精算表とは何か~決算整理での必須の作業~

2018.03.15

精算表

精算表とは、決算のときの決算整理仕訳のうち、決算整理前の各勘定の残高と決算整理仕訳による残高の変化を1つにした表です。精算表の作成により、簡単に作業を進めることができます。

精算表の書式

精算表の様式は複数ありますが、「8桁精算表」を使うケースがほとんどです。8桁精算表には「試算表」「修正記入」「損益計算書」「貸借対照表」の4つの項目欄が設けられています。それぞれ貸方と借方の列に分かれていて、合計8つの行からできているため「8桁精算表」と呼ばれるのです。

精算表フォーマットは複数あり、修正記入の項目を省いた「6桁精算表」や決算整理後残高試算表の欄を設けた「10桁精算表」を使う場合もあります。今回、使用する8桁精算表は、以下のように作成します。

精算表
勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
(資産) 250 100 350
(資産) 250 100 150
(負債) 150 100 250
(負債) 150 100 50
(純資産) 150 100
(収益) 250 100 350
(収益) 100 100
(費用) 150 100 250
(費用) 150 100 50
800 800
当期純利益 100 100
400 400 350 350 500 500

精算表の作成

精算表へは以下のように記帳します。

例1)12月31日(期末)において、当期7月1日に支払った地震保険料60,000円から、未経過分の繰延べをした場合。

借方 貸方
前払保険料 30,000円 支払保険料 30,000円

例2)12月31日(期末)において、当期7月1日に受け取った地代1,000,000円から、未経過分を繰延べした場合。

借方 貸方
受取地代 500,000円 前受地代 500,000円

上記の仕訳をもとに、精算表を作成します。

精算表

決算整理仕訳として上記の例1の仕訳をした場合には、前払保険料と支払保険料の金額を精算表の修正記入の欄に記帳します。前払保険料(資産)の科目は、試算表の前払保険料に残高がある場合、金額を合算して貸借対照表の欄に記入しましょう。

支払保険料(費用)の科目には、試算表の残高と合わせた金額を損益計算書の欄に記帳します。試算表の残高と貸借が異なる場合には、差額の大きい方を記帳します。相殺して大きい方を残すイメージです。

例2の受取地代と前受地代の仕訳についても、保険料と同様に処理しましょう。支払保険料の決算整理前残高が60,000円、受取地代の決算整理前残高が1,000,000円だった場合、精算表には以下のように記帳します。実際の業務では勘定科目が数多く並びますが、今回は便宜上4つだけ表示しています。また、ゼロの項目は空欄で問題ありません。

当期純利益は、借方金額と貸方金額の合計の差額で決定します。また、貸借対照表と損益計算書の差額は一致するので、最後に必ずチェックしましょう。

精算表

精算表まとめ

精算表を作るのは、決算整理では必須の作業です。ただし、最近は手書きではなく会計ソフトを使う場合も多いため、精算表を作成しない、精算表を作成したことがないという方も多いと思います。ソフトによって何が自動化されているのかを知る上でも、帳簿の締め切りも含めて、決算整理について理解しておくと良いかもしれません。

【記事の執筆と監修について】

この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが執筆および監修をしています。当社は1991年に創業し、税理士事務所向けの会計ソフトの販売からスタートした会社です。2009年から中小企業・個人事業主の方向けにクラウド型の業務系システムの開発・販売を開始しました。当メディアは2012年から運営しており、会計や金融など経営に関する幅広い情報を発信しています。また、当社は本当に無料で使える会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」を提供しており、ご利用いただければ費用をかけずに業務効率化が可能です。詳しくは、こちら↓↓

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