別段預金とは何か?含まれるものと仕訳

2023.12.11

別段預金

銀行の内部勘定に使用する「別段預金」は、その存在を知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では別段預金の仕訳方法から利用シーン、別段預金への振込方法を紹介します。

別段預金は預金科目の1つ

別段預金は、預金科目の1つです。
預金科目は、大きく8つの種類に分けられています。

①普通預金|一般的な預金
②当座預金|利息のつかない預金
③定期預金|定期的に積み立てる預金
④貯蓄預金|金利が高く貯蓄に有利な預金
⑤外貨預金|外国のお金で利用する預金
⑥通知預金|資金を一時的に預ける預金
⑦納税準備預金|税金を準備しておく預金
⑧別段預金|銀行のなんでも預金

以下では、それぞれの預金科目の解説をします。

①普通預金|一般的な預金

普通預金は、多くの方が利用している一般的な預金です。銀行口座を開設するときに最初に作ることが多く、生活に身近な預金科目とされています。

普通預金では、口座への入出金が自由にできます。ほとんどの普通預金口座はATMに対応しているため、銀行窓口の営業時間外にも入出金できます。

利便性が高いため、給与や年金・保険金などのお金の受け取りや、公共料金の口座からの自動引き落としなどに利用されています。ただし、金利は変動制で、定期預金の利息よりも利率が低いことが特徴です。

②当座預金|利息のつかない預金

当座預金は、利息のつかない預金です。そのため、企業単位の大きな金額を預け入れても、金利での収益は得られません。主に事業用の預金口座で、会社や個人事業主が業務上の支払いをする際に使用します。

また、小切手や手形での振り出しにも利用されるため、事業には欠かせない口座とされています。無駄なお金の出入りがないため、帳簿付けがしやすいことも当座預金の特徴です。また、「預金保険制度」の対象となるため、預け入れた金銭は銀行が破綻しても全額保障されます。

③定期預金|定期的に積み立てる預金

定期預金は、定期的に積み立てる預金科目です。入金後は、指定した期間まで出金することはできません。

基本的に普通預金よりも高金利に設定されていますが、現在の各社銀行の金利はおよそ0.002%程度のため、お金を増やすために定期預金を利用するメリットは決して大きいとはいえません。

とはいえ、入金したお金を一定期間が経つまでは出金ができないという特徴から、手元にあるお金を全て使ってしまわないように、貯蓄するための預金として適しています。

定期預金には、普通預金から毎月自動的に積み立てする「積立定期預金」、1,000万円以上の預け入れでさらに高金利になる「大口定期預金」があります。

④貯蓄預金|金利が高く貯蓄に有利な預金

貯蓄預金は、預金残高が一定額以上になると高金利になる預金科目です。

主に、以下のような金利設定ができます。

金額別金利型:預金残高が一定額以上になると高金利になる
金額階層別金利型:預金残高の金額に合わせて自動で金利が高くなる

一定期間の間、出金ができない定期預金とは異なり、貯蓄預金では入出金が自由にできます。ただし、普通預金のような給与の受け取りや、自動引き落としサービス用の口座としては利用できません。

⑤外貨預金|外国のお金で利用する預金

外貨預金は、外国の通貨で預金する科目です。円預金よりも高金利なことや、円安時には為替差益が得られるといったメリットがあります。

ただし、為替変動による預金価値の変動リスクが伴います。預金価値の変動リスクを回避するための対策として、「為替予約」制度があります。為替予約は、入金後から満期日までの間に、受け取り時の為替レートを確定させるものです。為替予約を実施することで、受取日に円高で元本割れしてしまうことを防げます。

ただし、受け取り時の為替レート確定後、円安になってもその分の利益は受け取れません。また、外貨預金は預金保護の対象外となることにも注意が必要です。

⑥通知預金|資金を一時的に預ける預金

通知預金は、まとまった資金を一時的に預ける預金科目です。普通預金よりも高金利で運用できるほか、1週間過ぎた後は、2日前に銀行に事前通知すると出金が可能です。

このように、資金の引き出しに事前通知が必要な預金科目のため、通知預金と呼ばれます。ただし、入金後の1週間は出金ができません。

⑦納税準備預金|税金を準備しておく預金

納税準備預金は、納税するためのお金を準備する預金科目です。普通預金よりも高金利となっているほか、納税のために出金する際には、利息にかかる所得税は免除されます。

ただし、納税以外の目的のために出金されたときは、通常通り所得税が発生します。企業や個人事業主のように、まとまった金額の納税義務のある方が、税金の支払いを忘れて滞納しないことを目的に利用されています。

⑧別段預金|銀行のなんでも預金

別段預金は、銀行での取引で使用する資金について、一時的に預かるための科目です。
銀行での預金の区分として、どの預金科目にも該当せず、一時的にどこかに避けておきたいお金を保管するときに使用します。

