白色申告とは?メリットと確定申告の流れ、青色申告との違い

更新日:2025年02月15日

白色申告とは

白色申告とは、個人事業主などが所得税を納める確定申告の一種で、青色申告に比べ手続きが簡便な方法です。白色申告は、簡易的な記帳で済むため、経理業務に不慣れな人や事業規模が小さい人に向いています。一方、税制面では青色申告のような優遇措置を受けることができません。本記事では、白色申告の概要から青色申告との違い、メリット・デメリット、確定申告の流れまで詳しく解説します。

目次

白色申告とは?

白色申告とは、個人事業主やフリーランスなどが、所得税を納めるために行う確定申告の一つの方法です。確定申告には大きく分けて、「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、白色申告は青色申告に比べて手続きが簡便である一方、税制上の優遇措置は限定的となります。

つまり、白色申告は「簡易的な確定申告」であり、青色申告は「厳密な帳簿の管理と引き換えに、税制上のメリットを受けられる確定申告」といえます。

白色申告は、事業を始めたばかりの人や、経理業務に慣れていない人、事業規模が小さい人などに適しているといえるでしょう。

白色申告にも、収入金額や必要経費を記載した法定の帳簿の作成と保存義務があります。ただし、青色申告のような複式簿記または簡易簿記による記帳は不要です。また、青色申告のように事前に税務署への届出をする必要もありません。

どちらの申告方法を選択するかは、事業の規模や所得、経理処理の能力などを考慮して判断する必要があります。以降では、白色申告を中心に、青色申告との違いやメリット・デメリット、確定申告の手続きについて詳しく解説します。

青色申告と白色申告8つの違い

白色申告と青色申告は、確定申告における代表的な申告方法ですが、その内容には大きな違いがあります。ここでは、主な違いを8つのポイントに絞って、それぞれ解説します。

1.記帳方法の違い

白色申告と青色申告の大きな違いの一つは、記帳方法です。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

【白色申告】

白色申告では、単式簿記による記帳が認められています。単式簿記とは、家計簿のように、収入と支出を単純に記録していく方法です。

例えば、商品の販売で10,000円の売上があった場合、「売上 10,000円」と記録します。また、仕入で5,000円の支出があった場合、「仕入 5,000円」と記録します。このように、取引の発生ごとに、収入または支出のどちらか一方を記録するだけで済むのが特徴です。

【青色申告】

青色申告では、複式簿記による記帳が義務付けられています(10万円控除の場合は簡易簿記でも可)。複式簿記とは、一つの取引を複数の側面から記録する方法です。

例えば、先ほどの商品の販売を例にとると、「現金 10,000円 / 売上 10,000円」のように、現金の増加と売上の発生を同時に記録します。また、仕入の場合は、「仕入 5,000円 / 現金 5,000円」のように、仕入の発生と現金の減少を同時に記録しなければなりません。

このように複式簿記では、取引を「借方」と「貸方」に分けて記録(仕訳)し、最終的に借方と貸方の合計額が一致することを確認します。

2.提出書類の違い

青色申告と白色申告では、提出する書類が違います。白色申告では「収支内訳書」と「確定申告書」を提出しますが、記載内容はシンプルです。一方、青色申告では「青色申告決算書」と「確定申告書」が必要であり、損益計算書貸借対照表など、より詳しい情報を記載する必要があります。

白色申告 青色申告
65万円控除 55万円控除 10万円控除
収支内訳書 青色申告決算書 青色申告決算書
(損益計算書のみ)
確定申告書

3.特別控除額の違い

青色申告の大きなメリットの一つが、青色申告特別控除です。一方で、白色申告には、特別控除はありません。

青色申告では、最大で65万円の青色申告特別控除を受けられます。これにより、所得金額から65万円を差し引けるため、課税所得が減り、結果的に納める税金が少なくなります。

ただし、65万円の控除を受けるためには、複式簿記による記帳とe-Tax(または電子帳簿保存)による申告が必要です。複式簿記による記帳のみの場合は、55万円の控除となります。また、簡易簿記による記帳の場合は、10万円の控除です。

