経理とは何か?役割と業務内容について解説

2022.08.23

経理

企業の経理部は、会社運営においてなくてはならない部署のひとつです。経理部の主な仕事として、決算書の作成や会社の売上管理、帳簿への記録が挙げられます。しかし、それら以外にも業務は多岐にわたります。本記事では経理がどのような役割であるか、また具体的な業務内容について年次・月次・日次に分けて解説します。

経理の企業における役割

経理は「経営管理」の略称です。経理は各部署の人材・お金・資材・情報の管理に関する役割を担います。そして、経理が管理する範囲は企業・組織全体に及び、迅速かつ正確な業務の遂行が求められます。それは、経理の最も重要な役割として、最高経営層が意思を決定する際、必要な情報を提供することが挙げられるためです。

経理の基本的な業務

経理は、年次決算日における決算書の作成を中心として、日々のお金の動きを管理する資料作成が基本的な業務です。企業活動におけるお金の動きを管理します。

現金の入出金を管理する出納業務

経理用語における出納とは、経理や会計で現金の入出金を行う業務を指します。この出納業務は、現金を入出金した際の情報を「現金出納帳」と呼ばれる帳簿に記帳するまでが一連の作業に含まれます。現金出納帳には、入出金日・その用途・金額を記載します。通常、お金の入出は銀行口座を通します。

しかし、交通費の立て替えや備品の購入などで現金のやりとりがおこるため、経理部には一定額のお金を常備しておき、その都度対応をしなければなりません。

このように、日々さまざまな現金での経費精算や各種支払いなどが発生します。そのため、出納業務では毎日欠かさず、現金出納帳と実際の現金残高が一致しているかを確認しなければなりません。

帳簿類を作成する記帳業務

記帳業務は、以下のように日次業務・月次決算業務・年次決算業務の大きく3つに分けられます。

日次業務 毎日の取引すべてを伝票と帳簿に記録する。
月次決算業務 会社の業績を適時把握する月単位の決算業務。
年次決算業務 決算書を作成する。

決算書は、株主や税務署など外部関係者に対し、会社の経営成績と財政状態を証明する書類です。そのため、経理の記帳業務において最も重要な業務であるといえます。

決算書などの作成を含む集計業務

集計業務は、お金の出入りを帳簿に記録する業務です。財務会計と管理会計の2つに分類されます。

財務会計は、決算書の開示に必要な法人税や法人住民税などを計算し、帳簿に記録します。これは、法律や制度によって義務付けられています。そのため、財務会計は会社の規模を問わず、経営を行ううえで必須業務であるといえます。

また、会計をする際には、会計基準に則った帳簿と決算書の作成が求められます。管理会計は、自社の経営管理に必要な会計です。

従業員の給与計算業務

給与計算業務は、従業員の給与を算出する業務です。給与は、主に以下に挙げる3つのステップにより算出可能です。

  1. 基本給と各種手当を足した数値から、欠勤控除分を排除し、総支給額を求めます。
  2. 総支給額から保険料・所得税・住民税を差し引きます。
  3. 労使協定における控除項目の控除をします。

控除項目は主に会社で加入している保険料や、従業員が会社に借りたお金などに当たります。そして、上記の算出方法により従業員の給与が決定します。

経理に関する主な年間業務

経理業務には日々の業務に加え、1年を通した業務サイクルがあります。そのため、月ごとの業務内容が多少異なります。

実際に、例えば3月決算の会社の経理の年間業務がどのように進んでいくかについて、具体的に説明します。

1月の主な経理業務

1月の主な経理業務は4つです。

1月20日までに、7月〜12月までの源泉所得税を納付する
従業員数が常に10人未満である会社の場合は、半年分の源泉所得税を7月と1月にまとめて納付できます。しかし、10人以上である場合は、ひと月分の源泉所得税を翌月10日までに納付する必要があります。
1月31日までに、固定資産税がかかる償却資産を都道府県税事務所へ申告する
償却資産とは、建物・土地以外のパソコンやコピー機などの事業用資産を意味します。償却資産は毎年1月1日の時点で保有している内容について、都道府県税事務所に届け出る必要があります。
1月31日までに、法定調書・給与支払報告書を提出する
法定調書は、源泉徴収票や不動産の使用料などの支払調書を指し、税務署に提出します。また、従業員へ支払った年間の給与額をまとめた給与支払報告書は、各市区町村へ提出します。
1月31日までに、支払調書の作成し税務署に提出する
支払調書は、誰にどのような報酬を支払い、いくら源泉徴収したかを税務署に報告する書類です。報酬を支払った翌年の1月31日までに提出が求められます。

