商品有高帳とは?記入方法や注意点についてわかりやすく解説

更新日:2025年07月28日

商品有高帳

商品有高帳とは、在庫の状況を正確に把握したり、正確に損益を計算したりするために作成する帳簿のことです。記帳する際は、売価ではなく仕入れ原価を記入することや、記載する帳簿を間違えないようにすることに注意しましょう。本記事では、商品有高帳とはどのような帳簿かを説明したうえで、記入方法についても記載例を用いて解説します。

目次

商品有高帳とは

商品有高帳とは、社内にある商品ごとの在庫を記録する帳簿のことです。読み方は「しょうひんありだかちょう」です。商品有高帳は、自社の経営状況を正しく把握するためにも欠かせません。ここから、商品有高帳に記載する項目や、記載するタイミングについて解説します。

主な記載項目

商品有高帳(しょうひんありだかちょう)に記載する主な項目は、以下のとおりです。 これらの情報をもとに、在庫の増減や保有状況を正確に把握できます。

  • 日付(前月繰越日・仕入日・売上日など)
  • 仕入で入庫した数量・単価・金額
  • 販売で出庫した数量・単価・金額
  • 商品ごとの有高(数量・単価・金額)

「有高(ありだか)」とは、一定時点における商品ごとの在庫のことです。なお、販売する商品を仕入れて決められた場所に保管することを入庫、保管している商品を取引先に販売して納品することを出庫と呼びます。

記載するタイミング

商品有高帳は、商品の出入りがあった都度、正確に記帳することが重要です。主な記載タイミングは以下のとおりです。

  • 前月から繰越をするとき
  • 商品を仕入れるとき
  • 商品を販売するとき
  • 返品があったとき
  • 次月に繰越をするとき

たとえば、文房具店がノートを100冊仕入れたら、商品有高帳に記載します。また、そのうち30冊を販売できたタイミングでも、記載しなければなりません。
こうした記録を一つひとつ丁寧に行うことで、仕入れた数・売れた数・手元に残っている数を正確に把握できるようになります。

商品有高帳の作成目的

商品有高帳を作成する主な目的は、以下のとおりです。

  • 在庫の状況を正確に把握するため
  • 実地棚卸と差がないか確認するため
  • 正確に損益を計算するため

それぞれの目的につてい、以下で詳しく解説します。

在庫の状況を正確に把握するため

帳簿を見るだけで在庫の状況を正確に把握できるように、商品有高帳を作成します。

商品有高帳をつけていない場合、仕入れに必要な数量を考える際に都度在庫を確認しなければなりません。確認作業を省き担当者の感覚だけで仕入を進めると、過剰在庫や欠品が発生するリスクが高まります。

一方で、商品有高帳をきちんと記入しておけば、いつ・どの商品が・どれだけ入庫/出庫されたかを帳簿上で正しい確認できるため、在庫管理をしやすくなるでしょう。

実地棚卸と差がないか確認するため

実地棚卸と差がないか確認するためにも、商品有高帳を作成しなければなりません。

実地棚卸とは、店舗や倉庫などで保管している商品の数を実際に数えたり点検したりして、数量・保存状態などを確認する作業です。一方、帳簿で在庫を確認する作業を帳簿棚卸と呼びます。

盗難や担当者のミスなどが発生する可能性があるため、実地棚卸だけでは本来あるべき在庫を確認できないことがあるでしょう。そこで、実地棚卸と商品有高帳を使った帳簿棚卸を照合することで、より正確な数字を把握できます。

また、実地棚卸では把握しきれない日々の細かな在庫の増減をつかむためにも、商品有高帳の作成が必要です。

正確に損益を計算するため

正確に損益を計算するためにも、商品有高帳を正しく作成しておかなければなりません。

損益計算書などに表示する売上総利益の計算式は、以下のとおりです。

売上総利益(円) = 売上高 − 売上原価

日頃からこまめに仕入や販売について商品有高帳に記入していれば、最新の売上原価を適切に把握できるため、売上総利益をスムーズに確認できます。損益をつど把握しておくことは、経営判断にも役立つでしょう。

