小口現金とは?仕訳方法や管理のポイントを解説

更新日:2025年06月28日

小口現金

この記事では小口現金の仕組みと、小口現金を管理する際の仕訳方法を紹介します。会社やお店では、文房具や切手、電車代など、小さな出費が毎日あります。このような出費をすべて細かく経理が仕訳をしていると大変です。そういう出費を管理するために用意しておく現金を「小口現金」といいます。仕訳で使う勘定科目も「小口現金」です。現金と名のつくとおり、貸借対照表資産に含まれます。

目次

小口現金とは?仕組みや現金との違い

小口現金とは、企業が日常業務の中で発生する備品購入や交通費といった少額の支払いに備えて、あらかじめ社内に用意しておく現金です。

都度、銀行から引き出すのは手間がかかり、経理処理が煩雑になるため、多くの企業では一定額を小口現金として保持し、こまめな支出に対応しています。

ここでは、小口現金の運用制度や会計上の現金との違い、混同されやすい仮払金との違いを見ていきます。

小口現金運用の仕組み「定額資金前渡制度」

日々の少額な支払いに対応するため、小口現金は「定額資金前渡制度」で管理されるケースが一般的です。定額資金前渡制度では、あらかじめ決められた金額を担当者に渡し、一定期間ごとに使用内容を確認して使用額に応じた補填をします。

以下に、定額資金前渡制度による小口現金管理の流れをまとめます。

  1. 会計担当者が、あらかじめ定めた金額の小口現金を担当者に渡す
  2. 小口現金の担当者は、領収書を持参した従業員に対し必要な支払いをする
  3. 支払いの発生後は、内容を勘定科目ごとに帳簿へ記録し、分類・集計する
  4. 一定期間が経過した段階で、担当者は支払金額や内訳を会計担当者に報告する
  5. 報告を受けた会計担当者は、使用分と同額の現金を担当者に補充する

このように定額資金前渡制度は、支出額に応じて補給されるため予算管理がしやすくなります。なお、必要に応じて都度補給をする「随時補給制度」が用いられる場合もあります。

小口現金と現金の具体的な違い

小口現金と現金は、会計処理上では最終的に合算されますが、性質や管理方法はそれぞれ異なります。

現金とは、会社の金庫や銀行に保管されるまとまった資金を指します。一方、小口現金は交通費や消耗品費など、日常的な少額の支出に備えるための現金です。

小口現金の上限額は一律に決まっているわけではなく、企業ごとに異なります。10万円までとしているところもあれば、精算の頻度が高いことから30万円を上限にしているケースもあります。経理規程に金額が定められていることもあるため、事前に確認しておきましょう。

管理方法にも違いがあります。現金は、主に経理部門が「現金出納帳」で一括管理します。小口現金は、各部署に担当者が配置され「小口現金出納帳」によって支払い内容を記録・管理するのが一般的です。

小口現金と現金は、役割や管理体制に違いがあるため、実務上は両者を区別して扱う必要があります。

小口現金と仮払金の違い

小口現金と仮払金は、会社の経費にかかわる金銭という点では共通していますが、性質や使い方には明確な違いがあります。

小口現金とは、各部署で日常的な少額支出に対応するために用意された現金を指します。一方、仮払金は、出張費など用途や金額が未確定の支出に対して、従業員へ概算で前渡しされる一時的な金銭です。

例えば、従業員が長期出張に出る際に、事前に支給されるまとまった金額は仮払金に該当します。出張後には、使用した金額の領収書を提出し、残金があれば返却します。一方、小口現金は、交通費や消耗品の購入といった日常的な支出に使われる現金です。

小口現金を管理するときの仕訳

小口現金の前渡し、小口現金出納帳での集計結果、小口現金の差額補充それぞれを仕訳します。

小口現金を前渡しする仕訳

例)当座預金から現金50,000円を引き出して小口現金とした場合

借方 貸方
小口現金 50,000円 当座預金 50,000円

小口現金係からの報告を記入する仕訳

例)支払い報告の内容が、交通費5,000円、通信費8,000円、消耗品費2,500円、光熱費4,500円だった場合

借方 貸方
交通費 5,000円 小口現金 23,000円
通信費 8,000円
消耗品費 2,500円
光熱費 4,500円
雑費 3,000円

小口現金係からの報告をもとに、支払った各科目の金額を借方に仕訳し、貸方に小口現金を仕訳します。

小口現金を補充する仕訳

例)一定期間内で使用した23,000円を同額分、小口現金として補充する場合

借方 貸方
小口現金 23,000円 当座預金 23,000円

小口現金係からの報告と小口現金の補充を1つにまとめる仕訳

上記の仕訳は、小口現金を相殺して、1つの仕訳にできます。

借方 貸方
交通費 5,000円 当座預金 23,000円
通信費 8,000円
消耗品費 2,500円
光熱費 4,500円
雑費 3,000円

小口現金で使う勘定科目

小口現金出納帳に記帳する勘定科目は、一般的に以下の5つ。それぞれに該当する費用を紹介しますので、参考にしてください。

勘定科目 内容
旅費交通費 電車賃、バス賃、タクシー代など
通信費 切手代、ハガキ代、電話料金、インターネット料金など
消耗品費 文房具、コピー用紙、事務用品、封筒など
光熱費 電気代、水道代、ガス代
雑費 上記以外の費用

