NPV(正味現在価値)とは何か?その意味と計算式

更新日:2020年11月19日

NPV

NPV(Net Present Value:正味現在価値)は、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標です。「その投資プロジェクトは利益を生むか?」「他の投資案と比べてどちらが有利か?」など、投資の意思決定をするために用いられます。

NPV(正味現在価値)のポイント

  • PV(現在価値・割引現在価値)とは、将来獲得するお金の現時点における価値である。
  • NPV(正味現在価値)とは、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標であり、投資の意思決定をするために用いられる。
  • 理論的には、NPV=0ならそのプロジェクトに投資しても利益は出ないということであり、NPVが0以上なら有利で、大きいほど良いとされる。

PV(現在価値)とは何か?

NPVを理解するために、先にPVについて説明します。PV(Present Value:現在価値・割引現在価値)とは、将来獲得するお金の現時点における価値です。「将来受け取ることができるお金を現在の価値に換算するといくらになるか?」というものです。

PV(現在価値)の計算式

PV(現在価値) = 将来受け取る金額 / (1 + 利率・割引率)^n年後

^nは、n乗という意味です。たとえば、銀行預金の金利が5%だとした場合、1年後に手にする100万円のPV(現在価値)は、100万円 / (1 + 0.05)^1 = 952,381円となります。今、952,381円を年利5%で銀行に預けると1年で100万円になるため、1年後の100万円は現在の952,381円と等しいという捉え方ができます。同じ条件で2年後の100万円を現在価値で計算すると、100万円/(1+0.05)^2=907,029円となります。※計算結果はいずれも1円未満を四捨五入しています

現在価値を求めるときには割引率を使う

上記の例では、現在価値を求めるのに銀行の金利を使いましたが、一般的には「割引率」という指標によって現在価値を求めます。この割引率が小さくなればなるほど、現在価値は高くなります。企業の投資判断の際に用いされる割引率は、一般的には「資本コスト」です。

NPV(正味現在価値)の計算式

NPV(正味現在価値) = PV(現在価値) - 投資額

投資によって将来発生するキャッシュフローの現在価値(PV)から投資額を差し引いて求めます。

NPV(正味現在価値)は投資プロジェクトの評価指標である

NPV>0なら、そのプロジェクトに投資します。また、2つの投資案件を見比べる場合は、両者のうちNPVが大きい方を選択します(NPVは大きければ大きいほど良いとされます)。では実際に、以下の投資案件を例にして考えてみましょう。ABCの投資案件のNPVを計算して、どれか1つを選ぶものとします。

投資案件A(PVが1,800万円、投資額が2,000万円)

NPVは−200万円になります。NPV<0であるため、投資すべきてはないと判断できます。

投資案件B(PVが2,100万円、投資額が2,000万円)

NPVは100万円になります。NPV>0であるため、投資すべきという判断になります

投資案件C(PVが2,300万円、投資額が2,000万円の場合)

NPVは300万円になります。NPV>0であるため、投資すべきという判断になります

投資案件Aは、NPVがマイナスのため投資しないと意思決定しました。BとCはNPVがプラスのため投資すべき、となります。BとCではCのNPVの方が大きいため、最終的には投資案件Cが選ばれることになります。

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この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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