資本金とは?~増資と減資、税金との関係などについて解説~

2021.10.26

資本金

資本金とは創業者の自己投資や株主や投資家から調達された資金です。資本金の金額は起業後に減らすことも増やすこともできます。また、資本金の金額によって支払う税額が変わります。資本金のことを詳しく知っておかなければ多く税金を払うことになるかもしれません。本記事では資本金について詳しく解説します。

資本金の意味について

資本金とは創業者や株主、投資家から調達された資金です。そして、事業の元手となる資金です。資本金は負債ではなく自己資本となります。一方、金融機関からの借入金は負債のため、資本金には含まれません。資本金は、ほとんどの場合はよ創業者の自己投資です。

資本金の額から分かること

資本金は会社の体力や事業の規模、会社の信用力を測る目安となります。資本金が少ないと信用を得ることができず、資金調達の際に銀行から融資を受けにくくなる場合もあります。しかし、資本金の大小は、その会社の業績と関係がないため、資本金の額と会社の体力は必ずしも一致しません。あくまでも目安として捉えるようにしましょう。

最低限必要な資本金

以前まで、資本金が1,000万円以上なければ株式会社の設立は認められませんでした(有限会社の場合は300万円以上)。しかし、2006年の法改正以降は資本金が1円以上あれば株式会社および有限会社の設立が認められるようになりました。法律上1円あれば会社の設立はできますが、資本金が少なすぎると会社の信用を得ることができない可能性があります。少なくとも平均額以上に設定しておくことのがおすすめです。

平均的な資本金の額は約300万円

資本金の平均額は約300万円です。平成28年経済センサス‐活動調査の資本金額階級別企業数というデータから、平均額を算出できます。資本金が少なすぎる場合「信用を得ることができない」「資金が底をつく」など事業に影響が出る可能性もあります。そのため、ほとんどの会社が、最低でも300万円程度の資本金を設定しています。

出典:「経済センサス‐活動調査 平成28年経済センサス」

資本金の使途、注意点

資本金は事業と関係がある経費の支払いに使用する資金です。資本金を使用する際に計画を立てておかなければ、無駄な支出が増えてしまうことがあります。対処法として事業計画書を作成し、資本金の使い道を参考程度に決めておくとよいでしょう。

資本金を決める基準

売上の入金には1~3か月ほどかかる事実と、営業開始から3か月ほど利益が出ない可能性を考えたうえで資本金の金額を決めます。

資本金が1,000万円未満なら法人税や消費税の節税となります。特に消費税については設立後、最大2年間は納税が免除されます。これらの点も考慮した上で資本金の金額設定をしましょう。

資本金払込について

資本金払込とは会社設立の際に資本金を銀行に払い込む手続きです。資本金払込の手順を詳しく解説します。

銀行口座を準備する

払い込むために必要な銀行口座を用意します。資本金払込の手続き段階では会社設立手続きが完了していないため、法人口座ではなく創業者の個人銀行口座でも問題ありません。現在使用している口座も問題なく使用できます。

通帳のコピーを用意する

資本金の払込が完了したことを証明するために、通帳のコピーを用意する必要があります。銀行名、支店名、銀行印、振込内容が記載されたページをコピーします。ネット銀行では複数のページに分けて掲載されている場合があるため、必要な内容がすべてコピーできているか入念に確認しましょう。

払込証明書の作成

払込証明書とは創業者から会社に払い込んだことを証明する書類です。払込証明書には以下の内容を記載する必要があります。

  • 払い込んだ金額の総額
  • 設立時の発行株式数
  • 1株あたりの払込金額
  • 払込が完了した日付
  • 会社の所在地
  • 会社名(商号)
  • 代表取締役氏名

代表取締役氏名の後には会社実印を押印します。また証明書の余白にも捨印をしておきましょう。

※資本金払込手続きで注意するポイント

資本金払込の注意点は2つあります。1つ目は手続きのタイミングです。資本金の払込日付が、会社の基本規定などを定めた定款が公証人役場で認証された後でなければ、書類を受理してもらえない可能性があります。2つ目は会社代表者印の準備です。個人の実印では書類を受理してもらえません。法務局に登録する予定の会社代表者印を用意しましょう。

増資のメリットとデメリット

増資した場合のメリット

増資で受け取った資金は返済義務がありません。事業に使用できる資金が増えるため、会社の資金に余裕が生まれます。増えた資本金を使うことで、新規事業の展開や事業を拡大することも可能です。資本金の額が高くなるため、会社の信頼度が増加します。

