雑費とは?消耗品費との違いや仕訳方法など解説
更新日:2026年01月03日

雑費は、帳簿作成の際に「どの勘定科目に当てはめるべきか判断が難しい支出」を処理するために用いられる勘定科目です。特に個人事業主の場合、少額かつ分類しづらい費用の扱いに迷うことも少なくありません。雑費の役割や仕訳方法を正しく理解しておけば、経費管理がスムーズになり、後々の税務対応にも安心して備えられます。本記事では、雑費の定義や消耗品費との違い、具体的な仕訳例、計上時の注意点までをわかりやすく解説します。
目次
雑費とは
雑費とは、他の勘定科目に適切に分類できない費用をまとめるための勘定科目です。主に少額かつ一時的な支出に用いられ、適切な勘定科目が存在しない場合に使われます。
ただし、「少額で一時的」であることが前提条件であり、高額な支出や継続的に発生する費用には、別で専用の勘定科目を使うのがオススメです。
例えば、振込手数料は単発であれば雑費に計上可能ですが、継続的に発生する場合は「支払手数料」として処理した方が管理しやすくなるからです。
| 雑費の具体例 | |
| 手数料関連 | 振込手数料(単発)、証明書発行手数料(行政機関発行のものは、原則として租税公課で処理)など |
| 一時的な支出 | 書籍代(単発購入)、事務所の引越し費用、オフィス機器の短期レンタル費用など |
| その他の経費 | ゴミ処理代、臨時的な清掃費、キャンセル料など |
これらに共通するのは、経営上の重要性が高くなく、少額かつ一時的である点です。一方で、雑費を多用すると「帳簿管理が不十分」と税務署に判断されるおそれがあります。そのため雑費への仕訳の際は、摘要欄に支出の内容を明確に記入するようにしましょう。また、雑費の勘定科目を使うのは「事業に関係するか」「金額が大きいか」「継続的かどうか」で判断し、必要に応じて専用の勘定科目で計上しましょう。
雑費とその他の勘定科目との違い
雑費は、他の勘定科目に当てはまらない少額・一時的な支出を処理するための科目です。しかし、似た位置づけの勘定科目には消耗品費や雑損失、交際費、予備費などがあり、区別が曖昧になりやすい点に注意しなければなりません。
ここでは、それぞれの科目との違いを整理し、適切に仕訳する方法を解説します。
雑費と消耗品費の違い
消耗品費は、文房具や清掃用品、トナーなど短期間で消費される物品を処理する勘定科目です。使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の什器備品も含まれます。
一方の雑費は、これらに当てはまらない少額の支出を計上するための科目です。両者の区分は企業の裁量に委ねられる部分もありますが、雑費は必要最小限にとどめるのが望ましいでしょう。
雑費と雑損失の違い
雑損失とは、営業活動以外で発生する費用のうち、既存の勘定科目に当てはまらない少額の損失を処理するための勘定科目です。
発生頻度が低く、金額的にも大きな影響を与えないものが対象で、例として現金過不足の原因不明部分や災害による被害が挙げられます。
「事業活動以外で生じる細かな損失は雑損失、事業にかかわる少額支出は雑費」と覚えると区別がしやすいでしょう。
雑費と交際費の違い
交際費は、企業や組織が取引先との関係を維持・促進し、交渉やビジネス活動を円滑に進めるために支出する経費です。具体例としては、取引先との会食代やお土産代、自社イベントに招待する際の移動費などが挙げられます。
一方、取引先に渡す少額かつ臨時的な物品で交際の目的が明確でない場合は、雑費としての処理が可能です。
仕訳の判断としては、「取引先との関係維持に直接使う費用は交際費、それ以外の少額で一時的な事業上の支出は雑費」と覚えておくと仕訳の判断がしやすくなります。
雑費と予備費の違い
予備費は、企業の予算編成時に突発的な支出や期中の予期せぬ投資機会に備えて確保しておく財源を指します。額が比較的に大きく、使途を特定せず柔軟に活用できる点が特徴です。
実務上は、予備費を緊急・臨時支出用に、雑費を日常の少額経費用に区別して仕訳をします。「事前に確保する予算枠が予備費、支出後に記録する少額経費が雑費」と覚えるとわかりやすいでしょう。
計上できる雑費の上限
