FXのスプレッドとは?取引コストの計算方法や変動要因について解説
更新日:2024年06月18日
![FXのスプレッド](https://freeway-keiri.com/ezm/media/1/0/0/2/1002_640x453.jpg)
FXにおけるスプレッドは、取引コストの1つです。投資を成功させるには、利益の獲得と同じくらいコスト管理を徹底し費用を抑えることが重要です。この記事では、スプレッドの基本事項やFX会社選びのポイントなどを解説します。FXによる資産運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも「スプレッド」とは
FX(Foreign Exchange:外国為替証拠金取引)とは、通貨に投資をする金融商品です。FXでは通貨の売買によって発生する売却差益および、通貨間の金利差で得られるスワップポイントによる利益の獲得を目指します。
FXを活用した資産運用を成功させたいのであれば、取引コストとなる「スプレッド」をしっかりと押さえておくことが重要です。ここではまずスプレッドの基本事項および、FX会社によってスプレッドにどのくらいの差があるかを見ていきましょう。
スプレッドはFXにおける取引コスト
スプレッドとは、FXにおける取引コストです。FX取引では通貨の買値(Ask)と売値(Bid)に差があり、売値よりも買値のほうが高く設定されます。この売値と買値の差額が、スプレッドです。以下で一例を見てみましょう。
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米ドルと日本円の通貨ペアの場合、買値は156.415円で売値は156.413円なので、スプレッドは0.2銭(156.415円-156.413円)です。同様にユーロと日本円では、スプレッドは0.4銭(169.196円-169.192円)と計算できます。
FX取引において、スプレッドはコストになります。先の例でいうと、156.415円で米ドルを購入しレートが変わる前にすぐに売却し円に戻したとしても、0.2銭はスプレッドとして引かれるため損失が発生するのです。
売値と買値の差額(含み損分)は、FX会社の利益となります。コストを抑えた資金効率が良い投資を目指すのであれば、スプレッドはできるだけ小さいほうが良いといえるでしょう。
FX会社により異なるスプレッド
スプレッドは、FX会社によって異なります。それはFX会社ごとに取引システムの強さや、カバー先の数が異なるからです。FX会社ごとのスプレッドの違いを、以下で確認しましょう。
通貨ペア | スプレッド | ||||
マネーパートナーズ (9時~翌3時まで(米ドル/円のみ8時~翌4時)) |
ヒロセ通商 | LINE FX (9時~翌5時まで) |
LIGHT FX (8時~翌5時まで) |
DMM FX (9時~翌5時) |
|
米ドル/円 | 0銭 | 0.2銭 | 0.2銭 | 0.18銭 | 0.2銭 |
ユーロ/円 | 0銭 | 0.4銭 | 0.4銭 | 0.38銭 | 0.4銭 |
英ポンド/円 | 0銭 | 0.9銭 | 0.7銭 | 0.88銭 | 0.9銭 |
FX会社や通貨によって、スプレッドは大きく変わります。より小さいスプレッドでの取引を希望するのであれば、いくつかのFX会社を比較検討し取引をスタートすることが重要です。
スプレッドの単位
スプレッドには、以下の2つの単位があります。
- 銭
- pips(percentage in point)
それぞれの概要と違いを押さえ、使い分けられるようにしましょう。
銭
スプレッドの単位の1つめは、銭です。銭は、取引する通貨ペアのうちどちらか一方が日本円の場合に用いられます。具体的には、米ドル/円やユーロ/円等のスプレッドを表すときに使われます。なお、1銭を円換算すると0.01円です。
pips
スプレッドの単位の2つめは、pips(percentage in point)です。pipsは、日本円以外の通貨ペアを取引する際に用いられます。
pipsは、最小通貨単位の1パーセント(100分の1)を意味します。日本円の最小単位は1円なので、pipsを円換算すると0.01円(1円×1/100)です。円と銭、pipsをお互いに換算すると以下のようになります。
円 | 銭 | pips |
0.001円 | 0.1銭 | 0.1pips |
0.01円 | 1銭 | 1pips |
0.1円 | 10銭 | 10pips |
1円 | - | 100pips |
10円 | - | 1,000pips |
なお、1pipsがいくらになるかは通貨によって異なります。たとえば米ドルの場合、最小通貨単位は1セント(0.01ドル)なので、1pipsは0.0001ドル(0.01ドル×1/100)です。
FXのスプレッドは「狭い」ほうが利益を狙える
