軽減税率とは?迷いやすいケースをQ&Aで解説!

更新日:2020年05月13日

軽減税率

2019年10月から消費税の標準税率が10%に引き上げられ、同時に軽減税率制度が導入されました。しかし何が軽減税率の対象になるのか、判断が難しいものが少なくありません。そこで、軽減税率制度の概要を簡単に説明するとともに、軽減税率の対象になるのか分かりにくいものについて、Q&A形式で解説します。

軽減税率制度とは?

軽減税率制度とは、消費税の標準税率が10%に引き上げられたことを受け、所得が低い方々への配慮の観点より、外食と酒類を除く「飲食料品」と、定期購読における「新聞代」の課税率を8%のままに据え置く制度です。

軽減税率はいつまで実施されるのかはまだ決まっていません。キャッシュレス決済のポイント還元制度は2020年6月30日までと決まっているため、こちらと混同しないようにしましょう。

軽減税率の対象になるか迷う事例

それでは軽減税率制度の対象になるのか判断が難しいものを具体的に考えていきましょう。

Q.軽減税率の対象品目である「飲食料品」について、具体的に教えてください。

A.軽減税率の対象品目である「飲食料品」とは人の飲用・食用となるもので、酒類・医薬品等を除くものです。軽減税率の対象となる食料品は、以下のとおりです。

  • 米、魚、肉、野菜などの一般食料品
  • ミネラルウォーター
  • ノンアルコールビール
  • 甘酒、みりん風調味料などのアルコール1%未満のもの

また、おまけ付きお菓子のような「一体型商品」は、「税抜1万円未満」で「飲食料品価格の占める割合が2/3以上」なら軽減税率の対象となります。

Q,水の販売は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.軽減税率の対象品目である「飲食料品」にあたる、いわゆるミネラルウォーターなどの飲料水は「食品」に該当するため軽減税率の適用対象となります。ただし、水道水は「食品」としての水と「生活用水」としての水が混在しているため軽減税率の適用対象となりません。

Q.お酒の販売は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.酒類は酒税法により軽減税率の適用対象である「飲食料品」から除かれています。よって、酒類の販売は軽減税率の適用対象ではありません。また、「食品」の原材料として、ワインやみりんを販売する場合でもワインやみりんは酒類となるため適用対象ではありません。ただし、料理酒などの発酵調味料(アルコール分が1%以上あっても塩などを加えることで飲用できないようにしたもの)や、みりん風調味料(アルコール分が1%未満のもの)については酒類ではなく「飲食料品」に該当するため軽減税率の対象となります。そして、ノンアルコール飲料など酒類に該当しない飲料については、軽減税率の適用対象である「飲食料品」に該当するため軽減税率の対象となります。

Q.栄養ドリンク(医薬部外品)の販売は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.栄養ドリンクが「医薬品」、「医薬部外品」及び「再生医療等製品」などの医薬品等であれば「食品」に該当しないため軽減税率の適用対象とはなりません。ただし、医薬品等に該当しない栄養ドリンクは「食品」に該当するため軽減税率の適用対象となります。

Q.飲食料品を販売する際に使用する容器は、どのような取扱いになりますか?

A.飲食料品の販売に際し使用される容器や包装材料がその販売に際し「通常必要なもの」として使用される場合は軽減税率の適用対象となります。「通常必要なもの」とは通常、飲食料品が消費された場合に不要となるようなものを指します。また、陶磁器やガラス食器等の容器に飲食料品を入れた場合は、その飲食料品が消費された後も食器や装飾品として利用できるものを包装材料等として使用していると判断されます。その場合は、食品とその容器をあらかじめ組み合わせてひとつの商品として価格を提示し販売している「一体資産」に該当します。

Q.社員食堂で提供する食事は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.適用対象ではありません。テーブルや椅子などの飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させる「食事の提供」は軽減税率の適用対象とならないからです。

Q.セルフサービスの飲食店での飲食は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させる「食事の提供」は軽減税率の適用対象ではありません。セルフサービスであっても店舗のテーブルや椅子などの飲食設備のある場所で飲食させているので適用対象とはなりません。

Q.ファストフード店において、「テイクアウト」かどうかは、どのように判断するのですか?

A.「テイクアウト」は軽減税率の適用対象となります。事業者はその飲食料品をその場で飲食するのか、持ち帰るのかを販売時に意思確認するなどし、判定することになります。またコンビニの弁当や惣菜も同様でイートインコーナーにて飲食をする場合は外食に相当するため標準税率となり、持ち帰りとして販売される場合は軽減税率が適用されます。

Q.そばの出前、宅配ピザの配達は、軽減税率の適用対象となりますか?

A.軽減税率の適用対象となります。顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けるだけで「食事の提供」には該当しないからです。ただし、ケータリングや出張料理などは軽減税率の適用対象となりません。

軽減税率まとめ

軽減税率制度の導入により、軽減税率の適用対象となる商品を販売する事業者はもちろん、それらを購入する事業者の方の負担も増加しました。 特に、会計処理においては、標準税率と軽減税率を区別して入力することが求められ、仕訳入力の負担が増加することが考えられます。税率の判断や入力ミスは最悪の場合、トラブルに発展しかねません。会計ソフトの機能を活用し、正しく処理するようにしましょう

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加