FXとは?初心者が知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説

更新日:2024年01月25日

FXとは

FXとは「外国為替証拠金取引」のことです。FXは24時間取引ができるなど利便性が高く少額から大きな利益を狙えるメリットがある一方、想定外の損失が発生する可能性があるといった注意点もあります。取引の特徴や失敗しないためのポイントをしっかりと確認し、資産運用の一つとしてチャレンジしてみましょう。

目次

FXとは?初心者でもわかる基礎知識

FX(Foreign Exchange)は「外国為替証拠金取引」と呼ばれる投資です。通貨を投資対象としており、ある国の通貨を別の国の通貨に交換することで利益を狙います。

FXは少額から大きな利益を得られる点が魅力ですが、想定外の損失が発生するリスクもあります。まずはFXの概要と損益が発生する仕組み、取引から得られる2つの利益を確認しましょう。

外国為替取引の仕組み

FXは、ある国の通貨を別の国の通貨に交換する際の為替レートの変動を利用して、為替差益の獲得を目指す金融商品です。金利が低い通貨から金利が高い通貨への交換で得られるスワップポイントも、投資の利益となります。

FXで投資をする世界各国の通貨の価格は、常に変動しています。そのため、仮に1万円で米ドルを購入するとしても、購入のタイミングによって替えられるドルの量は変わるのです。このような為替レートの動きを予測して利益を狙うのが、FXの仕組みです。

参考)為替差益とは

FXで利益や損失が出る仕組み

FXで利益や損失が出るのは、通貨の価格が変動しているためです。一例として、円と米ドルで10万円の為替取引を行うケースを見ていきましょう。

1ドル130円のときに10万円を米ドルに換えたとすると、およそ769米ドル(10万円÷130円)を受け取れます。その後、仮に1ドル140円のタイミングで米ドルを円に戻したとすると、受け取れるのは10万7,660円(769ドル×140円)です。つまり、7,660円の利益が出たことになります。

一方、1ドル120円になったタイミングで米ドルを円に戻すと、受け取れる金額は9万2,280円(769ドル×120円)です。この場合、7,720円の損失が発生します。このように、通貨を交換する際の価格で利益や損失が発生するのが、FXの仕組みです。

FXで得られる2つの利益

FXでは、「為替差益」と「スワップポイント」の2つの利益を目指せます。前項で解説した為替レートの変動を利用した利益を狙うのが、為替差益です。スワップポイントとは、高金利の国の通貨を買うことで、金利差を利用した利益を得る方法です。ここでは、それぞれの概要と利益を獲得する仕組みを詳しく見ていきましょう。

為替差益

為替差益とは、為替レートの変動を利用して獲得する利益です。先ほどの例でいうと、1ドル130円のときに10万円で購入した769ドルを、1ドル140円のときに売却することで得られる7,660円が為替差益です。

為替差益を狙うなら、通貨購入時よりも円安になったタイミングで売却する必要があります。今後さらに円安になりそうだと感じるなら、ぜひ為替差益を狙ってみましょう。

為替差益を狙ううえでのポイントは、売却しなければ利益が確定しない点です。値動きにより目標とする利益に到達したら、速やかに売却し利益を確定してください。同様に、為替レートの予想外な動きにより損失(含み損)が発生した場合も、売却しない限り損失額は確定しません。為替差益を狙うなら、定期的に為替チャートを確認し、有効なタイミングで通貨を売買できるかが重要になります。

スワップポイント

スワップポイントとは、金利の低い国の通貨を売却し、金利の高い国の通貨を購入したときに発生する金利差調整分をいいます。スワップポイントの特徴は、保有している間は毎日受け取れる点です。スワップポイントを受け取りながら長期で保有すれば、まとまった利益を積み上げられるでしょう。

気を付けたいのは、金利の高い国の通貨を売却し金利の低い国の通貨を購入すると、スワップポイントの支払いが発生する点です。金利の高い国の通貨を売却する際には、売却価格に加えスワップポイントも確認してください。

FXの5つの特徴

FXには、以下の5つの特徴があります。

  • 基本的に24時間いつでも取引できる
  • 少額資金でも大きな取引ができる
  • スワップポイントが得られる
  • 下落局面でも利益を狙える
  • 自分に合った投資スタイルが選べる

この5つの特徴は、資産運用の手段としてFXが人気の理由でもあります。FX投資をスタートしたいと考えているなら、ぜひ参考にしてください。

1.基本的に24時間いつでも取引できる

FXは世界中で取引されているため、原則として平日24時間いつでも売買ができます。日中の取引が難しい会社員などでも、比較的始めやすい投資だといえるでしょう。なお、細かい取引時間はFX会社によって異なるため、取引開始前に確認してください。