増資した場合のデメリット

増資にはデメリットも存在しています。以下の点に注意して増資を行いましょう。

  • 資本金が1,000万円以上になると消費税の免税事業者と認められず税金を払う義務が課せられます。増資で1,000万円以上となった場合も同じです。そのため、支払う税金が増えてしまう可能性があります。
  • 増資をすれば登記が必要となり、その際登録免許税を支払う必要があります。増資の額が大きいほど登録免許税の金額も増えます。登録免許税も踏まえたうえで増資を行いましょう。
  • 創業者以外からの増資であれば経営者の持株比率が減り、経営者の経営決定権が弱まります。持ち株の配分には注意しておきましょう。

増資の方法は3種類

増資の方法は3つに分かれます。

増資の種類①公募増資

公募増資は不特定多数の投資家から出資を募る方法です。広く資金を集めるため、多くの資金を調達できます。しかし、1株当たりの価値は下がってしまい、既存株主の利益を侵害する可能性があります。そのため、株主総会の決議が必要です。

増資の種類②株主割当増資

株主割当増資は既存の株主に対し、持株比率に応じて株式を割り当てる方法です。株式購入をするかしないかは株主に判断が委ねられるため、買ってもらえない可能性も十分にあります。また、持株比率の割合が変わらないため、経営者の経営決定権が弱まることはありません。

増資の種類③第三者割当増資

第三者割当増資は自社と関係する「特定の第三者」を対象に新たな株を発行する方法です。新しい株主が増えるため、既存の株主の利益を侵害する可能性があります。そのため、公募増資の場合と同じく株主総会の決議が必要です。また、一株当たりの価値が下がってしまいます。

資本金の減資

減資とは資本金の額を減少させる手続きです。赤字の補填又は、税金を減らすために行われる場合があります。

減資した場合のメリット・デメリット

累積赤字分に合わせて減資することで累積赤字を0にできます。累積赤字が大きいと融資の審査に通りにくくなるデメリットがあります。累積赤字はすぐに消すことは難しいため、減資を利用することが得策です。

また、法人税率を下げることができるメリットもあります。たとえば、資本金が3億円の会社が1億円まで減資すると、中小企業扱いになり法人税率が大幅に下がります。このように、一定金額までの減資によって節税することが可能です。

一方、減資をすると会社の信用が低下するデメリットがあります。資本金は会社の規模や信用度を測る目安となるため、減資することでこれらを低下させてしまう可能性があります。

減資の種類、手続き

減資には有償減資と無償減資の2種類があります。有償減資は会社の純財産を株主に実際に金銭などを支払うことで資本金の金額を減少させる手続きです。

無償減資は会社の純財産が減ることのない減資です。無償減資は資本金を切り崩し、赤字の補填に充てることができます。また、税制の優遇措置を受けるために資本金を1億円以下にする場合もあります。

資本金と税金の関係

資本金は1,000万円、1億円を境目にして税金が大きく変わります。資本金が1,000万円以上1億円以下なら1,000万円未満に、1億円を大幅に超えているなら1億円以下に資本金を減らすことで節税できます。

資本金の一部を資本準備金として計上する

株主から支払われた資金はすべてを資本金にする必要はありません。集まった出資金の半分までを資本準備金として計上することが可能です。この制度を利用することで出資金が1,000万円を超えていても、資本金を1,000万円未満におさえて節税できます。

資本金と法人住民税の関係

法人住民税は会社の本店や支店がある地域から課せられる税金です。法人住民税は法人税割と均等割の合計金額を支払う必要があります。法人税割は会社の所得から10~20%を支払い、均等割の税額は従業員の数と資本金などで決められます。たとえば、東京都の均等割は1,000万円以下なら7万円、1,000万超なら18万円支払わなければなりません。それぞれ地方によって額が違うため、本店や支店がある地域の税額を調べておきましょう。

資本金と消費税の関係性

資本金が1,000万円未満なら最大で2年分の消費税が免除されます。1期目に増資をして1,000万円を超えてしまうと2期目は免税されないため、注意が必要です。

資本金と法人税の税率

資本金が1億円を超えると、税の上では大会社とみなされ、中小企業だけに認められている低い税率は使えなくなります。資本金が1億円以下の会社はその年の所得が800万円いかの部分については15%、それを超える部分については23.2%とうい法人税率となっています。しかし資本金が1億円を超えると、すべての所得に23.2%の税率が適用されます。

資本金と登録免許税

株式会社を設立する際に登録免許税を支払う必要があります。登録免許税は資本金の額×0.7%か15万円のどちらか高いほうを支払います。

資本金のまとめ

資本金は会社の体力や規模など目安が分かるため、資本金の額は高いほど会社の信用度が高くなる傾向にあります。資本金は増資で起業後も増やすことができます。増えた資本金で新しい事業を展開することが可能です。しかし、経営者の権限が弱くなってしまうこともあるため、慎重に検討する必要があります。資本金の額によって法人税率や地方税の均等割も変わってくるため、資本金の額を変えることで節税もできます。

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