外注費とは?他の勘定科目や給与との違い、仕訳方法を解説

更新日:2024年07月08日

外注費とは

外注費とは、自社では対応しきれない業務を外部の企業や個人事業主と契約を結んで委託する際に発生する費用のことです。

本記事では、外注費の基本的な概念から他の勘定科目や給与との違いについて詳しく解説し、外注費が給与と認定されてしまうリスクや外注のメリットとデメリットについても取り上げます。また、法人や源泉徴収が必要な個人事業主に外注費を支払う場合の具体的な仕訳の例を紹介し、外注費と源泉徴収の関係性についても解説します。

目次

外注費とは?他の勘定科目との違い

ここでは「外注費」がどういったものか、また「支払手数料」「販売促進費」「給与」との違いについて詳しく解説します。ここで重要なのは「給与」との違いです。この区別があいまいになることにより、税務上でさまざまな問題が生じてしまいます。本記事では、そうした注意点についても詳しく解説します。

外注費は請負契約を結ぶ際に生じる費用

「外注費」とは、自社では対応しきれない業務を外部の企業や個人事業主と契約を結んで委託する際に発生する費用を指します。この費用は「Webページ制作」「アプリ内のコンテンツ制作」「物品の運送」「建物の建築」など、企業の事業領域に応じてさまざまです。

専門業者に依頼することによって質の高い成果が期待できる仕事や、自社で対応できるスタッフがいない場合に外注することが一般的です。こうした外注業務に伴う費用が外注費として計上されます。

他の勘定科目との違い

「外注費」は、企業が外部の業者やフリーランスに業務を委託する際に発生する費用を指しますが、それと似た勘定科目に「支払手数料」「販売促進費」「給与」があります。それぞれの違いを理解することは、正確な経理処理と税務対策において重要です。ここではそれぞれの違いについて解説します。

支払手数料との違い

「支払手数料」は、金融取引の手数料や専門家(弁護士・税理士・公認会計士など)への報酬を計上するための勘定科目です。これは、高度な専門性が必要な業務を外部に委託する際に使用する勘定科目です。

たとえば、顧問料や法的コンサルティングに対する報酬などが該当します。支払手数料は、外注費とは異なり、専門性の高いサービスに対する報酬を帳簿付けするために使われます。また、専門家の個人事業主に支払う場合は、源泉徴収などの税務手続きが必要です。

販売促進費との違い

「販売促進費」は、直接的な商品宣伝にかかわる費用を指し、グッズ作成やサンプル配布などが該当します。これらの費用は売上の増加を目的として発生するため、外注費ではありません。

類似している勘定科目に「宣伝費」があります。販売促進費は商品の直接的なプロモーションにかかる費用であるのに対し、宣伝費はテレビやチラシなどを通じて間接的にアプローチする広告にかかる費用です。

給与との違い

「外注費」か「給与」かの選択は、税務上重要な問題です。外注費は源泉徴収義務がなく、消費税の納付額も抑えられ、社会保険料の負担もないため一見有利に見えます。しかし、この選択は契約内容や業務遂行の実態に基づいて慎重に判断しなければなりません。

外注費が給与であると指摘された場合には、「源泉所得税の追徴課税」「仕入税額控除の否認」「延滞税・加算税の支払い」など、大きな財務的影響が生じます。

詳しくは、以下で解説します。

外注費が給与と認定される条件

税務調査において、外注費と給与の区別は重要な問題です。この判断は主に契約の性質に基づきますが、単純に契約書の存在だけでは決定できない複雑なケースも多くあります。

まず「事業者」とは、自分の計算に基づいて独立して事業する者を指しています。そのため、個人が雇用契約やそれに準ずる契約の下で他の者に従属し、その者の計算で実施される事業にサービスを提供する場合は「事業」に該当しないため注意が必要です。

