業務委託費とは?外注費・人件費との違いや仕訳方法を解説

更新日:2025年09月28日

業務委託費

業務委託費とは、自社で担うべき業務を外部の法人や個人に委託する際に発生する費用を指します。計上する際は、源泉徴収の対象か調べることや、消費税を上乗せして支払うことなどがポイントです。本記事では、業務委託費の仕訳方法についても解説します。

目次

業務委託費とは

業務委託費とは、業務を委託する際に発生する費用です。本来は自社で担う業務の一部もしくは全部を外部の法人や個人に委託することを、業務委託と呼びます。業務委託にあたっては、相手先と業務委託契約を締結することが一般的です。

なお、業務委託費が発生した際の仕訳においても、「業務委託費」を勘定科目として使用します。

業務委託費と他の費用・勘定科目の違い

業務委託費と混同しやすい費用や勘定科目は、以下のとおりです。

  • 外注費
  • 人件費(給与)

ここから、それぞれの概要や業務委託費との違いを解説します。

外注費との違い

業務委託費と外注費の違いとして、対象の範囲が挙げられます。

外注費とは、業務を外部の法人や個人に発注する際にかかる費用のことです。仕訳の際の勘定科目としても、「外注費」を用いることがあります。

外注費は、業務委託費よりも広い範囲を対象に使われることが一般的です。そのため、業務委託費も外注費の一部に当たります。ただし、「外注」は定義が曖昧なため、契約を締結する際には使用を避けた方がよいでしょう。

なお、民法では業務委託も外注も特段規定がありません。

人件費(給与)との違い

業務委託費と人件費の違いとして、経費を支払う相手が挙げられます。

人件費とは、給与・各種手当・法定福利費福利厚生費のように事業者が従業員に対して支払う費用のことです。業務委託費は外部に対して支払うのに対し、人件費は社内の従業員に対して支払う点が異なります。

なお、社員(正社員・契約社員)だけでなく、アルバイトやパートに支払う費用も人件費の対象です。ただし、派遣社員に関する費用は人件費に該当せず、役員報酬・役員賞与は雇用関係に基づかないため人件費に含めないという考え方も存在します。

業務委託費の対象となる経費

業務委託費の対象となる経費の具体例は、以下のとおりです。

  • 業務効率化を実現するため、外部コンサルタントからアドバイスを受けた際に払う報酬
  • 新入社員研修を実施するにあたって招いたマナー講師に支払う謝礼
  • 自社のWebサイトを制作するため、Webデザイナーに依頼した際に支払う制作費
  • 取引先と新たな契約を締結するにあたって、弁護士にリーガルチェックを依頼した際に支払う報酬
  • 税務申告のサポートを税理士に依頼する際に支払う報酬

なお、研修を実施するにあたって招いた外部講師が移動する際にかかる交通機関の運賃やタクシー代などについては、「旅費交通費」の勘定科目で処理することが一般的です。

業務委託費を計上する際のポイント

業務委託費を計上する際の主なポイントは、以下のとおりです。

  • 源泉徴収の対象か調べる
  • 消費税を上乗せして支払う
  • 業務委託費での計上で間違いないか確認する
  • 業務委託の種類を理解しておく

各ポイントについて、解説します。

源泉徴収の対象か調べる

業務委託費を支払う際は、源泉徴収の対象になるかを調べましょう。

源泉徴収とは、事業者が給与や報酬などを支払う際に支払額から所得税額分を引いて、納税者の代わりに国に納付することです。支払先が法人の場合は「馬主に対して支払う競馬の賞金」のみが対象のため、法人に業務委託費を支払う際は基本的に源泉徴収の必要がありません。

一方、原稿料や講演料を個人に払う場合、弁護士・公認会計士・司法書士のような資格を持つ個人に報酬を支払う場合、芸能活動にあたって出演者個人に報酬を支払う場合などでは、委託者による源泉徴収が必要です。そのため、個人事業主に業務委託費を支払う際は、業務内容によって源泉徴収をしなければなりません。

なお、相手が研究会や劇団などの団体で法人にあたるか、個人にあたるか不明な場合は、規約・活動状況や法人税の納付義務があるかなどで判断します。

参考)国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

消費税を上乗せして支払う

委託先に業務委託費を支払う際に、消費税を上乗せしましょう。

消費税は商品・製品の販売だけでなくサービスの提供などに対しても広く公平に課税される税金のため、業務委託費の場合も同様に対応しなければなりません。消費税を含まずに業務委託費を支払った場合、後日に税務調査で指摘される可能性があります。

なお、委託先は受け取った消費税から課税仕入れにかかる消費税を引いた額を、国に納付しなければなりません(委託先が課税事業者の場合)。

業務委託費での計上で間違いないか確認する

業務委託費を計上する際は、勘定科目に間違いがないか確認することもポイントです。同じ内容の業務委託であるのにもかかわらず、会計ソフトに仕訳を入力する従業員によって勘定科目が変わることがないよう、社内で明確なルールを設けておきましょう。