雑費として計上できる金額に法律上の上限はありません。ただし、金額が大きすぎると「支出内容が不明確」と判断され、税務調査で指摘を受けるおそれがあります。
さらに、決算書に占める雑費の割合が過度に大きい場合には、経営状況を適切に把握できず、企業会計の目的の1つである事業活動の明確化を妨げてしまいます。
そのため、雑費は経費全体の5〜10%程度を目安に抑え、可能な限り少額での管理を心がけましょう。この基準を大きく超える場合は、新たな勘定科目を設けるのがおすすめです。
【ケース別】雑費の仕訳例
雑費は、安易に計上すると経費の内容が不明確になりやすいため、適切な仕訳が求められます。ここでは、支出内容が一時的に不明な場合に雑費として処理し、後で正しい勘定科目に振り替える典型的なケースを具体例とともに解説します。
【ケース1】業務に必要な書籍を購入した場合
例:書籍代3,000円を現金で支払った
支出の性質が確定していない場合は、暫定的に「雑費」として仕訳します。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 雑費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 | 書籍代(△△書店) |
後日、この書籍が「〇〇業務に使用する専門書」であることが判明した場合、適切な勘定科目である「新聞図書費」に振り替えます。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 新聞図書費 | 3,000円 | 雑費 | 3,000円 | ◯◯業務のための専門書 |
【ケース2】制服のクリーニング代を支払った場合
例:従業員の制服クリーニング代5,000円を現金で支払った
支出の内容が確定していない場合は、暫定的に「雑費」として処理します。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 雑費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 | クリーニング代(△△クリーニング) |
後日、この費用が「事業主支給の制服のクリーニング代」であると判明した場合、「福利厚生費」に振り替えます。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
| 福利厚生費 | 5,000円 | 雑費 | 5,000円 | 制服のクリーニング代 |
支出の目的が後で判明した場合は、暫定的に計上した雑費を事業主の勘定科目規程に従い、適切な科目に振り替えましょう。
雑費を計上する際の注意点
雑費は、経費全体の5〜10%を目安にできるだけ抑えることが基本です。加えて、支出内容の明確化や消費税区分の確認、事業用・個人用の按分、固定資産との区別などもしておかなければなりません。
ここでは、雑費を計上する際に押さえておきたいポイントを解説します。
摘要欄に取引内容を記載する
雑費を仕訳する際は、摘要欄に支出内容をできるだけ具体的に記載することが重要です。摘要欄は帳簿や伝票に設けられており、取引の詳細を記すことでメモ欄としての役割を果たします。
支出内容が確定していない場合でも、購入店や金額、品目などを記入しておくことで後から確認しやすくなり、正しい勘定科目への振り替えが容易です。また、経営状況の把握や費用削減の判断にも役立ちます。
消費税区分の誤りに気を付ける
雑費を計上する際は、消費税の区分を正しく判断することが大切です。誤った区分で処理すると申告金額に影響を及ぼし、後で修正が必要になる場合があります。
多くの取引は「課税取引」として処理しますが、「不課税」「非課税」「免税取引」として扱わなければならない場合もあります。また、課税取引には標準税率10%と軽減税率8%があるため、レシートや領収書に記載されている税率を確認して仕訳しましょう。
さらに、仕入税額控除の適用を受けるには、取引先が適格請求書発行事業者であることが条件です。登録番号が確認できない場合は原則として控除対象外ですが、2023年10月~2031年9月までは経過措置により控除できる場合があります。
用途に応じて家事按分する
