個人所業主が所得税を源泉徴収された場合の仕訳~

電卓

個人事業主の場合、仕事の対価である報酬などから所得税が源泉徴収されて入金されることがあります。今回は、源泉徴収された場合の仕訳について解説します。従業員に支払う給与の源泉所得税の処理については、別の記事で紹介します。※2021年5月26日に更新

参考)給与計算の仕訳~支払ったとき、社会保険料、所得税、住民税を納めたとき~

源泉徴収とは何か

源泉徴収とは、取引先が個人事業主に報酬を支払う際に、あらかじめ所得税を徴収し、差し引いた分を報酬として支払い、取引先が個人事業主に代わって納税することです。

源泉徴収は所得税の前払い

所得にかかる所得税は、所得を得た個人が申告・納付するのが原則です(これを「申告納税」という)。しかし、特定の所得の場合、報酬を支払う法人などが個人に代わって納税する必要があります。

確定申告で精算する

所定の方法により計算された所得税額をあらかじめ報酬から徴収するので、源泉徴収とは所得税の前払いだと考えられます。しかし、源泉徴収では必要経費などの控除できる金額は考慮されていないため、1年間で源泉徴収された額が本来納めるべき所得税額よりも多くなる場合があります。その場合、確定申告をすることで納めすぎた所得税は還付金として返還されるので、源泉徴収されたからといって税金を多く払いすぎるということはありません。 所得税の確定申告は2月16日から3月15日(3月15日が土日の場合は翌月曜日)までですが、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間にわたって申告できます。

源泉徴収されるケースとは?

個人事業主が源泉徴収されるものは所得税法で定められています。 ライターへの原稿料やデザイナーへのデザイン料などの他、弁護士、司法書士などの専門家への報酬などが源泉徴収の対象です。例えば、以下のようなものです。

  • 原稿料、講演料、デザイン料など
  • 弁護士、税理士、公認会計士、司法書士などの特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
  • 旅館などの宴会で接待をする仕事に支払う報酬
  • プロ野球選手の契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

また、利子や配当金、公的年金なども源泉徴収の対象となる場合もあります。

源泉徴収の流れ

源泉徴収の流れをみていきましょう。源泉徴収の流れを図にまとめると以下のとおりです。

源泉徴収の流れの図

①の報酬が源泉徴収が必要なものである場合は、源泉徴収義務者に該当する法人・個人は必ず源泉徴収をして納税しなくてはなりません。

源泉徴収される金額は?

源泉徴収される金額は、報酬金額が100万円以下か100万円超かによって異なります。

  • 報酬額が100万円以下の場合

    計算式

    源泉徴収税額=報酬額×10.21%

    (報酬金額が10万円の場合の例)

    10万円×10.21%=10,210円 10,210円が源泉徴収され税務署に納められる。

    10万円−10,210円=89,790円 89,790円が手取りの報酬として支払われる。

  • 報酬額が100万円超の場合

    計算式

    源泉徴収税額=(報酬額−100万円)×20.42%+102,100円

    (報酬金額が150万円の場合の例)

    (150万円−100万円)×20.42%+102,100円=204,200円

    204,200円が源泉徴収され税務署に納められる。

    150万円−204,200円=1,295,800円

    1,295,800円が手取りの報酬として支払われる。

源泉徴収された場合の仕訳

個人事業主が源泉徴収された時の仕訳はどのようにすればいいのでしょうか?発生主義を前提として、具体的に説明します。

  • 報酬の発生時と入金時

    報酬が振込になるなど、報酬の発生した日と、振込入金された日が別の日の場合は2回の仕訳が発生します。例えば4月30日に10万円の売上が発生し、5月10日に銀行口座へ源泉徴収後の報酬が振り込まれた場合の仕訳は以下のとおりです。

    (報酬が発生した時:売掛金発生時の仕訳)

    借方 貸方
    売掛金 100,000円 売上高 100,000円

    売上高として計上する金額は源泉徴収される前の金額となります。

    (取引先から源泉徴収されて入金された時:売掛金回収時の仕訳)

    借方 貸方
    普通預金 89,790円 売掛金 100,000円
    事業主貸 10,210円

    取引先から受け取る報酬は源泉徴収された後の金額とします。差し引かれた源泉徴収額は「事業主貸」で処理します。補助科目をつけるなど工夫しておくと確定申告の集計でわかりやすくなります。

  • 確定申告で所得税が還付された場合

    所得税の還付金は事業主借で仕訳します。

    (源泉徴収された所得税のうち1万円の還付を受けた時の仕訳)

    借方 貸方
    普通預金 10,000円 事業主借 10,000円

    個人事業主が所得税や住民税などを支払っても経費とならないように、還付金を受け取っても売上として計上する必要はありません。事業主借は個人事業主特有の勘定科目です。例えば、個人的な資金などを事業用の資金へ移動させた場合などに使い、売上収益などと分けて仕訳します。

まとめ

個人事業主の場合、報酬の金額と受け取る金額が一致しない場合があります。源泉徴収という仕組みを知らないと損した気分になってしまいますが、源泉徴収は所得税の前払いであるということを理解し、正しい会計処理ができるようにしましょう。

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