FXで重要な経済指標とは?見方や種類をわかりやすく解説

更新日:2024年07月16日

FX 経済指標

経済指標とは、各国の政府や経済関連の中央省庁、および中央銀行などが発表する経済活動状況を表す統計データです。この記事では経済指標を見る際のポイントおよび、FX投資で重要な12の経済指標の概要を解説します。FX投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

経済指標とは

経済指標とは、各国の政府や経済関連の中央省庁、中央銀行などが発表する経済活動状況を表す統計データです。米国雇用統計やGDP(国内総生産)、CPI(消費者物価指数)、景気動向指数など、ニュースで耳にしたことがある指標も多いでしょう。

FXで投資をするのであれば、経済指標のチェックは非常に重要です。ここではまず、FX投資で経済指標が重要な理由と経済指標を見る際のポイントを確認します。

FXで経済指標が重要な理由

FXで経済指標が重要視されるのは、経済指標の内容によって為替相場が変動する可能性があるためです。

経済指標は、国の成長度合いを判断する材料になります。指標により今後も経済が良好な状態が続くと捉えられれば、その国の通貨は買われるでしょう。一方、経済状態が悪く今後も改善が難しいと考えられたときには、通貨が売られるケースもあります。

経済指標の発表により通貨の売買が集中すると、為替レートが大きく変動します。急激な為替レートの変動は、FX投資に大きな影響を与えることもあるでしょう。そのためFX投資をするのであれば、経済指標の確認は重要といわれます。

経済指標を見る際のポイント

経済指標を見る際には、以下の4つのポイントに注目しましょう。

  • 前回値
  • 予想値
  • 結果
  • 速報値

経済指標を見るにあたっては、事前に前回値を確認しておくことが重要です。前回値と最新のデータを比較することで、経済がどのように変化しているかを知れます。前回の値と比較し大きく変動したときには、経済に何らかの変化があったとして為替レートにも影響が出るかもしれません。

一般的に経済指標の公表に先立ち、専門家による予想値が発表されます。経済指標では、予想値と結果の乖離を見ることも重要です。予想値は、専門家や市場関係者の期待を織り込んでいます。結果が予想値と大きく離れた場合、市場が織り込んでいない動きとなり、為替レートが変動する可能性があるでしょう。

指標によっては、速報値が発表されるものもあります。複数回に渡り結果が発表される場合、相場や市場への影響がもっとも大きいのは速報値といわれます。速報値が出される指標を見る際は、第一報となる速報値を逃さずチェックすることが大切です。

なお、各経済指標が発表されるスケジュールは、FX会社や証券会社のホームページで確認できます。FX投資をするにあたっては、事前に経済指標発表のスケジュールを把握し考慮することが重要です。

FXで重要な経済指標の種類

ここでは、FXで重要な12の経済指標を解説します。どの指標を見れば良いかわからないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。

米国雇用統計

米国雇用統計とは、アメリカ合衆国労働省労働統計局から発表される統計です。アメリカの失業者数や就業人数、週労働時間、平均時給といった雇用情勢を調査した統計で、世界経済においてもっとも重要といわれます。

米国雇用統計が重要視される主な理由は、以下の2点です。

  • 米国の個人消費の動向を見る指標である
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の決定にあたり雇用情勢を重視している

米国の雇用統計が改善されていれば、賃金や個人消費の上昇、政策金利の引き上げにつながるため、米ドルの買いが増えるでしょう。一方、雇用統計が悪化したときは、賃金の低下や個人消費の冷え込みが発生し、政策金利の引き下げと米ドルの売却が進むといわれます。

米国雇用統計は、原則として毎月第1金曜日の日本時間21時30分(冬時間の場合は22時30分)に発表されます。多くの指標を見るのが難しい方も、米国雇用統計はぜひ確認したいところです。

GDP(国内総生産)

GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)は、一定期間内に国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の総額を表す指標です。GDPを見ればその国がどれだけ利益を出したかがわかるため、経済力の規模を知れるでしょう。また、前回の数値と比較することで経済の成長度合いも測れます。

イギリス、アメリカ、ユーロ圏では年に4回、それぞれ速報値および改定値、確報値が発表されます。どの数値も重要ですが、最初に発表される速報値はインパクトがあるため、見逃さないようチェックしましょう。

CPI(消費者物価指数)

CPI(Consumer Price Index:消費者物価指数)は、一般消費者世帯が購入する商品やサービスの価格を指数化したものです。日本では総務省が毎月発表しており、インフレの動向を見る指標として利用されます。前回よりも指数があがっていればインフレが、指数が下がっていればデフレが進んでいると考えられるでしょう。

CPIには、すべての商品やサービスを合わせた「総合指数」と、「生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)」等があります。指数の基となる基準年は、5年ごとに更新されます。

景気動向指数

景気動向指数は景気の現状確認したり、先行きを予測したりする際に利用する経済指標です。産業や金融、労働など経済を見るうえで重要かつ景気に敏感な30の景気指標を基に、指数が算出されます。