4.事前手続きの違い

個人事業主が青色申告者として認められるには、期限内に必要な手続きをしなければなりません。年度内に青色申告を選択する場合、申告する年の原則3月15日までに税務署へ申請書を提出する必要があります。

事前申請をせずに確定申告の時期を迎えた場合は、自動的に白色申告での申告となります。白色申告の場合は、事前の承認申請などの手続きは不要であり、確定申告の時期に必要書類を用意して申告すれば問題ありません。

5.赤字の繰り越しの有無

青色申告と白色申告では、赤字が出た際の扱いも異なります。白色申告では赤字の繰り越しは原則認められていないため、その年の損失を翌年以降の利益と相殺できません。

一方、青色申告では純損失の繰り越しと繰り戻しが可能です。繰り越しは、損失を最長3年間繰り越して利益と相殺できる制度です。さらに、前年も青色申告をしている場合には、損失を前年分の所得に繰り戻し、所得税の還付を受けられます。

6.専業専従者に支払う給与の扱い

事業を手伝ってくれる家族への給与の扱いにも違いがあります。

白色申告では「事業専従者控除」という形で配偶者は86万円、その他の親族は1人につき50万円の控除を受けられますが、青色申告のように支払った給与全額の経費計上はできません。

一方、青色申告では「青色事業専従者給与」として、一定の要件を満たす家族従業員に支払った給与を必要経費として計上できるため、家族への給与も所得分散による節税につながります。

7.貸倒引当金の扱い

売掛金などの債権について、今後の回収が見込めなくなる可能性に備えて事前に損失を見積もり、計上する会計上の仕組みが貸倒引当金の制度です。

白色申告の場合、債権者が法的整理に入るなど、具体的な事実に基づいて個別に評価する方式のみが認められています。例えば、取引先が民事再生法の適用を受けた場合などの特定事由が生じた際、その債権に対して個別に貸倒引当金を設定できます。

一方、青色申告では、個別評価に加えて、より柔軟な引当金の計上が可能です。期末時点での債権総額に対し、業種別の定率(一般事業者5.5%、金融業3.3%)を乗じた金額について、一括で引当金として計上できます。そのため、不測の事態への備えがより手厚くなります。

8.「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の有無

事業で使用する資産(機械や備品など)を購入した際の取り扱いにも違いがあります。

白色申告では、取得価額が10万円以上の資産は、原則として減価償却資産として計上し、耐用年数に応じて分割して経費計上しなければなりません。

一方の青色申告では、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」が利用できます。この特例は、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得した年に全額を損金(経費)に算入できる制度です(合計300万円まで)。ただし、白色申告の場合は、利用できません。

【個人事業主・フリーランス】白色申告が向いている人

白色申告はその簡単さから、特定の個人事業主やフリーランスにとって適した選択肢です。ここでは、どのような人が白色申告に向いているのか、具体的なケースを見ていきましょう。

経理や会計業務が苦手な人

帳簿作成を難しく感じる人に、白色申告は選択肢として有効です。青色申告で最大限の特別控除を受けるためには、複式簿記が求められ、専門知識を必要とします。一方、白色申告では単式簿記での申告が可能で、より取り組みやすい制度といえます。

事業における経理は、家計簿以上に複雑なため、これまで会計をしたことがない人や数字に苦手意識を持つ人には、単式簿記による白色申告が適した選択肢となるでしょう。また、本業での仕事量が多く、経理に十分な時間を割けない場合も同様です。

白色申告での確定申告に慣れた後、収入増加に伴い青色申告への移行を検討することも、一つの方法といえるでしょう。

事業利益が少ない人

フリーランス1年目や副業をしている人は、収益が少ないため経費も限られています。このような状況では、青色申告の複雑な記帳作業は費用対効果が見合わないものとなります。

利益が少ないうちは控除額も限定的であり、複式簿記の習得に時間を費やすよりも、本業に専念したほうが賢明です。また、赤字経営の段階では税制上の優遇措置をさほど必要としないため、青色申告による控除のメリットも受けにくい状態といえます。

