消費税とは~仕組み、申告と納税、課税対象の取引~
更新日:2020年05月05日
消費税とは、商品を購入する、サービスを受けるなどの消費時に課される間接税です。間接税とは、税を納める人と税を負担する人が異なる税金のことで、消費税や酒税などがあります。今回は、消費税の仕組みを簡単に知りたいという方に消費税について説明します。
消費税を負担する人と納める人が異なる
消費税を負担しているのは消費者です。税金分は販売する商品やサービスの価格に含み転嫁されることで、最終的に消費者が負担することになります。一方で、消費税は間接税のため、事業者が消費者の代わりに、まとめて納税します。
二重三重には課税されない
消費税は、生産や流通の段階で二重三重に税が課されることがないような仕組みになっています。たとえば、A商店が1,100円(税込)で商品を仕入れて、Bさんに3,300円(税込)で販売したとします。このとき、BさんからA商店に支払われた消費税は300円で、A商店が仕入れ時に支払った消費税は100円です。では、A商店の消費税の納税額は、いくらになるでしょうか?正解は200円です。なぜなら、商品価格の消費税分300円から、仕入れ分の消費税100円を差し引いているから。差し引くことで、多重に課税されないような制度になっています。※理解のため、単純化した例を用いています。
課税対象になる取引とならない取引
消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める税ですが、限定的に消費税を課税しない非課税取引もあります。
課税取引
課税対象は以下の4つの要件を全て満たす取引となります。
- 国内において行うもの(国内取引)であること
- 事業者が事業として行うものであること
- 対価を得て行うものであること
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること
消費税の課税対象は「国内取引」と「輸入取引」に限られ、国外での取引は課税の対象にはなりません。
課税の対象とならない取引
消費税の性格から課税対象になじまないものや社会政策的な配慮から非課税となる国内取引は、概ね以下の通りです。
- 有価証券の売買(ただし手数料は課税対象)
- 預貯金や貸付金の利子
- 切手や商品券の購入
- 医療費(国民健康保険の対象となる医療費に限る)
- 訪問介護サービスなどの費用
- 行政サービスの手数料(住民票の発行など)
- 学校の授業料や入学金、教科書の費用
- 土地の売買や貸付け など
その他には、輸出して外国で消費されるようなものは「免税取引」として消費税を免除されています。また、国外での取引、事業者による個人としての取引など対価性のない取引などは「不課税取引」として消費税の課税の対象にはなりません。
不課税、非課税、免税の違い
ここまで読んでいただいた方の中には、不課税、非課税、免税の何が違うのか、理解できていない方もいるかもしれません。大まかに把握するための補足として説明します。
不課税取引は、消費税が課税される条件を満たしていないため課税されません。一方の非課税取引と免税取引は、課税の条件を満たしているけれども消費税が課税されないのです。不課税と非課税の表現が似ていて混同しやすいのですが、”不課税取引は消費税が課税される条件が不足している取引を指す”、と一方だけ正確に理解しておくだけでも十分だと思います。
消費税の申告・納税について
消費者から預かった消費税を納税するのは事業者です。ここでは具体的に消費税の申告と納税について説明します。
納税義務者は誰?
納税義務者は製造や卸、小売りなどの各事業者ですが、すべての事業者に納付義務はなく、原則として課税売上高が1,000万を超えた場合に課税事業者となります。以下の要件に該当する場合は課税対象者となります。
- 前々事業年度の課税売上高が1,000万を超える場合
→会社の売上高が1,000万を超えたら、翌々年度から消費税の課税対象者となります。
- 前事業年度開始から6カ月間(特定期間)の課税売上高が1,000万を超え、かつ前事業年度開始から6カ月間(特定期間)の給与・賞与合計額が1,000万を超える場合
→基準期間における課税売上高が1,000万以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万を超えた場合は、その課税期間(法人は事業年度、個人事業者は1月1日から12月31日)においては課税事業者となります。
- 資本金が1,000万以上の場合
→資本金が1,000万円以上の会社は課税売上高にかかわらず課税対象者となります。
ただし、輸入取引の場合は事業者以外でも納税義務者となるため注意が必要です。また、課税事業者にならない場合であっても、届出書を提出することで、課税事業者になることもできます。
納税額の計算方法
消費税額の計算方法には「一般課税」と「簡易課税」の2つがあります。違いは仕入れや経費で支払った分の消費税の計算方法で、一般課税で計算した納税額は「実際に支払った消費税の金額」に近くなります。なぜかと言うと、課税期間に受け取った消費税から支払った消費税を控除(差し引くこと)して納税額を算出するからです。計算方法は以下のとおり。
課税売上げにかかる消費税額 - 課税仕入れ等にかかる消費税額 = 消費税の納付税額
一方の簡易課税の計算方法は「みなし仕入率」を使い、納付する消費税額を計算します。この場合は実際に支払った消費税を計算しないで「みなす」ため決算の手間など軽減できると考えられます。ただし、簡易課税を選択できるのは2年前の売上が5,000万円以下の事業者であるなどの要件があります。
※一般課税でも、課税期間に支払った消費税額の全額を控除できないケースがあります。それは、課税売上割合が95%未満の場合です。95%未満だと、個別対応方式か一括比例配分方式という方法で計算することになりますが、また別の機会に解説します。というように、消費税の計算の仕方には細かいルールがありますので、詳細は税務署や税理士などに確認されることをオススメします。
申告・納付の手続きについて
消費税の納税義務者は、所轄の税務署長に確定申告書を提出し、申告期限までに消費税を納付しなければなりません。法人の申告期限は原則として課税期間終了後2カ月以内(個人事業者は翌年3月末まで)です。ちなみに、消費税の現在の標準税率は10%ですが、その内訳は、消費税率7.8%(国税)、地方消費税率2.2%(地方税)です。国税と地方税に分かれてはいますが、納付書1枚で納付できます。
※直前の課税期間分の消費税額が一定を超えた場合など、一定要件を満たす事業者には中間申告・中間納付が義務づけられて、対象となる企業や申告・納付の回数、期限などが決まっています。
※申告納付のほか、届出が必要になる場合がありますので、詳細は税務署や税理士などに確認されることをお奨めします。
消費税のまとめ
消費税は消費者が負担する税金ですが、輸入取引を除き、消費税を納付するのは事業者です。従って、事業者には、消費税を正しく計算して納付することが求められます。昨今、消費税率の改正もあり、計算方法も複雑化していますので、必要に応じて税理士に確認したり、会計ソフトの機能を活用することで、正しく処理しましょう。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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