延滞税とは?計算方法や申告・納税時のポイントも解説
更新日:2025年09月21日

延滞税とは、期限までに税金を納付していない場合にかかる金額のことです。申告・納付する際は、特例や猶予制度を利用できるケースがあることを理解しておきましょう。本記事では、延滞税の計算方法や発生リスクを軽減する方法についても解説します。
目次
延滞税とは
延滞税とは、相続税や所得税などの税金(国税)を期限までに納めていない場合にかかる額です。法律で定められた期限の翌日から納付する時点までの日数に基づき、利息に相当する額が課されます。
主にかかるのは、期限までに確定した税額を納付していないケースです。また、期限後申告書や修正申告書を提出している場合や、更正もしくは決定の処分(※)を受けている場合にもかかることがあります。
なお、住民税などの地方税についても、納付期限を過ぎた場合は、通常の税額に加えて「延滞金」を納付しなければなりません。
※更正処分:納税者の指摘事項にしたがって修正申告しない場合に、税務署が税額を修正する処分
決定処分:期限までに申告していない場合に、税務署が一方的に税額を決める処分
延滞税の計算方法
延滞税の計算式は、以下のとおりです。
延滞税1(円) = (納付すべき税額 × 延滞税の割合 × 期日翌日から完納もしくは2か月経過までの日数)/365日
延滞税2(円) = (納付すべき税額 × 延滞税の割合 × 2か月経過後翌日からの日数)/365日
納付すべき税額は10,000円未満の端数を切り捨て、延滞税1・延滞税2は1円未満の端数を切り捨てます。次に、延滞税1と延滞税2を足した額が納付すべき延滞税額です。金額は100円未満の端数を切り捨てます。
期限の翌日から2か月を経過する日まで、延滞税の割合は原則として年7.3%です。ただし、2021年1月1日から2021年12月31日までは年2.5%、2022年1月1日から2025年12月31日までは、年2.4%を適用します。2021年1月1日以後は、「年7.3%」と「延滞税特例基準割合 + 1%」のいずれか低い割合を適用することと定められているためです。
期限の翌日から2か月を経過してからは、原則として年14.6%を適用します。ただし、2021年1月1日以後、適用されるのは「年14.6%」と「延滞税特例基準割合 + 7.3%」のいずれか低い割合です。そのため、2021年1月1日から2021年12月31日までは年8.8%、2022年1月1日から2025年12月31日までは、年8.7%を適用します。
なお、今回紹介しているのは、2025年7月31日時点における計算方法です。延滞税がかかる時期によって、延滞税の割合などが変わる場合があるため注意しましょう。
延滞税の計算例(いくらになるかシミュレーション)
納めるタイミングが期限の翌日から2か月経過しているかによって、計算方法が異なります。今回は、所得税50万円の納付が遅れたために納付期限の翌日から2か月以内に納付するケースと、納付期限から2か月を超えて納付するケースに分けて、計算例を紹介します。
納付期限の翌日から2か月以内に納付するケース
期限が2025年3月17日の所得税を2025年5月16日に納付するケースで、延滞税を計算してみましょう。今回、納付期限の翌日から2か月以内に納付するため、延滞税1のみを計算します。
期限の翌日から2か月以内における、延滞税の割合は原則年7.3%です。ただし、2022年1月1日から2025年12月31日までは、年2.4%を適用します。
計算式に当てはめた延滞税1の額は「1,972円(1円未満切り捨て)」です{(50万円 × 2.4% × 60日)/365日}。今回、延滞税2の計算は不要なため、計算結果の100円未満を切り捨て、「1,900円」を延滞税と計算できます。
納付期限から2か月を超えて納付するケース
納付期限が2025年3月17日の所得税を2025年5月31日に納付するケースで、延滞税を計算してみましょう。今回は、延滞税1と延滞税2の計算が必要です。
まず、延滞税1として2025年3月18日から2025年5月18日までの延滞税を計算します。延滞税の割合は年2.4%のため、延滞税1の額は「2,038円(1円未満切り捨て)」です{(50万円 × 2.4% × 62日)/365日}。
続いて、延滞税2として2025年5月19日から2025年5月31日までの延滞税を計算します。延滞税の割合は年8.7%(原則は年14.6%)のため、延滞税2の額は「1,549円(1円未満切り捨て)」です{(50万円 × 8.7% × 13日)/365日}。
