現金過不足とは?原因と対策や仕訳例についてわかりやすく解説

更新日:2025年07月04日

現金過不足

現金過不足とは、現金の取り扱いや記帳などでミスが発生し、手元の現金有高と帳簿上の残高が合わなくなることを指します。そのまま放置していると信用低下につながるため、早めに原因を究明して対策を講じなければなりません。本記事では、現金過不足とは何かを説明したうえで、対策や仕訳例などを紹介します。

目次

「現金過不足」とは

「現金過不足」とは、手元の現金と帳簿上の残高が一致しないことを指します。現金の方が帳簿の残高よりも多い場合は「現金過剰」、少ない場合は「現金不足」の状態です。

現金過不足が発生し、原因究明までに時間がかかる場合は、「現金過不足」を勘定科目として会計処理します。ただし、「現金過不足」は決算でそのまま使えないため、原因を特定し、適切な勘定科目(雑損・雑益など)に振り替える必要があります。

現金過不足の問題が発生する原因

現金過不足の問題が発生する主な原因は、以下のとおりです。

  • 現金の取り扱いでミスが発生するケース
  • 記帳でミスが発生する

ここから、各ケースについて詳しく解説します。

現金の取り扱いでミスが発生するケース

現金の取り扱いでミスがあると、現金過不足が発生します。たとえば、担当者が締め作業の際に現金を数え間違えると、帳簿の残高と合致しなくなるでしょう。

また、事業者と顧客・取引先の間で現金をやり取りする際に発生するミスも、現金過不足の発生につながる要因です。たとえば、顧客から商品代金以上の金額を現金で受け取ると現金過剰が発生し、逆に顧客に実際より少ない額のお釣りを渡すと現金不足が発生します。

記帳でミスが発生するケース

会計担当者が帳簿に記帳する際にミスしたときも、現金過不足が発生します。

たとえば、顧客から商品代金を現金で受け取ったにもかかわらず「普通預金」で計上していると、現金過剰の状態になります。逆に、現金で仕入代金を支払っているにもかかわらず、普通預金から振り込みしたと誤って記載してしまうと、現金不足が生じます。

そのほか、一度記帳した取引を再度記帳したり、取引を記帳していなかったりする場合にも、現金過不足の問題が発生します。

現金過不足に使うことがある勘定科目

現金過剰の場合も現金不足の場合も、基本的に「現金過不足」を勘定科目として用います。ただし、決算時には「現金過不足」を勘定科目として使用できません。決算時までに原因が判明しない場合は、「雑収入」や「雑損失」を勘定科目として使います。

なお本来、雑収入は本業に関係しない取引から生じる収益に対して使用する勘定科目、雑損失は本業に関係しない取引から生じる費用に対して使用する勘定科目です。いずれも少額で重要性が低い場合に用います。

現金過不足に関する仕訳例

現金過不足の状態で仕訳が必要になるのは、主に以下のときです。

  • ズレを見つけたとき
  • ズレの原因がわかったとき
  • 原因不明・わからなかったとき

ここから、各タイミングにおける仕訳例について解説します。

1.ズレを見つけたときの仕訳

帳簿のズレを見つけたときは、「現金過不足」の科目で仕訳して修正します。

例)帳簿と現金の残高に1,000円のズレがある場合

現金の方が少ない(帳簿の方が多い)ときの仕訳

借方 貸方
現金過不足 1,000円 現金 1,000円

実際の現金が足りない場合は、現金(資産)の減少と考えて、貸方に現金、借方に現金過不足を記入します。

現金の方が多い(帳簿の方が少ない)ときの仕訳

借方 貸方
現金 1,000円 現金過不足 1,000円

実際の現金が多い場合は、現金(資産)の増加と考えて、借方に現金、貸方に現金過不足を記入します。

2.ズレの原因がわかったときの仕訳

ズレの原因がわかったときは、正しい勘定に振り替える仕訳をします。

例)1,000円のズレの原因が「消耗品費」の記帳ミスだった場合

現金が足りない原因が「消耗品費」だったときの仕訳

借方 貸方
消耗品費 1,000円 現金過不足 1,000円

現金過不足を貸方に記入して相殺し、借方にズレの原因になった勘定科目を記入します。

現金が多い原因が「消耗品費」だったときの仕訳

借方 貸方
現金過不足 1,000円 消耗品費 1,000円

現金過不足を借方に記入して相殺し、貸方にズレの原因となった勘定科目を記入します。

3.原因不明・わからないときの仕訳

ズレの原因が判明しないまま決算を迎えたとしても、仮の勘定科目である「現金過不足」では決算を確定できません。原因がわからない場合は、何らかの費用、または収益があったと考えて処理します。このとき使う勘定科目は「雑損」と「雑益」です。

