引出金とは~個人事業主が店舗や会社のお金を個人的に使う場合~

2018.01.22

千円札と電卓

引出金とは、個人事業主が店舗や会社のお金を個人的に使う場合の勘定です。引出金は資本金の仮の勘定であり、期末に「引出金勘定」の残高があれば、決算整理として「資本金勘定」と相殺しなければなりません。

引出金の処理

個人事業主が私的な支出をする場合、自分の財布から店舗の費用を出したり、店舗の資本金(元入金)から個人の支出をしたりするケースがあります。このような支出の処理については、「引出金」という勘定科目を用いて仕訳します。引出金の仕訳には、2通りの方法があります。1つ目は、引出金の勘定科目を使わずに資本金勘定から直接支出する方法です。個人事業主が引き出した分を戻し入れた際には、資本金勘定に戻します。2つ目は、引出金勘定を使って支出する方法で、期中の入出金の金額を引出金として管理し、決算の時に資本金と相殺します。

資本金勘定を用いた仕訳

(例)個人事業主が自宅の電気代として、店舗のお金から現金5,000円を支払った場合。

借方 貸方
資本金 5,000円 現金 5,000円

現金5,000円の支出を資本金勘定で処理します。

引出金勘定を用いた仕訳

(例)個人事業主が自宅の電気代として、店舗のお金から現金5,000円を支払った場合。

借方 貸方
引出金 5,000円 現金 5,000円

現金5,000円の支出を引出金勘定で処理します。

引出金の決算処理

個人事業主が私的に使ったお金を引出金勘定で処理した場合は、資本金の引き出しを仮の勘定で一時的に処理しているに過ぎません。期末の段階で引出金に残高があるときは、資本金勘定と相殺し、資本金を減少させる処理をします。

(例)期末において、「引出金勘定」の残高5,000円を決算処理する場合。

借方 貸方
資本金 5,000円 引出金 5,000円

引出金勘定の残高5,000円を資本金と相殺し、資本金勘定を減少させます。

引出金勘定を用いて資本金の増減頻度を最小限に

資本金(元入金)は銀行からの借り入れの際に記載する必要があるなど、店舗の信用を担うものの1つです。そのため、個人的な理由によって資本金の額が増減するのは適切とはいえません。ただし、個人事業主の場合は、自分と店舗のお金を分けて管理するのが難しいのも事実。頻繁に支出や戻し入れがある際には、そのつど資本金を増減させるよりも、引出金勘定を使って期中の分をまとめておきましょう。決算整理時に、引出金の最終的な残高を資本金と相殺する処理がおすすめです。仕訳の回数は増えますが、事業外で使用した金額を把握できます。

【記事の執筆と監修について】

この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが執筆および監修をしています。当社は1991年に創業し、税理士事務所向けの会計ソフトの販売からスタートした会社です。2009年から中小企業・個人事業主の方向けにクラウド型の業務系システムの開発・販売を開始しました。当メディアは2012年から運営しており、会計や金融など経営に関する幅広い情報を発信しています。また、当社は本当に無料で使える会計ソフト「フリーウェイ経理Lite」を提供しており、ご利用いただければ費用をかけずに業務効率化が可能です。詳しくは、こちら↓↓

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