事業が成長し黒字化するまでは、手間の少ない白色申告を選ぶことで、業務負担も軽減しやすくなるでしょう。

白色申告を利用するメリット

白色申告は、簿記の知識が少なくても簡単に帳簿を作成できるため、初めての確定申告に適しています。また、事前手続きが不要で手軽に始められる点も大きなメリットです。以下で、白色申告のメリットを詳しく見ていきましょう。

記帳方法が簡易で作成しやすい

白色申告では、日々の取引を単式簿記で記録するため、簿記の知識に自信がない人でも比較的容易に帳簿を作成できます。青色申告で特別控除を受けるためには複式簿記での記帳が必要である一方、白色申告は収入と支出を簡易的に記載するだけで済みます。

例えば、パソコン作業で使うマウスを現金で購入した場合、下記のように購入金額を記録するのみです。

日付 勘定科目 金額
2024年〇月〇日 消耗品費 現金 摘要
2,200円 PC用マウス◯◯用

この手軽さが、白色申告の大きな利点といえるでしょう。

申告前の事前手続きが不要

白色申告のメリットのもう一つは、申告前の事前手続きが不要な点です。確定申告をする際に、事前に特別な届出をする必要がありません。

青色申告の場合、その年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。新規開業の場合は、原則として開業から2ヶ月以内の提出が求められます。

一方、白色申告では事前の届出は不要です。「所得税の青色申告承認申請書」を提出しない場合は、自動的に白色申告を選択したことになります。

白色申告のデメリットや注意点

白色申告は手軽に取り組める一方で、青色申告と比較すると、税制上の優遇措置が少ないといったデメリットがあります。ここでは、白色申告の主なデメリットと注意点について解説します。

青色申告に比べ節税しにくい

白色申告は青色申告と比較して、事業所得に対する節税が難しい制度となっています。白色申告では、青色申告特別控除(最大65万円)を利用できないのが理由です。そのため、課税所得が青色申告よりも高くなり、結果として支払う税金も多くなってしまいます。

また、事業に従事する家族への給与計上にも制限があり、配偶者は86万円まで、その他の親族は50万円までしか控除が認められません。一方、青色申告では「青色事業専従者給与」として全額を経費計上できる場合もあるため、節税効果に大きな差が生じます。

赤字が発生した際の税務上の措置も異なります。青色申告では、赤字の3年間繰り越しや過去の黒字との相殺が可能です。一方、白色申告にはこれらの制度がありません。

このような制度上の制約により、白色申告は青色申告と比べて、有利な節税策を取りにくい申告方式といえます。

計上できる貸倒引当金、特例が限られる

白色申告では、計上できる貸倒引当金が個別評価によるものに限られ、一括評価による貸倒引当金の計上は認められていません。

また、青色申告で利用できる「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」も利用できません。これらの制限により、将来のリスクへの備えや設備投資の負担軽減といった面で、青色申告に比べて不利になるでしょう。

白色申告で計上できる経費の種類

白色申告でも、事業の過程で発生したさまざまな費用を経費として計上できます。適切な経費計上は、所得を減らし、節税につながる重要なポイントです。ここでは、白色申告で計上できる主な経費の種類を解説します。

白色申告で計上できる経費の種類は、青色申告と基本的に変わりません。主なものとしては、以下のものが挙げられます。

費目 内容
給与賃金 従業員に支払う給料や賃金、賞与、各種手当など(役員報酬も含む)
外注工費(外注費 製品の製造や、情報処理などを外部の会社や個人事業主に委託する際に発生する費用
減価償却費 建物や機械設備、車両などの固定資産の取得価額を、その使用可能期間にわたって費用として配分する際に発生する費用
貸倒金(貸倒損失 売掛金や貸付金などの債権が回収不能となった場合に、損失として計上する費用
地代家賃 事務所や店舗、工場、倉庫などの土地や建物を賃借する際に発生する費用
利子割引料 借入金の利息や、手形の割引料など
租税公課 国や地方公共団体に納める税金や、公共団体などに納める会費や罰金など
具体的には、印紙税、固定資産税、事業税、自動車税、登録免許税、不動産取得税、都市計画税、事業所税など
水道光熱費 水道料金、電気料金、ガス料金など
旅費交通費 業務のために必要な出張旅費や、通勤手当、通常使用する交通機関の運賃、駐車場代など
通信費 電話料金、インターネット接続料金、切手代、はがき代、送料など
修繕費 建物や機械設備、車両などの固定資産の修理やメンテナンスにかかる費用
消耗品費 事務用品、日用品、工具、器具など、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の物品の購入費用
雑費 ほかのどの勘定科目にも当てはまらない、少額で重要性の低い費用
具体的には、ごみ処理費用、クリーニング代、新聞図書費(少額のもの)など
重要性の高い費用や、金額が大きい場合は独立した科目での処理が望ましい