小口現金のメリットとデメリット

小口現金は、日々の経費支払いを円滑にする方法です。運用にはメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。導入や継続を検討する際には、これら両側面の把握が重要です。

ここでは、小口現金がもたらす具体的なメリットや運用上のデメリット、注意すべき点について解説します。

小口現金のメリット

小口現金の導入には、従業員と企業の双方にメリットがあります。従業員は経費を随時精算できるため、立て替えによる金銭的・精神的な負担を軽減できるでしょう。企業側も、急な支払いの発生時でも手元の現金ですぐに対応でき、業務の停滞を防げます。

加えて、領収書の紛失による精算漏れの防止や不正の抑止にも効果が期待できます。こうした点から、小口現金は経費管理を円滑に進める有効な手段といえるでしょう。

小口現金のデメリット

小口現金の運用には、管理の手間や紛失・盗難といった現金特有のリスクが生じます。現金を社内に保管する以上、こうしたリスクを完全に排除することは難しく、厳重な管理体制が求められます。日々の支払い処理や残高確認といった煩雑な作業は、担当者にとって大きな負担です。

また、不正支出を防ぐには、支払いの都度金額を確認し、帳簿に記録しなければなりません。残高に差異が生じた場合には、原因を特定するのに多くの時間と労力がかかります。こうした負担やリスクを背景に、小口現金の運用を見直す企業が増えつつあります。

小口現金の管理業務を効率化するためのポイント

小口現金の管理業務を効率化する主なポイントは、以下のとおりです。

  • 月1回の精算日を設定しておく
  • 法人カードを利用する
  • 備品はまとめて購入する
  • 表計算ソフトを利用する
  • 経費精算システムを導入する

経費を精算する社員が多い職場では、処理頻度が高い場合には手間が増し、残高のズレや記録ミスが発生するリスクも高まります。特に、手書きによる管理が続くと業務はさらに煩雑になります。こうした負担を軽減し、業務を効率化するには、具体的な対策が欠かせません。以下で、それぞれ見ていきましょう。

月1回の精算日を設定しておく

小口現金の管理業務を効率化するには、あらかじめ月1回の精算日を設定しておく方法が効果的です。精算をまとめて処理することで都度対応する手間が省け、担当者の負担軽減や業務の効率化にもつながります。また、経費と給与との同時振込により、振込作業そのものも簡略化されるでしょう。

一方で、従業員は1ヶ月分の経費を立て替える必要があり、領収書を長く保管しておかなければなりません。紛失による精算漏れにも注意が必要です。精算日は、業務効率と従業員の負担の両面を考慮したうえで、適切な運用が求められます。

法人カードを利用する

法人カードの導入は、小口現金の管理業務を効率化する有効な手段といえます。法人で契約したクレジットカードの使用により、小口現金をその都度準備する必要がなくなり、経費をまとめて処理できるため、経理担当者の負担も軽減されるでしょう。

カードの利用明細を確認することで支出内容が明らかになり、不正の防止にもつながります。また、利用明細をもとに自動で仕訳できる経費精算システムとの併用により、さらなる業務効率化も実現可能です。

備品はまとめて購入する

小口現金の管理を効率化するには、備品の一括購入が効果的です。頻繁に使用する文房具や切手などを会社でまとめて調達することで、小口現金の利用頻度を抑えられます。

一括購入により小口現金の利用回数が減ることで、従業員による個別購入の手間が省けます。記帳作業の簡素化によって業務効率も向上するでしょう。また、購入履歴を一元管理できるため、コストの把握も容易です。

さらに、企業向けのECサイトや法人カードを活用することで、現金を使わずに決済できるうえ、オフィスへの直接納品も可能です。在庫管理や受け取りの手間も軽減できるでしょう。

表計算ソフトを利用する

小口現金の管理では、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトの活用により、コストを抑えながら業務の効率化が図れます。

Excelでは、無料テンプレートが豊富に用意されており、初期費用をかけずに収支の記録や帳簿作成を始められます。また、自社の運用に合わせてフォーマットを柔軟にカスタマイズでき、関数やマクロの活用により複雑な計算の自動化も可能です。

一方で、手入力が前提となるため、誤入力や数式設定のミスなど人的エラーのリスクが伴います。加えて、適切に運用するには表計算ソフトの操作スキルだけでなく、基本的な簿記や税務の知識も求められる場合があります。

このように、表計算ソフトは手軽に導入できる反面、運用には一定のスキルと注意が必要です。それらの点を理解し、体制を整えたうえでの活用が望ましいでしょう。

経費精算システムを導入する

経費精算システムの導入は、小口現金の管理業務を効率化し、人的ミスの削減にもつながる有効な手段の一つです。仕訳の自動化やデータ連携機能によって、手作業による記載ミスや領収書データの二重登録といったエラーを防ぎやすくなります。現金の流れも可視化され、管理の透明性が高まります。

クラウド型のシステムであれば、外出先やテレワーク中でも経費の申請や承認が可能です。さらに、法人カードと連携させることで利用明細が自動で取り込まれ、記帳作業の負担も軽減できます。

会計知識に不安がある担当者でも扱いやすく、税制改正などにも自動で対応しているため、導入を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。

小口現金まとめ

今回は、小さな金額の経費処理に便利な「小口現金」について解説しました。小口現金の処理でよく用いられる定額資金前渡制度では、一定期間ごとに使った金額と同額を補充します。そのため、週初、月初などには常に同じ金額を小口現金として用意しておきましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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