委託内容によって勘定科目を区別しておいたほうが、外部に委託する際に発生する費用の勘定科目をすべて「外注費」や「業務委託費」で統一するよりも後でスムーズに内容を把握できます。たとえば、配送業務の委託は「運送費」、清掃や警備の委託は「管理費」と設定し、業務システムやWebサイトに関する委託は「業務委託費」などとして分類しておくと、勘定科目を見ただけで何に使ったかすぐにわかるでしょう。

業務委託の種類を理解しておく

業務委託の契約を締結したうえで業務委託費を支払う際は、あらかじめ契約の種類を理解しておくことも大切です。業務委託の契約の種類として、請負契約・委任契約・準委任契約があります。

請負契約とは、成果物を目的として報酬を支払う契約のことです。システム開発や広告デザインなどを委託する際に、締結することがあります。

委任契約とは、契約など法律行為の遂行を目的として報酬を支払う契約のことです。弁護士や公認会計士などに委託する際に、締結します。

準委任契約とは、法律行為以外の業務の遂行を目的として報酬を支払う契約のことです。コンサルティング会社にアドバイスを受ける際などに、締結することがあります。

種類を曖昧にしたまま契約すると、双方で業務委託内容に関する認識のずれが生じる可能性があるため、注意しなければなりません。

業務委託費の仕訳例

ここから、コンサルティング会社に報酬を支払うケース・特定の資格を持つ専門家個人に報酬を支払うケース・Webサイト制作の委託先に報酬を支払うケースに分けて、業務委託費の仕訳例を紹介します。

※今回の仕訳では、すべて消費税を考慮しておりません。

コンサルティング会社に報酬を支払うケース

コンサルティング会社から黒字化や資金繰り改善に関するアドバイスを受けて、普通預金から振り込みで50万円の報酬を支払ったケースで、仕訳を考えてみましょう。支払先が法人のため、業務委託費の源泉徴収を考える必要はありません。

仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方 備考
業務委託費 500,000円 普通預金 500,000円 〇〇社宛
コンサルティング報酬

支払った額「500,000円」を「業務委託費」として借方で計上し、同額を「普通預金」で計上しています。

特定の資格を持つ専門家個人に報酬を支払うケース

特定の資格を持つ専門家個人に報酬を支払うケースでは、源泉徴収の対象です。今回は、契約内容のリーガルチェックを受けるために、弁護士に10万円の報酬を現金で支払うケースで仕訳を考えてみましょう。

仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方 備考
委託費 100,000円 現金 89,790円 ◆◆弁護士宛報酬
預り金 10,210円 源泉徴収分

まず、借方で「業務委託費」として報酬「100,000円」の計上が必要です。また、今回は源泉徴収が必要なため、貸方で「100,000円」に税率10.21%をかけた「10,210円」を「預り金」として計上し、「100,000円」から「10,210円」を引いた「89,790円」を「現金」で計上しています。

参考)国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

Webサイト制作の委託先に報酬を支払うケース

Webサイト制作は「源泉徴収の対象となる範囲」に含まれていないため、基本的に源泉徴収の対象外です。今回は、自社のWebサイトを制作するにあたって、個人にコーディングを依頼して普通預金から2万円を振り込むケースで仕訳を考えます。

仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方 備考
業務委託費 20,000円 普通預金 20,000円 △△氏
コーディング報酬

委託先が個人でも源泉徴収が不要なため、「コンサルティング会社に報酬を支払うケース」と同様に借方に「業務委託費」、貸方に「普通預金」のみを計上しました。ただし、Webサイト制作にあたって個人にライティングを依頼する際やデザインを依頼する際は、源泉徴収の対象となりうるため注意が必要です。

業務委託で外部に仕事を任せるメリット

業務委託で外部に仕事を任せると、以下のようなメリットがあります。

  • 業務効率化につながる
  • 専門家の知識・ノウハウを活用できる

それぞれ解説します。

業務効率化につながる

業務委託で外部の法人・個人に仕事を任せれば、業務効率化につながる点がメリットです。

今まで自社で実施していた業務を外部に委託することで、従業員にかかる負担を軽減できます。業務委託によってできた人材や時間をコア業務にあてれば、より効率よく利益を出せる可能性が高まるでしょう。

また、社員に対象業務を習得させるためにかかるコストの軽減も期待できます。

専門家の知識・ノウハウを活用できる

専門家の有する知識やノウハウを活用できることも、外部に任せるメリットです。

業務が専門的であればあるほど、担う人材のスキルが問われます。そのため、新入社員や異動で配属されたばかりの社員のように経験が不足していると、取引先に十分なサービスを提供できないことがあるでしょう。