FXは24時間取引が可能ですが、特に各国の市場が開いている時間は取引が活発になります。各市場の主な取引時間帯と特徴を以下で確認しましょう。

市場名 主な取引時間
(日本時間)
特徴
ウェリントン・シドニー市場 5~15時 世界の為替市場のなかで最も早く動く
基本的に参加者が少なく、値動きの予想が難しい
東京市場 8~17時 円を含む通貨ペアの取引が活発になりやすい
比較的値動きが落ち着いている時間が多い
ロンドン市場 17~翌2時 世界最大の外国為替市場で世界全体の4割近くの取引量を占める
ユーロ圏の経済指標の発表により、大きく値が動くことがある
ニューヨーク市場 22~翌5時 22〜翌2時はロンドン市場の開場時間と重なり取引量が多くなる
米国の重要な経済指標が発表されるのもこの時間のため、活発に取引される

FXは、取引する時間によって値動きに特徴があります。特に市場に参加者が少ない時間は、希望価格での取引が難しくなったり、手数料(スプレッド)が広がったりする可能性があります。FXの取引に慣れるまでは、安定的に市場参加者がいる時間を選ぶのも一つの方法です。

2.少額資金でも大きな取引ができる

FXはレバレッジをきかせた取引ができるため、少額資金でも大きな取引ができます。レバレッジとは、FX会社に証拠金を預けることで手持ちの資金以上の投資ができる仕組みです。

仮に10万円を元手に投資をする場合、レバレッジなしでは10万円までしか投資できません。一方、10倍のレバレッジをきかせると100万円(10万円×10倍)まで投資できます。レバレッジ10倍の投資から利益が発生した場合、利益も10倍となります。少ない資金でより多くの利益を狙いたいなら、レバレッジは有効な投資方法です。

なお、個人で投資する場合の最大レバレッジは25倍と決まっています。どのくらいのレバレッジをかけられるかはFX会社により異なるため、利用を考えているなら事前に確認してください。

3.スワップポイントが得られる

先述のとおりFXでは、スワップポイントを得られます。スワップポイントの特徴は、その通貨を保有している間は毎日受け取れる点です。仮に購入後に思ったような値動きをしなかったとしても、長期で保有し続けることでスワップポイントが積み上がり、為替差損を相殺できるケースもあります。FXによる資産運用を行うなら、スワップポイントもぜひ活用しましょう。

4.下落局面でも利益を狙える

FXでは、今後価格が下落すると考えられる局面でも利益を狙えます。なぜならFXは、差金決済だからです。差金決済は、取引のたびに商品と代金の受け渡しが行われる現物取引とは異なり、決済時に発生する損益のみを受け渡しします。そのため、売却から取引をスタートすることも可能です。

たとえば1ドル130円のときに、米ドルへの投資を検討しているとしましょう。仮に今後1ドル120円になりそうだと考えるなら、現物取引では投資をスタートできません。一方、FXなら米ドルの売却から取引をスタートできるため、投資を開始できます。

このように差金決済は、手元にないものの売却からでも取引をスタートできます。そのため、価格の下落が予測される局面でも利益を狙えるのです。FXは、より多くの投資のチャンスがあるともいえます。値動きに左右されることなく利益の獲得を狙いたいなら、FXは選択肢の一つとなるでしょう。

5.自分に合った投資スタイルが選べる

FXは、投資方針や投資スタイルに合った投資が可能です。為替レートを見ながら数分や数時間といった短期間での売買をしたいなら、為替差益を狙った投資がよいでしょう。一方、数ヵ月や数年といった中長期での売買を希望するなら、スワップポイントによる利益の積立も選択肢となります。

FXをスタートするなら、自身の投資スタイルに合った取引を選べるかが重要なポイントです。

FXの5つのリスク

FXにはここまで解説してきた魅力がある一方、以下の5つのリスクもあります。

  • 為替や金利の変動によって資金を失う恐れがある
  • 信用状況やシステムトラブルによって資金を失う恐れがある
  • 高いレバレッジでの取引は損失が大きい
  • ロスカットによって資金を失う恐れがある
  • 通貨によっては思うように取引できない

FXはハイリスク・ハイリターンの金融商品です。しっかりとリスクを確認したうえで、納得がいくFX投資をスタートしましょう。

1.為替や金利の変動によって資金を失う恐れがある

FXでは、為替レートや金利の動きを利用して利益を狙います。投資経験を積めば、チャート分析などにより値動きの予測をある程度立てられるようになるかもしれません。しかし、投資している通貨の国が情勢不安になったり、大規模な災害が発生したりした場合は、為替や金利が予想外の動きをすることもあります。そのような場合には、投資した資産の価値が大きく減る可能性があることは押さえておきましょう。