最後に、延滞税1と延滞税2を足して100円未満を切り捨てることで、延滞税が「3,500円」であることがわかります。
なお、延滞税の計算は国税庁のサイトに設置されているツールを使用すると便利です。手間を省きたい場合や、正確な数字を把握したい場合は、ぜひ利用してください。
延滞税に関する注意点
延滞税に関して、以下の点に注意しましょう。
- 気づいたらすぐに対応しなければならない
- 財産を差し押さえられる可能性もある
それぞれ解説します。
気づいたらすぐに対応しなければならない
税金の申告や納付が遅れていることに気づいたら、すぐに対応しなければなりません。
延滞税は、納付が遅れた時点で自動的にかかる仕組みです。税務署から通知が来ていないからといってそのままにしていると、その分、延滞税が高くなっていきます。
また、納付期限から2か月を経過すると延滞税の割合がさらに大きくなるため、迅速に納付することが重要です。
財産を差し押さえられる可能性もある
税金の納付を放置していると、延滞税がかかるだけでなく、財産の差し押さえなどの滞納処分を受ける可能性もあります。差し押さえとは、債権者が債務者に対して貸しているお金や、税金などを回収するための手段のことです。
税金の滞納が続くと、税務署や自治体から督促状が送られてきます。その後、書面や電話などでの督促に対して対応しない状態が続くと、差し押さえが執行されるでしょう。差し押さえ後、公売を経て未払分の税金に充当されます。
大切な財産を守るためにも、延滞に気づいたらすぐに対応しなければなりません。
延滞税の申告・納付で押さえておくこと
延滞税が発生してしまい、申告や納付の必要がある場合は、以下の点を押さえておくことが大切です。
- 延滞税の計算期間の特例や猶予制度がある
- クレジットカードでも納付できる
それぞれ解説します。
延滞税の計算期間の特例や猶予制度がある
延滞税の申告・納付にあたって金額を計算する際は、特例が適用される可能性があることを理解しておきましょう。
期間内申告書を提出して期限後1年経ってから修正申告もしくは更正があった場合や、期限後申告書を提出して1年後に修正申告もしくは更正があった場合などには、一定期間が延滞税の計算期間に含まれません(延滞税の計算期間の特例)。ただし、偽りや不正により税金を免れた場合を除きます。
また、期日までに納税できず延滞税が発生しそうな場合は、猶予制度を適用できないか確認することも大切です。「税金の納付により事業の継続や生活が困難になる」「災害で財産を損失した」など特定の事情に該当する場合に、税務署に申請することで原則として1年間、納税が猶予されます。猶予期間中は、延滞税がかかりません。
参考)国税庁「納税に関する総合案内 3. 国税を納期限までに納付することが困難な方」
クレジットカードでも納付できる
通常の国税だけでなく延滞税も、クレジットカードで納付できる点を押さえておきましょう。
クレジットカードで税金を支払う場合、延滞税を計算する際の基準は「納付手続きを完了した日」です。仮に手続き自体を期限内に終えている場合は、クレジットカードの引き落とし日が期限を超えていても延滞税はかかりません。
また、e-Taxで申告した後に納税者自身の預貯金口座からの引落しで電子納付するダイレクト納付や、インターネットバンキングを利用した電子納税でも、税金を納付できます。
延滞税以外の附帯税・加算税の種類
延滞税は、附帯税のひとつに分類されます。附帯税とは、納税者が法律で決められている期限までに申告しない場合や税金を納付しない場合に、本来納付すべき税金と別に課されるペナルティのことです。
延滞税以外の附帯税として、以下の税金が挙げられます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 利子税
過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税をまとめて、「加算税」と表現することがあります。ここから、各加算税や利子税の概要について確認していきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に確定申告した後に申告額が過少であることが判明して修正申告する場合や、税務署から申告納税額の更正を受ける場合にかかる税金のことです。ただし、税務署から通知される前に、自分で修正申告した場合はかかりません。
