販売費及び一般管理費とは?内訳や売上高販管費比率の計算方法を紹介

更新日:2024年06月07日

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費(販管費)とは、企業が事業活動をするにあたって発生する費用です。増加すると営業利益を圧迫しかねないため、注意しましょう。

本記事では、販売費及び一般管理費とはどのような費用なのか説明した上で、経営分析に役立つ売上高販管費比率の計算方法や改善するコツを紹介します。

目次

販売費及び一般管理費(販管費)とは

販売費及び一般管理費とは、企業の営業活動にかかる費用から売上原価(販売商品の仕入れや製造にかかった費用)を除いたものです。販管費や営業費と呼ぶこともあります。

本業で獲得した利益を示す営業利益は、売上総利益(売上 ー 売上原価)から販売費及び一般管理費を引いた金額のことです。また、販売費及び一般管理費は、販売費と一般管理費の金額を合計しています。

ここから、それぞれの意味や違いを確認していきましょう。

販売費とは?一般管理費とは?

販売費とは、企業が製品やサービスを販売する際に発生する費用です。商品を販売する業務に直接携わる従業員の給与や、商品を運搬するための配送料、消費者にアピールするための広告宣伝費などが具体例として挙げられます。

一般管理費とは、企業活動にあたって必要な管理業務にかかる費用のことです。販売に直接携わらない総務部や経理部の従業員の人件費、文房具などの消耗品費などが該当します。

販売費と一般管理費の違い

金額の変動幅が、販売費と一般管理費の主な違いです。販売費は製品・サービスの販売量や時期によって変動するのに対し、賃料などの一般管理費は月によって大きく変動せず、企業側で金額を調整しにくい傾向にあります。

なお、損益計算書上は、両者を区別せず、販売費及び一般管理費としてまとめて管理することが一般的です。損益計算書は財務3表のひとつで、企業の5つの利益(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)を確認できる書類を指します。

販売費及び一般管理費の勘定科目・内訳

ここから、販売費及び一般管理費の勘定科目(内訳)を、販売費と一般管理費に分けて紹介します。

販売費の勘定科目・内訳

販売費の主な勘定科目は、以下のとおりです。

  • 給与手当〜製品・サービスを販売する従業員に支払う費用(例:営業部門従業員の給与)
  • 旅費交通費〜営業活動のために利用する交通機関の代金や宿泊費など(例:取引先との商談で出張した際の費用)
  • 接待交際費〜取引先との接待交際にかかる費用(例:取引先が主催するパーティへの参加費)
  • 広告宣伝費〜不特定多数の人に対して自社の商品・サービスを販売するためにかかる費用(例:Web広告にかかった費用)
  • 販売手数料〜自社の商品・サービスの販売を第三者に委託する際の費用(例:代理店に販売業務を委託した際に発生した手数料)
  • 荷造運賃〜商品を発送するにあたってかかる費用(例:商品を発送する際の運賃やガソリン代)

一般管理費の勘定科目・内訳

一般管理費の主な勘定科目は、以下のとおりです。

  • 給与手当〜販売や製造など以外の管理業務に携わる従業員に支払う費用(例:経理部・総務部従業員への給与)
  • 役員報酬〜役員に対して支払う報酬(例:代表取締役社長への報酬)
  • 通信費〜電話回線やインターネット環境の構築のためにかかる費用(例:インターネットを利用するためのプロバイダ料金)
  • 消耗品費〜事務消耗品や少額の工具などの購入費(例:コピー用紙代)
  • 地代家賃〜土地・建物の賃料などの費用(例:事務所にかかる賃料)
  • 水道光熱費〜水道代・ガス代・電気代などの費用(例:事務所にかかる電気代)
  • リース料〜機械や設備を借りるために支払う費用(例:複合機を利用するためのリース料)
  • 新聞図書費〜書籍や新聞にかかる費用(例:事務所に置く新聞の購読料)

