営業利益と経常利益の違い~本業と事業全体の利益~

営業利益と経常利益の違いとは?

営業利益とは、会社が本業で稼いだ利益のことで、売上総利益から販管費を差し引くと計算できます。経常利益とは、本業を含めた事業全体から、会社が経常的に得た利益を意味しており、営業利益に営業外損益を足し引きすると計算が可能です。営業利益、経常利益いずれも、損益計算書に記載される利益の1つです。今回は、それぞれの意味について理解できるように簡単に解説します。※2021年9月23日に更新

営業利益と経常利益のポイント

  • 営業利益とは、会社が本業で稼いだ利益のこと
  • 営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
  • 経常利益とは、本業と本業外で獲得した利益のこと(特別な出来事がなかった場合の利益)
  • 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

本業とは何か

会社の本業とは、たとえば、紳士服店なら紳士服の販売、清掃業者なら清掃サービスというように、その会社の中心となる事業の活動を指します。

経常とは何か

経常は「平常なら」という意味です。つまり、経常利益は特別なことが起きないときの利益と考えてよいでしょう。経常利益は、日常業務では「けいつね」と呼ばれることが多いようです。

営業利益の意味と計算方法

営業利益は、本業の儲けを意味します。ここが赤字だと営業損失と呼ばれます。営業利益は、企業の財務を分析する際にもよく使われる指標の1つです。営業利益を計算するときは、以下の公式を使います。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

売上総利益(粗利益・粗利)とは

売上総利益(粗利益・粗利)とは、その事業年度中の会社の儲けのことです。売上高から売上原価を差し引いて計算します。売上原価は、商品の仕入れや製品の製造にかかったコストです。

販売費及び一般管理費とは

通常、商品・サービスを販売するためには営業活動をします。この営業活動にかかった経費が「販売費」です。また、会社を運営・管理していくために必要な経費が「一般管理費」です。これらを合わせた費用が「販売費及び一般管理費」であり、一般的には「販管費」と呼ばれます。実務的に、販売費と一般管理費を分けて覚える必要はありません。

販売費の勘定科目の例

  • 販売手数料
  • 運搬費
  • 広告宣伝費
  • 保管費
  • 納入試験費
  • 販売部門の人員の給料・賞与
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 交際費

一般管理費の勘定科目の例

実際に営業利益を算出してみる

実際に、営業利益を計算してみましょう。

黒字の会社

  • 売上総利益:1,000万円
  • 販売費及び一般管理費:600万円
  • 営業利益:400万円(1,000万円 - 600万円)

赤字の会社

  • 売上総利益:1,000万円
  • 販売費及び一般管理費:1200万円
  • 営業利益:▲200万円(1,000万円 - 1,200万円)※この場合は「営業損失」

当然のことですが、販管費がかさむと営業利益が少なくなることが分かります。

営業利益と付加価値

売上総利益の金額は、販売した商品の「付加価値の大きさ」です。その付加価値を実現するために販管費に費やしすぎると、営業利益を圧迫してしまうことになります。つまり、付加価値を生み出すのに投資した分だけ、売上総利益で稼がなければならないというわけです。

※参照:売上原価と売上総利益の関係

経常利益の意味と計算方法

経常利益とは、会社の事業全体の儲けのことです。ここがマイナスだと「経常損失」と呼ばれます。経常利益を計算するときに使うのは、以下の公式です。上で説明した営業利益を用います。営業利益の計算方法については前述の内容を参照してください。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

営業外収益・営業外費用とは

本業以外で収入や費用になるものを、営業外収益・営業外費用と呼びます。代表例は、貸付金借入金などの利息です。貸付金から発生した受取利息は営業外収益に、借入金で負担する支払利息は営業外費用に該当します。ちなみに利息は、銀行にとっては本業の収益です。

営業外収益に該当する勘定科目

  • 受取利息
  • 受取手数料
  • 仕入割引
  • 受取配当金
  • 有価証券評価益
  • 有価証券売却益
  • 雑収入

営業外費用に該当する勘定科目

  • 支払利息
  • 社債利息
  • 売上割引
  • 手形売却損
  • 手形割引料
  • 雑損失

実際に経常利益を算出してみる

では、経常利益を求めてみましょう。

営業利益が黒字の会社

  • 営業利益:400万円
  • 営業外収益:20万円
  • 営業外費用:100万円
  • 経常利益:320万円(400万円 + 20万円 - 100万円)

営業利益が赤字の会社

  • 営業利益(営業損失):▲200万円
  • 営業外収益:620万円
  • 営業外費用:100万円
  • 経常利益:320万円(-200万円 + 620万円 - 100万円)

これも当然ですが、営業外収益が多ければ、営業外費用が少なければ、経常利益は大きくなります。

営業利益が赤字で経常利益は黒字の意味

上の例題の2つ目を見て、「おや?」と思った方もいるでしょう。2つの例題では、経常利益は同じ金額ですが、その意味合いは異なります。1つ目の例は、本業の利益である「営業利益」が黒字(プラス)です。一方、2つ目は営業損失、つまり営業利益が赤字(マイナス)になっています。2つ目の例題は、「本業はダメだったけど、何とかして利益を出した」という状態です。本業の経営に課題を抱えていることが分かります。営業利益では本業の、経常利益では会社全体の利益が分かります。その他、損益計算書には法人税を差し引く前の税引前の純利益なども登場しますが、そちらは参考記事を読んでみてください。

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