通知預金とは~仕訳、メリット、他の預金との違いを解説

更新日:2023年04月12日

通知預金

通知預金とは、流動性預貯金のひとつで、まとまった資金を短期間だけ銀行に預けたい場合に適している預金です。通知預金では、お金を預けてから7日間の据置期間があり、その後は2日前までに銀行に通知すれば一括で引き出せます。今回は、通知預金のメリット、デメリット、仕訳について解説します。

通知預金のメリット

前述の通り、通知預金は普通預金と比べて金利が高く設定される傾向にあります。また、金利以外にも、通知預金にはさまざまなメリットがあります。ここからは、通知預金のメリットについて解説します。

少ない額でも利用が可能

預金のなかには、最低預入金額が10万円を超えることがある定期預金や、残高が10万円程度に達しない場合は普通預金と同額の金利が適用される貯蓄預金などが存在します。

これらの預金が持つ欠点は、預けたお金を自由に引き出せないこと、また、低い金額では普通預金と同じ程度の金利しか得られないことが挙げられます。

これに対して通知預金は、最低預入金額が少なく、1万円からでも利用を可能にしている金融機関もあります。また、預けたお金を自由に引き出せる流動性預貯金でもあるため、他の預金と比べて手軽に使用できます。

普通預金以上の金利が適用される

通知預金のメリットとして、普通預金と同じ利便性の高い流動性預貯金ですが、普通預金よりも高い金利が適用される傾向にあることが挙げられます。

金利の高さを活かして、短期間だけ資金を通知預金に預け入れることで、定期預金や貯蓄預金よりも効率よく利息を得られる場合があります。

解約する際の制約が緩い

通知預金では、口座を開設した日から7日間の据置期間が経過した後であれば、いつでも任意のタイミングで解約手続きができます。

解約の際に必要な手続きは、2日以上前に銀行に連絡しておくこととなり、それ以外の制約は基本的にはありません。自身の金銭状況の変化があった場合にも、すみやかに対応しやすくなります。

預金保険制度が適用される

通知預金には、「預金保険制度」が適用されます。

預金保険制度とは、銀行が破綻した際に顧客が預けたお金の一定額を保護するための制度です。通知預金の場合は、元本1,000万円までの金額と、破綻日までに獲得した利息等が保護されます。

また、通知預金は元本割れもしないため、利益が出ることはあっても大きな損失を被ることは無く、安全性に優れた預金といえます。

通知預金のデメリット

ここからは、通知預金の欠点について解説します。

金利が普通預金より高くなるとは限らない

通知預金は、普通預金と比べて金利が高い傾向にあると述べましたが、必ずしも普通預金よりも金利が高いとは限りません。金融機関によっては、普通預金と通知預金の金利が同じに設定されているケースもあります。

据置期間に解約すると金利が下がる

通知預金では、お金を預け入れた後の7日間は据置期間として設定されています。この据置期間中に解約すると、普通預金の金利が適用されることが一般的です。

この据置期間があることを知らずに、利用開始後すぐに解約してしまうと、通知預金のメリットといえる高金利による利益を得られなくなるため注意が必要です。

急にお金が必要な時に対応できない

通知預金は、預け入れたお金を自由に引き出せる流動性預貯金の一つです。ただし、そのお金を引き出す際には、2日以上前までに銀行へ通知するというルールがあります。

予想外の事態で急にお金が必要になる場合に対応できないため、普通預金と比べて不便に感じてしまうケースがあります。まとまったお金が手元に無い場合は、通知預金の使用自体を見送ることも考慮しましょう。

近年では通知預金が廃止される事もある

近年では、通知預金の制度自体を取りやめる金融機関が見られています。低金利が続く現在の日本では、通知預金でも金利が普通預金と変わらない場合が多く、通知預金の魅力が低下して、利用者が減少していることが原因とされています。

現在、通知預金を利用している方や、これから利用を考えている方は、通知預金がこうした傾向にあることを認識した上で、利用中に廃止されてもスムーズに対応できるように準備しておきましょう。

通知預金の仕訳について解説

事業で通知預金を使用する際は、ルールに則って仕訳する必要があります。ここからは、通知預金の仕訳方法を解説します。ここからは、通知預金に関する仕訳例を紹介します。

会社が所有していた現金100万円を、通知預金へ預け入れた際の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
通知預金 1,000,000 現金 1,000,000

借方と貸方に記述される合計金額は、両方同じ額になることに注意しましょう。また、通知預金を介して取引される現金は勘定科目の「資産」に該当するため、増加するものは借方、減少するものは貸方に記述します。

次に、通知預金に預けたお金を引き出して、利息を受け取った場合の仕訳例を見てみましょう。仮に通知預金から100万円のお金を引き出して、その際に利息として100円を受け取り、その利息に20円の税金が掛かった場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方
現金 1,000,080 通知預金 1,000,000
租税公課 20 受取利息 100

通知預金は流動性預貯金の一つ

預金には、自分が預けたお金を好きなときに自由に引き出せるタイプと、一定の期間は引き出せないタイプの2種類が存在します。自由に引き出せるタイプの預金は「流動性預貯金」と呼ばれ、そうでない預金は「定期性預貯金」と呼ばれます。今回取り上げる「通知預金」については、利用者がお金を自由に引き出せる「流動性預貯金」の一種となります。ここでは、通知預金の他にも、一般的に利用されている代表的な流動性預貯金について解説します。

普通預金

普通預金は、もっとも一般的な預金で、個人が家計の管理のために銀行にお金を預けたり、従業員の給与の振り込んだりする際にはこの預金が利用されます。初めて銀行で口座を開設する際には、この普通預金の口座が作成されます。

当座預金

当座預金は、主に企業や個人事業主などが事業に関する支払いのために、手形や小切手の振り出しをする際に使用する預金です。

ほかの一般的な預金とは異なり、法律で利息をつけることが禁じられていますが、当座預金に預けたお金は全額が「預金保険制度」の対象となります。もしも銀行が経営破綻したとしても、預け入れたお金は保護されるため、損失を回避できます。

貯蓄預金

貯蓄預金は、預けたお金の額が一定額を超えると、普通預金よりも高い金利が適用される預金です。預けたお金の額が一定額以下の場合の金利は、普通預金と同じ程度に設定されていることが一般的です。

金利の面で見ればデメリットはほぼ無く、名前の通り貯蓄に適した預金といえます。ただし、会社からの給与振込みや公共料金の自動支払いに用いる口座としては利用できません。

金利が高く設定される定期性預貯金

預けたお金を自由に引き出すことのできない預金を「定期性預貯金」と呼びます。

定期性預貯金は、1週間や10年など、利用する期間をあらかじめ決めて運用が開始される預金です。この期間中は、預金を自由に引き出せない代わりに、流動性預貯金と比べて金利が高めに設定されているため、普通預金や貯蓄預金などを利用した場合よりも、多くの利息を受け取れます。
また、定期性預貯金は決められた期間が経過して、満期となった時点で解約され、それまで預けていたお金は普通預金に振り込まれます。

通知預金まとめ

通知預金には普通預金と比べて高金利になりやすいメリットがあるものの、ときには金利が普通預金と変わらない場合もあり、必ずしも利益を得られるとは限らない特殊な預金です。利用する際にはよく情報を吟味したうえで、トラブル無く資産の運用ができるように理解しておくことが重要です。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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