例)1,000円のズレの原因が決算までわからなかった場合

現金が足りない原因がわからなかったときの仕訳

借方 貸方
雑損 1,000円 現金過不足 1,000円

現金過不足を貸方に記入して相殺し、借方に雑損を記入します。

現金が多い原因がわからなかったときの仕訳

借方 貸方
現金過不足 1,000円 雑益 1,000円

現金過不足を借方に記入して相殺し、貸方に雑益を記入します。

現金過不足で会計処理する際の注意点

現金過不足の状態で会計処理する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 消費税は含まれない
  • 信用低下につながるため慎重に処理する

それぞれ解説します。

消費税は含まれない

消費税は、「現金過不足」の勘定科目のなかに含まれない点に注意しましょう。

消費税の対象は、事業として対価を得るための取引です。現金の取り扱いや記帳でミスが発生した際は、対価を伴わないため課税の対象外とされています。

また、決算時に「現金過不足」を「雑収入」や「雑損失」に振り替える場合も、消費税の対象から除かれます。

信用低下につながるため慎重に処理する

信用の低下につながりかねないため、現金過不足になった場合は慎重に処理しましょう。

現金過不足が生じた場合でも、「現金過不足」「雑収入」「雑損失」を勘定科目として使えば対応はできます。しかし、頻度が高いと金融機関や投資家から「ずさんな対応をしているから、頻繁に現金過不足が発生しているのでは?」と思われかねません。

また、現金過不足の額が高額であったり頻繁に発生していたりすると、税務調査時に否認される可能性があります。

信用低下を防ぐためにも、現金過不足自体を発生させないことをあらかじめ心がけましょう。

現金過不足の発生を抑える対策

現金過不足の発生を抑えるための主な対策は、以下のとおりです。

  • チェック体制を整える
  • キャッシュレスやシステム導入を推進する

各対策について、詳しく解説します。

チェック体制を整える

チェック体制を整えれば、現金過不足の発生を抑えられます。たとえば、現金や帳簿をチェックする回数を増やせば、早めの段階でミスに気づく可能性も高まるでしょう。

また、担当者だけでなく、上司が定期的にチェックするようにすることも大切です。別の視点からチェックすることにより、見落としがちなミスに気づく可能性があります。

関連して、ミスを発生させない環境を整えることも対策のひとつです。業務の効率化を促したりオフィスの整理整頓を心がけたりして、現金を扱う業務に集中しやすい環境を構築できれば、現金過不足に限らずさまざまなミスを減らせる可能性があります。

キャッシュレスやシステム導入を推進する

キャッシュレスを推進することも、現金過不足の発生を抑える対策のひとつです。現金取引の減少に伴い、現金を扱う機会自体が減るため、自ずとミスの発生件数も減少します。

また、会計システムや経費精算システムなどを導入することも、現金過不足の発生抑制につながるでしょう。会計システムとは、記帳や決算書の作成などの経理業務を効率化するシステムのことです。

手書きや手計算をせずに、会計ソフトを使って自動計算することで、記帳漏れや重複記帳といったヒューマンエラーによる現金過不足の発生を回避できます。

現金過不足のまとめ

現金過不足とは、手元の現金と帳簿上の残高が一致しない状態のことです。現金過不足の原因がわからないまま決算を迎える場合は、「雑損」「雑益」の勘定科目を使って会計処理します。

現金過不足の状態が続くと、自社の信用低下につながりかねません。そのため、早めに原因を究明して対策を講じることが大切です。また、会計システムなどを導入しておけば、記帳のミスを軽減できるでしょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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