参考:国税局「法定調書の提出期限等について

2月の主な経理業務

2月の主な経理業務は固定資産税(都市計画税)第4期分の納付です。固定資産とは、主に土地や家屋、工場の機械といった償却資産を総称したものです。一般的に年間納付額を4回に分け、各市町村へ納付します。また、納付期限は各市区町村によって異なるため、納税通知書で確認しましょう。

参考:総務省「固定資産税

3月の主な経理業務

3月の主な経理業務は、実地棚卸です。実地棚卸は、決算期末に合わせて棚卸資産の残高を確認する業務です。実地棚卸の工程は、事前準備・実施・集計・整理の手順に分かれます。

事前準備
  • 倉庫見取図・棚卸のタイムスケジュール・担当者の組み合わせなどを決定する。
  • 棚卸票の枚数や番号を確認する。
  • 商品受払台帳を整備する。
  • 売上や仕入れを締め切る。
  • 商品や倉庫を整理し、実在庫商品・預け商品・預かり商品に分類する。
実施
  • 担当者と責任者に分かれ、作業する。
  • 棚卸し中に商品が出入りする際には、棚卸しから除外し保管しておく。
集計・整理
  • 棚卸票を回収し、商品受払台帳に記録する。

4月の主な経理業務

4月の主な経理業務は決算整理です。3月に棚卸業務で確認した在庫と、帳簿残高に差額が生じている場合、調整しなければなりません。そして、決算整理の内容をもとに、決算書(財務諸表)と呼ばれる貸借対照表・損益計算書といった財務状況や経営に関わる書類を作成します。また、4月は固定資産税(都市計画税)第1期分の納付時期です。各市町村で定められた納付期限までに、納付しなければなりません。

5月の主な経理業務

5月の主な経理業務は、法人税・消費税・法人事業税・法人住民税の納付及び確定申告です。法人税・消費税・法人事業税・法人住民税の納付期限はいずれも、事業年度終了日の翌日より2か月以内です。

各種税金 納付先
法人税・消費税 税務署
法人住民税 各都道府県税事務所

参考:国税局「申告と納税

また、6月の株主総会に向けて5月から準備に取り組まなければなりません。株主総会に向けた主な準備内容は、招集通知の発送です。公開会社や、書面投票、電子投票を実施する会社は、株主総会の2週間前に招集通知を発送しておきます。また、公開会社ではない株式会社の場合は、株主総会の1週間前に発送します。

招集通知には、日時・場所・目的を記載しなければなりません。さらに、欠席予定の株主が議決権を書面または電磁的方法での行使が可能な場合は、その旨も記載しなければなりません。

参考:会社法299条

さらに、取締役会を設置している会社は招集通知に以下の書類添付が求められるため、準備しておかなければなりません。

  • 事業報告
  • 監査役の監査報告または会計監査報告
  • 損益計算書
  • 貸借対照法
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

参考:会社法437条

6月の主な経理業務

6月の主な経理業務の1つ目は、株主総会の開催に向けた準備です。株主総会の準備は、想定される質疑応答の作成、必要文書の作成、リハーサルなどが挙げられます。株主総会終了後は、議事録と決議通知書を作成しなければなりません。議事録は、書面または電磁的記録により記載する必要があります。

議事録に必要な記載事項

  • 日時及び場所
  • 議事の経過の要領及びその結果
  • 述べられた意見又は発言の内容
  • 出席した取締役、執行役、会計参与、会計監査人もしくは監査役の氏名又は名称
  • 議長の氏名(議長が存するときのみ)
  • 議事録の作成にあたって職務を行った取締役の氏名

決議通知書の作成には、法的な義務はありません。しかし、株主との信頼関係を維持するうえで重要な書類です。そのため、株主へ審議内容と決議事項の明瞭な報告が求められます。さらに、6月の主な経理業務の2つ目は、個人住民税の納付です。納期の特例が適用されている会社(※)では、社長や従業員より徴収した個人住民税を6月10日までに納付しなければなりません。

(※)納期の特例が適用されている会社:常時、従業員が10人未満である会社

7月の主な経理業務

7月の主な経理業務は3つです。

固定資産税(都市計画税)第2期分の納付 月末までに、都道府県税事務所へ申告する。
源泉所得税の納付(特例が適用されている場合) 7月10日までに、1月〜6月に徴収した源泉所得税をまとめて納付する。
健康保険・厚生年金保険の定時決定 従業員の社会保険料を計算し、まとめる。毎年7月10日までに日本年金機構へ提出する。

参考:日本年金機構「定時決定

8・9・10月の主な経理業務

一般的に8・9・10月は、経理業務の閑散期にあたります。そのため、有給休暇などを消化しやすい時期です。

11月の主な経理業務

11月の主な経理業務は、法人税・消費税・法人事業税・法人住民税の納付と中間申告です。

法人税・法人事業税・法人住民税 事業年度開始日から6か月〜8か月以内に中間申告が必要です。
消費税 直前の課税期間に確定した消費税額が48万円〜400万円であれば、中間申告が必要です。また、消費税額によって、1年当たりの中間申告回数が異なります。

