DCF法とは何か?メリットとデメリットについて
更新日:2024年01月26日
DCF法とは、企業価値評価法の一つです(DCFは、ディスカウンテッド・キャッシュ・フローの略)。会社が将来生み出す価値をフリーキャッシュフローで推計し、資本コスト(WACC)で割り引いて現在価値(DCF)に換算して会社を評価します。DCF法は「割引キャッシュフロー」「割引現金収支法」と呼ばれることもあります。
DCFで将来キャッシュフローの現在価値が分かる
DCF法では、会社が将来的に生み出すフリーキャッシュフローを、リスクなどを勘案した割引率(資本コスト)によって現在価値に割り引いて評価額を算出します。DCF法によって評価する「割引現在価値」が大きいほど、将来、その会社が獲得するキャッシュが多いと判断できます。
参考)資本コストとは
DCF法と時価純資産法との違い
企業価値を算出・評価する方法はいくつかありますが、DCF法とよく対比される方法として「時価純資産法」があります。時価純資産法とは、会社が有するすべての資産を時価換算して、のれん(営業権)を足して企業価値を算出する方法です。特に、中小企業同士のM&Aにおいてよく用いられます。両者の最大の違いは、DCF法が、会社が将来生み出すであろうフリーキャッシュフローをもとに会社の価値を算出するのに対し、時価純資産法が、会社が有する資産価格をベースに評価する点です。当然、DCF法と時価純資産法とでは、算出される結果が異なる場合があります。
DCF法のメリット
DCF法は、会社が持つ「のれん」や将来に対する期待を反映する評価方法として合理的だと言われており、大企業のM&Aではよく用いられます。売り手企業が生み出すフリーキャッシュフローを計算するため、買収する企業としては具体的な金額で買収のメリットを把握できます。
参考)のれんとは
DCF法のデメリット
DCF法では、将来の予想収益を基に評価を行うため、対象とする会社の将来の事業計画が必要になります。つまり、事業計画の精度や信頼性が企業価値に影響を与えます。事業計画が客観性に乏しく、信頼性の低いものであれば、算出される企業価値が大きく左右されるリスクがあります。
DCF法のまとめ
- DCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)法とは、企業価値評価法の一つで、会社が将来生み出す価値を、フリーキャッシュフローをベースに割り引いて現在価値に換算する方法である。
- DCF法は、会社が持つのれんや将来に対する期待を反映する評価方法として合理的だと言われており、大企業のM&Aではよく用いられる。
- DCF法では、対象とする会社の将来の事業計画が必要になり、この事業計画の精度・信頼性によって、算出される企業価値が大きく左右される。
この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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