FX投資において、スプレッドは狭いほうが利益を狙えます。それは、スプレッドが狭いほど投資のコストを抑えられるからです。投資を成功させるには、コスト以上の利益を獲得しなければなりません。資金効率が良い資産形成を目指すのであれば、スプレッドが狭いFX会社選びは重要なポイントとなります。
なお、スプレッドには以下の2種類があります。
- 原則固定制:原則としてスプレッドが固定される方法
- 変動制 :為替の値動きによってスプレッドが変動する方法
原則固定制はスプレッドが固定されているため、価格の変動が少なく指値注文がしやすい方法です。FX初心者の方でも、取引がしやすいといえるでしょう。
変動制は為替によって、スプレッドが変動します。そのため、取引のタイミング次第でスプレッドの大きさが変わる点には注意しましょう。変動制にチャレンジするのは、FXの投資に慣れてからのほうが良いかもしれません。
なお、FX投資で必要な手数料には、スプレッドのほかに以下があります。
- 口座開設手数料
- 口座維持手数料
- 取引手数料
- クイック入金手数料
- 出金手数料
- ロスカット手数料
スプレッドが狭いFX会社であっても、その他の手数料が高ければ投資にかかるコストはかさみます。FX会社を選ぶ際には、スプレッドと併せてこれらの手数料を確認することも重要です。参考)FXおすすめ口座を徹底比較
スプレッドを使った取引コストの計算方法
スプレッドを使った取引コストは、以下の計算でできます。
取引コスト = スプレッド × 取引通貨数
たとえば、スプレッド0.2銭で米ドル/円を1万通貨取引した場合、取引コストは20円(0.002円×1万通貨)です。また、スプレッド3pipsでユーロ/米ドルを1万通貨取引したときに必要なコストは、3ドル(0.0003ドル×1万通貨)と計算できます。
このように計算してみると、1回の取引コストはそれほど大きくないと感じる方もいるでしょう。しかし取引量や取引回数によっては、コストがかさみ投資の負担になるケースも少なくありません。
納得がいくFX投資を実現するには取引前にスプレッドを確認し、しっかりとコスト管理をすることが重要です。
FXのスプレッドが変動する理由
先述のとおり原則固定制のスプレッドの場合、原則としてスプレッドが変動することはありません。しかし以下の状況が発生したときには、例外的にスプレッドが変わる可能性があります。
- 重要な経済指標の発表
- 災害やテロなどの地政学的なリスク
- 取引量が減る早朝や年末年始
- 為替介入
スプレッドに影響するケースをあらかじめ押さえ、スプレッド変動時にも慌てずに取引ができるよう備えましょう。
重要な経済指標の発表
米国雇用統計や政策金利等、重要な経済指標が発表される前後はスプレッドが変動しやすいタイミングです。発表内容により通貨購入希望者が増えれば買い注文が、反対に通貨を売却したいと考える方が増えたときには売却注文が増加します。
買い注文や売り注文が急激に集中すると、需要と供給のバランスが崩れ外国為替市場全体でスプレッドが広がりやすくなります。米国雇用統計や政策金利が決定するFOMC(連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合などの日程は、証券会社ホームページ等で確認が可能です。FX投資をするのであれば、これらの日程をあらかじめ確認しておきましょう。
災害やテロなどの地政学なリスク
災害やテロなど、世界的な金融不安につながる突発的なリスクが発生したときもスプレッドが変動するタイミングです。近年では、新型コロナウイルスの発生による「コロナショック」でさまざまな市場が乱高下し、FXのスプレッドも大きく変動しました。
地政学的なリスクが発生したときには、チャートの動きやスプレッドを必ず確認し冷静な対応を行うことが重要です。
取引量が減る早朝や年末年始
取引参加者が少なく取引量が減る早朝(5~8時)や年末年始は、市場の流動性が下がるためスプレッドが変動する可能性があります。実際に原則固定制であっても早朝はスプレッドが異なると明記しているFX会社もあるため、事前の確認が重要です。
取引量が少ない場合、相場が急変しやすくリスクが高まると考えられます。FX投資初心者であれば、早朝や年末年始の取引は控えたほうが安心です。
為替介入
為替介入とは通貨当局による政策手段で、急激な為替変動を抑制し適切なレートに誘導することを目的として、通貨当局が外国為替市場で通貨を売買することを指します。日本でいえば、財務省や日本銀行が「ドル買い・円売り介入」「ドル売り・円買い介入」を実施し、為替の安定を図ることを為替介入と呼びます。
為替介入が実施されると、為替レートが大きく変動することで、FXのスプレッドも大きく開く可能性があります。ただし為替介入の実施については、事前に予測はできず、観測報道などの情報に頼ったり、あるいは過去の為替介入の歴史を参考にしたりと、予測で対応せざるをえない場合がほとんどでしょう。
スプレッド以外にも!FX会社選びのポイント