したがって「出来高払いの給与を受け取るサービス提供」は事業に該当せず、一方で「請負による報酬を受け取るサービス提供」は事業に該当します。ただし、支払われた対価が出来高払いの給与か請負による報酬かは、雇用契約やそれに準ずる契約に基づくかどうかで判断されるため、注意が必要です。

その区分が明確でない場合は、たとえば以下の事項を総合的に考慮して判断するとされています。

  • 代替可能性:その仕事を他の人が代わりにできるかどうか(できない場合は、給与に該当)
  • 指揮監督:仕事をする際に、雇用主から直接の指示や管理を受けるかどうか
  • 報酬の請求権:天災などで完成前の仕事が台無しになった場合でも、すでに実行した分の仕事に対して報酬を請求する権利があるかどうか(請求する権利がない場合は、外注費に該当)
  • 材料・道具の提供:仕事に必要な材料や道具を雇用主から提供されているかどうか(自ら準備している場合は、外注費に該当)

税務調査で外注費が否認されると、追加で多額の税金を納付しなければならず、企業に大きな負担がかかります。この負担を避けるために、あらかじめいくつかの対策を講じておきましょう。

まず、外注時には業務委託契約書や請負契約書などの契約書を作成し、双方が署名押印して保管します。また、外注先からの請求書も保管しておくことで、形式的な部分の証明が容易になります。

さらに外注先に対しても、雇用契約ではなく外注契約であること、そして支払う報酬が給与ではないことを明確に伝えることが重要です。外注先が確定申告で報酬を給与として申告してしまうと、税務署がそれを給与所得とみなしてしまうリスクがあります。

契約書類がない場合や外注費が否認されるかどうか判断が難しい場合は、税務調査に強い税理士に相談することをおすすめします。

参考)国税庁「第1節 個人事業者の納税義務」

外注費が給与と認定されるとどうなる?

企業経営において、外注費と給与の区別は重要な問題です。しかし、実際の業務形態によっては、その線引きがあいまいになることがあります。税務当局の調査により、外注費として処理していた支払いが給与と認定されると、企業は予期せぬ税務上の問題に直面しかねません。ここでは、そのような事態が発生した場合の影響について詳しく解説します。

源泉所得税の課税義務が生じる

外注費が給与と認定された場合、源泉所得税を支払わなければなりません。通常、外注費には源泉徴収の義務はありませんが、給与には必ず源泉徴収が必要です。すでに外注費として処理していた場合であっても、給与と認められれば追加の徴税が発生します。

給与にかかる源泉徴収税は、給与額や扶養親族の人数によって異なります。外注として会計処理していたものが、税務署によって給与に該当すると認定された場合、さらに税金を支払わなければならなくなるため注意が必要です。

延滞税や加算税の支払いの課税義務が生じる

源泉所得税の支払いや仕入消費税の控除が否認された場合の納税に加え、過少申告加算税、不納付加算税、延滞税といった追加課税が課されます。

これらは企業にとって大きな負担となり、とくに過去にさかのぼって指摘された場合、その金額は膨大になるおそれがあります。外注費と給与の区別が明確でない経費については、給与要素が含まれている可能性もあるため、注意が必要です。

仕入消費税が控除されない

通常、外部の業者やフリーランスに支払う外注費は、消費税を含む金額で処理されます。この取引は税務上「課税仕入取引」と呼ばれ、支払った消費税分は「仕入税額控除」の対象となり、企業の納税額から差し引けます。一方、従業員に支払う給与は消費税の課税対象外です。つまり、給与に関しては消費税の支払いも控除もありません。

ここで問題となるのは、当初は外注費として処理した支出が、後に税務当局によって給与と認定された場合です。このような事態が発生すると、控除できていた消費税の仕入税額控除分をさかのぼって納付しなければならなくなります。