賃金(人件費)は売上原価に含む場合もある

業種や働く人によって、賃金(人件費)を販売費及び一般管理費ではなく、売上原価(製造原価)に含む場合もあるため注意しましょう。

すでに紹介したとおり、営業に携わる従業員に支払う賃金は販売費、管理に携わる従業員に支払う賃金は一般管理費です。一方、製造に携わる従業員の賃金は労務費として製造原価に含まれ、最終的に売上原価で処理されます。

なお、売上原価とは販売商品の仕入れや製造にかかった費用、製造原価は製造にかかった費用のことです。製造業で自社に販売部門がない企業の場合、売上原価と製造原価がイコールになることがあります。

経営に役立つ売上高販管費比率(販売管理費比率)とは

販売費及び一般管理費で経営分析・財務分析する際に用いる指標が、売上高販管費比率(販売管理費比率)や販売費比率です。売上高販管費比率は売上高に対して販売費及び一般管理費が占める割合、販売費比率は売上高に対して販売費が占める割合を示しています。

ここでは、売上高販管費比率の計算式や目安、分析方法について確認していきましょう。

売上高販管費比率の計算式

売上高販管費比率の計算式は、以下のとおりです。

売上高販管費比率(%) = 販売費及び一般管理費 ÷ 売上高 × 100

たとえば、売上高が1億円の企業で販売費が1,500万円、一般管理費が1,200万円の場合、売上高販管費比率は27%です(2,700万円 ÷ 1億円 × 100)。売上高が同じ場合、販売費及び一般管理費が高くなるほど、売上高販管費比率も増加します。

なお、「販売費及び一般管理費」の部分を「販売費」に置き換えれば、同じように販売費比率も算出可能です。先ほどと同じ例の場合、販売費比率は15%と計算できます(1,500万円 ÷ 1億円 × 100)。

売上高販管費比率の目安

売上高販管費比率の目安は、業種によって異なります。中小企業実態基本調査の2023年速報の数値を使って、各業種の売上高販管費比率平均をまとめました。

  • 建設業〜19.3%
  • 製造業〜16.5%
  • 情報通信業〜42.1%
  • 運輸業、郵便業〜22.6%
  • 卸売業〜12.9%
  • 小売業〜29.0%
  • 不動産業、物品賃貸業〜33.9%
  • 学術研究、専門・技術サービス業〜42.5%
  • 宿泊業、飲食サービス業〜67.6%
  • 生活関連サービス業、娯楽業〜37.3%
  • サービス業(他に分類されないもの)〜37.9%

卸売業・製造業・建設業のように10%台の業種もあれば、宿泊業、飲食サービス業のように6割を超える業種もあります。製造原価・売上原価の比率が高い業種は売上高販管費比率が低く、販売に携わる人件費が高い業種は売上高販管費比率も高くなることが一般的です。全業種における売上高販管費比率の平均値は、22.2%でした。

一般的に、売上高販管費比率が目安の数値よりも低ければ低いほど、経営効率が高いことを意味します。経営効率とは、限られた資本でどれだけの効果を得られるかを指した言葉です。

ただし、必ずしも売上高販管費比率が低い方がよい企業とは限りません。なぜなら、新商品をアピールするために広告宣伝費にお金をかけるなど、戦略上どうしても売上高販管費比率を高くせざるを得ない時期もあるためです。

参考:e-Stat「中小企業実態基本調査 令和5年速報(令和4年度決算実績)3. 売上高及び営業費用 (2)産業中分類別表 1)法人企業 公開(更新)日 2024-3-29」

売上高販管費比率の分析方法

売上高販管費比率の目安は業種によって異なるため、分析する際は同業他社の値と比較するとよいでしょう。上場企業や大企業に該当する場合、EDINETやホームページで損益計算書をチェックすれば、比較する企業の売上高や販管費を確認して売上高販管費比率を計算できます。

また、自社の前期の数値と比較することも大切です。前期と比べて大幅な変化がある場合、何が原因なのか分析した方が良いでしょう。

売上高販管費比率を改善する方法

単純に売上高販管費比率だけでは経営を判断できませんが、極端に高い場合は下げることを考えた方がよいでしょう。売上高販管費比率を改善する主な方法は、以下のとおりです。