経費の適切な計上により、課税対象となる所得を減らし、節税につなげましょう。ただし、事業に関係のない個人的な支出は、経費として計上できないため注意が必要です。

白色申告で計上できる経費に関する注意点

白色申告で計上できる経費を適切に計上するためには、注意点があります。以下で、詳しく解説します。

白色申告で計上できる経費には上限がない

白色申告で計上できる経費には、原則として上限はありません。事業に必要な費用であれば、その全額を必要経費として計上できます。

ただし、社会通念上、不相当に高額な費用は、税務署から指摘を受ける可能性があります。経費として計上する際には、その必要性や妥当性を説明できるように、領収書請求書などの証拠書類をしっかりと保管しておきましょう。

10万円以上の備品や機器は「減価償却費」として計上する

10万円以上の備品や機器は、購入した年に全額を経費として計上できません。これらは「固定資産」として扱われ、使用できる期間に応じて費用を分割して計上する「減価償却」が必要です。

減価償却費は、数年にわたり少しずつ経費として計上します。例えば、20万円のパソコンを購入した場合、その全額を購入年に経費計上するのではなく、耐用年数に応じて分割して経費計上しなければなりません。

なお、10万円以上20万円未満の資産については、「一括償却」も認められています。この場合、取得価額の合計額を3年間で均等に償却できるため、事務処理の手間が軽減されます。

適切な経費計上をするためには、購入時の金額や資産の種類に応じた処理を忘れずに実施することが重要です。

白色申告のやり方と必要書類

白色申告するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、白色申告の具体的なやり方と、必要な書類について解説します。

1.取引内容を記帳する

白色申告をスムーズに進めるためには、日々の取引を効率よく記帳することが重要です。記帳の頻度を調整することで、作業負担を大きく軽減できます。

まず、取引が毎日発生する場合は、その日の終わりに取引をまとめて記帳する方法が効果的です。同じ種類の入出金であれば、それぞれの種類ごとに1日1回記録するようにしましょう。こうした習慣を続けることで、記帳作業の効率が向上します。

記帳済みの帳簿や証拠書類は、売上や経費を二重に計上するリスクを避けるため、記帳済みであることがわかるようにチェックマークを記すようにしましょう。

以下に、主な記帳項目を示します。

  • 取引年月日

    商品を販売した日やサービスの提供日を記録します。クレジットカード決済の場合は、現金の引き落とし日ではなく、決済した日を記録しましょう。

  • 摘要

    取引の内容や相手方の情報を記載します。例として、「商品〇〇の販売」や「〇〇店から備品の購入」などです。

  • 売上金額

    商品やサービスの提供で得た収入を記録します。

  • 仕入金額

    販売用の商品や原材料の購入費を記録します。

  • 経費金額

    通信費・交通費・事務用品費など、事業運営に必要な費用を記録します。

  • 雑収入等の金額

    利息収入など、事業の本業以外で得た収入を記録します。

確定申告前に慌てないためにも、取引内容の記帳を継続的に行う習慣を身につけましょう。

2.年度末に決算を行う

白色申告では、年度末に決算をする必要があります。決算とは、1年間の所得を計算するため、帳簿を締め切り、必要な修正を加えて収支内訳書を作成する一連の手続きを指します。

