財務諸表の作り方~貸借対照表、損益計算書の作成~
更新日:2023年02月07日
企業の決算時には、経営成績や財務状況を把握するための資料として「財務諸表」を作成します。税務申告の際に必要なので、必ず作成しましょう。似たような言葉に決算書、計算書類があります。簿記3級レベルで必要になるのは、損益計算書と貸借対照表の作成です。今回は、その2点について解説します。
損益計算書の作成
損益計算書は、一定期間の企業の経営成績を表す資料です。損益計算書には、その事業年度の収益と費用を記帳します。損益振替の際に収益と費用は損益勘定にまとめているため、締め切り済みの損益勘定から作成が可能です。
損益計算書では、借方に費用の科目を、貸方に収益の項目を記帳します。ただし、科目によっては表示名を変える必要があり、「売上」は「売上高」、「仕入」は「売上原価」とします。資本振替で資本金に振り替えている分は、「当期純利益」として表示します。
例)損益に振り替えた金額が売上で20,000円、売上原価が13,000円、貸倒引当金繰入が600円、消耗品費が4,000円、減価償却費が1,000円、当期純利益で1,400円増えている場合。
損益計算書 | |||
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企業名 | 自令和〇〇年1月1日 至令和〇〇年12月31日 |
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費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
売上原価 | 13,000 | 売上高 | 20,000 |
貸倒引当金繰入 | 600 | ||
消耗品費 | 4,000 | ||
減価償却費 | 1,000 | ||
当期純利益 | 1,400 | ||
20,000 | 20,000 |
貸借対照表の作成
貸借対照表は、事業年度末の時点での財務状況(資産、負債、純資産)を把握するための資料です。事業年度末の時点で、資本金や純資産の金額をもとに、資産や負債の額を把握できます。貸借対照表は繰越試算表とほぼ同じ形式になります。ただし、「繰越商品」は「商品」となるよう表示名を変えなければなりません。また、売掛金に貸倒引当金を設定している場合と、減価償却累計額の扱いに注意しましょう。
例)繰越精算表の金額が現金で5,000円、売掛金が12,000円、繰越商品が5,000円、備品が9,000円、買掛金が10,000円、借入金が3,700円、減価償却累計額が2,000円、貸倒引当金が300円、資本金が15,000円だった。資本金の額は期首が10,000円で、当期純利益が5,000円増加している場合。
繰越試算表 令和〇年12月31日 |
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借方 | 勘定科目 | 貸方 |
5,000 | 現金 | |
12,000 | 売掛金 | |
5,000 | 繰越商品 | |
9,000 | 備品 | |
買掛金 | 10,000 | |
借入金 | 3,700 | |
減価償却累計額 | 2,000 | |
貸倒引当金 | 300 | |
資本金 | 15,000 | |
31,000 | 31,000 |
繰越試算表をもとに、貸借対照表を作成します。
貸借対照表 | ||||
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企業名 | 令和〇〇年12月31日 | |||
資産 | 金額 | 負債及び純資産 | 金額 | |
現金 | 5,000 | 買掛金 | 10,000 | |
売掛金 | 12,000 | 借入金 | 3,700 | |
貸倒引当金 | 300 | 11,700 | 資本金 | 10,000 |
商品 | 5,000 | 当期純利益 | 5,000 | |
備品 | 9,000 | |||
滅価償却累計額 | 2,000 | 7,000 | ||
28,700 | 28,700 |
貸倒引当金は売掛金から差し引く形で表示し、減価償却累計額は対象となる備品や建物、車両などから差し引きます。
資本金は資本振替前の金額を記帳します。資本振替前であるため当期純利益の分は含まず、当期純利益は資本金の下に表示します。表を作成し終えたら、必ず貸方と借方の合計額が一致するのを確認しておきましょう。貸借対照表の場合には、表の上部に企業名と年月日を記入します。
財務諸表の作成は簿記の集大成
損益勘定の締め切りと繰越試算表の作成まで終わっていれば、損益計算書と貸借対照表の作成はそれほど難しくはありません。仕入を売上原価にするなど、科目名と表示名が異なるものがあることを注意しておきましょう。財務諸表は、税務申告に必要であり、会社の経営成績や財務状態の健全さについて大体の把握ができるため、作成手順を理解しておいてください。財務諸表まで作れたら、簿記3級レベルはマスターといってもよいでしょう。
貸借対照表と損益計算書に「キャッシュ・フロー計算書」を加えると「財務三表」と呼ばれます。キャッシュフロー計算書にも興味のある方は、以下の記事を読んでみてください。参考)キャッシュフロー計算書とは~読み方、分析する方法、直接法と間接法の違いについて解説~
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社フリーウェイジャパン |
法人番号 | 1011101045361 |
事業内容 |
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本社所在地 | 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町12-8 Biz-ark日本橋6F |
所属団体 | 一般社団法人Fintech協会 |
顧問弁護士 | AZX総合法律事務所 |