銀行内部で使用される勘定科目の一つで「雑預金」とも呼ばれています。通常の預金科目に入れられないお金を、便宜上保管しておくときに役立ちます。

別段預金の利用シーンや仕訳方法については後述します。

別段預金の利用シーン

別段預金は、誰のものでもないお金を一時的に保管しておくためにあります。例えば、寄付金や株式発行の手続きで発生するお金、差し押さえ金などが該当します。

あくまでも一時保管されている状態のため、用途や持ち主が決まると、持ち主の預金口座へ移されます。別段預金が使用されるシーンとして、以下が挙げられます。

  • 株式発行のとき
  • 預金口座が差し押さえられているとき

それぞれのシーンについて詳しく解説します。

①株式発行のとき

別段預金は、株式発行・増資の際によく利用されます。
株式発行の際に動くお金の流れは、以下の通りです。

  1. 増資を受けたい会社や新しく会社を立ち上げる際に、企業が株式の発行を宣言
  2. 投資者は企業の株を購入
  3. 銀行から企業へ振込

上記のうち、②③のキャッシュフローにおいて別段預金が利用されます。

株式の購入には、一定期間の猶予が定められます。株の購入期日までは、取引が成立していない状態となるため、銀行が一時的に預かり、期日後に企業へお金を振り込む流れとなります。この一時預かりの際に、別段預金が使用されます。

②預金口座が差し押さえられるとき

債権者によって預金口座の差し押さえの手続きがなされた場合にも、別段預金が使用されます。預金口座が差し押さえられる流れは、以下のとおりです。

  1. 裁判所から銀行へ差し押さえ指示
  2. 預金口座から別段預金へお金を移動
  3. 差し押さえ完了後、口座の持ち主に通達
  4. 差し押さえが続く場合は、預金口座ではなく別段預金へ振り込まれる

上記のフローのうち、②④⑤で別段預金が利用されます。差し押さえが決定すると、預金口座からお金を引き出せなくなるように、一時的に別段預金へと移動します。差し押さえが続く場合には、当該預金口座への入金が別段預金口座に入金されるように手配します。

別段預金がなかったら?

別段預金は「とりあえず一時的に別にしておくお金」の居場所です。そのため、別段預金がなくなると、「とりあえず別にしておくお金」を管理できなくなります。

このようにお金の流れが曖昧になると、銀行の信用がなくなり、経営が破綻する可能性も考えられます。別段預金は、銀行がさまざまな取引を適正に実施するために欠かせない預金科目といえるでしょう。

別段預金には何が含まれる?

別段預金として含まれる金銭には、以下が挙げられます。

▼別段預金に含まれる金銭

  • 寄付金
  • 担保のために受け入れているお金
  • 一時保管金
  • 株式発行の時に発生するお金
  • 差し押さえされたお金

これらは別段預金として分けられたのち、誰のものか決まり次第、すぐに持ち主のもとへ移されます。

別段預金の仕訳方法

別段預金の仕訳方法について、以下の2つのケースで解説します。

ケース①別段預金にお金を入れるとき
ケース②別段預金からお金を振り替えるとき

詳しく見ていきましょう。

ケース①別段預金にお金を入れるとき

例:10月21日にA社の新株発行によって、申込証拠金2,000万円が当座預金に振り込まれたケース。払込期日は10月25日。

新株発行に関わるお金は、前述したとおり以下のように動きます。

  1. 企業が株式の発行を宣言
  2. 投資者は企業の株を購入
  3. 銀行から企業へ振込

②③のフローにおいて別段預金を使用します。払込期日までお金は別段預金で保管することになるため、借方に2,000万円、貸方に2,000万円を記載します。

借方 貸方
別段預金 20,000,000円 株式申込証拠金 20,000,000円

ケース②別段預金からお金を振り替えるとき

例:10月21日にA社の新株発行によって申込証拠金2,000万円が当座預金に振り込まれており、そのお金を払込期日の翌日に振り替えるケース。

銀行から企業に振り込みをした際の仕訳は、以下の2つになります。

借方 貸方
当座預金 20,000,000円 別段預金 20,000,000円
株式申込証拠金 20,000,000円 資本金 20,000,000円

1つ目の仕訳は、別段預金に入っていたお金をA社の当座預金に移しています。
2つ目は、株式申込証拠金を資本金に振り替えたことを表しています。

別段預金への振込

別段預金への振込については、銀行によって対応が異なります。対応している銀行では、振込先の口座を設定するときに「その他の口座」を選択して振込します。

ただし、全ての銀行で「その他の口座」と別段預金口座が紐づいているとは限りません。振込をする前に、銀行に確認を取っておくことが重要です。

別段預金まとめ

別段預金は、銀行の内部勘定の一つで、銀行で預かる誰のものでもないお金を一時的に保管しておくための預金科目です。主に株式発行の際や、預金口座が差し押さえられたときに利用されます。ほかにも、寄付金や担保金なども別段預金で一時保管されます。銀行の内部勘定のため、銀行以外で使用されることはありませんが、銀行に勤める方は理解を深めておくことが大切です。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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