  • 販売費及び一般管理費(販管費)を削減する
  • コストをかけずに売上を伸ばす

それぞれ解説します。

販管費を削減する

売上高をキープしつつ販管費を削減すれば、自ずと売上高販管費比率も改善します。販管費を削減する主な方法は、以下のとおりです。

  • 光熱費などの固定費を見直す
  • 販売促進費・広告宣伝費を見直す
  • 役員報酬・人件費を見直す
  • 業務効率化を図る

それぞれ具体的にどのようなことをするのか、解説します。

光熱費などの固定費を見直す

固定費を見直せば、販管費を削減できます。固定費とは、オフィスの賃料や光熱費のように、売上や販売量に関係なくほぼ同じ額を定期的に支払わなければならない費用のことです。

たとえば、今拠点を構えている場所に地理的メリットがなければ別の場所へ移転したり、広いスペースが必要なければ縮小したりすることで賃料を下げられる可能性があります。また、エアコンの温度設定を適温にする、使っていない部屋の消灯を徹底するなどでも光熱費を削減できるでしょう。

販売促進費・広告宣伝費を見直す

販売促進費や広告宣伝費を見直すことで、販管費を削減する方法もあります。

今まで掲載していた広告の費用対効果を分析し、十分な効果が得られていない場合は取りやめも検討しましょう。外部に広告を任せるのではなく、自社でも十分に吟味することが大切です。

また、オールドメディア(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)のみに頼っていた場合は、インターネット広告やSNSなどに一部移行することで費用を削減できることがあります。

役員報酬・人件費を見直す

役員報酬や人件費を見直すことも、販管費の削減につながります。

とくに役員報酬は、資金繰りの悪化を防ぐため過大な設定をしないことが重要です。自社の利益を考慮した上で、妥当な金額を設定しましょう。

人件費削減を考える際は、工数の見直しを前提に進めることがポイントです。ただ賃金の抑制だけを進めると、従業員のモチベーションを低下させるため注意しましょう。

業務効率化を図る

業務効率化を図ることで工数を減らせば、すでに紹介した光熱費や人件費の軽減にもつながります。業務効率化とは、業務におけるムリ・ムダ・ムラをなくし、効率よく業務を進めることです。

システムの導入は、業務効率化のひとつの例です。たとえば、会計ソフトを導入すれば、専門知識がなくても作業できるようになるため、従業員の作業時間や負担を軽減できます。最終的に、販管費の削減になるでしょう。

コストをかけずに売上を伸ばす

売上高販管費比率の分母にあたる部分が売上高です。そのため、販管費を削減できなくても、売上を伸ばせば売上高販管費比率は改善します。

ただし、販管費を上げずに売上を伸ばすには、さまざまな戦略を立てなければなりません。なぜなら、売上を伸ばすために従業員の数を増やしたり、多額の広告宣伝費を投じたりすると、自ずと販管費も増加してしまうためです。

売上げを伸ばす具体的な戦略として、個々の質を高めて競合企業に打ち勝つランチェスター戦略や、競合がいない市場を狙うニッチ化戦略などがあります。

また、すでに紹介した業務効率化を図ることも、コストをかけずに売上を伸ばすために大切なことです。

販売費及び一般管理費とはまとめ

販売費及び一般管理費(販管費)とは、企業の営業活動にかかる費用から売上原価を除いたもので、企業が事業活動をするにあたって欠かせない費用のことです。営業に携わる従業員への給与や広告宣伝費といった販売費と、管理業務に携わる従業員への給与や地代家賃などの一般管理費で成り立っています。

販管費を使った指標である「売上高販管費比率」の平均値は、約22%です。ただし、業種によって数値は大きく異なるため、通常分析する際は自社の過去の数値や、同業他社の数値と比較します。

売上高販管費比率が極端に高ければ、改善が必要です。自社の数値をチェックし、高い場合は業務効率化を図り販管費を削減する努力をしましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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