雑費には、事業用と個人用の両方にかかわる支出があります。全額をそのまま経費に計上するのは、正しい会計処理とはいえません。そのため、家事按分が必要です。
家事按分とは、生活費と事業費が混在する費用のうち、事業にかかわる分だけを経費として計上する方法です。自宅兼事務所の引越し費用や、電話・インターネットの利用料などが該当します。使用目的や頻度に基づき、合理的な割合で算定しましょう。
引越し費用であれば、運ぶ荷物の量や箱数を事業用と個人用に分けた按分が可能です。税務調査などで説明を求められた際に備え、計算の根拠を明確に記録し保存しておくようにしましょう。
固定資産は雑費にあたらない
事業で長期に使用する資産は、一時的で少額の支出に限られる雑費とは性質が異なるため雑費には含まれません。
固定資産とは、取得価額が10万円以上または使用可能期間が1年以上の資産を指します。これらの資産は、購入時の支出を使用期間にわたり配分する減価償却の処理が必要であり、仕訳の際は「減価償却費」を用います。
状況に応じて使い分け┃雑費以外の勘定科目
雑費は便利な勘定科目ですが、安易に使いすぎると事業の実態がわかりにくくなります。経費全体の5〜10%を超える場合は、適切な勘定科目への仕訳を検討しましょう。
具体的には、以下のような勘定科目に振り分けられることがあります。
- 賃借料
- 諸会費
- 租税公課
- 荷造運賃
- 支払手数料
- 設備維持費
- 衛生管理費
ここからは、それぞれの勘定科目について見ていきましょう。
賃借料
賃借料は基本的に「賃借料」の勘定科目で処理できますが、対象物や利用目的に応じて、より適した勘定科目に仕訳することも可能です。支出の性質に応じて仕訳を分けることで、経費の管理が明確になり、財務情報の正確性も向上します。
実務上、家具や機器のレンタルから会議室の利用、サーバーの使用料まで、用途により適した勘定科目は異なります。主な区分を整理すると次の表のとおりです。
| レンタルする物品・サービス | 適した勘定科目 | 補足 |
| 家具、ユニフォーム、貸金庫など | 賃借料 | 短期レンタルは賃借料で処理 |
| OA機器(コピー機、パソコンなど) | 賃借料/リース資産 | ファイナンスリースは資産計上が必要 |
| ドメイン利用料、Wi-Fiルーター | 通信費 | 短期利用は通信費で処理 |
| レンタルサーバー | 賃借料/通信費/広告宣伝費/支払手数料 | 利用目的に応じて区分 |
| 会議室 | 会議費/研修費/広告宣伝費 | 利用目的に応じて区分 |
| 定期利用のレンタカーなど | 車両費 | |
| 出張利用のレンタカー | 旅費交通費 | |
| 事務所・店舗の家賃、レンタルオフィス、月極駐車場、倉庫など | 地代家賃 |
少額かつ一時的な支出は、雑費に計上するケースもあります。ただし、長期的または高額のレンタル料は「賃借料」などの適切な勘定科目で処理し、同じ科目で継続的に処理するようにしましょう。
諸会費
諸会費とは、企業が業務に関連して支払う会費を計上する勘定科目です。同業組合や職能団体、商工会議所、中小企業協同組合などの会費が該当します。
対象となる会費
- 町内会費や商店街の会費(業務上必要な場合)
- 職能団体や同業組合の会費(医師会、弁護士会、中小企業協同組合など)
※支出が業務に直接関係ない場合は、経費として認められません。
税務上の扱い
- 原則:消費税は不課税(会費に対して明確なサービスや物品の提供がないため)
- 例外:業務用クレジットカードの年会費は課税対象(カード利用に伴うサービスに対価性があるため)
処理上の注意点
社会奉仕・親睦目的の団体への会費やロータリークラブ、ライオンズクラブの会費は、接待交際費として処理します。ただし、損金算入には制限があります。
雑費として処理されがちな支出であっても、業務に関連する会費は「諸会費」として区別し、正しく仕訳することが重要です。
租税公課
役所で発行してもらう証明書の手数料は、雑費で処理してしまいがちですが、正しくは租税公課で計上します。
租税公課とは、国や地方自治体に納める税金である「租税」と、公共団体へ納める行政サービスの手数料や罰金などの「公課」を合わせた勘定科目です。
