財務レバレッジとは~その意味、計算式、目安について解説~
更新日:2024年07月17日

財務レバレッジとは、株主が出資した資金で、企業がどれだけの資本を生み出したのかを表す経営指標です。株主側から見ると、自分が出資した資金が効率的に運用されてビジネスが成長しているのかを測る指標にもなります。財務レバレッジは、財務分析の収益性の指標の1つです。
目次
財務レバレッジの計算方法
財務レバレッジの求め方は、以下のとおりです。
財務レバレッジ(倍) = 総資本 ÷ 自己資本
会社が保有する資金は、資本金や利益など他者への返済義務がない「自己資本」と、借入金など返済義務がある「他人資本(負債)」があります。財務レバレッジは、自己資本と他人資本を合わせた総資本を自己資本で割って求めます。
財務レバレッジと自己資本比率の関係
財務レバレッジは、自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本 × 100)の逆数でもあります。たとえば、総資本が1000万円で、自己資本が500万円の会社では、自己資本比率は50%、財務レバレッジは2倍となります。
財務レバレッジから何が分かる?
会社が投下する資金の源泉は、資本金や利益剰余金などの「自己資本」か銀行からの借入金や社債などの「他人資本」かのいずれかです。財務レバレッジが1倍の会社は、完全自己資本運営ということになります。一方で、財務レバレッジが高い会社は、総資本に占める負債の割合が高いと言えます。では、財務レバレッジが1倍の会社は無借金経営だから優良で、財務レバレッジが高い会社は借金が多いから危険なのかと言えば、必ずしもそうではありません。会社を経営していくうえでは、借金をしてでも積極的に投資して利益をあげたほうが良いケースは多くあるからです。
財務レバレッジの目安
財務レバレッジが低い会社は積極的な経営ができていない可能性がありますが、逆に、財務レバレッジが高すぎる会社は、自己資本が少なく借金過多になっており、債務超過になるなど安全性が低い(倒産リスクが高い)かもしれません。業種や企業規模によって異なりますが、財務レバレッジは低すぎず高すぎず、ほど良い倍率であるのが理想的です。ちなみに自己資本比率が20%~30%であれば健全性が高いと言われますので、その逆数である3~5倍を目安としても良いかもしれません。
「財務レバレッジを利かせる」とは?
他人資本をてこ(レバレッジ)のように活用した経営し、収益性を高めることを「財務レバレッジを利かせる」と言います。具体的には、以下のように比較することで、どちらが財務レバレッジが利いているかを分析できます。
- A社…総資本3000万円、自己資本2500万円、負債500円 ⇒ 財務レバレッジ1.2倍
- B社…総資本6000万円、自己資本2500万円、負債3500万円 ⇒ 財務レバレッジ2.4倍
この例では、A社もB社も自己資本は同じですが、B社のほうが財務レバレッジが高く、総資本が多くなっています。A社に比べB社は、負債を有効に活用して積極的に経営していると見ることができます。逆に財務レバレッジが低いA社は、他人資本をあまり使わずに比較的安全な経営をしていると見ることができます。
財務レバレッジまとめ
- 財務レバレッジとは、株主が出資した資金で、どれだけの資本を生み出したのかを表す収益性の指標である。
- 財務レバレッジの計算式は、財務レバレッジ(倍) = 総資本 ÷ 自己資本
- 他人資本をてこ(レバレッジ)のように活用した経営を行い、収益性を高めることを「財務レバレッジを利かせる」と言う。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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