その点、専門性を有する業者に仕事を依頼すれば、クオリティの高い内容を期待できます。

業務委託で外部に仕事を任せるデメリット・注意点

業務委託で外部に仕事を任せる場合のデメリットや注意点は、主に以下のとおりです。

  • 社内で対応できる人材がいなくなる
  • 情報漏洩のリスクがある
  • 経費支出が増加する可能性がある

それぞれ解説します。

社内で対応できる人材がいなくなる

今まで自社で実施してきた業務を外部に委託することで、社内に対応できる人材がいなくなる点はデメリットです。

とくに専門性の高い分野は、自社で業務を遂行する機会が減るとノウハウを蓄積できないため、関連部署の従業員でもやり方がわからなくなる可能性があります。業務委託している間は問題がなくても、委託先とトラブルになった場合や災害・システム障害などの事情で委託先に依頼できなくなった場合に、通常の業務を遂行できなくなるでしょう。

外部に業務を委託する場合でも、委託先との情報共有を定期的に実施する、社員教育の機会を設けるなどでノウハウを引き続き蓄積していく心がけが必要です。

情報漏洩のリスクがある

情報漏洩のリスクがある点も、業務委託のデメリットです。

委託する業務内容によっては、今まで外部に出していなかった情報を業者に渡さなければなりません。そのため、万が一悪質な業者に依頼してしまった場合は、個人情報や機密情報の漏洩につながることがあります。

また、信頼できる業者に依頼したとしても、委託先のセキュリティ管理がずさんであれば情報が流出する可能性は否めません。自社の信頼を損なわないためにも、委託先の管理体制を定期的に確認する必要があります。

経費支出が増加する可能性がある

業務委託により、経費支出が増加する可能性がある点もデメリットです。

業務委託で対象業務にあてる従業員の数や業務を習得させるための研修を減らせば、従来よりも給与や研修費を削減できます。ただし、委託に伴い発生した業務委託費が削減分を上回っていると、結果的に経費が増えて経営を圧迫することになりかねません。

とくに、専門性の高い分野は費用が高額になる可能性があるため注意が必要です。

業務委託費の支出を抑える方法

業務委託で業務委託費が発生し、経費が増加することがあります。そこで、業務委託費の支出を抑えるための方法は、主に以下のとおりです。

  • 相場をチェックしてから委託する
  • 委託する内容を明確にしておく

ここから、各方法について解説します。

相場をチェックしてから委託する

業務委託費にかかる支出を抑えるには、あらかじめ相場をチェックしたうえで委託することが大切です。相場を知るには、以下のような方法があります。

  • 複数の業者に見積もりを提案してもらう
  • 数社のホームページで料金を調べる
  • 同業者から情報を収集する
  • 業界や専門誌の調査結果を参照する

業務委託でも、どの業界・どの専門家に依頼するかによって相場はさまざまです。業界のことをよく知らないまま依頼すると、高額だと気づかずに契約してしまうことがあるでしょう。

また、相場と比較して極端に低い価格で設定されている場合にも注意が必要です。安い分、望んでいる業務を適切に処理してもらえない可能性があります。

委託する内容を明確にしておく

委託する内容・目的・スケジュールなどを明確にしておくことも、支出を抑えることにつながります。

業者の報酬は、委託する業務内容によって設定されていることが一般的です。そのため、自社でも十分対応可能な業務まで任せてしまうと、本来不要な支出が発生する可能性があります。

また、スケジュールに余裕がある場合は、その旨を相手に伝えて交渉することで費用を抑えられることもあるでしょう。長期間の契約を予定していない場合は、業者によって無料トライアルなどで対応できることもあります。

業務委託先を選定する際のポイント

業務委託先を選ぶ際は、業者の実績や経験を比較することがポイントです。とくに、自社が属する業界における実績や、委託を希望する内容での具体的な実績があれば、スムーズな対応を期待できます。実績を確認する際は、スキルや専門性もあわせてチェックしておきましょう。

また、サポート体制や連絡のしやすさを確認することもポイントです。委託後、担当者とのやり取りをスムーズにできないと、トラブルに対応してもらえない可能性があります。

さらに、報酬体系も比較するとよいでしょう。固定報酬型の場合はあらかじめかかる経費の見通しを立てやすい点がメリットとして挙げられます。一方、成果報酬型の場合は、希望する成果を得られない場合に余計なコストが発生することを防げる点がメリットです。

そのほかにも、信頼できる業者か、セキュリティ対策をどのように実施しているかなども選定する際のポイントとして挙げられます。

業務委託費まとめ

業務委託費とは、自社で担う業務の一部もしくは全部を外部の法人や個人に委託する際に発生する費用のことです。研修を実施する際に講師を招く際、弁護士に依頼する際などに業務委託費が発生することがあります。

業務委託費を計上する際は、源泉徴収の対象か調べることがポイントです。個人事業主に業務委託費を払う際は、業務内容によって源泉徴収しなければなりません。源泉徴収する際は、仕訳で「預り金」を計上することも押さえておきましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
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所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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