伝票式会計とは~仕訳帳ではなく伝票で仕訳する会計処理~
2018.10.12

伝票式会計とは、仕訳帳の代わりに「伝票」を用いて仕訳する、会計処理の方法です。実務では取引内容の記入に仕訳帳を使う機会はほとんどないため、伝票式会計が採用されています。今回は、伝票式会計について簡単に解説します。
伝票と起票とは?
「伝票」とは、取引を一定の形式で記録する紙片のことです。この伝票に取引の内容を記入することを「起票」といい、伝票を帳簿として用いる会計方法を「伝票式会計」といいます。仕訳帳では取引を1行ずつ記入しますが、 伝票の場合は取引を伝票に1枚ずつ記入するため作業を複数人で分担でき、業務の細分化が可能です。
伝票の記入(3伝票制)
こちらでは、「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類を用いる「3伝票制」について説明します。入金取引では「入金伝票」、出金取引では「出金伝票」、それ以外の取引では「振替伝票」を用います。
入金伝票の起票
現金が入金されるときにだけ使用します。入金取引では必ず借方は現金勘定となり、貸方には伝票に記載されている勘定を記入します。
例)2月2日に取引先へ10,000円分の商品を販売し、代金を現金で受け取った場合
入金伝票 No.1 平成○○年2月1日 |
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上記の伝票の仕訳は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
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現金 | 10,000円 | 売上 | 10,000円 |
出金伝票の起票
出金伝票は現金を出金するときにだけ使用します。出金取引では現金が減少するため貸方は現金勘定となり、借方には伝票に記載されている勘定を記入します。
例)2月10日に取引先から10,000円分の商品を仕入れ、代金を現金で支払った場合
出金伝票 No.10 平成○○年2月10日 |
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上記の伝票の仕訳は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
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仕入 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
振替伝票の起票
入金取引、出金取引以外の取引を行った場合は振替伝票を用います。振替伝票は入金伝票や出金伝票と異なり両方の勘定科目が決まっておらず、起票の方法は通常の仕訳と同じです。貸方、借方ともに伝票に記載された勘定を記入します。
例)2月15日に取引先へ10,000円分の商品を販売し、代金を掛けとした場合
振替伝票 No.10 平成○○年2月15日 |
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上記の伝票の仕訳は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
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売掛金 | 10,000円 | 売上 | 10,000円 |
一部現金取引の起票
商品を仕入れる際に代金の一部を現金で支払い、残額を掛けとした場合、取引の中に現金と一部現金取引が含まれます。振替伝票の記入方法は、商品を仕入れた代金の一部を現金で支払い、残額を掛けとする方法と、全額掛けで仕入れたと仮定し、その一部を現金で支払ったものとする方法の2つです。
例)2月5日に取引先から10,000円分の商品を仕入れ、代金のうち4,000円を現金で支払い、残りの一部を掛けにする場合
出金伝票 No.8 平成○○年2月5日 |
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振替伝票 No.15 平成○○年2月5日 |
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上記の伝票の仕訳は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
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仕入 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
仕入 | 6,000円 | 買掛金 | 6,000円 |
例)2月2日に商品10,000円を全額掛けとして仕入れ、3月31日に代金の一部4,000円を現金で支払った場合
振替伝票 No.6 平成○○年2月2日 |
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出金伝票 No.20 平成○○年3月31日 |
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上記の伝票の仕訳は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
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仕入 | 10,000円 | 買掛金 | 10,000円 |
買掛金 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
仕訳帳の代わりに伝票式会計を使うと合理的
今回は仕訳帳の代わりにできる伝票を用いて行う伝票式会計の仕訳を解説しました。伝票を起票した後はまとめて総勘定元帳へ転記するため、誰でも使えるかんたんなフォーマットとして、経理に詳しくない人でも素早く作成できる合理的な会計手段です。
【記事の執筆と監修について】
この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが執筆および監修をしています。当社は1991年に創業し、税理士事務所向けの会計ソフトの販売からスタートした会社です。2009年から中小企業・個人事業主の方向けにクラウド型の業務系システムの開発・販売を開始しました。当メディアは2012年から運営しており、会計や金融など経営に関する幅広い情報を発信しています。また、当社は本当に無料で使える会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」を提供しており、ご利用いただければ費用をかけずに業務効率化が可能です。詳しくは、こちら↓↓
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