安全余裕率とは何か~損益分岐点比率との関係~

更新日:2020年11月19日

安全余裕率と損益分岐点比率

安全余裕率と損益分岐点比率は、財務分析の収益性の指標です。損益分岐点比率は、会社がどれだけ不況に強いのかを表し、安全余裕率は、会社の経営にどれぐらいの余裕があるのかを表しています。いずれも、損益分岐点を使って計算します。損益分岐点比率、安全余裕率の算式などは以下のとおりです。

安全余裕率と損益分岐点比率の3つポイント

  • 損益分岐点比率は、不況に対する抵抗力の強さを示す指標。低い方が良いとされる。
  • 安全余裕率は、経営にどれだけ余裕があるかを表す指標。高い方が良いとされる。
  • 損益分岐点比率と安全余裕率は補数の関係。足し合わせると必ず100%になる。

損益分岐点比率とは?

損益分岐点比率とは、実際の売上高と損益分岐点売上高の比率を計算した指標です。実際の売上高を100%とした場合、損益分岐点売上高が何%なのかを計算します。損益分岐点比率は低いほど良く、売上低下による影響が少なく、不況抵抗力が強いとされています。会社の規模や業種によって異なりますが、一般的には80%を下回っていれば優良で、100%を上回っていると赤字企業ということになります。損益分岐点比率は、以下の算式によって求められます。

損益分岐点比率(%) = 損益分岐点売上高÷実際の売上高×100

安全余裕率とは?

安全余裕率とは、実際の売上高と損益分岐点の差がどのくらいあるかを表す指標です。安全余裕率を見れば、現在の売上がどのくらい増減したら損益分岐点になるのかが分かります。別の言い方をすれば、安全余裕率は経営の余裕度を示していると言え、数値が高いほど経営に余裕があり、低ければ経営に余裕がないと判断できます。算式は以下のとおり。

安全余裕率(%) = (実際の売上高-損益分岐点売上高)÷実際の売上高×100

損益分岐点比率と安全余裕率の関係

ずばり、安全余裕率と損益分岐点比率を足すと、必ず100%になります。こういった関係を補数といいます(学校で習いますが、おそらく忘れられる存在です)。計算する必要はないかもしれませんが、確かめるために損益分岐点比率と安全余裕率を計算してみましょう。損益分岐点が1,500万円で、実際の売上高が2,000万円だったとします。

  • 損益分岐点比率…1,500÷2,000✕100=75(%)
  • 安全余裕率…(2,000-1,500)÷2,000=25(%)
  • 損益分岐点比率+安全余裕率…75+25=100(%)

以上のように、損益分岐点比率と安全余裕率を足すと100%になります。書き換えると、以下のとおりです。

安全余裕率=100-損益分岐点比率(%)

損益分岐点比率=100-安全余裕率(%)

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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