参考:国税局「中間申告の方法

12月の主な経理業務

12月の主な経理業務は3つに分けられます。

年末調整
年末調整は、源泉徴収した1年間の税額と、年税額を一致させる手続きです。年間所得を再確認し、その年に従業員から徴収した所得税から住宅ローン・生命保険料・扶養人数の変更などを考慮し、再計算します。そして、再計算の結果をもとに、過納額の返却や不足額の徴収を行います。
固定資産税(都市計画税)第3期分の納付
月末までに、都道府県税事務所へ申告する。
従業員の住民税を納付する
特例が適用されている際は、従業員より徴収した住民税を12月10日までに納付します。

参考:国税局「年末調整がよくわかるページ

経理に関する主な月次業務

月次業務は月末に業務が集中しやすいため、他の業務と同時並行で進めることが求められます。そのため、ミスが起こらないように業務内容を整理しながら進めることが重要です。月次業務は主に3つに分けられます。それぞれ詳しく説明します。

請求書の発行

請求書は、取引先へ納品した商品やサービスに代金を請求する上で必要な書類です。請求書は、取引が成立した日に発行します。請求書は取引先ごとに発行が求められます。

♢請求書に記載する項目

  • 題目
  • 請求書の発行日
  • 請求書発行管理番号
  • 請求元の会社情報
  • 請求先の会社情報
  • 取引内容
  • 請求金額の合計
  • 振込の期限
  • 振込先口座

給与台帳の作成

給与台帳は、従業員ごとに月別の給与支給額を計算する帳簿です。主に従業員の基本給・勤務時間・日数・諸手当を管理します。総支給額を算出し、総支給額から控除項目を除外します。そこに固定給や残業代、諸手当をあわせることで総支給額が算出されます。

▼主な排除項目

  1. 所得税や健康保険料などの法定控除額
  2. 財形貯蓄や住宅ローンなど会社によって排除する項目

売掛金の計上

売掛金とは、商品の販売やサービスの提供によって発生した代金において、まだ入金されていない未収額に使用する勘定科目です。請求書の発行後、入金されるまでの期間は、売掛金として売掛帳へ計上します。売掛金を計上するタイミングは、会社や取引内容によって異なります。そのため、社内ルールに則り個別に売掛金として計上することとなり、負担の大きい経理業務のひとつです。

経理に関する主な日次業務

日次業務の主な仕事は、以下の4つです。

現金管理 現金の入出を毎日現金出納帳へ記録し、実際の現金残高と帳簿の残高が同じであるか確認する。
預金管理 預金口座を利用したお金の入出を確認し、入出の詳細についても記録する。
経費精算 従業員が立て替えた交通費や接待交際費などを支払う。
伝票や帳簿の記入・入力 伝票や帳簿などへの記録は、法律によって原本の保管が求められている。そのため、原本をなくさないように分かりやすく整理しておく。

繁忙期の日次業務

経理の繁忙期は決算期です。繁忙期における1日の流れは、午前に小口現金を準備し、経費精算や仮払金などを精算します。そして、午後は決算書類の作成と、伝票の作成や現預金の確認にあてます。

閑散期の日次業務

経理の閑散期は、決算期より離れた時期です。閑散期における1日の流れは、午前中まで繁忙期と同様に経費精算をします。そして、午後は現金残高の確認やメールチェック、ファイリングなど書類整理を中心とした作業をします。また、繁忙期と同じく入出金の確認や、伝票の作成も午後に処理します。

経理は企業の存続を支える

中小企業白書によると、起業した会社の約30%が10年後に廃業等しています。長く会社を続けていくためには、会社の基盤を整えることが重要です。そして、会社の基盤となる存在が、企業全体を管理する経理業務です。経理が正しく機能しているかは、企業の存続を大きく左右する要因であるといえます。前述のとおり、経理の年次・月次・日次に分かれているひとつひとつの業務が会社の基盤を固めていくといえます。

参考:中小企業白書「経済成長を実現する中小企業

経理のまとめ

経理は、お金の管理や帳簿の作成などを含めた企業・組織全体の管理業務を担います。業務内容は決算書作成を中心として、従業員の給与管理や株主総会の準備など多岐にわたります。

そのため、経理は数字に対する強さだけでなく、タスク管理能力や問題解決能力などが求められます。また、税金や給与など数字を扱う業務に関しては、今後経理システムやAIの導入が進むことで、業務負担の軽減が期待できます。

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