FX投資を始めるにあたっては、投資経験や投資スタイルに合ったFX会社を選ぶことが重要です。特にFX初心者であれば、取引ツールが使いやすくサポート体制が整った会社を選ぶと良いでしょう。ここでは、FX会社選びで確認するべき以下の5つのポイントを解説します。
- 取引ツールの機能性
- サポート体制
- キャンペーン内容
- 約定力
- 取引通貨ペア数
取引ツールの機能性
ポイントの1つめは、取引ツールの機能性です。FX投資で獲得が期待できる利益には、通貨の売買による差益と、スワップポイント(通貨間の金利差)があります。どちらの利益を狙うにしても為替の値動きを把握することや、売買したいタイミングで速やかな取引ができることは非常に重要です。そのためには、チャートの確認や速やかな売買が可能な取引ツールが不可欠です。
近年はパソコンに加えスマホでの取引に力を入れているFX会社も多く、スマホ向けアプリも用意されています。スマホでの取引を考えているのであれば、スマホ用アプリの使いやすさも確認しましょう。
サポート体制
ポイントの2つめは、サポート体制です。特に初めてFXにチャレンジするのであれば、サポート体制の充実は必ず確認したいところです。サポート体制の一例としては、以下があげられます。
- 口座開設方法や取引ツールの使用法についてのサポート
- 初心者向け学習コンテンツの配信
- 専門家によるマーケット分析やレポートの公開
FX投資は、ネット上で口座開設から取引までできます。そのため、口座開設方法や取引ツールの使用方法がわからないときに、相談できる窓口があることは重要です。
またFXの基礎知識やリスクリターンについて等、初心者向けの学習コンテンツが充実しているかも、初心者にとっては大切です。初心者向けコンテンツが充実していれば、安心して納得がいく投資を実現できるでしょう。
また、さらに深い知識を得てより積極的な投資をしたいと考えるのであれば、専門家によるマーケット分析やレポートの有無も確認したいところです。
キャンペーン内容
ポイントの3つめは、キャンペーン内容です。FX会社は、お得なキャンペーンを実施している場合があります。FX会社を選ぶ際には、自身に合ったキャンペーンが行われているかも確認しましょう。FX会社で行われる主なキャンペーンは、以下のとおりです。
- キャッシュバック:新規口座開設や取引量に応じたキャッシュバック
- スプレッドの縮小:期間や時間限定でスプレッドが縮小される
- 家族や友達の紹介:家族や友達が新規口座開設することで、キャッシュバック等の特典を受けられる
- 豪華食品プレゼント:対象となる取引量以上の取引をした場合に、抽選で豪華賞品がプレゼントされる
キャンペーンは期間限定で行われるものがほとんどですが、中には継続的に実施されているものもあります。キャンペーンだけでFX会社を選ぶのは得策とはいえませんが、投資スタイルに合ったキャンペーンがある場合には、材料の1つとなるでしょう。
約定力
ポイントの4つめは、約定力です。約定力とは、トレーダーが希望した価格で取引を成立させる力のことです。為替レートは秒単位で変動しています。そのため約定力が低いFX会社の場合、発注から約定までに時間がかかり、取引そのものが不成立となってしまうのです。
また約定力が低いと、仮に取引が成立したとしても想定とは異なる価格での約定(スリッページ)が発生し、思わぬ損失を被るかもしれません。スムーズな取引を行うには、約定力の高さはしっかりと確認したいポイントの1つです。
取引通貨ペアの数
ポイントの5つめは、取引通貨ペアの数です。FXで取引できる通貨ペア数は、会社によって異なります。FX会社による取引通貨ペア数の違いを、以下で確認しましょう。
FX会社 | DMM FX | 外為どっとコム | GMO外貨 | LIGHT FX | ヒロセ通商 |
取引通貨ペア数 | 21 | 30 | 24 | 46 | 54 |
このように、FX会社によって取引通貨ペア数には大きな差があります。投資初心者であれば米ドル/円やユーロ/円等、スプレッドが狭く少ない取引量での取引が可能な通貨ペアの取り扱いがあるFX会社を選びましょう。
将来的により積極的な投資もしたいと考えているのであれば、取引通貨ペア数が多いFX会社が選択肢です。取引通貨ペア数が多いFX会社であれば多くのチャートを見られるため、為替市場全体の流れを把握できます。
FXスプレッドまとめ
スプレッドとは、FXにおける取引コストです。スプレッドの大きさは通貨の買値(Ask)と売値(Bid)の差で決まり、「銭」もしくは「pips」で表されます。
スプレッドは、狭いほうが取引コストを抑えられます。スプレッドの大きさはFX会社によって差があるため、いくつかの会社を比較検討することが重要です。
FX会社を選ぶには、スプレッドのほか取引ツールやサポート体制、キャンペーン内容、約定力、取引ペア通貨数等も確認する必要があります。投資方針や投資スタイルに合ったFX会社を選び、スムーズで納得がいくFX投資を実現しましょう。