2.信用状況やシステムトラブルによって資金を失う恐れがある

FXはFX会社を通じて取引を行います。そのため、FX会社の信用力が低下すると、投資家の望む取引ができなくなる可能性がある点には注意が必要です。

またFX取引は、インターネット上で行います。通信機器や通信回線に何らかの不具合が発生した場合、取引したいタイミングで売買ができずに損失を被る可能性もあります。FX会社によってはシステム障害発生時の対応を公開しているため、事前に確認すると安心です。

3.高いレバレッジでの取引は損失が大きい

高いレバレッジをかけた取引をすると大きなリターンを得られる可能性がある一方、多額の損失を被るケースがあります。

たとえば証拠金10万円でFX投資をしたとします。1ドル130円で購入した米ドルが1ドル120円に下がった場合を例に、レバレッジの倍率による損失額の違いを見てみましょう。

レバレッジ 取引内容 損失額 決済後の手元の資金
なし 買い:10万円÷130円≒769ドル
売り:769ドル×120円=9万2,280円
7,720円 9万2,280円
10倍 買い:100万円÷130円≒7,692ドル
売り:7,692ドル×120円=92万3,040円
7万6,960円 2万3,040円
20倍 買い:200万円÷130円≒1万5,384ドル
売り:1万5,384ドル×120円=184万6,080円
15万3,920円 △5万3,920円

レバレッジをかけていなかった場合、損失額は手持ちの資金内に収まります。しかし、レバレッジをかけたときはそうとは限りません。同様の取引をレバレッジ10倍で行った場合、損失額は7万6,960円(100万円-92万3,040円)です。証拠金の10万円で清算すると、手元には2万3,040円残ります。

レバレッジ20倍での取引では、損失額は15万3,920円(200万円-184万6,080円)です。証拠金の10万円では損失を補てんできず、5万3,920円の借金を抱えることになります。

このように、高いレバレッジをかけると証拠金以上の損失が発生する可能性があります。その場合、追加の証拠金の支払いを求められたり、ロスカットが実行されたりすることは押さえておきましょう。

4.ロスカットによって資金を失う恐れがある

ロスカットとは取引で一定水準以上の損失が発生したときに、保有しているポジションを強制決済することです。レバレッジをかけた取引をすると、値動きによっては証拠金以上の損失が発生するケースも考えられます。強制的に取引を終了させることで損失額を一定の範囲内に抑え、最低限の資金を温存するシステムがロスカットです。

ロスカットの基準はFX会社によって異なるため、取引前に確認しましょう。なお、相場が急激に変動した場合、ロスカットが執行されても証拠金以上の損失が発生する可能性があります。FX取引をするなら定期的に為替レートを確認し、値動きを把握しておくことが重要です。

5.通貨によっては思うように取引できない

FXでは米ドルやユーロといった流通量が多い先進国の通貨だけでなく、メキシコペソや南アフリカランドなど途上国の通貨への投資も可能です。取引する通貨によっては、売買が滞るリスクがある点には注意が必要です。

途上国の通貨は先進国の通貨に比べてスワップポイントが高いといった魅力がある反面、経済や政治の情勢不安、災害、近隣諸国との紛争などによって取引が成立しなくなるリスクがあります。リスクが高い国の通貨を選ぶなら、資金の一部で少しずつ投資をすることが肝心です。

FXで取引を始めるまでの4ステップ

為替レートは常に変動しています。チャンスを逃さず投資をスタートするには、口座開設などの取引準備を事前に済ませておくとスムーズです。FXの取引を始めるには、以下の4つのステップが必要です。

  1. 取引するFX会社を選ぶ
  2. FX会社の口座を開設する
  3. 取引のための資金を入金する
  4. 取引スタート

それぞれの内容をしっかりと確認し、計画的に取引の準備を進めてください。

ステップ1.取引するFX会社を選ぶ

FXをスタートするにはまず、取引するFX会社を選びましょう。FX会社を選ぶ際に比較検討するべき主なポイントは、以下の6つです。

  • スプレッド
  • 手数料
  • スワップポイント
  • ロスカット基準
  • 最小取引単位
  • 取引ツール

スプレッドや手数料は、FX会社によって差があります。コストを抑えた効率が良い投資を目指すなら、手数料が低い会社を選びましょう。また、レバレッジ取引を検討しているなら、ロスカット基準も確認したいポイントです。

最小取引単位もFX会社によって異なります。FX初心者は、少額から投資できる会社を選ぶと安心して取引をスタートできるでしょう。為替レートの確認や速やかな決済が必要なFX投資では、取引ツールも重要です。スマートフォンやタブレット、パソコンなど、自身が使いやすいデバイスでの取引ツールが用意されているかも確認してください。