税務署からの事前通知後に修正申告する際に課せられる額は、「新たに納付する税金に5%をかけた額」です。納付額が元々の申告納税額と50万円のいずれか多い額を超えている部分については、10%をかけた額を納付しなければなりません。
また、税務署の調査後に修正申告する際や更正を受けた際は、新たに納付する税金に10%をかけた額(金額次第で税額の一部に15%をかけた額)が過少申告加算税としてかかります。
無申告加算税
無申告加算税とは、期限後に確定申告し、納付すべき税金がある場合にかかる税金のことです。
税務署から通知される前に自主的に申告した場合は、納付する税額に5%をかけた額が無申告加算税としてかかります。ただし、期限から1か月以内に自主的に申告する場合にはかかりません。
税務署からの通知を受けてから申告する場合は、納付する税金の50万円以下の部分に10%、50万円超300万円以下の部分に15%、300万円超に25%をかけた額が無申告加算税としてかかります。また、税務署の調査後に申告する場合は、納付する税金の50万円以下の部分に15%、50万円超300万円以下の部分に20%、300万円超に30%をかけた額を無申告加算税として納付しなければなりません(※)。
※2024年1月1日以降に期限が到来しているケース
不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収されるべき所得税が期限内に納められていない場合にかかる税金のことです。
納付すべき額に10%をかけた額が、不納付加算税としてかかります。ただし、税務署の調査を受けて指摘されることを踏まえて対応したのでなければ、不納付加算税は納付すべき額に5%をかけた額です。
なお、期限から1か月以内に自主的に申告する場合には、不納付加算税がかかりません。
重加算税
重加算税とは、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税がかかるケースで、計算に関する事実を隠蔽したり、仮装したりしている場合にかかる税金のことです。
納付しなければならない税金に対し、過少申告税の代わりに35%、無申告加算税の代わりに40%、不納付加算税の代わりに35%をかけた額が重加算税としてかかります。
利子税
利子税とは、何かしらの事情で納税者が申告書の提出期限について延長申請し、税務署から認められている場合にかかる税金のことです。利子税の割合については、毎年国税庁が発表しています。
なお、延滞税は当初納付する必要がある税金を対象として課されるものです。そのため、ここまで紹介してきた附帯税に対して、別途延滞税はかかりません。
延滞税の発生リスクを軽減する方法
延滞税の発生リスクを軽減するためには、以下の方法を検討することが大切です。
- スケジュールの管理を徹底する
- 資金繰りの安定を図る
それぞれ解説します。
スケジュールの管理を徹底する
延滞税が発生することを避けるには、スケジュール管理を徹底することが大切です。
「個人の確定申告は原則翌年2月16日から3月15日」「法人の確定申告は事業年度終了日の翌日から2か月以内」など、税金に関する期限はあらかじめ決まっています。税金の支払日や額を事前に把握し、納付を失念することのないようにしましょう。
資金繰りの安定を図る
延滞税の発生リスクを軽減するには、資金繰りの安定を図ることも大切です。
申告期限や納付期限を把握していても、手元の資金が十分でなければまとめて税金を納付できない可能性があります。金融機関で納税準備預金を開設して納税に備えたり、あらかじめ融資を相談したりして、納税に必要な資金が不足しないようにしましょう。
延滞税まとめ
延滞税とは、国に納めるべき税金を期限までに支払っていない場合に発生する税金のことです。税金を延滞している期間によって課せられる額が変わるため、支払いが遅れていることに気づいたらすぐに対応しなければなりません。
また、税金の申告・納付を誤ったり怠ったりすると、延滞税以外の附帯税もかかることがあります。正しく速やかに納付できるよう、税金に関するスケジュール管理を徹底しましょう。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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