主な作業内容は以下のとおりです。

  • 帳簿の確認と整理

    日々の収入と経費を記録した帳簿の内容を確認し、必要に応じて訂正します。

  • 棚卸

    事業で商品を扱っている場合は、年末に棚卸をして棚卸表を作成します。12月31日時点の在庫状況を記録します。

  • 減価償却費の計算

    事業用資産(パソコンや車など)がある場合は、減価償却費を計算します。所得税の場合は、原則として定額法での償却です。

決算は年度末にのみ行う作業であり、日々の記帳とは異なります。決算作業を通じて正確な所得を把握し、確定申告に備えるようにしましょう。

3.収支内訳書と確定申告書を作成する

収支内訳書と確定申告書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできるだけでなく、税務署でも入手可能です。また、確定申告書作成コーナーでも作成できます。

以下で、それぞれの書き方を見ていきましょう。

収支内訳書

収支内訳書は、白色申告で確定申告をする際に、1年間の事業における収入と経費の内訳を記載するための書類です。

収支内訳書は、「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」の3種類です。ここでは、一般用を例に解説します。収支内訳書は2ページ構成となっており、記載箇所は下図のとおりです。

国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分) 収支内訳書(一般用)【令和5年分以降用】」を引用し加工

1ページ目は、「収入金額」「売上原価」「経費」「専従者控除」「所得金額」など、事業全体の収支を把握するための情報を記載します。2ページ目では、「売上・仕入の内訳」「減価償却費の計算」「利子割引料」「地代家賃の内訳」など、詳細な情報を記入します。

ページ 項目名 内容
1ページ目 左側 収入金額 売上金額や家事消費、その他の収入を記入
売上原価 期首商品棚卸高、仕入金額、期末商品棚卸高をもとに売上原価を算出
経費 給料賃金、外注工賃、減価償却費、地代家賃、水道光熱費などを記載
専従者控除 専従者がいる場合、その控除額を記載
所得金額 収入金額から売上原価、経費、専従者控除を差し引いて算出
右側 給料賃金の内訳 専従者以外の従業員の賃金明細を記載
税理士・弁護士等の報酬の内訳 税理士・弁護士等に支払った報酬を記載
専従者の氏名等 対象者の氏名や年齢、従事月数を記入
2ページ目 売上金額の明細 売上先の名称、所在地、登録番号(法人番号)、売上金額を記載
仕入金額の明細 仕入先の名称、所在地、登録番号(法人番号)、仕入金額を記載
減価償却費 対象となる固定資産ごとの詳細を記載
地代家賃の内訳 経費として記載した地代家賃の内訳(支払先や金額)を記載
利子割引料の内訳 (金融機関を除く) 支払先の住所・氏名、内訳を記載

確定申告書

令和5年(2023年)1月以降、確定申告書は「申告書A」と「申告書B」が統合され、一本化されました。この申告書は第一表と第二表の2枚で構成されています(申告内容によっては、第三表などを提出しなければならないケースもあります)。それぞれに必要事項を記入し、提出します。

【第一表】

第一表には、収支内訳書でまとめた事業の収入や所得に関する情報を記入します。収入金額は「事業」欄内に記載します。所得から差し引かれる金額には、保険料などの各種控除額を記入しましょう。また、控除の種類に応じた制限があるため、詳細を確認する必要があります。この表では最終的な税金の計算もします。

【第二表】

第二表では、第一表に記載した内容の具体的な内訳を記入します。例えば、所得の内訳や源泉徴収税額、保険料控除の内訳などを記載しましょう。項目には番号が付されており、第一表と連動しています。書ききれない場合は別紙を添付し、合計額を記載する方法もあります。

出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分) 申告書第一表・第二表【令和6年分以降用】」

4.添付書類を準備する

確定申告では「所得控除」と「税額控除」が認められており、納税者の所得税負担調整に役立ちます。ただし、基礎控除を除く各種控除は、適用を証明する書類が必要になるため、保険会社や公的機関から届く証明書類はなくさないようにしましょう。

なお、所得控除は「所得からの差引額」を、税額控除は「所得税額からの直接控除」を意味します。ここでは、本人確認および、所得控除、税額控除の添付書類について解説します。