商品有高帳に記入する際の計算方法

商品を販売した際、商品有高帳に記載する単価を計算する方法は以下のとおりです。

  • 先入先出法
  • 移動平均法

どちらの方法を用いるかによって、単価が異なることがあります。なぜなら、仕入時点によって原価が異なる場合があるためです。

ここから、ある商品を4月10日に230個(単価100円)・5月9日に270個(単価80円)を仕入れ、5月30日に100個販売したケースを使って、それぞれの方法を解説します。

先入先出法

先入先出法とは、先に仕入れた商品から順番に販売していく前提で、出庫時の単価を計算する方法です。食品のように鮮度が重要な商品や、医薬品のように高度な品質管理を求められている商品を扱う事業者において、用いられています。

今回のケースでは、4月10日に仕入れたボールペンから出庫すると考える点がポイントです。そのため、5月30日に100本販売した際の出庫単価は、100円と計算できます。

したがって、売上原価は「100円 × 100本 = 10,000円」となります。

移動平均法

移動平均法とは、商品を仕入れた金額の平均に基づき、単価を計算する方法です。以下の計算式を用いて販売時に用いる平均単価を求めます。

平均単価(円) = (残高金額 + 仕入金額)÷(残高数量 + 仕入数量)

今回のケース(※)で、5月30日に商品を販売する時点における平均単価は、89.2円です{(23,000円 + 21,600円) ÷ (230個 + 270個)}。

※4月10日以前に在庫なしと仮定

先入先出法を使った商品有高帳の記帳例

下記資料を基に、先入先出法で商品有高帳へと記帳してみましょう。仕入単価の異なる商品は2行に分けて区分して記載します。

日付 摘要 品目 数量 金額
9月1日 前月繰越 りんご 10個 @250円
9月5日 仕入 りんご 20個 @240円
9月10日 売上 りんご 20個 @300円(売価)
9月20日 仕入 りんご 30個 @260円
9月26日 売上 りんご 25個 @290円(売価)
9月30日 月末のため商品有高帳を締め切る。
商品有高帳
りんご
日付 摘要 受入 払出 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額金額
9 1 前月繰越 10 250 2,500 10 250 2,500
5 仕入 20 240 4,800 10 250 2,500
20 240 4,800
10 売上 10 250 2,500
10 240 2,400 10 240 2,400
20 仕入 30 260 7,800 10 240 2,400
30 260 7,800
26 売上 10 240 2,400
15 260 3,900 15 260 3,900
30 次月繰越 15 260 3,900
60 15,100 60 15,100

なお、売上総利益の計算方法は以下の通りです。

  • 売上高=13,250円(9月10日の売上6,000円+9月26日の売上7,250円)
  • 売上原価=11,200円(9月10日の払出欄2,500円+2,400円と9月26日の払出欄2,400円+3,900円)
  • 売上総利益=2,050円(売上高13,250円-売上原価11,200円)

先入先出法による商品有高帳の記入方法・流れ

商品有高帳に記入する際の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 前月繰越を記入する
  2. 商品を仕入れた際に記入する
  3. 商品を販売したときに記入する
  4. 次月に繰越す際に記入する

これらの工程を通じて、<在庫の増減を時系列で記録>し、在庫数量や金額の管理を行います。

ここでは、実際の<「先入先出法を使った商品有高帳の記帳例」>の一部を使って、先入先出法による記入方法の具体的な流れをご紹介します。

1. 前月繰越を記入する

商品有高帳の記入を始めるにあたって、まず前月繰越を記入しなければなりません。

資料では、8月31日時点でりんごが10個(単価250円)残っていたため、商品有高帳の日付(9月1日行)に「摘要」を「前月繰越」として、「受入」欄で、数量「10」単価「250」金額「2,500」(10 × 250)と記入しています。

