限界利益率とは何か~計算式と分かること~
更新日:2020年11月19日
限界利益は、売上高から変動費(その売上を増やすためにかけた費用)を差し引いた利益です。貢献利益とも呼ばれます。そして、限界利益率(貢献利益率)とは、売上に占める限界利益(貢献利益)の割合のことです。上の画像は「限界」を表現していますが、限界利益の限界は、そういう意味ではありません。経済学上の限界は、「追加1単位あたりの」といった意味になりますが、覚えなくてかまいません。
限界利益の計算式
限界利益の計算式は、とても単純です。限界利益率を求める場合、まず限界利益を計算します。
限界利益 = 売上高 - 変動費
限界利益率の計算式
限界利益率の計算式も、簡単です。限界利益率は、財務分析の収益性の指標である「損益分岐点」の算出にも使われます。
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高
※損益分岐点 = 固定費 ÷ 限界利益率
限界利益から分かること
限界利益は、その商品やサービスを販売した売上から、その販売に寄与したであろう変動費を引いた利益です。限界利益がプラスであれば、その分だけ固定費を回収できます(限界利益で、ちょうど全ての固定費を回収できるのが損益分岐点)。
限界利益率から分かること
限界利益率が高いと損益分岐点が下がり、利益を出しやすくなります。限界利益率が低いと固定費を回収しにくくなるかもしれません(=損益分岐点が上がる)。営業赤字でも取引を続ける場合がある?
たとえば、あなたが会社を経営していて、単価5万円、変動費3万円の商品を売るとします。固定費は、あなたの人件費20万円のみだとしましょう。ある月、その商品が5個、売れました。売上は25万円(5万円?5個)、変動費は15万円(3万円?5個)、限界利益は10万円(売上-変動費)、固定費の人件費を差し引くと、10万円の営業赤字(この場合は、限界利益-人件費)です。ではこのとき、「営業赤字が出たから、来月はこの商品を売るのは止めよう」という判断をあなたが下したとします。それは誤った判断かもしれません。あなたが他に売る商品があれば別ですが、営業赤字であっても、限界利益が黒字であれば取引すべきです。前述のように、限界利益は固定費の回収に貢献します。限界利益がプラスの取引を増やせば、固定費をまかなえるかもしれないのです(営業黒字になるかも)。
限界利益が赤字の取引はNG
一方、限界利益が赤字の取引は、増やせば増やすほど赤字が増えるだけ。ですから、限界利益が赤字の取引は、よほどの理由がないかぎりNGです。
限界利益のまとめ
- 限界利益とは、売上から変動費を差し引いた利益のこと
- 限界利益率とは、売上に占める限界利益の割合を指し、損益分岐点の計算で用いられる
- 限界利益は固定費の回収に貢献するため、限界利益が赤字の取引はNG
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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