企業価値とは何か?~事業価値、株主価値の違い~
更新日:2024年06月15日
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企業価値とは、その企業全体の価値のことです。企業の事業活動からもたらされる事業価値に、投資有価証券や遊休資産などの非事業用資産の価値を含めた価値を言います。ファイナンスの目的は、企業価値を最大化することです。
目次
企業価値と事業価値の違い
事業価値とは、企業の事業活動からもたらされる価値のことです。その事業が将来どれだけのキャッシュフローを生み出すかによって算出するもので、貸借対照表には計上されない「のれん」や特許権、商標権などの無形資産も含まれます。「企業価値 = 事業価値 + 非事業用資産」という公式が成り立ちます。
企業価値と株主価値の違い
株主価値とは、株主に帰属する価値のことであり、企業価値から有利子負債などの他人資本(負債)を差し引いたものです。「企業価値 = 株主価値 + 負債価値」という公式が成り立ちます。
企業価値の評価方法
企業価値の評価方法には様々は方法がありますが、一般的には、「コスト・アプローチ」「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の3つに分けられます。
コスト・アプローチ
コスト・アプローチは、評価対象となる企業が保有している純資産をもとに企業価値を算出する方法です。コスト・アプローチの代表的な方式には、帳簿純資産方式や時価純資産方式があります。
インカム・アプローチ
インカム・アプローチは、評価対象企業が将来獲得するであろう利益・キャッシュフローをもとに企業価値を算出する方法です。インカム・アプローチの代表的な方式には、配当割引方式や収益還元方式、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)があります。
マーケット・アプローチ
マーケット・アプローチは、評価対象企業が上場会社の場合は市場株価を基礎として、非上場会社の場合は、同業他社や類似取引事例などをもとに企業価値を算出する方法です。マーケット・アプローチの代表的な方式には、市場株価方式や類似会社比準方式、取引事例方式などがあります。
企業価値が融資の担保になる?
2024年6月7日に新法「事業性融資の推進等に関する法律案」が成立し「企業価値担保権」という新しい担保制度の創設が決まりました。同法は2年半以内に施行され、従来の有形資産(不動産など)のみならず、無形資産(ノウハウ、知的財産など)が担保権の対象となります。企業価値担保権という名称ですが、実際には事業価値を担保として設定できる制度のようです。
開業したてのスタートアップ企業などの場合、従来の担保となる有形資産を保有していないことで、銀行からの融資を受けにくい場面がありました。企業価値担保権の制度により、無形資産も担保として認められることで、融資での資金調達の可能性が広がることが期待されます。
企業価値まとめ
- 企業価値とは、その企業全体の価値のことであり、企業の事業活動からもたらされる事業価値に、投資有価証券や遊休資産などの非事業用資産の価値を含めた価値を言う。
- 事業価値とは、企業の事業活動からもたらされる価値のことであり、株主価値とは、株主に帰属する価値のことであり、企業価値から有利子負債などの他人資本を差し引いたものである。
- 企業価値の評価方法には様々は方法があるが、一般的には、「コスト・アプローチ」「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の3つに分けられる。