料を一括で支払った場合、その支出はすべてをすぐに費用とはせず「前払費用」(資産)として処理します。
支払った時点ではまだサービスの提供が始まっていない、または一部しか提供されていません。そのため、「将来のサービス提供に対する対価」として資産に計上する必要があります。
仕訳例(1月に1年分12,000円を支払った場合)
| 借方 | 貸方 | ||
| 前払費用 | 12,000円 | 普通預金 | 12,000円 |
【決算時】
例えば決算月が3月であれば、1月~3月までの3ヶ月分(12,000円 ÷ 12 × 3 = 3,000円)を費用として「新聞図書費」に振り替えます。残りの9ヶ月分(9,000円)は、引き続き「前払費用」として資産計上しておきます。
仕訳例(3月末決算時の振替)
| 借方 | 貸方 | ||
| 新聞図書費 | 3,000円 | 前払費用 | 3,000円 |
翌期(4月以降)は、提供された月分のみを前払費用から新聞図書費へ振り替えます。
なお、一定の要件を満たす場合は、支払時に全額を費用計上できる特例の適用も可能です。詳しくは、次の注意点で解説します。
新聞図書費の仕訳における注意点
新聞図書費は日常的な経費として扱いやすい反面、定期購読の契約期間とのズレや税率の判定など、誤りやすい点も多く見受けられます。
適切な仕訳処理をするには、期間対応や税制の特例、控除制度などに対する理解が不可欠です。ここでは、実務上で注意すべきポイントを解説します。
定期購読サービスの扱いに気を付ける
定期購読契約は性質上、契約期間と費用計上のタイミングがずれる点に注意が必要です。会計の基本的なルールとして、費用は実際にサービスを受けた期間に合わせて計上する必要があります。決算月をまたぐ契約では、翌期提供分を「前払費用」として資産計上するのが基本です。
ただし、一定の条件を満たす場合「短期前払費用の特例」を利用することで仕訳処理を簡略化できます。この特例は、法人が支払った費用のうち支払日から1年以内に役務の提供を受けるものについて、支払時に全額の損金算入を認めるものです。
短期前払費用の特例を適用するには、契約に基づいた等質・等量の役務提供であり、かつ企業会計上の重要性の原則に照らして妥当であることが求められます。
短期前払費用の特例が適用できる具体例は、次のとおりです。
- 事務所の家賃
- 生命保険料
- 電子版の雑誌や新聞の年間購読料(物の譲渡ではなく、定期的な役務提供とみなされるため適用対象)
短期前払費用の特例を利用する際には、経理処理の一貫性や税務上のリスクにも配慮が欠かせません。状況に応じて使い分けると利益操作とみなされる可能性もあるため、契約内容を十分に確認し、自社の経理方針に沿って適切に判断することが求められます。
従業員の自費購入費は控除対象になり得る
従業員が業務に必要な書籍代を立て替えた場合、会社が経費精算し「新聞図書費」として計上するのが基本です。一方、会社が費用を負担せず、従業員が自費で支払った場合には、「特定支出控除」として所得控除を受けられる制度があります。
例えば年収600万円(給与所得控除額164万円)の人の場合、基準額はその半分の82万円です。年間の特定支出が85万円であれば、超過した3万円が控除対象になります。
制度を利用するには、支出の証明となる領収書をすべて保管することが前提です。さらに、会社がその支出が業務に直接必要であることを証明する書類を発行し、書類を添付のうえで従業員自身が確定申告する必要があります。
発行予定が週2回以上の新聞には軽減税率が適用される
2019年10月に導入された軽減税率制度では、週に2回以上発行され、定期購読契約に基づいて提供される新聞について、消費税率が8%に軽減されています。一般紙に限らず、スポーツ紙や業界紙、外国語の新聞なども軽減税率の適用対象です。
これらの紙媒体の新聞は「譲渡」(商品としての販売)に該当するため、軽減税率の適用を受けられます。一方、インターネットを通じて配信される電子版の新聞は、役務の提供とされるため軽減税率の対象にはならず、標準税率の10%が適用されます。
経理処理では、請求書や領収書で税率の適用条件を確認し、定期購読契約の有無を確認したうえでの正確な仕訳が必要です。
新聞図書費まとめ
新聞図書費は、事業に必要な書籍や新聞、デジタルコンテンツの購入費を経費として計上するための勘定科目です。ただし、すべての出版物が対象になるわけではなく、事業との関連性や使用目的が明確なものに限定されます。
なお、内容によっては福利厚生費や研修費、雑費など他の勘定科目として処理する方が適切な場合もあります。
仕訳処理では、会計期間に応じた費用計上や軽減税率の適用条件など、税務上のルールにも注意が必要です。
特に定期購読契約や高額な書籍の購入については、処理の仕方によって損金算入の可否や税務リスクに影響する可能性があるため、正確な判断と証憑の保管、継続的な会計管理が重要です。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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