外注のメリット

外注の活用は、企業経営において重要な戦略的選択肢です。その主なメリットは、社内にない専門技術やノウハウの効率的な活用と、人的リソースの適正配分にあります。

専門性の高い業務を外部に委託することで、自社での技術開発や人材育成にかける時間とコストを節約しつつ、高度な技術の活用が可能です。

また、バックオフィス業務などを外注化することで、限られた人的リソースを中核業務に集中させ、企業の競争力を高められます。

さらに社会保険料の負担が不要であり、源泉徴収税額は一律で年末調整の必要がない点もメリットです。

外注のデメリット

外注の活用には、効率化や専門性の獲得といったメリットがある一方で、注意すべき課題も存在します。

主な課題の一つは、外注先のマネジメントの難しさです。連携不足による業務効率の低下や、コンプライアンス違反、業務領域の不明確さによるトラブルなどが生じる可能性もあります。こうした問題を防ぐためには、専任のマネジメント担当者を置くなどの対策とともに、それに伴う工数増加も考慮しておかなければなりません。

また、自社のニーズに合致した外注先を見つけることが困難な場合もあり、予算やリードタイムの不一致などさまざまな問題が生じることも考えられます。

さらに、外注費には消費税が発生するため、事務負担が増加します。加えて、発注時の指示内容によっては、外注費ではなく給与とみなされるリスクも排除できません。

これらの課題を踏まえ、外注費の活用には慎重な検討と適切な運用が不可欠です。メリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況に適した方法を選択することが重要です。

外注費と源泉徴収の関係性

支払いを外注費として計上する場合、通常は所得税の源泉徴収は不要ですが、個人事業主への特定の報酬については源泉徴収が必要です。

主なものとして、以下の報酬があげられます。

  • 原稿料
  • 講演料
  • 作曲や映像作品の報酬
  • 翻訳やデザインに関する報酬
  • 法律や税務に関する報酬

これらの報酬に該当する場合、法令に則り源泉徴収する必要があります。業種の詳細は「所得税法第204条第1項」で定められており、あらかじめ確認しておくことが必要です。

【法人・個人事業主】外注費の仕訳例

外注費の仕訳処理は、源泉徴収の有無によって異なります。通常、外注費には源泉徴収の義務はありませんが、源泉徴収義務者が個人に対し、源泉徴収の対象となる業務を依頼する場合には源泉徴収が必要です。ここでは、法人および個人事業主に対する報酬支払いの具体的な仕分け方法について解説します。

仕訳例1.法人に外注費を支払った場合

法人への業務委託における会計処理は、比較的単純な仕訳で済みます。たとえば、清掃業務を外部の法人に委託し、その報酬として5万円を支払う場合について考えてみましょう。

この取引の仕訳は次のとおりです。

借方には、費用項目である「外注費」として50,000円、普通預金から支払った場合には、普通預金勘定の貸方へ50,000円を計上します。

仕訳例2.個人事業主に外注費を支払った場合

個人事業主への業務委託費の支払いは、法人への支払いとは異なる会計処理が必要な場合もあります。とくに「原稿執筆料」などのような特定の報酬に関しては、源泉徴収が必要です。

たとえば、個人事業主のライターに50,000円の原稿執筆料を支払う場合、50,000円の10.21%である5,105円を源泉徴収し、ライターには44,895円を支払います。

仕訳としては、借方に「外注費」50,000円、貸方に実際に支払った「普通預金」44,895円と源泉所得税の「預り金」5,105円を計上します。

外注費とはまとめ

外注費の適切な管理と処理は、企業経営において重要な課題です。外注のメリットとして業務効率化や専門性の活用がある一方、デメリットとしてマネジメントの難しさや、外注費の定義があいまいな場合の税務リスクがあることを理解しておく必要があります。

とくに注意すべきは、外注費が給与と認定されるリスクです。このような事態が起こると、源泉所得税や消費税の納付が課せられ、延滞税や加算税も支払わなければなりません。

適切な外注費の管理と仕訳処理は、企業の財務健全性と法令遵守の観点から非常に重要です。本記事の情報を参考に、自社の状況に合わせた適切な外注管理をしましょう。不明点がある場合は、専門家へ相談することをおすすめします。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加