なお、「残高」欄の数量・単価・金額にも、「受入」欄と同じ内容の記入が必要です。

2. 商品を仕入れた際に記入する

商品を仕入れたら、仕入時点の「日付」や「摘要」(仕入)を記入し、「受入」欄の数量・単価・金額を埋めていきます。また、同じ行の「残高」欄には、前月繰越時点での残高を記入する点に注意が必要です。仕入を記入した行の下に、「受入」欄の数量・単価・金額を記入しましょう。

事例では、9月5日で「摘要」に「仕入」とした行に、「受入」欄に数量「20」単価「240」金額「4,800」(20 × 240)を記入しています。異なる単価の在庫が残っているため、同じ行の「残高」欄に記入しているのは、前月繰越の数値です(数量「10」単価「250」金額「2,500」)。

記入した行の下の「残高」欄には、「受入」欄の数字を転記しています(数量「20」単価「240」金額「4,800」)。

3. 商品を販売したときに記入する

商品を販売したら、販売時点の「日付」や「摘要」(売上)を記入し、「払出」欄の数量・単価・金額を埋めていきます。

このとき、在庫の単価をどう扱うかが重要になります。
先入先出法の場合は、販売する個数によって2行記入することがある点がポイントです。

事例では、9月10日で摘要に「売上」とした行に、まず「払出」欄で数量「10」単価「250」金額「2,500」(10 × 250)と記入しています。販売した20個のうち、10個は前月から残っていた単価250円のりんごと判断するためです。

次の行の「払出」欄では、9月5日に仕入れたりんごのうち10個分を記入しています。数量が「10」で、単価は「240」、金額が「2,400」(10 × 240)です。同じ行の「残高」には、残っている在庫(単価240円のりんご)、数量「10」単価「240」金額「2,400」(10 × 240)を記入しています。

4. 次月に繰越す際に記入する

月末には、「摘要」に「次月繰越」として「払出」欄に月末時点の在庫に相当する「数量」「単価」「金額」を記入します。また、最終行には1か月分を加算した値の記入が必要です。

事例では、「次月繰越」と記入した行に、直前行の「残高」欄にある数量「15」単価「260」金額「3,900」を転記しています。また、最終行の「受入」欄・「払出」欄にそれぞれ記入している数量「60」金額「15,100」は、各行の合計額です。

なお、最終行の「受入」欄・「払出」欄の数値は一致します。

移動平均法を使った商品有高帳の記帳例

下記の資料を基に、移動平均法で商品有高帳へと記帳します。

日付 摘要 品目 数量 金額
9月1日 前月繰越 りんご 10個 @250円
9月5日 仕入 りんご 10個  @240円
9月9日 売上 りんご 18個 @300円(売価)
9月21日  仕入 りんご 28個 @270円
9月28日 売上 りんご 30個 @290円(売価)
9月30日 月末のため商品有高帳を締め切る。
商品有高帳
りんご
日付 摘要 受入 払出 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額金額
9 1 前月繰越 10 250 2,500 10 250 2,500
5 仕入 10 240 4,800 20 245 4,900
9 売上 18 245 4,410 2 245 490
21 仕入 28 260 7,280 30 259 7,770
28 売上 20 259 5,180 10 259 2,590
30 次月繰越 10 259 2,590
48 12,180 48 12,180

売上総利益の計算方法は以下の通りです。

  • 売上高=14,100円(9月9日の売上5,400円+9月28日の売上8,700円)
  • 売上原価=9,590円(9月9日の払出欄4,410円と9月28日の払出欄5,180円)
  • 売上総利益=4,510円(売上高14,100円-売上原価9,590円)

移動平均法による商品有高帳の記入方法・流れ

移動平均方法で商品有高帳を記入する際の流れも、基本的には先入先出法による場合と同じです。ここから、「移動平均法を使った商品有高帳の記帳例」の一部を使って、移動平均法による記入方法を紹介します。

1. 前月繰越を記入する

移動平均法の場合も、まずは前月繰越を記入します。やり方は、先入先出法と同じです。事例では、「前月繰越」行の「受入」欄・「残高」欄に、それぞれ数量「10」単価「250」金額「2,500」(10 × 250)と記入しています。

