給与計算の仕訳~支払ったとき、社会保険料、所得税、住民税を納めたとき~

デスクと書類
給与を支払った場合、その結果を仕訳として帳簿に反映しなければなりませんが、給与の仕訳は少し複雑です。今回は、給与計算の仕訳を具体例を用いて解説します。※2021年7月6日に更新

給与の勘定科目

給与の勘定科目は、役員、正社員、アルバイトなどの雇用形態に応じて異なります。基本給だけでなく、残業した時の時間外手当や家族手当などの各種手当も給与の勘定科目で処理します。

役員の場合

役員の場合は「役員報酬」を使用します。実際は、役員個人が負担すべき源泉所得税、住民税、社会保険料などを控除して支給します。

正社員の場合

正社員の場合は「給料」、「給与」、「給与手当」などを使用します。役員と同じように、正社員個人が負担すべき源泉所得税、住民税、社会保険料などを控除して支給します。

アルバイトや臨時雇用の職員などの場合

アルバイト、パートタイマー、日雇い、臨時雇用の職員などの場合は「雑給」を使用します。役員、正社員と同じように、アルバイトなどの個人が負担すべき源泉所得税、住民税、社会保険料などを控除して支給します。

原則、給与の勘定科目は損益計算書の「販売費及び一般管理費」の区分に表示します。しかし、製造業務などで製造原価報告書を作成している会社の場合は、製造部門の正社員やアルバイトの給与を製造原価報告書の「労務費」に、役員・管理部門の正社員やアルバイトの給与を損益計算書の「販売費及び一般管理費」に表示します。そのため、製造部門と管理部門の勘定科目は、同じ名称でも異なる勘定科目(異なる勘定科目コード)を使用するのが一般的です。

仕訳のために必要な情報

給与の仕訳のためには給与計算の結果が必要ですが、人別の金額までは必要ありません。役員、正社員、アルバイトなどの雇用形態によって給与の勘定科目が異なるため、雇用形態ごとに集計された金額を入手しましょう。

また、製造業の場合は上記に加えて、製造部門と管理部門ごとの金額が必要です。

給与計算の仕訳

給与計算が完了したら、給与計算の結果に基づき給与の仕訳をします。給与の仕訳には、従業員などが負担する社会保険料、源泉所得税、住民税などが登場するため、それらの計上や納付までを含めて給与の仕訳として認識する必要があります。ここでは、正社員を例として、給与の仕訳を具体的に説明します。

給与の計上時

給与計上時の仕訳は以下のとおりです。 借方に支給額を、貸方に控除額と支払う金額を仕訳するのが最も一般的な仕訳方法です。

借方 貸方
給与手当 300,000円 未払費用 242,500円
預り金(社会保険料(従業員負担分)) 42,255円
預り金(源泉所得税) 5,140円
預り金(住民税) 10,000円
法定福利費 105円

給与から控除した社会保険料、源泉所得税、住民税は、「預り金」で計上します。残高の管理がしやすいように補助科目をつけると便利です。特に社会保険料は、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の内訳が分かるようにすることをおすすめします。

また、社会保険料には会社負担分があります。そのため、給与の計上とは別で、会社負担分の社会保険料を以下のように計上します。従業員の負担分を重複して計上しないように注意しましょう。 

借方 貸方
法定福利費 42,255円 未払費用 42,255円

給与の支払時

給与の支給日に給与を振込で支給するか、現金で支給します。 給与支払時の仕訳は以下のとおりです。 

借方 貸方
未払費用 242,500円 普通預金 242,500円

社会保険料の納付時

毎月月末までに、年金事務所からの通知に基づき社会保険料を納付します。 納付時の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
未払費用 42,255円 普通預金 84,510円
預り金 42,255円

実際に納付する金額との端数差額が発生した場合、差額は「法定福利費」で処理します。

源泉所得税の納付時

毎月10日までに、税務署に源泉所得税を納付します。 納付時の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
預り金 5,140円 現金預金 5,140円

給与支払時に預り金として徴収した源泉所得税を納付します。納期の特例を利用した場合は、毎月ではなく、半年分をまとめて納付できます。

住民税の納付時

毎月10日までに、市区町村に住民税を納付します。 納付時の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
預り金 10,000円 現金預金 10,000円

給与支払時に預り金として徴収した住民税を納付します。納付先の市区町村は従業員ごとに異なるため、市区町村ごとに集計して納付しますが、仕訳は合計で問題ありません。

まとめ

給与の仕訳をするときは、給与の勘定科目を正しく使うことが重要です。また、社会保険や税金の知識も必要です。勘定科目に注意するとともに、社会保険や税金の仕組みを正しく理解し、正確な会計処理ができるようにしましょう。


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