仕訳日計表とは何か~伝票の集計と転記~

更新日:2017年12月11日

仕訳日計表

前回は、仕訳帳の代わりに伝票を用いた会計方法「伝票式会計」を紹介しました。取引量が多いと手間がかかりミスを生みやすくなります。そのため、ほとんどの会社や店舗では一般的に、「仕訳日計表」を用いて集計します。

伝票の集計

1日の取引が多い会社や店舗では、取引を伝票に記入した後に1日分の伝票を仕訳日計表に転記します。仕訳日計表は1日ごとに各勘定科目の取引の合計額を集計する表です。仕訳日計表から取引を勘定科目ごとに「総勘定科目」に転記するため、効率的に記帳できます。

仕訳日計表の作成

伝票を仕訳日計表に集計し、各勘定科目の貸借の合計金額が一致しているかを確認した後に、総勘定元帳へ転記します。

例)5月1日に作成された伝票をもとに仕訳日計表を作成する場合。

 

入金伝票 No.1

令和○○年5月1日

科目 金額
売掛金○○商店 5,000

入金伝票 No.2

令和○○年5月1日

科目 金額
売上○○商店 10,000

上記の伝票の仕訳は以下の通りです。

入金伝票 No.1の仕訳
借方 貸方
現金 5,000円 売上 5,000円
入金伝票 No.2の仕訳
借方 貸方
現金 10,000円 売上 10,000円

出金伝票 No.10

令和○○年5月1日

科目 金額
仕入 ○○商店 10,000

出金伝票 No.11

令和○○年5月1日

科目 金額
買掛金 ○○商店 4,000

上記の伝票の仕訳は以下の通りです。

出金伝票 No.10の仕訳
借方 貸方
仕入 10,000円 現金 10,000円
出金伝票 No.11の仕訳
借方 貸方
買掛金 4,000円 現金 4,000円

振替伝票 No.20

令和○○年5月1日

貸方科目 金額 貸方科目 金額
受取手形 10,000 売上 10,000

上記の伝票の仕訳は以下の通りです。

振替伝票 No.20の仕訳
借方 貸方
受取手形 10,000円 売上 10,000円

振替伝票 No.21

令和○○年5月1日

貸方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 10,000 支払手形 10,000

上記の伝票の仕訳は以下の通りです。

振替伝票 No.21の仕訳
借方 貸方
10,000円 支払手形 10,000円

仕訳日計表

令和○○年5月1日

18

                  
借方残高 元丁 勘定科目 元丁 貸方残高
15,000①+② 現金 14,000③+④
10,000 受取手形
売掛金 10,000
支払手形 10,000
4,000 買掛金
売上 20,000②+⑥
20,000③+⑥ 仕入
49,000 54,000

※入金伝票、出金伝票、振替伝票の①~⑥の数字が仕訳日計表の該当箇所に対応しています。例えば、仕訳日計表の借方残高の1行目は、入金伝票No.1の売掛金と、入金伝票No.2の売上を足した金額になります。

伝票の転記

仕訳帳がすべての取引を日付ごとに記録する帳簿であるに対し、総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録する帳簿です。各勘定科目の残高を一目で確認できるため、会社や店舗の運営には欠かせません。仕訳日計表から総勘定元帳に転記する手順は、仕訳の内容を仕訳帳に記入し、その仕訳を転記します。

総勘定元帳への転記

仕訳日計表から総勘定元帳へは、以下のように転記します。

                    

仕訳日計表

令和○○年5月1日

18

                  
借方残高 元丁 勘定科目 元丁 貸方残高
15,000 1 現金 1 14,000

総勘定元帳

令和○○年5月1日

1

令和○○年 適要 仕丁 借方 貸方 借/貸 残高
5 1 前月繰越

10,000   10,000
    仕訳日計表 18 15,000   25,000
      18   14,000 11,000

総勘定元帳の「摘要欄」に「仕訳日計表」と記入し、「仕丁欄」の1行目が前月繰越なら「✓」を記入します。2行目以降は仕訳日計表のページ数(上記の例では「18」)を記載します。仕訳日計表の「元丁欄」に総勘定元帳の番号1を記入。「借/貸欄」には借方と貸方の残高がある方を記入します。

個別転記と合計転記

取引先ごとの売掛金がわかる「売掛金元帳」や、買掛金がわかる「買掛金元帳」などの補助元帳がある場合、伝票を記入するごとに一つひとつ「個別転記」する必要があります。また、取引の内容を仕訳日計表で集計した後に、総勘定元帳へ転記することを「合計転記」といいます。総勘定元帳の勘定ごとにまとめて転記するため、作業時間を短縮してミスを減らせます。

仕訳日計算表から総勘定元帳への転記で財務状況を把握できる

今回は伝票式会計を転記している仕訳日計表と、総勘定元帳を解説しました。会社や店舗が発展して1日の取引が多くなってくると、仕訳日計表を用いて取引金額を集計するほうが作業に無駄がなく合理的です。仕訳日計表だけでは日別の勘定科目の合計金額しかわからないため、後から正確に集計するためにも、総勘定元帳へと金額を転記するようにしましょう。ちなみに、総勘定元帳へ正しく記帳できたかを確認するために作る帳票が「試算表」です。

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この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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