ステップ2.FX会社の口座を開設する

取引するFX会社が決まったら、次は口座開設をしましょう。オンライン上で必要事項を入力し本人確認書類やマイナンバーカードを提出したら、開設手続きは完了します。

手続きから口座開設までの所要日数は、FX会社によって異なります。会社によっては、即日での口座開設が可能です。すぐに取引をスタートしたい場合は、口座開設までの時間も事前に確認しましょう。

ステップ3.取引のための資金を入金する

口座開設が完了したら、取引のための資金を入金します。必要最低資金の入金では、相場に合わせた速やかな取引ができないケースがあります。入金額は使い道のない余裕資金の中から、必要最低資金より少し多めにすると安心です。

入金方法はFX会社によって異なりますが、一般的に以下の2つの方法があります。

  • オンライン入金
  • 口座振込

オンライン入金は、インターネットバンキングを利用した入金です。入金手数料が無料で、原則として24時間手続きができ入金が即座に反映されるため、利便性が高い入金方法です。口座振込は、銀行窓口やATMから入金します。入金までに時間がかかるほか、金融機関ごとに振込手数料がかかる点には注意してください。

ステップ4.取引スタート

入金が終われば、いよいよ取引スタートです。FX初心者の方は、少額からチャレンジしましょう。取引を始めるにあたってはまず、取引通貨を決めます。最初は米ドルやユーロなど、流通量が多く馴染みがある通貨がおすすめです。

取引をスムーズに進めるには、取引ツールと為替チャートを上手に活用することがポイントです。取引に不安があるなら、デモトレードからスタートするのもよいでしょう。デモトレードを利用し取引ツールの使い方や為替チャートの見方を確認することで、実際の取引を進めやすくなります。

初心者がFXを失敗しないためのポイント

初心者がFXを失敗しないためのポイントは、次の3つが挙げられます。

  • 値動きが安定している通貨ペアを選ぶ
  • レバレッジをかけすぎず少額からスタートする
  • チャートを分析する

FXは、レバレッジを活用した少額の投資で大きなリターンを狙える一方、想定外の損失が発生する可能性があるハイリスク・ハイリターンの金融商品です。FX初心者が納得のいく投資を目指すには、ここで紹介するポイントを押さえておきましょう。

値動きが安定している通貨ペアを選ぶ

FX初心者なら、まずはドル円やユーロドルといった比較的値動きが安定した通貨ペアを選ぶことが重要です。値動きが安定した通貨では、値上がりによる大きなリターンを狙うのは難しいかもしれません。しかし、予想外の多額の損失を被るリスクを軽減するには、有効な方法です。まずは大きな利益を狙うよりも、安定した通貨ペアでFXの仕組みやチャートの見方に慣れるところからスタートしましょう。

レバレッジをかけすぎず少額からスタートする

FXの取引に慣れるまでは、レバレッジをかけすぎない少額での投資がおすすめです。高いレバレッジをかけると大きな取引となるため、ロスカットが発生する可能性が上がります。その結果、多額の損失を被るかもしれません。リスクを抑えた投資を目指すなら、まずは低いレバレッジで取引をスタートしましょう。取引に慣れてきたら、少しずつレバレッジを上げることを検討してもよいかもしれません。

チャートを分析する

FX投資をするならチャート分析にもチャレンジしましょう。チャートとは、為替レートの過去の値動きをグラフにしたものです。チャートをもとに相場分析を行うことで偶然やラッキーではなく、戦略にもとづいた優位性の高い取引を目指せます。FXでは、以下の2つの相場分析方法があります。

  • テクニカル分析:過去の値動きから将来の値動きを予測
  • ファンダメンタルズ分析:国の政治や経済状況などから将来の値動きを予測

投資初心者のなかには、相場分析は難しいと感じる方もいるでしょう。FX会社によっては、マーケット情報と併せてデイリーレポートや今後の展望などを配信しています。相場分析を投資に活用したいなら、そのような専門家のレポートもぜひ活用してください。

FXまとめ

FXとは、「外国為替証拠金取引」と呼ばれる通貨を対象とした金融商品です。原則として24時間オンラインで取引できる点や、レバレッジをかけることで少額でも大きな利益を狙える点がメリットとして挙げられます。一方で高レバレッジの取引をした場合、想定外の損失を被る可能性がある点には注意が必要です。

またFXはハイリスク・ハイリターンの金融商品のため、投資初心者は比較的値動きが安定した通貨ペアで、少額からチャレンジしてください。為替チャートを利用した相場分析を活用し、納得がいくFX投資を目指しましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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