2. 商品を仕入れた際に記入する

商品を仕入れたら、「仕入」行の「受入」欄と「残高」欄にある「数量」「単価」「金額」に数値を入れていきます。移動平均法の場合は、残っている商品の単価も含めて平均した値を「残高」欄の「単価」に記入する点がポイントです。

事例では、9月5日の「仕入」行にある「受入」欄で、数量「10」単価「240」金額「2,400」(10 × 240)と記入しています。また、「残高」欄に記入している数量「20」と金額「4,900」は、仕入と現時点での残高を合計した値です。単価の「245」は、現時点での残高と仕入分を平均しています{(2,500 + 2,400) ÷ (10 + 10)}。

3. 商品を販売したときに記入する

商品を販売したら、「売上」行の「払出」欄と「残高」欄にある「数量」「単価」「金額」に数値を入れていきます。先入先出法と異なり、「単価」には直前で計算した平均単価を記入する点がポイントです。

事例では、9月9日の「売上」行にある「払出」欄で、数量「18」単価「245」金額「4,410」(18 × 245)と記入しています。

4. 次月に繰越す際に記入する

月末には「次月繰越」として「払出」欄に残った分の数量・単価・残高を記入します。また、最終行の「受入」欄と「払出」欄に、1か月分を合計した値の記入も必要です。

事例では、「次月繰越」行の「払出」欄に直前行にある「残高」欄の数量「10」単価「259」金額「2,590」を転記し、最終行に各行を合計した数量「48」金額「12,180」を記入しています。

商品有高帳に記帳するときの注意点

商品有高帳に記帳するときは、以下の点に注意しましょう。

  • 売価ではなく原価を記入する
  • 記載する帳簿を間違えないようにする
  • 返品があった場合も記入しなければならない

各注意点について、解説します。

売価ではなく原価を記入する

商品を販売した際、商品有高帳には売価ではなく原価を記入しましょう。

たとえば、在庫がない状態で新たにボールペンを120本(単価80円)仕入れて、50本を120円で販売した場合、商品有高帳の「売上」行の「単価」に記入するのは、「120」ではなく「80」です。ただし、在庫がある状態で仕入れた場合は、先入先出法と移動平均法で単価が異なる可能性があります。

記載する帳簿を間違えないようにする

商品有高帳を扱うにあたって、記載する帳簿を間違えないようにしましょう。

商品有高帳は、「商品」に関する項目を記載する帳簿です。そのため、「原材料」を仕入れた際には、別途材料元帳に内容を記入しなければなりません。

関連して、商品有高帳では、異なる種類の商品を同じページで管理できない点にも、注意しましょう。

返品があった場合も記入しなければならない

仕入・販売だけでなく、返品があった場合も商品有高帳への記入が必要です。18個(単価245円)のりんごを売った翌日に、2個の返品があった場合は以下のように記入します(移動平均法)。

商品有高帳
りんご
日付 摘要 受入 払出 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額金額
9 1 前月繰越 10 250 2,500 10 250 2,500
5 仕入 10 240 2,400 20 245 4,900
9 売上 18 245 4,410 2 245 490
10 売上戻り 2 245 490 4 245 980

摘要には「売上戻り」と記入し、「受入」欄もしくは「払出」欄に返品された商品の「数量」「単価」「金額」を埋めます。「受入」欄に記入する場合はプラス表記、「払出」欄に記入する場合はマイナス表記にする点がポイントです。単価は、販売時点の数値を使います。

商品有高帳まとめ

商品有高帳とは、商品の仕入・販売などのタイミングで作成する帳簿です。作成することで、在庫の状況や損益などをより正確に把握できます。

先入先出法を用いるか、移動平均法を用いるかによって、商品有高帳に記入する原価が異なる点が重要です。また、記入する帳簿を間違えないことや、返品があった場合にも記入が必要なことには気をつけなければなりません。

正しくこまめに商品有高帳に記入し、経営判断に役立てましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
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所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

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