景気動向指数は、内閣府が毎月発表しています。数ヵ月先の景気を先取りして動く「先行指数」、景気の現状を表す「一致指数」、数ヵ月から半年ほど遅れて反応する「遅行指数」の3系列の指数があるため、指数全体を確認し景気の動向を判断することが重要です。

小売売上高

小売売上高は、百貨店やスーパーマーケット、コンビニなど小売業者の売上額をまとめた経済指標です。多くの国では消費活動が経済活動の6割を占めるといわれており、小売売上高を見ればその国の景気や個人消費の動向が測れます。

米国の小売売上高は、毎月中旬に発表されます。特に1月に発表される指標は、年末のクリスマス商戦を反映することから注目度が高い数値の1つです。

鉱工業生産

鉱工業生産指数は産業のうち金や銀、鉄などを採掘する鉱業と、コンピューターや電化製品、自動車など工業品の生産高を指数化した経済指標です。日本や米国、英国、ユーロ圏では毎月発表されています。

鉱工業生産が活発であれば個人消費が増加していると考えられるため、経済の現状を分析できる指標として重要視されます。先述の小売売上高と併せて見ることで、消費の動向をより詳しく知れるでしょう。

景況感指数

景況感指数とは消費者や企業購買担当者、アナリストへ聞き取り調査し、結果を指数化したものです。景況感指数が低い場合は、景気が悪く消費活動も抑え気味といわれます。反対に景況感指数が高い場合は、景気がよく消費活動が活発になるとされます。

景況感指数は各国で発表されていますが、特に注目度が高い指数は以下の4つです。

  • ZEW景況感指数:ドイツで毎月発表される指数。数値がプラスのときは景気が良く、マイナスのときは景気が後退気味とされる
  • IFO景況感指数 :ドイツで毎月発表される指数。1991年の指数を100として指数を算出
  • 米国消費者信頼感指数:米国の民間調査機関である「カンファレンス・ボード」が毎月公表する指数。1985年の指数を100として指数を算出
  • ミシガン大消費者信頼感指数:米国ミシガン大学が毎月公表する指数。1966年の指数を100として指数を算出

貿易収支

貿易収支とはモノの輸出入の収支を示す数値で、輸出額から輸入額を差し引いて算出します。輸出額が輸入額を上回る状態は貿易黒字といわれ、一般的にGDPが上昇するとされます。反対に輸入額が輸出額を上回る場合は貿易赤字となり、GDPが下落することが多いです。

なお貿易収支は、財務省が毎月発表する「貿易統計」で確認できます。

日銀短観

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日銀が全国の1万の民間企業にヒアリングを行た結果を基に出される指標です。日本の中央銀行である日銀が行うため、信頼性が高い指標の1つです。アンケートでは、主に以下の項目が調査されます。

  • 経済の現状と先行きについてどう感じるか
  • 売上高および収益
  • 設備投資額
  • 事業計画の実績および予測値

日銀短観は四半期に一度発表されており、国内外を問わず広く世界で利用されています。

日銀金融政策決定会合

日銀金融政策決定会合とは、日本銀行の政策会議のうち金融政策や政策金利に関する事柄を討議、決定する会合です。年に8回、それぞれ2日間ずつ行われ、決定内容は会合終了後に直ちに公表されます。また年8回のうち4回(通常、1月、4月、7月、10月)は、会合で審議・決定のうえ経済・物価情勢の展望(展望レポート)が公表されます。

日銀金融政策決定会合は日本の政策金利が決定されるため、市場や投資家からの関心が高い指標の1つです。金利次第では今後のインフレ率や消費者支出にも影響が出ることから、会合後の日銀総裁の発言も注目されます。

ECB政策理事会

ECB政策理事会は、ドイツのフランクフルトに本部を置く欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)の最高意思決定機関です。6週間ごとに開催される会合では、ユーロ圏の金融政策や政策金利について討議・決定が行われます。

議事要旨が公開されないため、第1回の会見後に開かれるECB総裁の発言に大きな注目が集まります。

FOMC

FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策や政策金利に関することを決定する会合です。会合は年に8回開催され、開催から3週間後には「FOMC議事要旨」が公表されます。

予想と結果に大きな乖離があった場合、ドルを中心に為替レートが大きく変動する可能性があるため、世界中の投資家や市場関係者から注目されます。

経済指標まとめ

経済指標とは、各国の政府や経済関連の中央省庁、中央銀行などが発表する経済活動状況を表す統計データです。指標を見ることで今後の金利や消費活動、景気等の動向を知れるため、投資家から大きな注目を集めます。

各経済指標が発表されるスケジュールは、あらかじめ決まっています。経済指標の結果によっては為替レートが大きく変動する可能性もあるため、FX投資をするにあたってはぜひチェックしてください。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒103-0006
東京都中央区日本橋富沢町12-8 Biz-ark日本橋6F
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

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