印鑑証明書や納税証明書、登記事項証明書(登記簿謄本)の発行手数料などは、業務に必要な費用として租税公課で処理します。
荷造運賃
荷造運賃は、製品や商品の発送に伴う費用を計上する勘定科目です。宅配便料金や郵送代、運送費、段ボールや緩衝材など、出荷や梱包を目的とした資材費が含まれます。
ただし、発送や梱包を目的としない支出は別の科目で処理しなければなりません。例えば、事務用段ボールは消耗品費、請求書送付の切手代は通信費に分類します。
オフィス移転などの引越し費用は例外的に荷造運賃で処理できる場合もありますが、特別な理由がない場合は雑費や移転費用用の科目で処理するのが適切です。
支払手数料
支払手数料は、銀行振込や各種事務手続きに伴って発生する費用を計上する勘定科目です。雑費と混同されがちですが、雑費は少額かつ一時的な支出をまとめて処理するものであり、定期的に発生する費用は含まれません。
支払手数料は、直接的な販売活動に関連する費用ではなく、間接的な経費として一般管理費に分類されます。具体的には、次のような費用が該当します。
- 銀行の振込手数料
- 各種証明書の発行手数料
- 事務手数料
- 仲介料
- 登録手数料
ただし、名称に「手数料」が含まれていても、販売活動に直結する費用(販売手数料など)は支払手数料ではなく、販売促進費(営業経費)として処理しなければなりません。
また、弁護士や税理士などの専門家に支払う報酬は、支払手数料とは性質が異なります。そのため、「支払報酬」や「業務委託費」として扱います。
設備維持費
設備維持費は、所有する設備を正常な状態に保つための支出を処理する勘定科目です。対象となるのは設備の修繕や定期点検に加え、それらに伴って発生した不要機材や廃材の処分費用などです。
これらを「設備維持費」としてまとめて処理することで、複数の勘定科目に分けて仕訳するよりも管理が容易になります。具体例として、修繕工事の費用とその際に生じた不用品処分費用を合わせて「設備維持費」として仕訳するケースが挙げられます。
このように、設備の維持や修繕を目的として発生した費用は、付随する処分費用も含めて設備維持費で処理すると管理が容易です。
ただし、すべての廃棄費用が設備維持費に当てはまるわけではありません。事務用品の廃棄にかかるゴミ処理券の購入は「雑費」、社内全体の清掃にかかる費用は「清掃費」とするなど、実態に応じた勘定科目の使い分けが必要です。
衛生管理費
衛生管理費は、毎月ある程度の清掃費用が発生する事業運営で用いられる勘定科目です。美容室や飲食店では、衛生面を維持するため頻繁な清掃が不可欠となり、清掃費用が高額になります。
このような業種や来客数の多い事業所は、衛生管理費としての計上が適しているといえるでしょう。一方、清掃道具の費用は、消耗品費での処理が妥当です。また、清掃頻度が低い場合のゴミ袋やほうきなどの少額費用は、雑費が適しています。
事業の性質と清掃費用の規模に応じて、適切な勘定科目の選択をしましょう。
雑費まとめ
雑費は、どの勘定科目に分類すべきか迷った際に使える便利な科目ですが、その使い方には明確なルールがあります。あくまで「他の科目に当てはまらない、少額で一時的な支出」に限定し、継続的に発生する費用には専用の勘定科目を設けることを徹底しましょう。
雑費として計上する際は、後から見返してもわかるように、摘要欄へ取引内容を具体的に記載することが重要です。また、消費税の区分や家事按分も忘れずに実施し、高額なものは固定資産として正しく処理するなど、一つひとつの積み重ねが帳簿の信頼性を高めます。
これらのポイントを押さえて雑費を適切に使い分けることが、確かな経費管理につながります。日々の帳簿づけに自信を持って取り組み、安心して事業に集中できる環境を整えていきましょう。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
| 項目 | 内容 |
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| 法人番号 | 1011101045361 |
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