本人確認書類

確定申告をする際には、申告者本人であることを証明するために本人確認書類の提出が求められます。

【マイナンバーカードがある場合】
マイナンバーカード(個人番号カード)を持っている場合は、提示するだけで手続きが完了します。郵送で提出する際は、カードの表面と裏面のコピーを確定申告書に添付します。

【マイナンバーカードがない場合】
マイナンバーカードがない場合は、下表のアのいずれかに加えて、下表のイのいずれかが必要です。

書類の種類 具体例
番号確認書類
(本人のマイナンバーを確認できる書類)
  • 通知カード
  • 住民票の写しまたは、住民票記載事項証明書(マイナンバーの記載があるものに限る)
身元確認書類
(記載したマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類)
  • 運転免許証
  • 公的医療保険の被保険者証
  • パスポート
  • 身体障害者手帳
  • 在留カード
  • 税務署から送付される「確定申告のお知らせ」はがき

所得控除に関する書類

所得控除に関する書類を準備する際は、適用する控除ごとに必要な書類の用意が必要です。節税につながる書類であるため、忘れずに添付しましょう。

また、控除によって添付する書類が異なります。社会保険料控除や生命保険料控除などの控除には、それぞれ適した証明書が求められます。また、医療費控除では、領収書ではなく自作の明細書の添付が必要です。

税額控除に関する書類

税額控除は、住宅ローン控除が代表的です。住宅ローン控除の申請には、初年度と2年目以降で必要な書類が異なります。初回申請時は多くの書類を要するため、事前に税務署へ確認するようにしましょう。

2年目以降の申告では、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の添付が必要です。

5.税務署に提出する

確定申告の提出は、例年通りであれば2月16日から3月15日までの期間に行う必要があります。ただし、土日祝日の関係で変更となる可能性があるため、国税庁のウェブサイトなどで確認するようにしましょう。

2025年(令和6年分)の確定申告の期間は、2月17日から3月17日です。期限を過ぎてしまった場合は、できるだけ早く期限後申告をしましょう。税務署への提出方法は、e-Tax、郵送、窓口への持参の3通りがあります。

2025年1月からは、申告書の控えへの収受日付印の押印が廃止されたため、提出は正本のみとし、控えは自身で作成・管理しましょう。

ただし、当分の間、希望者には「申告書を受理した日付や税務署名が記載されたリーフレット」が、窓口で交付されます。郵送の場合は、返信用封筒の同封により返送される流れです。

状況や利便性に合わせて、適した提出方法を選びましょう。以下で、それぞれの提出方法について解説します。

e-Tax

e-Taxの利用により、確定申告書の作成から提出までをオンライン上で完結できます。マイナンバーカードが必要とされるものの、メンテナンス時間を除き原則24時間利用可能です。

税務署に行く時間や郵送する手間が省け、各種控除証明書の添付も省略できる場合があります。確定申告が「いつでも、どこでも」できる、便利な申告手段といえるでしょう。

郵送

確定申告書は税務署に郵送で提出できます。税務上の申告書等は「信書」にあたるため、「郵便物」または「信書便物」として送付する必要があります。

通信日付印により表示された日が提出日とみなされるため、申告期限に間に合うよう、早めに送付しましょう。

前述のとおり、2025年1月以降は控えへの押印が廃止されるため、「申告書を受理した日付や税務署名が記載されたリーフレット」が必要な場合は、切手を貼った返信用封筒を同封します。

窓口への持参

確定申告書は、住所地を管轄する税務署の窓口に持参して提出できます。税務署の開庁時間は原則として平日の午前8時30分から午後5時までです。開庁時間外の場合は、時間外収受箱への投かんも可能です。

税務署職員への相談が必要な場合は、窓口での提出が適しています。ただし、確定申告期間中は混雑するため、待ち時間が長くなる可能性もあります。事前に準備を整え、スムーズな手続きを心がけましょう。

白色申告まとめ

白色申告は経理業務に不慣れな個人事業主やフリーランスに適した確定申告方式です。記帳方法が簡易で、事前手続き不要のため手軽に始められるメリットがあります。ただし、青色申告特別控除など税制上の優遇措置は限定的です。自身の事業規模や経理能力に合わせて選択し、適切な経費計上と必要書類の準備を心がけましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

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