現金過不足とは?~帳簿上と実際の残高がズレた場合の仕訳~
2018.10.10

今回は、現金過不足ついて。レジ締めをしていて最も嫌なのが、現金過不足が出たときではないでしょうか。計算上の現金の残高と、実際の現金の残高が一致しないと、その原因を調べるのに時間がかかります。手元の現金の方が多かったときの方が、問題は大きくなります。お客様へ渡した釣り銭が少なすぎたのであれば、損をさせたことになりますので…。
原因が不明のときは「現金過不足」
現金過不足が出てしまい原因が分かるまでの間は、そのまま「現金過不足」という勘定科目を使って仕訳します。重要なのは、「実際の現金残高」に合わせるように仕訳することです。現金過不足の仕訳は、以下の3ステップです。
1.ズレを見つけたときの仕訳
「現金過不足」の科目で仕訳し、帳簿のズレを修正します。
例)帳簿と現金の残高に1,000円のズレがある場合
現金の方が少ない(帳簿の方が多い)ときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金過不足 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 |
実際の現金が足りない場合は、現金(資産)の減少と考えて、貸方に現金、借方に現金過不足を記入します。
現金の方が多い(帳簿の方が少ない)ときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 1,000円 | 現金過不足 | 1,000円 |
実際の現金が多い場合は、現金(資産)の増加と考えて、借方に現金、貸方に現金過不足を記入します。
2.ズレの原因がわかったときの仕訳
正しい勘定に振り替える仕訳をします。
例)1,000円のズレの原因が「消耗品費」の記帳ミスだった場合
現金が足りない原因が「消耗品費」だったときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 1,000円 | 現金過不足 | 1,000円 |
現金過不足を貸方に記入して相殺し、借方にズレの原因になった勘定科目を記入します。
現金が多い原因が「消耗品費」だったときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金過不足 | 1,000円 | 消耗品費 | 1,000円 |
現金過不足を借方に記入して相殺し、貸方にズレの原因となった勘定科目を記入します。
3.原因が分からなかったときの仕訳
ズレの原因が判明しないまま決算を迎えたとしても、仮の勘定科目である「現金過不足」では決算を確定できません。原因がわからなかった場合は、何らかの費用、または収益があったと考えて処理します。このとき使う勘定科目は「雑損」と「雑益」です。
例)1,000円のズレの原因が決算までわからなかった場合
現金が足りない原因がわからなかったときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
雑損 | 1,000円 | 現金過不足 | 1,000円 |
現金過不足を貸方に記入して相殺し、借方に雑損を記入します。
現金が多い原因がわからなかったときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金過不足 | 1,000円 | 雑益 | 1,000円 |
現金過不足を借方に記入して相殺し、貸方に雑益を記入します。
現金過不足のまとめ
「雑損」「雑益」で“帳尻合わせ”できるから現金過不足があってもいい、と思わないようにしてください。大きなミスは、いつも小さなミスから始まります。現金過不足は、発生した直後であれば原因を突き止めやすいものの、時間が経ってからでは解決しにくくなります。現金過不足が出ても最後に調整できるからと楽観視せず、毎日しっかりと会計ソフトなどを使って記帳しましょう。
【記事の執筆と監修について】
この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが執筆および監修をしています。当社は1991年に創業し、税理士事務所向けの会計ソフトの販売からスタートした会社です。2009年から中小企業・個人事業主の方向けにクラウド型の業務系システムの開発・販売を開始しました。当メディアは2012年から運営しており、会計や金融など経営に関する幅広い情報を発信しています。また、当社は本当に無料で使える会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」を提供しており、ご利用いただければ費用をかけずに業務効率化が可能です。詳しくは、こちら↓↓
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